野生生物を調査研究する会活動記録

特定非営利活動法人 野生生物を調査研究する会の会員による活動記録です。

こどもの本がおもしろい㊱

2023-02-22 | 資料を読む

こどもの本がおもしろい㊱

カメの甲羅はあばら骨ジュニア版人体で表す動物図鑑

著: 川崎 悟司

出版社: SBクリエイティブ

発行日: 2021年07月07日

ISBN-10 ‏ : ‎ 4815611971

ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4815611972

 

小学校4年の理科で骨の学習をする。主な学習内容は関節と筋肉の学習だが、人間とほかの動物の骨格の比較についても学習する。

そこで、問題。上図の牛の人間の「かかと」にあたる部分はAかBか?

多くの子どもの場合は「B」と答える。自信をもって、わけは人間とくらべて位置関係から絶対だってこたえる。

正解はAである。なぜ、

このような問題をすぐに解決してくれる本がこれ。馬のページをみれば、人間だったらつま先立ちで大変だなとすぐわかるようになっている。

他に、小学校4年生では、手にはどのくらいの骨がある。赤ちゃんと君たちではどちらが骨の数は多い、同じ?

など骨について学習するのだが。さて、どれだけ答えられますか?

この本、もとは2019年に発売されたときは大人向けの新書版で発売。シュールすぎて結構話題になった。

そして、送り仮名をつけてジュニア版で発売。

2022年10月に『カメの甲羅はあばら骨』がアニメになっている。

「作者の川崎悟司さんは、絶滅動物、古生物、恐竜などのイラストを描く仕事をしており「人間のあばら骨がカメのあばら骨だったら」をビジュアル化したイラストを自身のTwitterにも投稿して話題を集めていた。」https://www.oricon.co.jp/special/54229/

ぜったい、この本は受ける。おすすめ本です。


アマゾン自然学校 テキスト(10)

2023-02-21 | 市民講座

アサイAçaí(ヤシ科)

 

ブラジルの奇跡アサイ、アマゾンの黒い真珠アサイー

原産地ブラジル – アマゾン地域のヤシの実を紹介しているのは「株式会社フルッタフルッタ」。

神戸三宮でジュースバーを開店、「アグロフォレストリーの産物でお客様の美と健康に貢献する革新的な商品をつくり、利益をアグロフォレストリーに還元することで経済と環境が共存共栄する持続可能な社会の実現を目指す」会社として発展。特にアサイを積極的に日本に紹介している企業だ。詳しくはホームページをご覧いただくとして、今回はアサイの紹介

アサイーはアマゾン地域の代表的なヤシの木です。川の浸水した地域や氾濫原でよく見られます。高さは 25 m にもなり、幹の直径は 15 ~ 25 cm になり、通常は群生します。もともとアサイは川沿いの人々の主食で、魚、エビ、または肉に関連するキャッサバ粉と一緒にまぜて食べられていました。

ヤシの実というと、小型のラクビーボールをイメージしますが、キンカンぐらいの丸い実です。実の色は紫または黒です。ポリフェノールや鉄分が非常に豊富な実です。

収穫は8月から2月にかけて行われます。果実をとるには木に登る必要があります。

 

朝食に果肉をピューレ状にすりつぶし、ファリーニャと呼ばれるキャッサバ芋を炒ってフレーク状にしたものを混ぜて食べます。

日本でいうなら冷たい朝がゆというかんじでしょうか。立ち食いソバの店で朝食をとる感じで、簡単な朝食になっています。

また、早期老化を防ぐなど優れた成分があります。健康食品としてブラジル全土でいま注目されています。アイスクリーム、リキュール、スイーツ、ネクター、ゼリーが果実から、さらに染料やアントシアニンの抽出にも利用されています。

利用は果実だけでなく、木の房でほうきを作り、葉は屋根にしき、種子は動物のえさになり、幹は簡単な家を建てるための柱などの材料になります。製紙の原料にもなっています

 

