セツブンソウ
節分のころに花が咲くのでこの名前があります。キンポウゲ科に属する多年草で日本の固有種です。
その昔、春先関東から西の各地で、一帯を白く彩ったと言われています。近年、自生地が減少し、長野県千曲市を北限として埼玉県小鹿野町や兵庫県丹波市青垣町、広島県庄原市総領町など数えるほどになりました。
「関東地方以西の石灰岩地域」で見られるとセツブンソウをネットで調べると結構出てきます。
気になるのが「石灰岩地域」で見られるところが強調されている点。
ネタもとがおそらく石灰質の土壌で...と書いてあって、それが広がったのしょう。
自生地をみると必ずしも石灰岩地域ではないところも、今回見に行った丹波市もそうです。
牧野の植物図鑑には石灰岩は少しも出てきません。保育社の図鑑も書いてありません。岡山県や滋賀県など石灰岩地帯で見られるところもありますが、牧野が図鑑をつくっていたころは各地で見られたはずです。石灰岩地帯がことさら強調されるところが気になり、「山地の木かげに生える」ところをいったほうがいいと思いますが・・・。
5枚の花びら(花弁)のように見えるのはがく(がく片)です。花の中を見ると、黄色く先がY字状に 2裂しているものがあります。10 個程みえますが、先は蜜腺となっています。もとは『花弁』で蜜腺にかわったのです。雄しべは多数、葯は青色、雌しべは数本あって,ややくすんだ桃色をしています。蜜腺が,Y 字型をした筒状の器官としてみられます。
冬の終わりから早春のころに、咲き、4月下旬~5月上旬に種子をつけて,地上部がなくなり,種子は蟻が巣に運びます。そのあとのことは、じつはよくわかっていません。種から4年で花を咲かせると言われていますが、種から球根がどうやってでき、花を咲かせるのかなど。
地理分布も不思議な分布をしています。「北方系」でもなく、「日本海要素」でもなく、西日本型の分布を示す朝鮮半島由来の「満鮮(まんせん)要素」がありますが、九州や四国にないのが気になります。
セツブンソウ属は世界に 9種の小さい属で,ヨーロッパから東アジアにかけて点々と分布します。白花の種と黄花の種があり、白花の種はシベリア南部と,朝鮮半島から沿海州にかけて、あと中国四川省にも少しだけ,分布しています。白い花のセツブンソウは日本にどのようにやってきたのか不思議な植物です。