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思考の7割と収入の3割を旅に注ぐ旅人の日々

一般的には遊び(趣味)と見下されがちな「旅」も、人生のなかでやるべき「仕事」である、という気概で旅する旅人の主張と報告。

埼玉県民のくせに初訪問の小鹿野町と毘沙門水

2012-12-31 10:00:39 | その他趣味

年内最後のネタとして、28日(金)、年末の小旅として日帰りで秩父市の中心部と小鹿野町へ行ってきたことを。
ホントはこのへんで泊まりがけの登山に行きたかったのだけど、計画縮小で。

今回の主目的は、趣味として毎年巡っている名水巡りの一環として、「平成の名水百選」に選定された小鹿野町の「毘沙門水」で平成のほうは地元である埼玉県の選定が多いのは嬉しいし、全国でも比較的行きやすいので助かる。

ここの湧水の存在は県内のある書籍で十数年前から知っていて、だから名水百選よりも前から地元では長らく親しまれていることも知っていた。
ただ、小鹿野町は秩父へ出てさらにそこから路線バスを乗り継いで、と行くのに時間もお金もかかるためにこれまでずっと敬遠してきて、登山で言うとこの近所の岩登りで有名や二子山(三角点は1166m)とその南にある日本百名山の両神山(1723m)も未踏の状態だった。埼玉県民のくせに、なぜかこの地域だけは無縁続きだった。

このままではいかん、ということで今年から動こうと思い、今回行ってみた次第。
結果、今回の移動で秩父鉄道と国道140号より西側の地域の土地勘はさらに掴めて移動に関する良い下見にもなったので、今後行きやすくなったか。来年、もっと県西部への疎さを解消するためにも、このへんの山を登りに行きたいなあ。

ちなみに名水のほうは、行ったときは熊谷ナンバーだから地元のクルマがちょいちょい来ていたが、群馬県内のナンバーのクルマも来ていたな。まあ県境あたりの地域の人も汲みに来るのだろうね。
取水口には注意書きがいろいろ貼ってあったが、クルマで汲みに来る人々のマナーが悪さからくる問題は特に休日にあるのだろうね。まあこれはどこの地域でも同様か。
凍結の恐れがあるために蛇口は完全に締めないで少し流した状態にしておいて、水を地面にこぼすと凍るから気を付けて、という冬場ならではの表記も見られた。
写真右のクルマが3台停められる取水口のところは斜面になっているので、凍結は特に心配なのだろうね。

ちなみに、現在は写真右の取水口が主体になっているが、以前は写真左の地蔵と案内板のあたりに取水口があり(と、過去の書籍で調べはついている)、今もそこに1本だけ管は通っていてそこでも汲める。2Lくらいしか汲まない僕はその程度でも充分だが、名水百選の選定によって有名になった影響で右のほうを数年前に新たに整備してこちらが主体にと変わったようで。 

まあクルマで訪れる方は今後も近隣への配慮を、と願う。


ではまた来年。

2012年の本ブログ閲覧数と訪問者数

2012-12-31 06:00:00 | 本ブログの能書きと自己紹介
今年も1年間のうちに本ブログにどのくらいの訪問者があったかを数字で振り返る。今年から簡素に。
gooブログの場合、「アクセスIP数」と「閲覧数」で訪問者を表していて、「アクセスIP数」は、単純に本ブログに接続してきたパソコンの台数=人数。「閲覧数」は、その接続してきたパソコンで本ブログのページを覗いた回数(述べ数)、のはず。
本ブログの場合の、それぞれの最も多かった日と週を以下に挙げる。

●日別

アクセスIP数  10/ 1、10/31=609
閲覧数(PV)   3/24=1955

●週別

アクセスIP数  1/ 1~1/ 7=2597
閲覧数(PV)  2/26~3/ 3=9353


今年の前半、特に2月と3月に(どこかの掲示板だかにリンクが張られた? らしい影響で)アクセス数が増えたようだが、まあ覗いていただける人が一時的にでも増えたのは幸い、と思うことにしておく。