アサイは熱帯雨林の独特な条件熱帯アマゾン環境の湿気の多い気候により発達したヤシの木です。

アマゾン地域にとってのアサイーは持続可能性の役割を持っていました。何世紀にもわたって、先住民や川沿いの人々の生計手段となっていました。

アサイはなれると癖になるけど・・・


ブナ林の林床のシダ植物

2023-02-20 | 兵庫の自然

ブナ林で有名なのは白神山地のブナです。

兵庫県にもブナがあります。日本海側に氷ノ山のブナと、太平洋側では六甲山や妙見山山頂付近で見られます。

ブナは恐竜が絶滅した6500万年のあと新生代第三紀に誕生したといわれている。第三紀は地球全体が温暖化しており平均気温が20度を超えていた。北極周辺にはセコイアやマツ、トウヒなどの針葉樹。南側にブナをはじめとしてカエデ、ミズナラ、カツラなどの落葉樹が生えていました。(周極第三紀植物群)

第四紀になり氷河期と間氷期を繰り返し起こるようになると、針葉樹が南下をはじめ、ブナの群落に入り込み、ブナの群落は分断されました。東アシア、ヨーロッパ、北アメリカの東部に群落は残り、それぞれの地域で生き残り、進化をとげました。

 日本のブナ林にはブナ林でよくみられるシダ植物があり、オシダ(オシダ科)・ミヤマイタチシダ(オシダ科)・シノブカグマ(オシダ科)・ミヤマベニシダ(オシダ科)など、4種類以上のシダ植物があります。

 シダ植物も、気候の変動に合わせて進化してきました。この4種類は、ブナと同じように氷河期の生き残り植物です。兵庫県篠山の多紀アルプス小金岳には、オシダ、ミヤマイタチシダ、シノブカグマの3種類のシダが、頂上直下付近に生息しています。

 

 しかし、小金岳は、標高が少し低く、ブナの木はありません。最小限の気候条件で生き長らえています。地球の温暖化はなんとしても防がないと、次の子どもたちにこの豊かな自然を渡せなくなるのではないかと危惧(きぐ)しています。

 

オシダ(オシダ科)・

夏緑性のやや大型のシダ植物。ブナ林域の谷筋の崩積土の集積する場所などに生育する。

ミヤマイタチシダ(オシダ科)・

少し標高の高い場所に自生しており冷涼な場所を好むシダ。これは葉脈が凹んでいるから表面の葉脈がよく見える。

シノブカグマ(オシダ科)・

常緑性。山地の陰湿な林床で見られる。

ミヤマベニシダ(オシダ科)

日陰のやや湿った林床や林縁に生育する夏緑性シダ。


シダ植物の進化

2023-02-20 | 兵庫の自然

小学校で植物のつくり「根・茎・葉」を学びます。その後、中学1年でコケ・シダについて学びます。

シダの根・茎・葉はどれと先生に聞かれて答えるとたいてい間違ってしまいます。

植物の学習のむつかしいところです。(見えているところは「葉」で茎は地面の下)

シダは種子をつくらず胞子でと、顕微鏡でみせてもらうと小ささがわかるけど、教科書だけで学ぶと、テスト対策で胞子ということばさえおぼえればOK。でも、自然の不思議なしくみ「胞子」のイメージがつかめるだろうか。

野外の観察でもシダ植物は見分けにくい植物です。花がなくて地味な存在です。

今回は シダ植物の進化の話です。

陸上植物の化石は、古生代オルドビス紀前期(約4億7000万年前)のゼニゴケの仲間の化石です。(胞子の化石が見つかっています。)

陸上にはコケ植物の世界でした。その後、植物は乾燥にも耐えるように進化します。シダ植物の誕生です。リンボクの仲間(シダ植物ヒカゲノカズラ綱)が多く生えていました。このシダが地面に埋まって石炭になります。古生代デボン紀中期(約3億8500万年前)になって、種子植物が出てきます。

