のんびりのーと「ココロコエ」dA-iki

とてもシンプルなことなんだ。
心で見るんだよ。
大切なことは目に見えないんだ。

小室哲哉 初公判 (3)

2009-01-21 | -日々の生活-
《公判は午後1時10分に再開。3人の裁判官に続いて、小室被告も入廷した》

 裁判長「それでは、公判を再開します」

 弁護人「(午前中の)罪状認否の際に被告人から一言申し上げたいことがありまして、(改めて)この場で申し上げたいと思います」

 《小室被告が足早に証言台へ進み出る》

 小室被告「今日の件につきましては、私、小室哲哉の稚拙な言動による大きな過ち、また被害者の方に多大なるご迷惑をおかけしましたこと、またたくさんの時間と経費を使わせてしまったことを、心からおわびします。誠意を持って弁済に努めていきたいと思います。同様に多くの関係者の方にご迷惑をかけたこと、心よりおわび申し上げます」

 《小さな声でやや早口に謝罪の弁を述べる小室被告。最後に深々と頭を下げ、席に戻った》

 裁判長「では甲9号証から」

 検察官「では、甲9号証を読み上げます。エイベックスホールディングスの取締役の供述調書です」

 《調書ではまず、小室被告とエイベックスとの著作権契約の概要が説明されていた》

 検察官「当社は持ち株会社で、アーティストのプロモーションを行ったりしており、原盤を製作することもあります。アーティストというのは、自分だけでは世間に著作物を知ってもらったりすることはできません。そのために著作権契約があります。ジャスラックが音楽利用者から徴収した一部を還元する仕組みで、著作者と音楽出版社が譲渡契約を締結します。小室さんとの場合は200曲について契約しています」

 検察官「小室被告については契約書に書かれている通り、すべて著作権は譲渡されています。著作権を小室被告に戻してほしいといわれたことはなく、今も(著作権を)保有していると考えています」

 《続いて調書は、エイベックスと小室被告との関係について説明していく》

 検察官「平成5年ごろ、小室被告から『実験的なグループをつくりたい』と言われました。これがTRFで、大ヒットしました。その後、安室奈美恵さんやglobeなど数多くのヒットを出し、一時は小室プロデュース作品が(エイベックスの)売り上げの半分以上を占めていたこともありました」

 検察官「平成8年になると、より幅広くプロデュース業をしてもらおうと、プロデュース業務委託の基本契約を結んで、契約金9億6000万円を先払いしました。契約は平成11年3月31日まで。その後、小室さんの楽曲製作のペースが鈍り、原盤譲渡契約を平成12年12月に結んで10億円を前払いしました」

 《小室被告は青白い顔をやや下に傾け、視線を宙に浮かせている。調書の読み上げを聞いているのかは表情からは読み取れない》

 検察官「平成17年になって当社はトライバルキックス社の代表と交渉し、債権を返済してもらう形を取ることにしましたが、小室さんからは楽曲が提供されず、トライバル社が返済することもありませんでした」

 《六億数千万円の債権が宙に浮いていることなど、遅々として進まない返済状況が明らかにされる。ただ取締役は、最後に今後の小室被告への期待も述べていた》

 検察官「当社としては小室被告とあえて解約することを考えていません。極めて豊かな才能をお持ちで、また楽曲を提供していただけると考えています」

 《続いて読み上げられたのは、小室被告との間で融資と返済の交渉にあたった銀行員の供述調書。小室被告は平成13年からこの銀行と取引していた》

 検察官「平成17年6月には貸付残高が3億円余りになり、7月に審査チームで回収方針を協議しました。その結果、著作権の担保差し入れを求めることになりました。できるだけ避けたかったのですが、延滞が続き、やむを得ないと判断しました。小室被告は『返済を最優先にするから、著作権の担保差し入れだけは待ってほしい。何とか回避してほしい』と頼んできました。ここでごり押しをし、法的手段を取っても十分に回収できないと思い、このときは求めませんでした」

 《その後、小室被告は返済を続けるが、18年1月ごろには再び返済を滞らせる。検察官の口から、多額の債権に苦しむ小室被告の事情が赤裸々に語られる》

 検察官「小室被告は『3月までに何とかします。延滞は起こりません』と約束してくれました。3月は実際にその通りになりましたが、4月には再び延滞が発生してしまいました。同年6月には、金融機関2社について多額の債務の連帯保証人になっていることも分かりました。これまでに聞いたことはなく、寝耳に水のできごとでした」

