野生生物を調査研究する会活動記録

特定非営利活動法人 野生生物を調査研究する会の会員による活動記録です。

アマゾン自然学校 テキスト(8)

2023-02-15 | 市民講座

ブラジルのナツメグ、プシュリ(プクスリ)

プシュリの使い方はナツメグと同じで、少量をすりおろす。その香りと風味は独特で、クローブ、スターアニス、カルダモンが少し混ざった香りでいろいろな料理に利用できる。独特の香りと風味は、甘口にも辛口にもよくあう。ホワイトソース、プリンシロップ、ベイクドポテト、海老の味付けにも

 

さて、テキストより

 

リオ・ネグロ流域原産のクスノキ科の樹木であるが、材質は日本のクスノキと同じで、家具用材としては貴重木である.。成長は緩慢で、適地(半湿地)でも20年で胸高直径20~25cmしかならないが、40年経つと50cm にはなる。

この木は、カンフルを多く含み、とくに種子は薬用としての価値が高く、近年の代替医療薬としては貴重なものとなることは確実である。当地では種子の利用が余り知られていないが、ノルデステでは家庭の常備薬として先祖代々の遺留品として大切に受け継がれている。彼等はすべての病気に効くと教えるが、共通して小児の“ひきつけ”に口移しで飲ませると言う。これはカンフルの強心効果によるものであろう。

トメアスーに残っているものは、南米拓殖会社のアサイザール試験場に当時の農業技師がマナオスから持ちこんで植えたものである。この木は極めて浅根性であり、根が地上に露出して気根のようになるので、エンシャーダで根を切ったり、除草剤などを使うことは禁物であり、つねに敷草によって根元の管理をしないと育たない。実の収穫は落ちたものを集めるだけであるが、落果時期は雨季になるので、乾燥はビニールハウスのなかで行わなければならない。

トメアスに最初に持ち込んだのは坂口さんの祖父。最初プクスリだとは知らずに、アマゾンからトメアスに種を運び、苗木が育った。それがプシュリであることがわかったのはずいぶん後だったとか。


里山と里地里山

2023-02-15 | 野生生物を調査研究する会の紹介

昨年、環境講座をおこなったとき「里地と里地里山はどうちがうのか」という質問をうけた。

 里山という用語は、四手井綱英氏が、昭和30年代後半に、「専門用語で農用林と呼ばれていた農家の裏山の丘陵や低山地帯の森林を指し、奥山との対比を意識し里山」という。阪本寧男氏は、「人里近くに存在する山を中心に、隣接する雑木林・竹林・田畑・溜め池・用水路などを含み、人びとが生活してゆく上で様々な関わりあいを維持してきた生態系」をさす。

「里地里山」は環境省が定義している。

まず、里地だが「雑木林やマツ林などの二次林、つまり薪炭林や農用林、加えて採草地と限定した上で、セットとして伝統的農村景観を構成してきた里山・農地・集落・水辺を含めた全体」をさす。

環境省の『日本の里地里山の調査・分析について(中間報告)』という報告書に、「里地里山」という言葉を使った。

環境省の定義によると「都市域と原生的自然との中間に位置し、様々な人間の働きかけを通じて環境が形成されてきた地域であり、集落をとりまく二次林と、それらと混在する農地、ため池、草原等で構成される地域概念である」

地域全体を含めた活動ということで、里地里山保全活動というべきかもしれない。

 

当会が活動する場所はどんな場所

  • 形状

低山地の傾斜地に、樹林地(里山)があり、谷筋に水田が広がる。

  •  植生

里地里山の二次林はコナラ林とアカマツ林であるが、活動地の半分はスギ、ヒノキの植林地となっている。常緑樹がめだち、高木はソヨゴ、中低木にはサカキ、ヒサカキ、イヌツゲなど見られる。

(3)立地

都市と山間部の中間地域。過疎化・高齢化の進行によって集落の機能が急速に衰えつつある。

 

保全活動

林内の日照確保や樹木間の競争緩和(樹木密度の管理)を目的として、下刈り、つる切り、除伐、枝払い、落ち葉かきなどの作業を行う。

野生生物の保護・生物多様性の保護保全

活動地域の貴重種の保護保全および生物多様性の保全を行う。

活動日

毎月第一日曜を定例活動として、整備、保全を進めている。

 

当会では1997年(平成 9 年)から活動を始めた。地域のため池の保全対策をはじめ周辺私有地の利用と山林の整備について所有者と協議をおこない、協力を得られて活動している。