コケ植物についで進化したシダ植物ですが、進化したのは、根・茎・葉の分化がみられることです。

また、成長して背が大きくなるために、管状中心柱という、維管束(師管や道管などの集まり)を持ちました。

 シダ植物の茎をうすく輪切りにして顕微鏡で、維管束をみることができます。

 もっとも原始的な中心柱はウラジロの中心柱です。中心柱はただ一本の維管束からできています。

(原生中心柱)カニクサなどにもみられます。

 次に進化したのがハコネシダの中心柱です。中心に髄があり、そのまわりに管状の維管束があります。(管状中心柱)イワヒメワラビ・フモトシダ・クジャクシダなどでみられます。

 次に進化したと考えられるのは、リョウメンシダです。リョウメンシダの茎は環状に並んだいくつかの維管束からできています。(一環網状中心柱)。ワラビは網状中心柱が同心円状に二重になっています。(二環網状中心柱)

進化は単純から複雑に移行すると考えると、シダ植物進化は、中心柱は原始的な原生中心柱から管状中心へ、管状中心柱から網状中心柱へ進化したと考えられています。

地面の下から茎を見つけて比較すると進化のレベルがわかります。


アマゾン自然学校 テキスト(9)

2023-02-19 | 市民講座

アンジェリンペドラ(angelim vermelho)

 里山で見られるアカマツの木の高さは平均で15m前後、立派な松の木で25mもあればひと昔なら家の梁につかうこともできそうでだ。スギの木でも20~30mなら立派な林だ。秋田県には秋田杉が有名だが、樹齢250年、50mのスギの林がある。

 アマゾンでは木の平均の高さは 40~50 mで、今の日本の森に比べて樹高がずいぶん高い。そんなアマゾン地域の森林で最も高い木がみつかった。場所はアマパ州とパラ州の州境の乾燥地で見つかった。

木の高さ 88.5 m、幹の周囲9.9m。 (2019年)。この木の樹齢は 500 年以上あると推定されている。。実は2019年に見つけたけど、衛星写真からの確認で、現地で確認したのは2022年去年の9月。(世界一高い樹木は米カリフォルニア州のセコイアで、樹高115.7メートル)

木の名前はアンジェリンペドラ

木材は重く、非常に耐久性があるので、外装工事の建設用途などにつかわれる。

画像は、トメアスの農園で意図的に残している原生林の中のアンジェリンペドラ。農園を訪れた人に記念にプレートをつくっていただいた。農園を開いたときに意図的に敷地の一部を昔のままに残しておられる。写真の樹高も50m近くある。


こどもの本がおもしろい㉟

2023-02-19 | 資料を読む

こどもの本がおもしろい㉟

こどもの本のうち社会科に関係する絵本は寿命がみじかい。いま、新しく求められる視点はSDGs。川の絵本はこれまでたくさん出版されている。「調べ」学習につかえる本として、学校図書館や地域の図書館で採用されるように編集された本だ。

調べてわかる!日本の川(全3巻)

  • 一級河川ってどんな川?
  • いのちと暮らしを守るために
  • 地域社会とのかかわり

出版社: 汐文社/発行年月: 2022-03/ISBN: 9784811313269

出版社からのおすすめ文「昔から人や文化と密接な関係を持ってきた一級河川ですが、近年各地の河川による自然災害の発生頻度も多くなり注目を集めることとなっています。一級河川とはなにか、その歴史や治水、生活や産業とのかかわりなどを解説します。」

全国の一級河川についてその歴史や治水、生活や産業とのかかわりなどを写真やイラストで解説しています。2巻では、秀吉が淀川に築いた堤防など治水の歴史を紹介しています。(大阪府立中央図書館こども向け調査ガイドより)

 

  • 一級河川ってどんな川?」前半は川比べ、後半は川と人のかかわり
  • いのちと暮らしを守るために」治水の歴史が中心
  • 地域社会とのかかわり」川から生まれた産業とSDGs

 