また、gooブログのサービスで昨年始まった閲覧数(PV)と訪問者数(IP)の総計が毎日積算される仕組みもなんとなくは気になる。
ちなみに今日現在の累計値は、

トータル閲覧数(PV)  1006108
トータル訪問者数(IP)  347951

という感じ。
PVが先々週に100万超えとなったのね。
ただ、このトータルというのがgooブログに導入されたのは3年前だから09年からなので、06年に本ブログを開設して以降では実際にはもうちょい多いはず。まあいいか。オッケー、いい感じー。(←最近人気で、実は埼玉県育ちのローラの真似です。すみません)

来年も、ツイッターやフェイスブックに浮気することもあるけど基本的には本ブログを中心に続けます。

2012年の重大ニュース

2012-12-30 23:59:59 | 普段の生活(日常)

僕の今年の重大ニュースは以下のとおり。

●一般

1 地元からロンドン五輪金・銀メダリストが誕生
2 東京スカイツリーが開業
3 金環日食
4 オスプレイの普天間基地配備
5 アミューズトラベルが旅行業の登録抹消
6 中央自動車道・笹子トンネルの崩落事故
7 那智の滝登攀で逮捕騒動
8 地井武男逝去
9 立川明日香氏の新座市議選の当選取り消し
10 マクドナルドのメニューが消える問題

本ブログであまり触れていないことについて5点。

5、11月の中国・万里の長城のツアー事故により、3年前の北海道・トムラウシ山遭難からの教訓が活かされていないことが露呈し、アミューズトラベルは結局は廃業となった。まあ登山業界内の批判も多かったから、当然の流れでしょう。それなりに利益はあったのだろうから、それをもっと安全管理に注いで改善すればよかったのに。あの会社を率いていた人々は登山や歩く行為をなんだと思っていたのかなあ。今後、同業他社は気を引き締めてほしい。
こういった登山初級者向けの登山ツアーの状況把握のための潜入調査もやってみたい、という意欲も3年前からあるので、それも追々なんとか。

6、中央自動車道は、クルマには乗らない埼玉県民の僕個人的にも関越自動車道に次いで高速バスの移動などでたまに利用するため、他人事ではない事故で。崩落した天井板を支えるボルトの金属劣化とかその天井板のコンクリートの劣化(それ以前に板生成時の配合率が悪くて手抜き加工だった?)とかトンネル周りの岩盤の浸透圧が近年の地震によって変化したとか、崩落発生の原因は報道でもいくつか挙がったが、全部ひっくるめてのあの惨状だろう。
来年早々には全面復旧すると思うが、他地域のトンネルの点検にも(予算的に)力を入れてほしい。日本人は新たに何かを創る・造ることに関しては長けているが、それを維持管理してゆくことに関しては下手な気がする、とは前々から思っている。僕の身近なところで言うと登山道の指導標や環境省の長距離自然歩道や河川のダム・堰も含めて、公共事業は尚更。一度手をかけたモノは継続的に面倒を見ていかないとねえ。今後はそのためのメンテナンスの仕事や維持管理のための草の根的ボランティア作業がもっと重視されるべき、と願う。

8、今年も著名人や芸能人の逝去の報道はいくつもあったが(芸能界ではここ1か月は森光子と中村勘三郎が特に話題になったか)、僕は地井武男が最も残念であった。好きな旅系のテレビ番組のひとつだった『ちい散歩』も途切れてしまったのがなあ。最近もたまに、録画したその追悼番組を観ている。今後、地井氏ほどの“いぶし銀”という表現がぴったりの名脇役は現れるかなあ。(僕個人的に主役よりも気になる)ここ数年の活躍が目立つ脇役では、中原丈雄、平田満、光石研、相島一之、六角精児、田中要次、甲本雅裕、津田寛治、小市慢太郎、佐藤二朗、平山浩行、山中崇、新井浩文、浅利陽介、染谷将太、あたりに注目しているが、彼の後継と成るかどうか。