2001年には、 この地域に生息する希少種(昆虫:ヒメタイコウチ、ヒメヒカゲなど植物:トキソウ、サギソウなど)の生息保全保護対策が軌道にのった。

2002年(平成14年)からは野生生物を調査研究する会、地域住民、ナチュラリストクラブが里山保全に協力して取り組んでいる。

成果は、画像は2022年4月にみられた動植物。1997年の活動をはじめた時には見られなかった生き物だ。

下刈り、つる切り、除伐、枝払い、落ち葉かきなどの作業の結果見られるようになったものだ。春夏秋冬それぞれの季節に貴重なものが戻りはじめている。


アマゾン自然学校 テキスト(7)

2023-02-14 | 市民講座

カカオ

カカオは、アオイ科の常緑樹。カカオノキ、ココアノキとも呼ばれる。チョコレートやココアの原料として栽培されている。

 

チョコレートを贈るのは日本だけ。1950年代後半に始めたチョコレートキャンペーンがきっかけらしいが、1970年代後半には「女性が好きな男性にチョコレートを贈る日」として定着しました。

そのチョコレートの原料がカカオです。

 

カカオの木は、ペルーからメキシコにかけての熱帯アメリカの熱帯雨林地域に由来します。

カカオの栽培はアメリカ大陸各地域に広がり、地域ごとに個性が生まれ、きさまざまな風味と食感の特徴を持つ品種になりました。

カカオの木は、農場では高さ 05 から 08 メートル、樹冠直径 04 から 06 メートル程度の大きさですが、森の真ん中で成長すると、高さ 20 メートルに達することがあります。カカオの収穫は難しいところは実が同じ木にある場合でも、必ずしも同時に熟すとは限らないところです。実をとるときに上手にとらないと木がいたみ花が咲かなくなり、生産性が低下してしまいます。実から種をとりだします。これがチョコレートの原料になります。

 チョコレートにするには、実を発酵させます。発酵後、実の中の種を乾燥させます。乾燥がうまくいくとよいチョコレートになります。乾燥が終われば数か月保管し、熟成させて出荷することになります。

 

チョコレートがどのようにできるのかは、ブラジルの子どもたちも知りません。

アマゾン自然学校では、農家の協力で実際にチョコレートをつくってみました。

自然学校4日目の活動です。

「子どもたちは植林を終えて、トメアスの町に帰ってから昼食をとり、午後は「ものづくり体験」です。坂口農場にお世話になりました。前半はカカオビーンズから手作りチョコレートに挑戦です!炭火に鍋をかけ、その中に発酵させたカカオビーンズを入れて、香ばしいにおいがするまで炒ります。下の豆が焦げ付かないように常に鍋の中身を混ぜていなくてはいけません。少し豆の乾燥が十分でなかったようで、時間がかかりましたが、みんなが順番で混ぜる役をやりました。次に、炒った豆の皮をとります。熱いので気をつけなくてはいけません。しかし、早くしないと冷めてしまい皮がとりにくくなってしまいます。みんなで一生懸命皮をむきました。皮をむいた豆を挽き器に入れて、ペースト状にします。これでチョコレートの完成です。あとはビニールに包んで、冷やします。ビニールに包むのにコツが必要でしたが、みんなうまくできました。このチョコレート、実は、すごく苦いチョコレートです。市販のチョコレートにはこれに砂糖やカカオバターが入ります。味見をした子供は市販のチョコレートとの甘さと苦さの差にびっくりしていました。」


「クズと民俗学」そして外来種問題

2023-02-14 | 市民講座

2023年2月12日第11回ナチュラリストクラブ記念講演『ひとくらし自然 民俗学の視点から その14』 

で「クズと民俗学」の内容で講話した。

今回、植物民俗学の視点から「植物がどのように使われるのか」だけではなく、「どのように認識され使いこなされているか」、「人間社会とその依存する植物との間の互恵的関係」が主な内容だ。

植物は見方によっては役立てば栽培植物になり、害があれば雑草であり、同じ雑草でもあるときは有用であると認めれば野草となる。雑草とひとくくりにするなと、「雑草という草はない」といったのは牧野富太郎博士の言葉を紹介し話はすすむ。

クズであるが、縄文の時代からでんぷんを利用する植物の一つであった。

そして、縄文土器に付着する布片の圧痕や編み衣様の布片の出土からクズも衣になっていた。

くず粉の料理本は鎌倉時代にすでにあり、江戸時代武士階級の高級衣装になっていた。等々

 

