思考の7割と収入の3割を旅に注ぐ旅人の日々

一般的には遊び(趣味)と見下されがちな「旅」も、人生のなかでやるべき「仕事」である、という気概で旅する旅人の主張と報告。

服部文祥的情熱大陸裏話

2011-02-18 23:59:59 | 他人の旅話

昨夜、東京都のici club 神田の6階「アースプラザ」で行なわれた服部文祥さんのスライドトークショーを聴きに行った。
この催しの触れ込みからして、昨秋に放送されてそのときに当然力を入れて観たテレビ『情熱大陸』で服部さんが取材されたときの裏話をバンバン披露する、という体だったので、放送分に収まりきらなかった未公開映像も計20分ほど流しつつ、この場では進行役を務めていた、番組の取材カメラマンとして同行した(09年のピオレ・ドールクライマーでICI石井スポーツ店員の)平出和也さんとのやりとりも含めて、面白かった。
会場はほぼ満員だった感じかなー。

(僕は過去に地平線会議の報告会で2、3回聴いていてそこそこ見知っている)服部さんの言葉遣いも含めて、オフレコにすべきネタばかりだったので詳しくは挙げるべきではないが、特に面白かったのは、昨年2月の奥秩父と8月の赤石山脈南部でのサバイバル登山の同行中の撮影で200時間以上はカメラをまわしていたこと、放送にもあった前者の冬の登山の終盤に猟銃で仕留めた鹿はそれまでに外しに外しまくって弾が最後の1発という切羽詰まった状況で獲った鹿だったために「焼肉だーーー!!」というああいう過剰? な歓喜ぶりになったこと(そこは放送直後から巻き起こっていた賛否両論のなかでは特に誤解されがちな画かも)、登山時は服部さんの単独行の体を作るために前後から撮影する平出さんが少し離れた位置から付いて行くときにその距離感をいいことに平出さんは服部さんに内緒で隠し持っていた行動食を時折食べていて空腹をしのいでいた、ことか。
ほかにもあの放送の30分弱だけではどうしても食い足りない、僕も含めた聴衆には満足の増補分の話であった。

ああもちろん、放送分の締めにあった夏の登山の墜落→入院の経緯も触れていて、その事故の直前に油断というか前兆があった? ことや、4日間入院したことによるその後の家族の反応についても、あんまり笑っては失礼だが併せて面白かった。でもまあ今となってはそういう公の場であえてネタにしているのだから、笑うべきところはそうすべきかも。
上の写真は会場の受付にあった、その一件を経てのひとネタとして出していた記念? の、事故から少し経ったあとの色紙。ホントにもし平出さんがいなかったらどうなっていたのか、だね。

事故と入院の話は、『岳人』10年12月号の山岳遭難特集で「南アルプス聖沢上部、滑落報告」を4ページ書いているので、『情熱大陸』しか観ていないのにそれだけでわかったつもりになっている方々はこの記事も図書館などでバックナンバーを探して併せて読むべき。トーク中は長くなるからと端折っていた、その一文でも触れていた山での事故発生時にヘリコプターによる救助に頼るか否かの長くなりそうな深い議論? は、僕は延々聴きたいクチです。

そうやって実際に話を聴くと、それだけの膨大な映像を30分未満に圧縮するのは大変だよなー、テレビにも表現の手段としての限度はあるよなー、と媒体ごとの過不足なく情報伝達する難しさを改めて感じた。
まああとは、というか基本的にはそれ以前に服部さんの著作や編集職に就いている毎月の『岳人』を読んで補っていくべきなのだけど、やはり登山にあまり明るくない一般的な視聴者にはその短さによって誤解も生まれやすいからなー、と放送後にツイッターなどで見聞きした賛否両論も絡めて思ったことを改めて、昨夜に同行した登山仲間とともに再考した。

それからトーク前後に服部さんの著書の即売とサイン会も行なっていて、僕も終了後に持参した『狩猟サバイバル』(みすず書房)と昨秋の新刊『百年前の山を旅する』(東京新聞)にもらい、これで僕は既刊の『サバイバル登山家』(みすず書房)と『サバイバル!』(ちくま新書)とともに4冊すべてにサインが入ったことになる(『サバイバル登山家』『狩猟サバイバル』『百年前の山を旅する』は増刷を重ねていてよく売れているが、そのなかで僕はすべて初版本を所有している、と軽く自慢)。

それで、服部さんに直にサインをもらうのは今回が3回目だったのだが、そのためか僕の名前をすっかり覚えられてしまったが(一応、以前に名刺交換も済ませている)、本ブログでもたまに服部さん関連のネタを挙げる影響でインターネット上のことだが服部さんが本人の名前で検索することによってこのブログに辿り着いて覗いたことがある、と逆に言われたのが驚いた。まさか、稀代の“サバイバル登山家”にもこのくだらないブログを覗かれているとは。たいしたことは書いていないのに。

だから、今回もせっかくなので触れておく。
服部さんの本はいずれも、現代日本の便利で安易な手法が大勢を占めつつある登山業界に一石どころか二、三石を投じてより愉しみを増幅させて深みも持たせる可能性を拡げてくれる、思いっきり「人力」派の正直な本ばかりです(と、宣伝)。

服部さんは僕が校正をやっていることも知っているので、いつになるかはわからないけれども校正者としての『岳人』絡みの仕事もお待ちしておりまーす。



なお、ついでにもうひとつ宣伝? だが、まだ3か月近く先のことだが5月15日(日)午後に、この店舗からも近い(最近はインテル・ミラノへのレンタル移籍でさらに大ブレイクの長友佑都の母校としてさらに有名になった?)明治大学駿河台キャンパスのアカデミーコモン3階の「アカデミーホール」にて、故植村直己の出身地の兵庫県豊岡市(旧日高町)が主催の「2011日本冒険フォーラム」が催されるのだが、そのパネリストのひとりとして服部さんも登壇することになっている。これも聴きに行くつもり。

昨夜にその案内をもらったので、僕は早速申し込んだ。これは会費要らずで参加無料だが、事前申し込みによる入場整理券の持参が必要だって。
ちなみに敬称略で当日の登壇者というか関係者を挙げておくと、

・中貝宗治 (豊岡市長、講演)
・廣江研  (明治大学山岳部時代の植村直己と同期生、講演)
・市毛良枝 (俳優、ゲスト予定)
・天野和明 (登山家、パネリスト)
・永瀬忠志 (冒険家・リヤカーマン、パネリスト)
・服部文祥 (サバイバル登山家、パネリスト)
・松原英俊 (鷹匠、パネリスト)
・江本嘉伸 (地平線会議代表世話人、コーディネーター)

となっている。
無料でこの豪華な面々を見聞きできるのは幸いなことだなあ。ぜひ。


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