3巻目が切口新しいところ。

また、川から生まれた産業の切口も新しい。これまで多くの本が、農業のために川を利用してきたという本が多い中、川を主人公に農業があるという視点がすばらしい。それぞれほかの内容は工業、観光業、漁業、公共施設がある。そして、SDGs。

生物多様性のある川の生態系を紹介している。

当会は、武庫川 揖保川 加古川 猪名川 淀川 大和川 由良川 鶴見川 をこれまでまとめて本にしてきた。 

今回の本のではたくさんの川の事例をあげているが、日本の河をすべて網羅というわけではない。地域の河の様子を知りたい手掛かり本。

当会では武庫川以外はすべて1級河川。1級河川の長い川は紹介されているが、短い川の代表の鶴見川がなぜ1級河川なのかとか、治水の歴史なら大和川が面白い。秀吉の治水は淀川だけでなく加古川でものこっているし、地域のかかわりなら動植物をまとめた当会の「生きてる武庫川」はじめ「生きている」シリーズの本はきっとよい資料の一つになるはずだ。参考まで

 

 


マガモとアヒル

2023-02-18 | 兵庫の自然

風呂に浮かべて楽しむアヒルのおもちゃ「ラバー・ダック(RubberDuckゴムのあひる)」

19世紀の後半ごろからヨーロッパでつくられたゴムの玩具。黄色いアヒルですが、ひなを模したのでしょう。アヒルですが、北京ダックなどの料理が有名。もとはマガモを飼いならしていたものだそうです。

アヒルの語源ですが江戸時代「和漢三才絵図」(1713年)のなかに、「足がひろい」ので「あひろ」との記述。「あひろ」から「アヒル」に変化したというのが有力です。

中国で飼われているアヒルというイメージが強いですが、中国北部で3000年前に始まっていたといい、。ヨーロッパでも2000年前には飼い始めたそうです。

日本では本格的に飼い始めたのはアメリカから入ってきたペキンアヒルを明治以降ですが、記録には平安時代には飼っていたようで、豊臣秀吉が水田で放し飼いを命じたという記録があります。

日本ではその後にわとりが主流となり、アヒルがたくさん飼われていたのは昭和初期ごろまでです。

 

冬は野鳥観察には良い季節。兵庫県の武庫川流域では伊丹市の昆陽池、西宮市の甲子園浜、三田市の福島大池などでたくさんの種類のカモを観察することができます。

 上の二つの写真を見比べてください。左がアヒルで右がマガモです。アヒルは一年中そこにいますが、マガモは渡り鳥で冬にしかきません。アヒルとマガモの写真を比べると違いがはっきりとわかります。しかし、慣れていないと、アヒルだけを見て、マガモと勘違い(かんちがい)してしまうことがあるので注意しましょう。だいたいアヒルの方がマガモより少し大きめです。また羽の色合いがマガモはとても美しいですね。

 


伊丹天王川や天神川の合流地点みられる岩石

2023-02-17 | 自然観察会

河原の石の観察

天王寺川や天神川は長尾連山にその源はあります。川原では、長尾連山をつくっている岩石が小石になって運ばれてきたと考えられますが、そのほかに伊丹台地をつくっている岩石がまじっている場合もあります。伊丹台地は武庫川や猪名川が運んできた泥や砂や小石でできています。 武庫川は流紋岩や凝灰岩、猪名川は泥岩(けつ岩)やチャートをたくさん運んできます。川原では過去や現在流れてきた小石のほか、工事によって使われた石もあります。他にも、人間が作り出したものがまじっています。植木鉢や瓦、レンガやアスファルトのかけらなどもまじって川原をつくっています。

流紋岩

マグマが地上または地上近くで急激に冷え固まった岩石。火山が爆発したときにくだかれた石のかけら(火山れき)が入っているものもみられます。岩石の中に白いアルカリ長石や斜長石,灰色の石英のなどの粒(斑晶)が点々と入っています。石英や長石類の斑晶が破片状になっている場合は火砕流堆積物(火砕岩)と考えられます。川原では火砕流たい積物の流紋岩のほうががよくみられます。