聞いていただいたみなさんが一番興味を持っていただいたのが、アメリカにわたったクズの話。

「世界の侵略的外来種ワースト 100」に選ばれるまでになったこと。

アメリカではびこるクズの地図からアメリカの南部に広がり、それゼれの州では、みつけたらただちに処理しましょうと呼びかけている話や根から掘らないと退治できなので堀りあげた根の画像を紹介した。

 根の大きさは吉野葛をとるクズと変わらないことから、アメリカでくず粉を作って商売できそうという声も。

 実際、自然保護団体などでは広がるクズをくず粉や繊維で布をつくるワークショップを行っている。

アメリカでのクズのホームページから本当に大変さが伝わってきたが、楽しみもアメリカ人だなというところがうけた。

外来種対策の歴史を見ると、

1992 年、「生物多様性条約」が締結され、世界全体で生物多様性の保全と持続可能な利用を目指す唯一の国家間合意ができた。そのなかに、「外来種対策」を行うことが明記されている。おくれて、日本は 1993 年 5 月 28 日に締約国になった。

2001 年には「世界の侵略的外来種ワースト 100」が公表。IUCN(国連自然保護連合)が外来種の中で、特に生態系や人間活動への影響が大きい生物のリストを公表したのだ。

日本が関係するのはクズとイタドリ。もう一つチガヤ。これらが100の中に入っている。

日本でもチガヤが耕作地に入り込むと大変。これは経験から思う。

どうするクズということで話をおえた。

 

あっという間に時間が過ぎて面白かったと好評であった。以上報告まで


伊丹天王川や天神川の合流地点の植物

2023-02-13 | 自然観察会

伊丹天王川や天神川の合流地点の植物の移り変わり

桜台コニュニティー協議会が夏の終わりにリバーサイドフェスタを開催する。

天王川や天神川の合流地点で環境調査を何年もおこなっている。

野生生物を調査研究する会も水生昆虫や河原の植物調査に協力させていただいている。

記念を作るということで、植生や植物の移り変わりをまとめてみた。

今見られる土手の植物は四季によっても違いますし、長い時間でみるとまた違っています。

現在の土手も定期的に、草刈りなど人の手によって、今まで成長してきた植物がいったんはなくなってしまったように見えますが、その中で、必死で環境に適応している植物がいます。

そのような毎年おこる繰り返しの中で、生き残る植物と今は見られなくなった植物もあります。

春には、ヨモギやギシギシ、アカツメクサやシロツメグサ、ナズナ、黄色い花のセイヨウカラシナ。川の岸辺にはセリやクレソンの花が見られます。初夏、イネのなかまの植物が目立ちはじめるころ、ツユクサやメマツヨイグサなどがみられます。秋には、イネのなかまのススキやセイバンモロコシ、クズやセイタカアワダチソウがみられ、やがて冬がれの土手の様子になります。

 

時代とともに変わる土手の植物

秋の七草は、万葉集に収められている奈良時代の山上憶良の歌からと言われています。

「秋の野に 咲きたる花を 指折り(およびをり) かき数ふれば 七種(ななくさ)の花」

「萩の花 尾花 葛花 撫子の花 女郎花 また藤袴 朝貌の花」

ハギ、ススキ、クズ、ナデシコ、オミナエシ、フジバカマ、キキョウの、7つの花が秋の七草ですが、最初の3つ「ハギ、ススキ、クズ」は今でもよく見られますが、「ナデシコ、オミナエシ、フジバカマ、キキョウ」は、地域によっては絶滅が危惧される種になっています。

 秋の七草は、草地でよくみられる植物で、化学肥料が広まる80年ほど前には、田や畑に入れる緑肥(刈り取った植物を肥料として利用する)をつくるために、河原の土手以外にもたくさんの草原をわざと残してあったので、普通に見られた植物だったのです。しかし、草地が減少し、秋の七草も貴重な種となってっしまいました。

 天王川や天神川の土手も秋の七草で見られるのは、ススキやクズぐらいになってしまいました。今花壇などでよく見られるナデシコ、オミナエシ、フジバカマ、キキョウは園芸種で、人が品種改良したものです。

 土手の植物も1970年ごろの調査(伊丹市の植生1974年:宮脇昭・藤原一絵著)がある。それによると、天王川や天神川の秋の川原はセイタカアワダチソウで黄色になっていたことがわります。