9、今年上半期のウチの地元の市議選で“美人すぎる市議”で話題となった立川氏だが、住環境というか居住実態の問題で当選取り消しで。で、取り消しの取り消しを求めて係争中だったが、今週になって小耳に挟んだ話ではこの年末に市役所で記者会見を開いて市議を辞職したそうで。若い女性目線で少しは期待していたのに、1期4年も保たずに10か月で職務放棄とは、市民からするとなんだかなあの事態ではある。たしかに美人だが、この有様では売名行為と言われても致し方ない。結局はどこの自治体でも良かったのかねえ。

10、今夏からだっけか、全国のマクドナルドでカウンターでの注文時に台に敷いてあったパウチしたというかシート式のメニュー表が消えて、カウンター後方上のメニューをいちいち見上げるようにして、しかも利益率の低い単品メニューの表記は控えめにしてセットメニューが主体の表記に変えて客になるべく後者を促すようなカタチに変えて利益を追求、という姑息? とも言われる手段に変更した。ただ、見えにくい・わかりにくいとメニュー表を撤去したことへの批判もあってか店舗によってはカウンター脇にメニュー貼り出していたりという便宜を図っているところもあるが、たしかに、単品はどこにあるの? と注文時に戸惑う客も上半期に比べると若干増えた。
そんなことで既存・新規の客が離れる可能性を高めるよりも、低予算でもより多くの客が来るようにメニュー撤去なんてやめればいいのに。そんなにたいした手間の違いはないし。利益を考えるとむしろ、たまに実施するハンバーガー無料券みたいなのをやめるほうがよい気がする。(今年でほかにはコーヒーのおかわり無料の廃止策も含めて)この弱者締め出し? の策は僕のように(金欠のときは)コーヒーやホットティー1杯で長時間居座る利用客への対策でもあるのだろうけど。要は回転率を高めたいんだね。でも駅前型店舗はともかく、回転率は常にとても良いとは言えない郊外型の店舗もあるんだよなあ。まあ後者も休日の日中や時間帯を問わないドライブスルーの需要はそれなりにあるけど。
そういえば回転率で思い出したが、先日、東京都・渋谷駅前のやや混み合う時間帯の店舗で友人と1時間ほど食べながら話しているときに、基本的には片付けもセルフサービスのはずだが食べ終わったトレーを店員が目ざとく見つけて勝手にさっさと下げられて長居を妨害される? ような冷たい対応も見られたが、まあ混雑率の高い店舗では致し方ないのか。うーむ。


●個人

1 365日ダテメガネ
2 高尾山でプロトレック紛失
3 ノートPC買い替え
4 近所の郵便ポストの収集が1日1回に縮小
5 2月の沖縄県で右足首捻挫
6 マンガ『岳』と『華麗なる食卓』の連載が終了
7 1月の旭川でマイナス19度の野宿
8 自宅にネズミ発生(初)
9 BD-Rを買うために秋葉原通い
10 フェイスブックを始める

個人的なことのほうも5点。

1、ダテメガネは2年前から春の花粉症対策として導入しているが、その延長でほかの時季にも使っていると、主に強風時や自転車での移動のときの目の保護にかなり役立つことがわかり、とりわけ冬場は風を切って前進するときにも随分ラクになった。だから今年、100円ショップで買えるような安物のメガネであっても1年を通じて使い続けてみると、いろいろ助かる場面は多かった。
しかも、校正という目を酷使する仕事柄、特に重要な目の保護にも力を入れてみるかと今年の年始から思い始めたため、尚更手放せなくなった。今後も場面によってはダテメガネを使い続けようと思う。視力はまだ裸眼でも大丈夫で老眼でもないが(年配の同業者と仕事で一緒になると、老眼で細かい文字は特に辛い的な話題を耳にする機会は年々増えているけど)、ゆくゆくは度付きメガネに切り替わる可能性もそろそろマジメに考えてゆかなければ。校正者は、目が命。