 《銀行の調査で当時、小室被告が抱えていた負債は10億円以上に上っていることも判明した。銀行は7月、回収が困難と判断する》

 検察官「小室被告の見るべき資産は著作権のみで、2億5000万円と推定されましたが、前妻からの差し押さえを判断すると、評価額はさらに低いとみられました」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

《引き続き、銀行員の供述調書の読み上げが行われる》

 検察官「8月1日、次長とともに小室被告と面談しました。そこで『いろいろ迷惑をかけて申し訳ないです。状況は知っています』と言ってもらい、さらに『8月3日に1000万円、11日までに2000万円、月末までに1000万円も通常通り返済します』と具体的な内容の話もありました。私どもとしては小室被告の言い分を信用し、8月3日と11日の返済がなければ法的措置も検討しますと伝えました」

 《ちょうどこの時期、小室被告は木村被告とともに被害者との間で著作権譲渡の話を進めていたことになる。調書の読み上げは、小室被告の会社で9年間働き、資金繰りが悪化していく状況を間近で見てきたという元社員の供述調書に移った》

 検察官「平成8年か9年ごろは、小室被告は2年連続で高額納税者になり、年間10億円以上を納税していました。ただ、著作権収入20億円の半分以上が税金になっていましたので、あまり手元には残っていないのではないかと思っていました。しかし、お金の使い方は派手で、アメリカの不動産や高級外車を購入したり、ハワイにスタジオをつくったり、ヨットの購入、数十億円のプライベートジェットの購入も計画していました。そのころは『買えないものは何もない』という感覚だったのだろうと思います」

 《一般人には想像もつかない小室被告の金銭感覚。裁判長も時折首をかしげるしぐさをしながら、検察官の朗読に聞き入る》

 検察官「資金繰りが悪化するターニングポイントは平成13年ごろだったと思います。プロデュース契約を解除することになったソニー側に、前払いしてもらっていた十数億円を返済しなければならなくなり、支払いました。そのとき、一時的にキャッシュが不足し、銀行から10億円を借り入れました。その後、借り入れの返済が負担になり、前妻への支払いも重くのしかかってくるようになりました」

 《表情を曇らせたままの小室被告。肥大化した金銭感覚がしだいに暴走していくさまを、検察官は抑揚のない声で読み上げ続けていく》

 検察官「しかし、小室被告の派手な金遣いはやみませんでした。奥さんへ高額のプレゼントをしたり、家賃280万円のマンションにも住み続け、ハイヤー代は月に百数十万円かかっていました。私は『出費を半分にしてください』と助言し、ソニーの幹部にも同様のアドバイスをしてもらいましたが、聞いてもらえませんでした。だんだん私のアドバイスも疎ましく思われるようになり、私は平成16年7月に退社しました」

 《続いて検察官は、小室被告の共犯として逮捕され、その後起訴猶予になったトライバルキックス社長の供述調書の朗読を始めた》

 検察官「平成16年5月ごろ、小室被告の友人に誘われてスタジオを訪ね、そこで彼を紹介してもらいました。有名プロデューサーの名をほしいままにしていた小室被告も、香港進出の失敗で70億円ともいわれる損失を抱えるようになったと噂されていました。その反面、負債を返済して環境さえ整えば、また大ヒット曲を飛ばせるのではないかとも思っていました」

 《小室被告はいすに深く腰掛けてほとんど身動きせず、法廷には検察官の声だけが響く。社長は小室被告から、経理担当者と仲違いして困っているという状況を聞かされ、経理担当者になるよう頼まれたという》

 検察官「小室被告は私に『恥ずかしいんだけど、借金がぐちゃぐちゃなんだ。でも、曲は僕の頭の中にある。後は、それを整理するんだよね』と話し、『社長しか頼れる人がいないんだ』と頼まれました」