今でもセイタカアワダチソウは見られますが、1970年代と比べるとずいぶん少なくなり、それに代わってセイバンモロコシ、ススキやクズがよくみられます。

 セイタカアワダチソウは、1970年代、日本列島中が土木工事だらけのときに、空地がどんどん増え、空地のいたるところにセイタカアワダチソウが見られました。同じくして、日本中に喘息患者がひろがる問題がおこると、セイタカアワダチソウの花粉が原因といわれました。しかし、喘息は風ではこばれる花粉が原因の一つとわかり、虫が花粉をはこぶ虫媒花のセイタカアワダチソウではないことがわかりました。今でも、その当時のマスコミがセイタカアワダチソウ原因説を盛んに報道したので、喘息の植物と思っている人がいます。今日では秋のヨモギやブタクサ、オオブタクサやセイバンモロコシなどの花粉症の原因であることが知られています。


アマゾン自然学校 テキスト(6)

2023-02-13 | 市民講座

アブラヤシ

2010年を超えてトメアスに向かう途中、今まで牧場だったところがアブラヤシに変わっている。アブラヤシの場所がたくさんあることに気づいた。

前回ブラジルに来たときはバイオ燃料でトウモロコシが注目されていたが、つぎはアブラヤシに変わってきたのだ。

アブラヤシは西アフリカが原産、19世紀後半に東南アジアへ、プランテーションで栽培された。その後ブラジルへ。果実からパーム油を抽出し、マーガリンや揚げ物用の油など食用に、石鹸や化粧品など工業用に利用されている。ブラジルではバイオディーゼルの生産に多用されている。ブラジルの主な生産地は北部と北東部である。

アマゾンの森が焼き畑のため火がつけられて失われていくニュースは日本でも流れる。

森林火災は焼き畑が目的だけなく、牛の生産や大豆の栽培、水力発電ダム、および鉱業の開発のためにアマゾンの熱帯雨林がなくなっているのだ。そこに火災の理由の一つにアブラヤシのプランテーションの拡大が加わったという。

なぜ起こっているか、アマゾンの原生林がアブラヤシのプランテーションのためであることは日本ではあまりニュースにならない。

前のブラジル大統領は、ブラジルのバイオ燃料生産を増やすため、これまでアマゾンでのサトウキビ栽培は禁止だったのを解除した。さらに、いくつかの火力発電所の燃料にサトウキビを燃料に加えパーム油も使用を促進するになった。アブラヤシのプランテーションが増える理由である。

ブラジルのアブラヤシ生産者は、パーム油の生産は、2008 年以前にすでに荒廃して開墾された地域に植えているので、アマゾンの環境を守る「環境に優しい解決策」であると主張している。

しかし、ブラジルの原生林がアブラヤシのプランテーションに取って代わられたことを示す証拠が増えている。

2006 年から 2014 年の間にパラ州でアブラヤシの面積が拡大。約8% の面積が​​原生林や二次林を含む自然植生がアブラヤシに代わった。パラ州のアカラでは、2007 年から 2018 年の間に 4,800 ヘクタールの森林がアブラヤシのために伐採されたという。

私たちがトメアスに向かう道でアブラヤシが増えたと感じたのは間違いなかったようだ。

森林火災もアブラヤシのプランテーションの拡大と関係がありそうだと環境団体が調査を進めている。

 


アマゾン自然学校のテキスト(5)

2023-02-12 | 市民講座

パリカ

マメ科の植物。アマゾン、ペルー、コロンビアで自生する木です。

ブラジルでは中南部地域で見られ、成長が非常に早い木で、樹齢 18ケ月で、高さ 4 m、目通り直径10 cmになります。まっすぐな幹は、高さ 25 メートルに達し、目通り直径は最大 40 cm になります。春には、独特の美しさの黄色い花を咲かせます。

その木材は淡い黄白色で、時には淡いピンク色をしています。その表面は絹のように滑らかで、多かれ少なかれ光沢があり、合板、紙の製造などに広く使用されています。パリカは合板の製造に適しています。1 本の木から、長さ 2 メートルの丸太が 3 ~ 4 本できます。旋盤でパリカを加工して合板をつくります。

現在、パリカはアグロフォレストリーシステムで植えられており、一年生の農作物 (米、トウモロコシ、豆、キャッサバ) または多年生植物 (クプアス、ココア、黒コショウ、コーヒー) と混合で植えられています。マメ科植物で、空気中の窒素を固定するため、やせた土壌での栽培に適しています。

