伊丹天王川や天神川の合流地点の植物の移り変わり
桜台コニュニティー協議会が夏の終わりにリバーサイドフェスタを開催する。
天王川や天神川の合流地点で環境調査を何年もおこなっている。
野生生物を調査研究する会も水生昆虫や河原の植物調査に協力させていただいている。
記念を作るということで、植生や植物の移り変わりをまとめてみた。
今見られる土手の植物は四季によっても違いますし、長い時間でみるとまた違っています。
現在の土手も定期的に、草刈りなど人の手によって、今まで成長してきた植物がいったんはなくなってしまったように見えますが、その中で、必死で環境に適応している植物がいます。
そのような毎年おこる繰り返しの中で、生き残る植物と今は見られなくなった植物もあります。
春には、ヨモギやギシギシ、アカツメクサやシロツメグサ、ナズナ、黄色い花のセイヨウカラシナ。川の岸辺にはセリやクレソンの花が見られます。初夏、イネのなかまの植物が目立ちはじめるころ、ツユクサやメマツヨイグサなどがみられます。秋には、イネのなかまのススキやセイバンモロコシ、クズやセイタカアワダチソウがみられ、やがて冬がれの土手の様子になります。
時代とともに変わる土手の植物
秋の七草は、万葉集に収められている奈良時代の山上憶良の歌からと言われています。
「秋の野に 咲きたる花を 指折り(およびをり) かき数ふれば 七種(ななくさ)の花」
「萩の花 尾花 葛花 撫子の花 女郎花 また藤袴 朝貌の花」
ハギ、ススキ、クズ、ナデシコ、オミナエシ、フジバカマ、キキョウの、7つの花が秋の七草ですが、最初の3つ「ハギ、ススキ、クズ」は今でもよく見られますが、「ナデシコ、オミナエシ、フジバカマ、キキョウ」は、地域によっては絶滅が危惧される種になっています。
秋の七草は、草地でよくみられる植物で、化学肥料が広まる80年ほど前には、田や畑に入れる緑肥(刈り取った植物を肥料として利用する)をつくるために、河原の土手以外にもたくさんの草原をわざと残してあったので、普通に見られた植物だったのです。しかし、草地が減少し、秋の七草も貴重な種となってっしまいました。
天王川や天神川の土手も秋の七草で見られるのは、ススキやクズぐらいになってしまいました。今花壇などでよく見られるナデシコ、オミナエシ、フジバカマ、キキョウは園芸種で、人が品種改良したものです。
土手の植物も1970年ごろの調査(伊丹市の植生1974年:宮脇昭・藤原一絵著)がある。それによると、天王川や天神川の秋の川原はセイタカアワダチソウで黄色になっていたことがわります。
今でもセイタカアワダチソウは見られますが、1970年代と比べるとずいぶん少なくなり、それに代わってセイバンモロコシ、ススキやクズがよくみられます。
セイタカアワダチソウは、1970年代、日本列島中が土木工事だらけのときに、空地がどんどん増え、空地のいたるところにセイタカアワダチソウが見られました。同じくして、日本中に喘息患者がひろがる問題がおこると、セイタカアワダチソウの花粉が原因といわれました。しかし、喘息は風ではこばれる花粉が原因の一つとわかり、虫が花粉をはこぶ虫媒花のセイタカアワダチソウではないことがわかりました。今でも、その当時のマスコミがセイタカアワダチソウ原因説を盛んに報道したので、喘息の植物と思っている人がいます。今日では秋のヨモギやブタクサ、オオブタクサやセイバンモロコシなどの花粉症の原因であることが知られています。