野生生物を調査研究する会活動記録

特定非営利活動法人 野生生物を調査研究する会の会員による活動記録です。

まどいぼし とは?

2023-02-27 | 市民講座

天文のニュースから

「金星と木星が接近 きょう2月27日 (月)から3月5日 (日)かけて、夕方から宵の西の空で、金星と木星が接近します。 国立天文台によりますと、最接近は3月2日 (木)頃で、2つの明るい惑星が寄り添う光景が目を引くでしょう。」

最近 夕方西の空に二つの輝く星が見られます。 金星と木星です。木星は双眼鏡でもしっかり観察できます。木星の衛星が目のよい人には見えるかもしれません。夕方が観察のチャンスです。二つとも数時間後には沈んでしまいます。

今回は天文教室での「まどいぼし」の話をさせていただきます。

★まどいぼし★

 もうすぐ春。もう夜8時ごろには、オリオンざ座やふたご座などの冬の星座をおいかけるように、おおぐま座やしし座など、春の星座が地平線(ちへいせん)からあらわれてきています。

1年をつうじて、規則正しく星座はうつり変わっていきます。なにごともなかったように、毎年、同じ、時刻に、は同じ星座が同じ場所に見えます。しかし、よく観察してみると、おうし座にあった土星と木星は、この前に見たときとちょっと場所がかわったように見えませんか。

 そうです!この2つの星は、星座のあいだを少しずつ場所を変えていきます。このように、星座の中をうご動いていくような星を「まどいぼし」という意味で「惑星(わくせい)」といいます。

それに対して、星座を形づくるような、場所を変えない星のことを「恒星(こうせい)」といいます。ちょっとむつかしいのですが、「恒星」は、「恒久的(こうきゅうてき)に位置を変えない星」、「惑星」は、「恒星の間を惑(まど)いながら動いていく星」なのです。昔、惑星のことを「遊星」(あそびぼし)といっていたときもありました。きれいな名前ですね。

 では、どうして惑星はこのような動きをするのでしょうか。それは、木星も土星も、太陽のまわりをまわっているからです。じつは、太陽のまわりをまわる星は、ぜんぶで9つあります。地球も太陽のまわりをまわっていますよ。

 みなさんは、運動会でグランドにえがいた線(円)にそってゴールまで走りますね。それでは頭の中で運動会です。グランドの中心に太陽があると考えて、そとがわに順番に9つ円をえがいていってください。それぞれの位置について、いよいよスタートです。一番うちがわの円の上を水星くんが、次に金星さん、そして地球(これが自分です)、さらに火星くん、木星さん、土星くん、天王星さん、海王星さん、一番そとがわの円の上を冥王星さんがまわります。冥王星のまわる円のそとがわには、お父さんやお母さんがじっとすわって、みんなをおうえんしています。太陽から遠いほど、走るはやさは遅くなります。

 さて、第3番目の円を走っている地球(自分)から、第5番目の円を走る木星さんを見てください。木星の向こうには応援するお父さんやお母さんたちがいますよ。コーナーをまがってもういちど木星さんをふりかえって見てください。そう、もう分かりますね。さいしょに見たお父さんやお母さんたちとは違うところを走っているように見えますよ。

 そうです、お父さんやお母さんが「恒星」で、地球や木星は「惑星」なのです。だから、私たちの地球から見て、惑星は恒星の間をあっちにいったり、こっちにきたりしているようにみえるのです。

 友達と学校のグランドで、校舎や木をお父さんやお母さんのかわりにして実験してみてください。

 

小学生対象に行っている天文学教室です。やさしくお話をしていただきました。


公園で観察 地衣類

2023-02-27 | 兵庫の自然

「酸性」「アルカリ性」の実験で使ったリトマス試験紙。

「リトマス試験紙に「リトマスゴケ」という、苔の一種から取り出した特殊な成分染み込ませてつくってあります。」

と学校で習ったとおもいます。

リトマスゴケと聞いて、どんな苔かと調べた子どもは、たぶんいないと思います。緑色の道やカベ

に生えているやつかなと想像できればまだ優れた方でしょう。

 

街なかの地衣類ハンドブック(大村嘉人著:文一総合出版;2016年)を見ると、リトマスゴケは日本にはありませんと書いてありました。そして、いま使っているものは化学的に合成してつくられているとか。そして、何よりも大事なのは苔ではなくて地衣類であることです。(小学生はコケとつけば苔とおもうのはあたりまえですよね。)

 

地衣類については中学で学びます。

地衣類は道路脇の塀や街路樹の幹など街中でも普通に見ることができます。

コケと違うのは菌類と藻類が互いに作用して、バランスを保つことで生命を維持している共生生物ということです。(もっとむつかしい言い方で相利共生、片利共生、寄生という言葉を習ったと思いますが・・・)

藻類とは、酸素を発生させる光合成を行う生物のうち、コケ植物、シダ植物、種子植物を除いた生物のことを指します。

日本だけで約1,800種というからかなり多様です。

どんなマイナー環境にいる生物なのに実験室で育てることがむつかしいといいます。

菌類と藻類が共生するときの光、温度、湿度などの環境因子が複雑に関係するので、実験室では野外で見られるような共生している状態にして培養することが大変むつかしいそうです。

「正確に同定するためには呈色反応で調べる必要がある」など地衣類を調べるのには、素人にはむつかしい。だから、教科書には地衣類の代表はウメノキゴケが、掲載されている。

 

ところが、近くの公園へ「街なかの地衣類ハンドブック」をもって地衣類を探してみた。

ウメノキゴケだけじゃく、1本の木にも地衣類が数種類あることがわかったが、

60種類/1800種類では同定するのはむつかしい。

 

『街なかの地衣類ハンドブック』

出版社 ‏ : ‎ 文一総合出版 (2020/6/10)

発売日 ‏ : ‎ 2020/6/10

ISBN-10 ‏ : ‎ 4829981555

ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4829981559

身近な「地衣類」約60種がわかるフィールド図鑑

『里山の地衣類ハンドブック』が、里山(海岸~低山地の市街地を除く)で見られる地衣類(菌類と藻類の共生体)156種なので、あわせるとわかりやすいかも。