 2012 年の調査によると、ブラジルでは約 160,213 haのパリカが栽培され、パラ州の植栽面積は約 80,000haです。

しかし、ブラジルでは、人工林の総面積のほぼ 99% を外来種のユーカリとマツが占めています。

森林技術者は、パリカを植林する科学的努力が行われていたら、ユーカリではなくパリカが主流になっていたと主張しています。

 


第11回ナチュラリストクラブ記念講演『ひとくらし自然 民俗学の視点から その10』

2023-02-12 | 野生生物を調査研究する会の紹介

第11回ナチュラリストクラブ記念講演『ひとくらし自然 民俗学の視点から その10』 

今日は 「民俗学の視点から クズ」の話を行う

過去の様子がナチュラリストクラブの報告があるので紹介する。

節分と植物

 

今日は節分にまつわるお話でした。節分とは季節の分かれ目の事。

立春 2月4日 (旧暦1月11日)、立夏 5月5日 (旧暦9月13日)立秋 8月7日 (旧暦6月18日)  立冬 11月7日 (旧暦9月22日)があり、この中で冬→春の分かれ目の立春の前日を節分と称して豆まきなどの行事が行われています。

一年の初めの節分には邪気が入り込みやすいと考えられ豆まきやヒイラギ飾りが行われたのだそうです。ヒイラギの枝に焼いたメザシの頭を刺して玄関に飾るのはよく知られています。

そして節分に飾るのはヒイラギだけではなくトベラなども使われる地域があるそうです。トベラには臭気があり、それを鬼が嫌うからと言われているらしいですが、それほどの臭気は無いとのこと。ヒイラギやトベラは火に入れると音を立ててはじけながら燃えます。この音で鬼(邪気)を追い払う意味合いもあるのでは?ということでした。「鬼火焚き」と言ってタケ、大豆殻、麦殻を燃やして音を立てて邪気を払う地域もあるそうです。

「ヒイラギ」と名の付く木です。

同じヒイラギと名前が付いていても「ヒイラギ」「ヒイラギモクセイ」はモクセイ科、「セイヨウヒイラギ」「ヒイラギモドキ(シナヒイラギ)」「アマミヒイラギモチ」はモチノキ科、「ヒイラギナンテン」「ホソバヒイラギナンテン」はメギ科、「リンボク(ヒイラギガシ)」はバラ科

また秋に良い香りを放つキンモクセイには実ができない、なぜか?日本に入ってきたときにメスの木しか入ってこなかったからだそうです。

そのあとお茶を飲みながら総会。(コロナ前でした)来年度の予定(案)を頂きましたが、お花見を兼ねた第一回活動は2020年4月12日。多分その時にサクラは散ってしまっているのでは・・・。(以上)

 

今回(2023.2.12)はクズの話ですが、すこし節分のこともふれていきます。

節分は立春の前日となります。

立春は春の始まりであり、1年の始まり とされる日です。

前日の大みそかに「大晦日におせちを食べる地域」があります。おせちを大みそかに食べるはなぜ?

そして、植物民俗学の話をすこししたいとおもいます。


アマゾン自然学校のテキスト(4) マンゴー

2023-02-11 | 市民講座

マンゴー

トメアスに向かうにはベレンからバスに乗ります。アマゾン川河口部の一部をなすパラ川の下流にある港湾都市です。そのベレンの文化遺産になった木がマンゴー「Cidade das Mangueiras」の木です。

写真はベレンのマンゴーの街路樹、歩いている人と比べると20mぐらいありそうです。

マンゴーの木は、もとはブラジルにあった木ではなく、東インドからフィリピンにかけてのアジアが原産の木です。

ブラジルには16 世紀にポルトガル人によって持ち込まれました。マンゴーの実は、おいしくて香りがよく、赤色、緑色、黄色、オレンジなどのさまざまな色があります。

 マンゴーはこの地域の暑さを和らげる街路樹として導入されました。ベレンでは、地域よっては百年以上の樹齢の街路樹があります。大きい木では高さ約25メートルになっているそうです。現在、木の数、ベレン市の調査では12,000~13,000本のマンゴーの木があるそうです。

 日本でも店頭に並んでいます。沖縄県や宮崎県などが生産地。日本では明治後半に実が輸入されましたのが最初。戦後沖縄で栽培が始まりましたが最初は定着せず、1980年代に入ってから、ハウス栽培の導入により日本産が店頭に並ぶようになりました。