 《こうしてトライバルキックスの代表取締役に就任し、小室被告のマネジメントを担当することになった。その後も小室被告は強気な発言を繰り返していたという》

 検察官「小室被告は『もっと仕事を増やす。世界に通用する曲を作って、売れたら全部チャラになる。僕は日本で一番、曲を売ったんだ。これ以上説得力のある言葉はないだろ』と言っていました」

 《しかし、小室被告の経済状況は想像以上に深刻だった。社長は、債務が20億円を超えていたことに加え、アメリカの税務当局に約2億円の税金の未払いがあったと詳述。さらに、これに追い打ちをかけたのは、小室被告の派手な生活だったと明かす》

 検察官「小室被告は、奥さんを溺愛(できあい)していました。奥さんはエイベックスから2000万円の収入があったのに、これを自由に使わせていました。また、奥さんのご機嫌取りで、『仕事が入った』と言っては100万円を渡したり、高級料理を食べさせたりして、見栄を張っていました。なので、借金や生活費で毎月1700万円から2300万円が必要でした」

 《小室被告はかつて、サッカーのプロチーム・大分トリニータのスポンサーになっていたことがある。社長はこれについても小室被告の見栄が理由だったとする》

 検察官「大分トリニータのスポンサー契約は毎月1200万円でしたが、これは、奥さんの実家が大分にあるので、実家に見栄を張ろうとしたためです。小室被告は奥さんの母親に『すごいでしょ。ロシアの大富豪でサッカーのプロチームを買収したアブラモビッチみたいでしょ。気分いいでしょ』と言ったりしていました」

 《悠長な小室被告の発言とは裏腹に、財務状況は危機的状況が続いていた》

 検察官「当時、トライバルキックスの収入は小室被告の印税しかなく、自転車操業でした。なので、平成17年8月には養育費や都民税などが支払えなくなっていきました」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
《続いて読み上げられた甲15号証も、トライバルキックス社長の供述調書。小室被告の散財の一方で、資金の手当てに奔走する姿が明らかにされていく》

 検察官「私が代表取締役に就任したころの懸案は、返済資金の調達でした。平成16年9月1日、木村隆被告から9900万円を振り込んでもらい、大変助かりました。このときは小室被告自身がお礼を述べました。こうした状況で『多くの出資者から金を募るという方法を考えている。トライバルキックスが小室さんの曲の著作権を持つ会社になれば信用が上がる』と伝えると、小室被告は了承してくれ、著名な3曲を譲渡してもらいました」

 《だが、社長のもくろみは外れる。『トライバルキックスは小室のマネジメント会社。今後、音楽配信などで配当も見込まれる』と宣伝したにもかかわらず、資金繰りは一向に好転しなかったのだ》

 検察官「平成16年11月、globeのコンサートツアーを行いましたが、収入は約3000万円にしかならず、焼け石に水のような状態でした。17年1月には大分トリニータへのスポンサー料の支払いも滞り、前妻から差し押さえも受けました。小室被告は『マスコミにばれて評判を落とさないか』と心配してました。小室被告の収入は印税などが2億円でしたが、差し押さえでその半分近くを失う状況になったのです。滞納していた慰謝料や養育費など7億8000万円を前妻に支払わないと、差し押さえを解除してもらえない状況になったのです」

 《小室被告はハンカチを取り出し、さかんに顔を抑えるようなしぐさを見せる。ぬぐっているのは汗か、それとも涙なのか》

 検察官「差し押さえの直後、ジャスラックからの著作権料は入金されませんでした。金融機関では借り入れができなかったので、17年1月、高利の金融業者から4000万円を借り入れ、小室被告の借り入れの返済やトライバルキックスの資金繰りにあてました。こんな状況だったので、エイベックスへの6億9000万円の前払い返済はとうてい無理で、吉本興業とエイベックスと話し合いを持ち、3月までにトライバルキックスが返済する契約を締結しました。このとき、エイベックスからは『これからはあなたがちゃんとやってくれるんでしょうね。ちゃんとしてください』とこれまでとは違い、きちんと返済を求めると言われました」

 《だが、状況は悪化する一方だった。ついには借り入れを代物弁済するため、小室被告が著作権をもつ806曲のうち、290曲を譲渡することになる。その結果、小室被告の収入は印税5000万円しか見込めなくなり、破産への不安が社長の脳裏に浮かぶようになったという》