凝灰岩

火山灰などの火山の噴出物が固まってできた岩石。温度が高い状態で、粒子が溶けて固まったものを溶結凝灰岩と呼ぶこともあります。加工しやすいので、古くは古墳のなかにおさめる石棺などに利用されています。

花こう岩

マグマが地下深部でゆっくり冷えて固まってできた岩石。地下でゆっくりと冷え固まった深成岩に分類されます。墓石に利用されるのが御影石で、花こう岩のことです。御影石は神戸市東灘区にある御影という地域が名前の由来です。現在では、ほとんど採掘されておらず、墓石はほかの産地のものが使われています。この川原でみられる花崗岩はカリ長石(ちょうせき)を多くふくみ赤っぽい色をしています。六甲花崗岩とよく似ています。花こう崗岩は風化すると真砂土(まさつち)になり園芸用の土として利用されます。

泥岩(けつ岩)

粘土や泥が強い圧力でおされて,固まった岩石。長尾連山のふもとには泥岩や砂岩の地層が見られる。それらの地層は海底でできた地層で、泥岩は固くなっているので「けつ岩」と呼ばれます。川原ではあまり見つけることはできません。

チャート

主成分が二酸化ケイ素でできている硬い堆積岩です。二酸化ケイ素のもとは放散虫というプランクトンです。水深3000~4000メートルの海洋底で降り積もってできます。海洋で形成されたチャートはプレートに乗ってやってきました。とても硬いため、他の岩石が川を下る間に砕けてぼろぼろになってもチャートは小石として残っています。この川原で見られるのは、おそらく猪名川や武庫川が運んできたチャートの岩石が伊丹台地に堆積し、再び天王寺川や天神川が台地けずってながれてきたものとおもわれます。

人工的なもの

いろいろなものがあります。


ナメクジ

2023-02-17 | 兵庫の自然

ナメクジ

庭でイチゴを楽しみしていたら、ナメクジに食べられてしまった経験をした人は多いかもしれません。

ナメクジは、捕食者の目にとまりにくいよう、夜行性。イチゴを夜の間に食べに行きます。

イチゴだけでなく、ピーマン、ナス サルビア、シソ、ハクサイ、キャベツ、マリーゴールド、ペチュニア、レタスカンキツ類、腐りかけた有機物などなんでも食べてしまうので、「防除対策」のホームページがたくさんあります。

当会で「生きている猪名川改訂版」(下生きている猪名川改訂版)でカタツムリのなかまの紹介で唯一ナメクジを掲載しています。

多くの川を調査してまとめた「生きている」シリーズの本で載せているのはこの本だけです。

今イチゴをたべにくるのがチャコウラナメクジ。活発に動くのが5月〜7月、特に梅雨時期がいちばん。

イチゴの収穫と重なるのでよくわかります。

このナメクジは背中に小さな殻が付いているので、「コウラナメクジ」の名前がついています。これは、カタツムリとナメクジが同じ祖先から進化した証拠です。

このナメクジは第二次世界大戦後、ヨーロッパからやってきました。瞬く間に人家の周りや畑、草地などに出現、農作物の被害は絶大になりました。年1回の発生で、寿命は約1年で、秋に成体になります。乾燥に強く、集団生活を好むので、植木鉢の下によく集まっています。

ほかに、ナメクジ(フタスジナメクジ)がいます。体長は約8cm、体色は淡褐色~灰色で変化があります。背面に2~3本の黒い筋があり、黒褐色の小斑があるものもいます。甲羅はありません。

実は、明治にやってきたナメクジです。生態を見ると、3~6月に40~120個の卵が入ったゼラチン質の卵のうを石や落ち葉の下、小枝や雑草に産み付けます。年に一回発生します。

山野にはヤマナメクジという大型種がおり、体長は10cm以上。体は分厚く、触角は短いナメクジです。

ナメクジはカタツムリと同じように雌雄同体で、1個体の体の中に♂と♀の生殖器を持ってるので、交尾する時は互いに、頭部にある陰茎を相手の生殖孔へ挿入し、精子を相手に渡します。生殖孔が頭部にあるので、産卵は頭の近くからすることになります。すべての個体で卵をうむので増えるわけです。