 花は日本では    4~6月ですが、ベレンの開花は8月から11月にかけて。結実は11月から2月にかけて実ができます。

 ベレンでは木から落ちたマンゴーの実をとることは自由です。年末年始のころにたくさん実が落ちるので皆さん拾って食べています。たくさん集めて売っている人もいます。

 しかし、マンゴーが車の上に落ちて、ガラスが割れたり、へこんだりするので困っている人もいます。ひとに当たると大けがにつながり、落ち葉は排水管をつまらせることもあるので、植え替えた方が良いという人もいます。

 受粉はハエが行います。チョコレートの原料であるカカオもハエによって受粉します。暑い熱帯ではミツバチよりハエが受粉の役目を引き受けるようです。


昆虫食 伊丹昆虫館企画展

2023-02-10 | 資料を読む

雨の日、昆陽池の野鳥は留鳥がほとんど。寒くもあり、昆虫館へ。

伊丹市昆虫館は企画展示「むしのうんこ展」を開催中。フンを通じて昆虫の成長の過程や多様性を学んでもらおうと、2004年から始まり今回で5回目だとか。

入口をはいった自販機の前に蚕のフンを染料の染めものが置いてある。蚕のフンを乾燥したものを蚕沙(さんしゃ)というらしく、漢方薬でもあり染料としても使えるようです。

塩野屋のホームページ(http://www.shiono-ya.co.jp/enjoy/archives/000247.html)を見ると、

2008年昆虫館の「毛虫から緋色を染めるという津和野地方の風説を知り、ならば植物を食べる虫のうんこからも染められるだろうという浅はかな思いつきから”虫のうんこ染め”は始まりました」とある。

蚕沙はほかにも抹茶アイスの着色に使われているものあるそうです。

で、気になるのが昆虫食。「むしのうんこ展」は気になりますが、売店で昆虫食の販売がいろいろがあり、昆虫食のほうが気になりました。

2014年度の企画展「昆虫食」(300円)があったので買いました。

2014年といえば前年に2013年、国連食糧農業機関(FAO)は昆虫を貴重なタンパク源として「昆虫食」を推奨すると題するレポートを発表した次の年です。世界中で昆虫食に関心が集まりました。

それに応じて企画されたのかなと思ったのですが、昆虫館の方は、それを強調する企画にしたくなかったと報告書にありました。

「来場者アンケートでは本展の満足度は高い結果だったが、筆者が展示室で来場者の様子を観察した際には展示を観覧しながら悪態をつく来館者も少なからずおり、アンケートでも嫌悪感を示した意見があった。これは昆虫食が決して当館来館者にとって無条件に歓迎されるテーマではないことを示している。しかしながら、博物館が展示をおこなう意味の一つは利用者になじみがないような事実や価値観を示し、利用者とともに考え、成長しようとする場を作ることにある。その場づくりに必要なのは、展示の情報や資料の質や量を充実させるだけではなく、利用者を歓迎し寄り添うことで親しみやすく感じてもらうための博物館側の姿勢とその技術だろう。」(伊丹市昆虫館研究報告 第 7 号 2019 年 3 月「伊丹市昆虫館企画展「昆虫食ーとる・つくる・たべる」開催報告より」

 昆虫食に関しては、2020年6月4日には無印良品のコオロギせんべいが販売開始。

 昆虫食は食品の着色料やコーティング剤として、しらないあいだに昆虫を年間500g食べているという話も。昆虫食は進んでいるように思います。

「企画展ガイドブック」(B5 判 24 ページ)500 部印刷して1冊 300 円でミュージアムショップで販売したところ好評だったため、2015 年3月に 500 部を追加印刷した。買ったのは、2020年第3刷

ということで昆虫食について関心はなくなっていないようです。よくわかる冊子なのでお勧め

 昆虫は苦手という人も多いけど、他にも関西には昆虫館があり、企画展がおこなわれています。

☆22/12/7-23/5/8 箕面公園昆虫館(大阪)で、企画展「世界のハナムグリ」開催

☆1/17-4/16 橿原市昆虫館(奈良)で、企画展「昆虫ってどんな仲間がいるの?」開催

☆22/11/15-23/4/3 箕面公園昆虫館(大阪)で、生体展示「八重山へ行ってきまし展」開催

近畿以外でも

☆2/4-4/2 竜洋昆虫自然観察公園(静岡・磐田)で、企画展「ゴキブリ展」開催

☆2/28-3/5 corso(東京・神保町)にて、「東京むし作品展」開催

☆2/15-26 Galleryたまごの工房(東京・高円寺)で、「-mozo mozo- 虫·蟲展」開催

☆22/12/7-2/13 石川県ふれあい昆虫館(白山市)で、企画展「第25回こん虫図画作品展」開催