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2023/1/29まで。ゲルハルト・リヒター展(Gerhard Richter)(2022/12) in 豊田市美術館

2023-01-03 | 美術展
wikipediaより。

ゲルハルト・リヒター(Gerhard Richter)は1932年生まれ。ドイツの画家です。旧東ドイツのドレスデンに生まれました。地元で1951年から1956年まで絵画を学びますが、東ドイツの共産主義体制に制約を感じ、ベルリンの壁によって東西ドイツの行き来が禁止される寸前の1961年、西ドイツのデュッセルドルフに移住しました。1971年からデュッセルドルフ芸術大学教授を15年以上しました。2014年、第二次世界大戦中の1944年8月にアウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所で囚人が隠し撮りしたとされるホロコーストの写真を元に描かれた4点の抽象画「ビルケナウ」シリーズを制作しました。2022年、生誕90年、画業60年を迎えています。

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前日に2時間ぐらいリヒターさん関連のネットを見ながら。

いざ、リヒター展へ。

豊田市美術館は、庭とか、噴水とか、鏡の展示とか、気持ちいい美術館ですよね。






そんな豊田市美術館でもらえるのが……



美術超初心者には、ありがたい「リヒターの薄い本」です。

今回は、リヒターさんが自分で持っている作品と、リヒター財団が持っている作品で構成されています。

…より愛着がある作品達なのか、手放さなかった作品達です。

薄い本には、

そんな作品リストの他に、

リヒターさんの作品への手がかりとなる文章が記されていますよ。







展覧会では東ドイツ時代の作品はないようでした。




フォト・ペインティングといわれる作品群。

写真を題材にした絵画。イメージ。

わざわざというか、写真を絵画の対象物にするっていう。

そこには、画家の構図や構成への関与は最低限でありっていう。





そして、写真を絵画にして、さらにそれを写真作品にするという「ルディ叔父さん」
フォト・エディション。
叔父さんも戦争で亡くなったとか。
リヒターにとって、対象物っていうのが、何なのか。
その問いかけへの模索が、リヒターのテーマのように感じました。





写真をとろうとすると、撮影者もそこに映り込んでしまう。
対象物は作品だけではないか。時と場所を超えて撮影者も対象物として巻き込むのか。
ガラスや鏡の作品群にも通じるのかもと感じました。








グレイ・ペインティング





色彩を混合すれば、いずれ灰色になる。
「無を示すのに最適」とリヒターは言いますが、
グレイを用いて、いろんな表現方法で作品を作っています。






さらには、グレイの鏡。
無というわりには、作品にバリエーションがあります。





色彩をそぎ落として、でも表現を模索していたかもと感じました。







対象物とは何なのか、その一端を感じたのがこちらの作品。





説明にもありますが、

つまり、一枚の画から受ける印象は、穏やかな景色かもしれません。
自分は初見、そう感じました。
でも、その事実を知ると、けして穏やかというだけではない意味が加わる。
そういうのが内包されているのにもかかわらず、穏やかという印象を与える。
私たちが認識している事実というのは、
あくまで相対的であることを改めて認識させてくれる作品だと感じました。





ガラスと言えば、





これを作品にするという。
ガラスに映る自身の作品や鑑賞者も作品の一部にする。
現代美術のカテゴリーですが、わかりやすい形で私たちにといかけてくれるリヒター。





…平日とはいえ、豊田展は、たぶん東京展より鑑賞しやすいと思うwww
人がほどほどですよね。
リヒター展には、ちょうどいい立地なのかも知れません。







さて、衝撃だったオイル・オン・フォト作品群。


ほんと面白い。












リヒターの薄い本によると。


再現性のある写真に、抽象的な絵具が塗布されてる。
作品名は、多くが日付。
撮影日でも絵具を塗布した日でもない日付。


このアンバランスさ。
対の構造。
ほんとに面白いなあって。
フォトサイズの小ぶりな作品なので、会場のあちらこちらで出会えます。
展示の余白に配置されている作品もあります。





カラーチャート





と鏡。


ストリップ

と鏡に映るカラーチャート。



こちらの展示空間は、唯一とっていい感じの、カラフルなスペース。
ここにも鏡の作品。とにかく映り込む。鑑賞者が移動すると、鏡のようすも変わる。
なんて動的な作品なんだと感じました。


カラーチャートは、展示場所によって、形を変えているそうです。
また、議事堂や大聖堂などにも作品があるようです。
ポップさだけではない、意味合いがあるのでしょうか。






さて、勝手に主題と感じているビルケナウに行く前に。







「自然とは、絶対的に非人間的です。人間は意味を持たせようとするが
 自然は、意味や恩寵や同情も知らない」とリヒター。

話がそれますが、自分の好きな新海誠作品の根底にも感じるところ。
隕石が落ちることや天気が狂うこと、ミミズの地震。
新海誠本で語られていた、桜は、震災の時も、人間の事情には関係なく
咲いていたということ。

風景画の中にも、自然と人間という対の構造。






そして、リヒターさんの集大成だと思われるビルゲナウ


4点から構成される作品群。

薄い本によれば、
アウシュビッツ=ビルケナウ強制収容所で密かに撮影された写真4枚が
スタートとなっています。これも展示されていますが、これだけ撮影禁止。
これらの写真のフォトペインティングをトライするものの
その上から、絵具が塗られてアブストラクト・ペインティングとなった。
よく見ると、色彩の割合と、大元の写真、これは白黒ですが、
人体・血液の赤色や木々の緑色などを思うと、この写真はこの絵という感じで
ふわっとわかるように感じました。もちろん、言われてみなければわかりませんがw
さらに、そのフォトエディションの4枚という作品も対の形で展示。
そして、各作品は、さらに4枚の写真から構成されています。

そして、空間という意味では、


元の写真4枚、


アブストラクト・ペインティング、











その写真、










巨大な鏡の4面から構成されています。


鏡には、作品と対峙する鑑賞者や作品群も映し出されており


あるいは、鏡には、大元の写真も写り込むっていう。









アウシュビッツ=ビルケナウ収容所という現実が、形を変えて表されているのか。
フォトペインティングでは、向き合えなかったのか。
深いです。







ここからは、ビルケナウ以降の作品群です。
…豊田市美術館は、時系列にだいたい沿っているので、初心者でもとっつきやすいです。






なんだか、色彩が明るくなったと感じます。





ドローイング





ペインティングの技法から、かわって。
小さめの作品群ではありますが、図形と空間の配置で表現されています。
印象に残った2点をのせています。





さらにアブストラクト・ペインティング









うん、抽象画だけど
光のゆらぎというか、感じますよね。ピンクの影響かなとも思います。




水彩のフォトエディション。2022年の作品です。




この中から、、個人的に良いと感じた2作品です。


こういう淡い色彩に新鮮さを感じました。No.1。


あいまって、原色の対比がきれいだと感じました。No.2。






難解な抽象画と行く前は感じていましたが、
リヒターの薄い本と、年代別、カテゴリー別の展示、わかりやすい展示説明のおかけで
初心者でも、伝わってくる部分が多く、良かったです。

2023年1月29日まで、豊田市美術館で開催中です。













次は、リヒターの厚い本を読んでいこうかなと思います。










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