ナメクジは、化学物質のメタアルデヒドという物質に誘引されます。これは、ビールの中にはいっている物質で、これで誘引捕獲することがでます。ネオン街、ビールで捕獲できるのはナメクジだけではありませんが、

これ以外にもキイロナメクジというのがいます。(澤畠拓夫ら(2018)奈良公園で発見された外来種キイロナメクジについて;近畿大学農学部紀要 第51号 70-74 (2018))

明治時代以降ナメクジの種類が入れ替わっている研究があります。

「フタスジナメクジからキイロナメクジ、キイロナメクジからチャコウラナメクジへの種の置換が起こっている」(黒住耐二 (2002) チャコウラナメクジ〜ナメクジ類の置き替わり. 日本生態学会編, 外来種

ハンドブック. P164. 地人書館. 東京)と報告があります。


世界の侵略的外来種ワースト100になってしまったチガヤとは

2023-02-16 | 兵庫の自然

チガヤ

イネ科。チガヤは東南アジアなど広く分布し、日本では北海道から沖縄まで日本各地に分布します。

最近チガヤを、 茎の節に毛があるフシゲチガヤと、 毛の無いケナシチガヤの2つの変種に分けるようになりました。 普通によく見られるチガヤはフシゲチガヤ(節に毛があり)です。二つの花期にもちがいがあり、フシゲチガヤの花期は5~6月で、ケナシチガヤ(節に毛がない)は花期 3 ~4月頃です。ケナシチガヤはやや湿った場所に多い傾向があります。

チガヤは古くから身近にあった植物で、生活で利用されていました。

近くでは田植えの時期にチガヤの穂をなめておやつ代わりにしたと先輩から聞いたことがありました。

万葉集にも次のような歌があります。

「わけがため わが手もすきまに 春の野に 抜ける茅花(つばな)そ 食(を)して肥えませ」(万葉集)

「あなたのために春の野で 手を休めずに摘んだつばなを食べてどうぞ肥ってください」という意味。

「つばな」とはチガヤのこと。チガヤの若い花序は、口に含むとほのかな甘みがあり上のような歌がよまれたのでしょう。

また、チガヤは、薬効があり春にでる花穂は食べると元気になるといわれ、特にチガヤの根は小児の滋養強壮に良いとして、江戸時代には、百姓の子たちが「つばな売り」をしたといわれています。

 

葉は葉先が固く鬼をも刺すということで、節分のヒイラギ同様、魔除けにも用いられています。

無病息災や厄除け、家内安全を祈願する行事の「茅輪(ちのわ)くぐり」の茅輪はチガヤの葉を使います。

5月の節句を祝う粽(ちまき)も、チガヤの葉で包んだので「茅巻き」。今はササの葉をつかっていますが。ちなみに端午の節句に「ちまき」を食べるのは西日本で、関東では柏餅だとか。

 

金子みすゞはチガヤが綿毛になったところを詩に読みました。

「つばな

つゥばな、つばな、/白い、白いつばな。/

夕日の土手で/つばなを抜けば、/ぬいちゃいやいや、/かぶりをふるよ。

つゥばな、つばな、/白い、白いつばな。

日ぐれの風に、/飛ばそよ、飛ばそ、/日ぐれの空の、白い雲になァれ。」

 

 

世界の侵略的外来種ワースト100になってしまったチガヤ

チガヤが侵入した73か国では、アブラヤシ、パイナップル、トウモロコシ、陸稲、サツマイモなどの作物の収量が半分以下になるなど被害を与えている。特に、原産地の一つでもある東南アジアでも畑で増えて、畑を放棄しないといけなってしまうとか。アメリカではクズに続いて侵略植物となっている。

日本ではいろいろ有用なチガヤでも海外では困りものだそうです。