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

《資金繰りに苦しむトライバルキックスの社長。続いて読み上げられた甲17号証では、追いつめられた末、ついに“禁断の果実”に手を出さざるを得なくなった状況を証言していた》

 検察官「トライバルキックスは平成17年12月中旬、1億7000万円を借り入れました。借入先は山口組系暴力団と深い関係がうわさされているところでしたが、5000万円の返済が迫っており、紹介してもらうことになりました。『お金を借りられるが、暴力団とつながりがあるところだ。ただ、他からはもう借りられない』と説明すると、小室被告は『本当は借りたくはないけど、しようがない。進めてみて』と承知しました」

 《小さく首をかしげる小室被告。検察官はそのまま読み上げを続けていく》

 検察官「借りた1億7000万円のうち1億2000万円は返済などですぐに使ってしまい、平成18年2月末の期限には返済できませんでした。小室被告と相談したうえで追加融資をお願いし、18年5月までに返済することで3億円を借り入れ、1億7000万円の返済に充てることに決めました。でもその3億円も、支払いが遅れていた借り入れなどですぐに消えてしまいました。本当に資金繰りがたいへんで、18年2月ごろからは私も従業員も給料をもらえずでしたが、資金調達のめどもない状況でした」

 《借金を借金で返済する自転車操業。続く甲18号証では、行き詰まった末に、今回の事件の被害者に融資を持ちかけるに至った状況が明らかにされた》

 検察官「苦しい状況が続いていた平成18年6月上旬、木村隆被告から『芦屋の資産家の彼なら、何とかしてくれるかもしれない』と持ちかけられ、今回の被害者に会うことにしました。『お恥ずかしい話ですが、小室は今、すごくお金に困っているんです』と、平身低頭して融資をお願いしました。(被害者が)芦屋に御殿のような豪邸を構えているのをみて、わらにもすがる思いでした。800曲が譲渡ずみなのは分かっていました。(著作権を)融資の担保に差し入れることはできないとも分かっていました」

 検察官「被害者の方は音楽業界のことをあまりご存じない様子で、著作権についていろいろ聞いてこられました。その際、小室被告の著作権を『預ける』『管理してもらう』というぼかした言い方をしました。800曲の著作権で年間2億円の収入があり、(前妻が差し押さえている分以外は)手つかずで担保価値があるというのも、事実に反した言い方でした。結局、融資を断られて困り果ててしまいました」

 検察官「平成18年7月上旬から中旬に、借入先の担当者から『ウチもいつまでも待っていられませんよ。もし払えないのなら担保に入れている小室さんの著作権を徴収することになります』と告げられました。またその際、『小室さんに直接尋ねたら、8月末までにお返しいただくという話でしたよ。小室さんが言っていましたけど、(西武鉄道グループの)堤オーナーから10億円の融資の話があるんですか?』とも言われました。全く聞いていなかったので驚きましたが、適当に『そうなんですよ』と答えました。その後、小室被告に尋ねると、『安心してもらわないといけないし、(返済すると)約束しちゃったんだよ。あとはあなたの方でよろしく頼むよ』と言われました」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

《トライバルキックス社長の供述調書は、平成18年7月中旬ごろ、社長と小室被告、木村被告が話し合った場面に移った》

 検察官「小室被告に『芦屋にすごい人がいる。融資は断られてしまったが、10億円できれいな形で買えて、年10億円の使用料収入が得られる』と伝えると、『そんな話があるなら、ぜひ進めてください』と言ってくれました。そこで『まずは小室さんがお願いの姿勢をみせて、相手によい気持ちになってもらうことが先です』と言うと、小室被告は『分かりました』と応じていました」

 《だが、社長は著作権の譲渡が不可能であることを認識していた》

 検察官「そうはいってもだんだんと不安が募ってきました。二重譲渡したりして、800曲余りの著作権を有しているわけではありませんでした。そもそも、10億円で購入することなどできるわけがありません」

 《だが結局、小室被告らは今回の詐欺事件を実行に移す。その“号砲”になったのが、小室被告が被害者にあてて書いた手紙だ。検察官が読み上げると、傍聴席はかたずをのんだ》

