野生生物を調査研究する会活動記録

特定非営利活動法人 野生生物を調査研究する会の会員による活動記録です。

伊丹天王川や天神川の合流地点みられる岩石

2023-02-17 | 自然観察会

河原の石の観察

天王寺川や天神川は長尾連山にその源はあります。川原では、長尾連山をつくっている岩石が小石になって運ばれてきたと考えられますが、そのほかに伊丹台地をつくっている岩石がまじっている場合もあります。伊丹台地は武庫川や猪名川が運んできた泥や砂や小石でできています。 武庫川は流紋岩や凝灰岩、猪名川は泥岩(けつ岩)やチャートをたくさん運んできます。川原では過去や現在流れてきた小石のほか、工事によって使われた石もあります。他にも、人間が作り出したものがまじっています。植木鉢や瓦、レンガやアスファルトのかけらなどもまじって川原をつくっています。

流紋岩

マグマが地上または地上近くで急激に冷え固まった岩石。火山が爆発したときにくだかれた石のかけら(火山れき)が入っているものもみられます。岩石の中に白いアルカリ長石や斜長石,灰色の石英のなどの粒(斑晶)が点々と入っています。石英や長石類の斑晶が破片状になっている場合は火砕流堆積物(火砕岩)と考えられます。川原では火砕流たい積物の流紋岩のほうががよくみられます。

凝灰岩

火山灰などの火山の噴出物が固まってできた岩石。温度が高い状態で、粒子が溶けて固まったものを溶結凝灰岩と呼ぶこともあります。加工しやすいので、古くは古墳のなかにおさめる石棺などに利用されています。

花こう岩

マグマが地下深部でゆっくり冷えて固まってできた岩石。地下でゆっくりと冷え固まった深成岩に分類されます。墓石に利用されるのが御影石で、花こう岩のことです。御影石は神戸市東灘区にある御影という地域が名前の由来です。現在では、ほとんど採掘されておらず、墓石はほかの産地のものが使われています。この川原でみられる花崗岩はカリ長石(ちょうせき)を多くふくみ赤っぽい色をしています。六甲花崗岩とよく似ています。花こう崗岩は風化すると真砂土(まさつち)になり園芸用の土として利用されます。

泥岩(けつ岩)

粘土や泥が強い圧力でおされて,固まった岩石。長尾連山のふもとには泥岩や砂岩の地層が見られる。それらの地層は海底でできた地層で、泥岩は固くなっているので「けつ岩」と呼ばれます。川原ではあまり見つけることはできません。

チャート

主成分が二酸化ケイ素でできている硬い堆積岩です。二酸化ケイ素のもとは放散虫というプランクトンです。水深3000~4000メートルの海洋底で降り積もってできます。海洋で形成されたチャートはプレートに乗ってやってきました。とても硬いため、他の岩石が川を下る間に砕けてぼろぼろになってもチャートは小石として残っています。この川原で見られるのは、おそらく猪名川や武庫川が運んできたチャートの岩石が伊丹台地に堆積し、再び天王寺川や天神川が台地けずってながれてきたものとおもわれます。

人工的なもの

いろいろなものがあります。


ナメクジ

2023-02-17 | 兵庫の自然

ナメクジ

庭でイチゴを楽しみしていたら、ナメクジに食べられてしまった経験をした人は多いかもしれません。

ナメクジは、捕食者の目にとまりにくいよう、夜行性。イチゴを夜の間に食べに行きます。

イチゴだけでなく、ピーマン、ナス サルビア、シソ、ハクサイ、キャベツ、マリーゴールド、ペチュニア、レタスカンキツ類、腐りかけた有機物などなんでも食べてしまうので、「防除対策」のホームページがたくさんあります。

当会で「生きている猪名川改訂版」(下生きている猪名川改訂版)でカタツムリのなかまの紹介で唯一ナメクジを掲載しています。

多くの川を調査してまとめた「生きている」シリーズの本で載せているのはこの本だけです。

今イチゴをたべにくるのがチャコウラナメクジ。活発に動くのが5月〜7月、特に梅雨時期がいちばん。

イチゴの収穫と重なるのでよくわかります。

このナメクジは背中に小さな殻が付いているので、「コウラナメクジ」の名前がついています。これは、カタツムリとナメクジが同じ祖先から進化した証拠です。

このナメクジは第二次世界大戦後、ヨーロッパからやってきました。瞬く間に人家の周りや畑、草地などに出現、農作物の被害は絶大になりました。年1回の発生で、寿命は約1年で、秋に成体になります。乾燥に強く、集団生活を好むので、植木鉢の下によく集まっています。

ほかに、ナメクジ(フタスジナメクジ)がいます。体長は約8cm、体色は淡褐色~灰色で変化があります。背面に2~3本の黒い筋があり、黒褐色の小斑があるものもいます。甲羅はありません。

実は、明治にやってきたナメクジです。生態を見ると、3~6月に40~120個の卵が入ったゼラチン質の卵のうを石や落ち葉の下、小枝や雑草に産み付けます。年に一回発生します。

山野にはヤマナメクジという大型種がおり、体長は10cm以上。体は分厚く、触角は短いナメクジです。

ナメクジはカタツムリと同じように雌雄同体で、1個体の体の中に♂と♀の生殖器を持ってるので、交尾する時は互いに、頭部にある陰茎を相手の生殖孔へ挿入し、精子を相手に渡します。生殖孔が頭部にあるので、産卵は頭の近くからすることになります。すべての個体で卵をうむので増えるわけです。

ナメクジは、化学物質のメタアルデヒドという物質に誘引されます。これは、ビールの中にはいっている物質で、これで誘引捕獲することがでます。ネオン街、ビールで捕獲できるのはナメクジだけではありませんが、

これ以外にもキイロナメクジというのがいます。(澤畠拓夫ら(2018)奈良公園で発見された外来種キイロナメクジについて;近畿大学農学部紀要 第51号 70-74 (2018))

明治時代以降ナメクジの種類が入れ替わっている研究があります。

「フタスジナメクジからキイロナメクジ、キイロナメクジからチャコウラナメクジへの種の置換が起こっている」(黒住耐二 (2002) チャコウラナメクジ〜ナメクジ類の置き替わり. 日本生態学会編, 外来種

ハンドブック. P164. 地人書館. 東京)と報告があります。