野生生物を調査研究する会活動記録

特定非営利活動法人 野生生物を調査研究する会の会員による活動記録です。

アセビ 春先に咲くツツジの花

2023-02-24 | 兵庫の自然

アセビ

2月中旬、雪の降る日。すでにアセビの花が咲き始めていました。

アセビはツツジの仲間です。一年で一番最初に咲く花です。

漢字で書くと「馬酔木」、葉っぱを食べた馬が中毒してしまうことからこのように名付けられたそうです。

厚生労働省のサイトの「自然毒のリスクプロファイル」を見ると、「ツツジ科の植物には毒をもつものが多く、蜜にも毒性成分があることがあり、注意が必要」とあり、アセビ、ネジキ等のツツジ科の植物に含まれる植物毒はグラヤノトキシンとのことがわかります。

毒があるのはシカが食べないところからもわかります。奈良公園では有名な話です。

但馬の山では、春先アセビの花がめだってきたといいます。シカが増えすぎ、食べ残したのがアセビ。目立つようになったといいます。

アセビの毒を昔の人は害虫防除に利用しました。

慶長 5 年(1600) に書かれた「家伝殺虫散」に残されており、葉や茎を煎じて毒成分を抽出し、アセビ以外4 種類の成分を混合したもので害虫駆除しまた。

但馬地方では放牧地で草を食んでいる牛のダニ退治に使われました。乳器や外陰部など皮膚の薄い部分にダニが付着すれば、病気になるので、この液を使ったといいます。また昔のくみ取り式のトイレでは、ウジ虫を殺すのに使われました。

人間以外にもこの毒を利用するのがヒョウモンエダシャクです。この蛾は、アセビ、ハナヒリノキ、レンゲツツジなどのツツジ科の有毒植物を食草にして体に毒を蓄積します。毒は成虫になっても残ります。鳥はこの蛾を見ても食べません。毒があることを知っているのです。

ツツジのなかまですので、花びらがくっついて出来ている合弁花です。おしべは全部で10本あります。葯は5個ずつ上下2段になっていて、それぞれの葯の背面に2本ずつ棘状突起というのがあります。

アセビの花はつぼ型で下を向いて咲くため、マルハナバチのような小さな昆虫が受粉させることができます。花が下むきなので、花粉は葯(花粉袋)から出ると下へ落ちてしまいます。棘状突起があるのは、2本の棘に昆虫が触れた時だけに花粉が出るようになっており、蜜は花の一番奥なので、このレバーをおさないと蜜にたどりつけないのです。昆虫が触れると葯から花粉がこぼれて受粉することができます。

 

ツツジの仲間は,花弁が合着していますので双子葉植物の中では進化した植物として考えられています。最近のAPG系統分類体系では,ツツジの仲間にギンリョウソウやイチヤクソウまで入りました。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