野生生物を調査研究する会活動記録

特定非営利活動法人 野生生物を調査研究する会の会員による活動記録です。

今日の一番星

2023-02-28 | 市民講座

★一番星(いちばんぼし)★

 お日さまが西の空に沈(しず)んで夕やけがしています。さあ、星のかがやきはじめる時間になりました。一番星をさがしてみましょう。夕方になって最初(さいしょ)に見えはじめる星が一番星です。今週(こんしゅう)は、どの星が最初に見えるでしょうか。

 では、寒(さむ)くないようにして、夕方の6時すぎぐらいに外に出てみてください。まだ、うすあかりが残(のこ)っていますよ。まわりに街灯(がいとう)や自動販売機(じどうはんばいき)などの明かりがあるところをさけて、お日さまの沈んだ方向(ほうこう)からにぎりこぶし4個(こ)ぶんほど左斜(ひだりなな)め上の空をさがしてください。明るくかがやく星があります。

イチバンボーシミーツケタ!

 きょうは二つ。金星と木星です。

 3年に1回。特に今年は「夕方で見やすい」位置にあります。

 この星は「金星」です。太陽のまわりを、1億(おく)kmほどはなれて、226日ほどで一周している惑星(わくせい)です。ずいぶん明るくかがやいていますね。お日さまの光を反射(はんしゃ)してかがやいているのです。

 明るくかがやいているのが惑星の王様「木星」です。太陽のまわりを7億8千kmほどはなれて、1周するのに12年かけて一周する惑星です。木星を回る月は95個もあります。1610年、ガリレオがはじめて観測して4つの木星の月を発見しました。ガリレオ衛星とよばれ、イオ、エウロパ、ガニメデ、カリストと名前がつけられています。エウロパには表面の氷の下に液体の海があると考えられる証拠が見つかっています。

 

 「恒星は星座をかたちづくる星」、「惑星は星座の間を惑(まど)いながら動く星」とおぼえておきましょう。

次回2024年は太陽と重なり観察できず、その次2025年は明け方の空になるので観察は苦手。

夕方での接近は2026年6月10日です。おたのしみに。


さわらびは、その滝のどこにある、ワラビ

2023-02-28 | 兵庫の自然

ワラビ

「石走る垂水の上のさわらびの萌え出づる春になりにけるかも」

先日野鳥観察でいった平磯公園にあった石碑にあった歌です。

万葉集巻八の冒頭を飾る、志貴皇子(しきのみこ)が詠んだ歌です。

この歌は、小学校の教科書にも載っています。小学校では鑑賞するのに、教師からつぎのような問がでます。

「作者はどこからこの情景を見ているのでしょう。 滝の上、真ん中、下から見上げている場所から」

「教科書の解説文には「滝」と載っているけれど、どんな滝だとおもいますか。」

「さわらびは、その滝のどこにあるのでしょう」

「植物の萌え出ずる春の到来を歓んで詠んだ歌」を感じ取ればいいと思うのですが、視覚的に理解を深めるのが小学校の勉強なのでしょうか。

植物学者はまた別の視点でこの歌を見ます。「さわらび」です。

滝のある場所には、ワラビは生えないだろう。この歌の「さわらび」とは、「ゼンマイそれもおそらく渓流沿いによく生えるヤシャゼンマイ」(木下武司.2010.万葉植物文化誌.八坂書房.p.617)

落ち着くところは「ワラビ」の名が古くからシダ植物全般を指す和名で、なんらかのシダ植物が生えていたということに。

 今回は ワラビ コバノイシカグマ科ワラビ属

世界各地に分布している。日本では北海道〜九州の丘陵地の草原や道ばたに生える夏緑性のシダ。日本に分布するものは北米に分布する亜種 subsp. Japonicum。(海老原淳 著.2016.日本産シダ植物標準図鑑Ⅰ.学研.p.367)。

 和名についても諸説。新芽の様子が「子供の手」に例えた「童手(わらべで)」、「童手振り(わらべてふり)」が変化して「わらび」がなんとなくしっくりします。

ワラビはシダ植物では進化した部類になるのは、シダ植物の進化「二環網状中心柱」で述べた。

ワラビは、平均温度が 10℃以上になると萌芽しはじめます。不定芽は前年の秋にすでに形成されているので、地温(10~15 センチの深さの温度)10℃になると伸びはじめ、15℃以上になると急にのびはじめます。

ワラビは、肉質のやわらかいもの、堅いものがありますが、それは生育地の環境が左右するそうです。

ワラビは、乾燥を極端に嫌う性質があり、適度の土壤水分と空中湿度と、土地が柔らかいところだと柔らかいワラビがとれるとのこと。日当たりのよい乾燥地のワラビは固い理由はそこにあります。

 

たくさん取れたらどうします。

干しワラビ。アク抜きをしたワラビを広げて日にあて、カラカラになるまで干して保存。

ワラビの塩づけ。ワラビは、塩づけにするとアクが抜けるので、わざわざアク抜きをする必要はない。

ワラビの粕づけ。塩づけのワラビを塩抜きにして使う。

 

今週は暖かい日がつづきます。ワラビの活動が始まります。