野生生物を調査研究する会活動記録

特定非営利活動法人 野生生物を調査研究する会の会員による活動記録です。

アマゾン自然学校 テキスト(7)

2023-02-14 | 市民講座

カカオ

カカオは、アオイ科の常緑樹。カカオノキ、ココアノキとも呼ばれる。チョコレートやココアの原料として栽培されている。

 

チョコレートを贈るのは日本だけ。1950年代後半に始めたチョコレートキャンペーンがきっかけらしいが、1970年代後半には「女性が好きな男性にチョコレートを贈る日」として定着しました。

そのチョコレートの原料がカカオです。

 

カカオの木は、ペルーからメキシコにかけての熱帯アメリカの熱帯雨林地域に由来します。

カカオの栽培はアメリカ大陸各地域に広がり、地域ごとに個性が生まれ、きさまざまな風味と食感の特徴を持つ品種になりました。

カカオの木は、農場では高さ 05 から 08 メートル、樹冠直径 04 から 06 メートル程度の大きさですが、森の真ん中で成長すると、高さ 20 メートルに達することがあります。カカオの収穫は難しいところは実が同じ木にある場合でも、必ずしも同時に熟すとは限らないところです。実をとるときに上手にとらないと木がいたみ花が咲かなくなり、生産性が低下してしまいます。実から種をとりだします。これがチョコレートの原料になります。

 チョコレートにするには、実を発酵させます。発酵後、実の中の種を乾燥させます。乾燥がうまくいくとよいチョコレートになります。乾燥が終われば数か月保管し、熟成させて出荷することになります。

 

チョコレートがどのようにできるのかは、ブラジルの子どもたちも知りません。

アマゾン自然学校では、農家の協力で実際にチョコレートをつくってみました。

自然学校4日目の活動です。

「子どもたちは植林を終えて、トメアスの町に帰ってから昼食をとり、午後は「ものづくり体験」です。坂口農場にお世話になりました。前半はカカオビーンズから手作りチョコレートに挑戦です!炭火に鍋をかけ、その中に発酵させたカカオビーンズを入れて、香ばしいにおいがするまで炒ります。下の豆が焦げ付かないように常に鍋の中身を混ぜていなくてはいけません。少し豆の乾燥が十分でなかったようで、時間がかかりましたが、みんなが順番で混ぜる役をやりました。次に、炒った豆の皮をとります。熱いので気をつけなくてはいけません。しかし、早くしないと冷めてしまい皮がとりにくくなってしまいます。みんなで一生懸命皮をむきました。皮をむいた豆を挽き器に入れて、ペースト状にします。これでチョコレートの完成です。あとはビニールに包んで、冷やします。ビニールに包むのにコツが必要でしたが、みんなうまくできました。このチョコレート、実は、すごく苦いチョコレートです。市販のチョコレートにはこれに砂糖やカカオバターが入ります。味見をした子供は市販のチョコレートとの甘さと苦さの差にびっくりしていました。」


「クズと民俗学」そして外来種問題

2023-02-14 | 市民講座

2023年2月12日第11回ナチュラリストクラブ記念講演『ひとくらし自然 民俗学の視点から その14』 

で「クズと民俗学」の内容で講話した。

今回、植物民俗学の視点から「植物がどのように使われるのか」だけではなく、「どのように認識され使いこなされているか」、「人間社会とその依存する植物との間の互恵的関係」が主な内容だ。

植物は見方によっては役立てば栽培植物になり、害があれば雑草であり、同じ雑草でもあるときは有用であると認めれば野草となる。雑草とひとくくりにするなと、「雑草という草はない」といったのは牧野富太郎博士の言葉を紹介し話はすすむ。

クズであるが、縄文の時代からでんぷんを利用する植物の一つであった。

そして、縄文土器に付着する布片の圧痕や編み衣様の布片の出土からクズも衣になっていた。

くず粉の料理本は鎌倉時代にすでにあり、江戸時代武士階級の高級衣装になっていた。等々

 

聞いていただいたみなさんが一番興味を持っていただいたのが、アメリカにわたったクズの話。

「世界の侵略的外来種ワースト 100」に選ばれるまでになったこと。

アメリカではびこるクズの地図からアメリカの南部に広がり、それゼれの州では、みつけたらただちに処理しましょうと呼びかけている話や根から掘らないと退治できなので堀りあげた根の画像を紹介した。

 根の大きさは吉野葛をとるクズと変わらないことから、アメリカでくず粉を作って商売できそうという声も。

 実際、自然保護団体などでは広がるクズをくず粉や繊維で布をつくるワークショップを行っている。

アメリカでのクズのホームページから本当に大変さが伝わってきたが、楽しみもアメリカ人だなというところがうけた。

外来種対策の歴史を見ると、

1992 年、「生物多様性条約」が締結され、世界全体で生物多様性の保全と持続可能な利用を目指す唯一の国家間合意ができた。そのなかに、「外来種対策」を行うことが明記されている。おくれて、日本は 1993 年 5 月 28 日に締約国になった。

2001 年には「世界の侵略的外来種ワースト 100」が公表。IUCN(国連自然保護連合)が外来種の中で、特に生態系や人間活動への影響が大きい生物のリストを公表したのだ。

日本が関係するのはクズとイタドリ。もう一つチガヤ。これらが100の中に入っている。

日本でもチガヤが耕作地に入り込むと大変。これは経験から思う。

どうするクズということで話をおえた。

 

あっという間に時間が過ぎて面白かったと好評であった。以上報告まで