野生生物を調査研究する会活動記録

特定非営利活動法人 野生生物を調査研究する会の会員による活動記録です。

アマゾン自然学校 テキスト(6)

2023-02-13 | 市民講座

アブラヤシ

2010年を超えてトメアスに向かう途中、今まで牧場だったところがアブラヤシに変わっている。アブラヤシの場所がたくさんあることに気づいた。

前回ブラジルに来たときはバイオ燃料でトウモロコシが注目されていたが、つぎはアブラヤシに変わってきたのだ。

アブラヤシは西アフリカが原産、19世紀後半に東南アジアへ、プランテーションで栽培された。その後ブラジルへ。果実からパーム油を抽出し、マーガリンや揚げ物用の油など食用に、石鹸や化粧品など工業用に利用されている。ブラジルではバイオディーゼルの生産に多用されている。ブラジルの主な生産地は北部と北東部である。

アマゾンの森が焼き畑のため火がつけられて失われていくニュースは日本でも流れる。

森林火災は焼き畑が目的だけなく、牛の生産や大豆の栽培、水力発電ダム、および鉱業の開発のためにアマゾンの熱帯雨林がなくなっているのだ。そこに火災の理由の一つにアブラヤシのプランテーションの拡大が加わったという。

なぜ起こっているか、アマゾンの原生林がアブラヤシのプランテーションのためであることは日本ではあまりニュースにならない。

前のブラジル大統領は、ブラジルのバイオ燃料生産を増やすため、これまでアマゾンでのサトウキビ栽培は禁止だったのを解除した。さらに、いくつかの火力発電所の燃料にサトウキビを燃料に加えパーム油も使用を促進するになった。アブラヤシのプランテーションが増える理由である。

ブラジルのアブラヤシ生産者は、パーム油の生産は、2008 年以前にすでに荒廃して開墾された地域に植えているので、アマゾンの環境を守る「環境に優しい解決策」であると主張している。

しかし、ブラジルの原生林がアブラヤシのプランテーションに取って代わられたことを示す証拠が増えている。

2006 年から 2014 年の間にパラ州でアブラヤシの面積が拡大。約8% の面積が​​原生林や二次林を含む自然植生がアブラヤシに代わった。パラ州のアカラでは、2007 年から 2018 年の間に 4,800 ヘクタールの森林がアブラヤシのために伐採されたという。

私たちがトメアスに向かう道でアブラヤシが増えたと感じたのは間違いなかったようだ。

森林火災もアブラヤシのプランテーションの拡大と関係がありそうだと環境団体が調査を進めている。

 


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