 検察官「小室被告の手紙には『2006年は抜本的なスタートをしなければならない大事な年。個人の知的財産を処分し、未来に向けてフレッシュな気分でいきたい。夏から新しいメンバーでやっていきたい』と書かれてありました」

 《検察官は引き続き、社長と小室被告、木村被告との間で詐欺の共謀が成立した場面を読み上げた》

 検察官「平成18年7月下旬、木村被告から『相手は小室から直接話を聞きたいと言ってきている。調整してほしい』と言われました。7月30日に直接会談することが決まり、その直前ごろ、私と木村被告と小室被告の3人で会い、被害者にどのような話をするかを相談しました。木村被告は小室被告に『とても慎重な人です。すでに著作権は譲渡されていると話せば、絶対にお金を出しません。今の苦しい状態を乗り切ることが先決で、譲渡の件は絶対に内証にしておきましょう』と言いました。実際、著作権はない状況でしたが、それを話すとお金を出してもらえなくなるので、その話は一切しないでおこうということになりました」

 《裁判長も、検察官の朗読に熱心に耳を傾ける。右手で頬づえをつき、鋭い視線を向けながらじっと聞き入り続けた》

 検察官「小室被告は『今はとりあえず目先のことが大事です。その辺のこと(著作権譲渡)は言わなくていいでしょう』と言いました。それを聞いて、小室被告はとにかく資金繰りをよくすることだけを考えているんだなと思いました。実際、とにかくなんとか資金を調達しなければ、小室被告はいつ破綻するかわからない状態でした。当然ながら小室被告の破綻は、連帯保証している私の破綻も意味しました」

 《瀬戸際に立たされた人間の心理が、供述からはかいま見える。しかし、小室被告はしきりとまばたきを繰り返すだけで、表情からは心の動きはうかがえなかった》

 検察官「結局、被害者への説明について、小室被告は『とりあえず、前妻の差し押さえ解除のために必要だから、ぐらいにしておこうよ』と言いました」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

《目先の返済を乗り切るため、被害者をだますことで合意した小室被告と木村被告、そしてトライバルキックスの社長。社長の供述調書は、被害者との面談へ向けての打ち合わせをした場面に移った》

 検察官「小室被告は『その日は、僕はDVDの撮影か何かで忙しいということで、忙しいところを時間を割いて来た、ということにしようよ。その方が雰囲気出るでしょ』と言っていました。このように3人で相談して、楽曲の著作権が小室被告にあると装い、借金返済目的であることも隠して、被害者をだますことになったのです」

 《続いて読み上げられた甲20号証も社長の供述調書。被害者との会談を終えて以降の小室被告の発言などが詳述されているが、ここでも小室被告自らの“軽い”発言が、事態を悪化させる様子が語られている》

 検察官「8月上旬ごろ、小室被告から電話があり『銀行の人が来て、早くお金を返せ、って言うから、返すって約束しちゃった。なんとかならないかなぁ。それに、(妻の)KEIKOにも1500万円渡すって言っているんだけど、これもなんとかならないかなぁ』と言っていました。なので私は、急いでお金を用意しないといけないと思いました。木村被告に相談すると、『小室被告が銀行と約束したんだったら払った方がいい』と言い、立て替えてくれることになりました」

 《こうした供述について、裁判長は口元に手を当てて思案したり、メモを取るなどしている。じっくりと耳を傾け、供述内容を吟味しているようだ。続いて、社長の供述は被害者との合意書作成に関する場面に移る》

 検察官「合意書などの作成に関して説明すると、小室被告は『それなら僕のすべての曲を売るということで、書類を作ってもらっちゃおうよ』と話していました。それは、明らかなウソでした。そんなことをすれば事件ざたになる。私は『そんな書類を作れば、大変なことになります』と言いましたが、小室被告は『そんなことより目先のお金の方が大事でしょ。後で返してもいいんだし。CDをあげれば喜んでくれるよ。そんなにいやならあなたは来なくていい』と答えました。被害者と面会した後の小室被告は『CDをあげたら、すごく喜んでくれた』と話していました」

 《ここで、裁判長が午後3時20分まで15分間の休廷を告げた》



Comment    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 小室哲哉 初公判(4) | TOP | 小室哲哉 初公判 (2) »
最新の画像もっと見る

post a comment

Recent Entries | -日々の生活-