2、11月上旬に高尾山へ行ったときに、実は登頂したすぐあとに山頂付近で気温を計ろうとプロトレックを腕から外してデイパックのショルダーベルトにしばらく掛けていたが(気温計測は腕に装着したままだと体温の影響で正確な数値は出ないので、外す必要がある)、ベルトがうまく留まっていなかったのか、何かの拍子に外れてしまったようで。で、落としたのに気付いたのは日没直後の薄暗いときだったこともあって、その可能性のある場所を捜してもダメで、結局はヘッドライトを駆使しても30分ほど捜して真っ暗になったところで断念した。
そういえば現在のプロトレックは大半が電池交換不要のソーラー発電を導入しているが、僕のは12年前に買ったまだ電池交換式のモノで、実はそろそろ買い替えどきかなあとちょうど思っていたところなので、交換時期が来たのかもしれない、と思い込むことにした。
もし誰かがそれを拾ったとしても、主に山で12年も酷使したせいでガラス面もバンドも傷だらけで、しかも約2年ごとの電池交換で防水検査込みで2500円近く出費することもあり、他人が所有していても良いことはほとんどないだろうなあ。
そのため、現在は登山するさいの必需品であるプロトレックなしで特に高度計測ができない状態はとても困っていて(特に雪山登山と沢登りでは欲しいところ)、新品購入を検討中。でも現在は種類は豊富になってはいても安いモノでも2万円近くする商品のため、何はともあれお金なんだよなあ。

3、10月下旬にノートPCを新たに買った。まあそのきっかけは6月にも触れた、これまで使ってきたソーテックのノートPCの不具合発覚で、それに3年ほど前からたまにその使用中になんの前触れもなく画面が消えて勝手に再起動してしまう症状も現れて、実は使い続けるうえでのストレスは年々溜まっていた。やはりPCのような繊細な電化製品は進化と劣化が年々激しくなって、水モノやねえ。
先日買ったのは東芝のBDも扱えるWindows7モデルで、WordとExcelのそれぞれ2010も付いて5万円未満だったので、かなりお買い得かと思う。でもまだ全然触っていない、使える状態ではないけど。
来年はまずはそれを使える状態にして、今のPCを別モデルに交換できるらしいのでそれに応じて、交換したモノを予備扱いにして2台持ちにする、というかできるといいな。

4、郵政民営化からしばらく経ってはいるものの、毎年末の年賀ハガキの宣伝に力を入れている様子以外に僕が日常で民営化を実感する機会はほとんどなかったが、今年になってようやく? そのひとつが近所で起こった。
これまでは1日2回の収集だった自宅から最も近い場所の郵便ポストが、平日も休日も1日1回の収集に減った。これは他人からするとだからどうした的なくだらない? 変化に見えるだろうが、地元で30年以上もそのポストにお世話になっているひとりとしては回数が減ったのは大ショックで、(おそらく僕が産まれる前からあった)このポストの設置以降の歴史に思いを馳せても、かなりの大事件であろう。土地の広い町村レベルの自治体の山間部などでは1日1回はよくあるが、人口15万人超の市の一角でもこうなっちゃうのはなんでだろう、いわゆる合理化というやつか。まあそう考えると致し方ないとは多少思いますけれども。
とはいえ、(ウチの場合は)10分くらい自転車を走らせて郵便局へ行けば平日は相変わらず2、3時間おきくらいに郵便物の収集は行なっているから実際にはたいした悪影響はないが、体調不良などなんらかの理由で郵便局にまで足を延ばすのは億劫で、でも(年末年始の年賀状など)郵便物を出さなければならない必要があって自転車を飛ばせば3分ほどのところにある郵便ポストで済ませたいときもあるではないか。人間だもの。そういうギリギリの状態のときに、この変化は慣れるまではちょっと面倒に思うかも。

9、昨年末からハードディスクレコーダーを日々活用している影響でその容量も油断しているとすぐに尽きそうになるのだが、なんでもかんでも録画した番組のBD-Rへの移動というか記録にも忙しく、そのため空のBD-Rが常に必要で、ちゃんと数えていないが今年だけでおそらく100枚近く買っていると思う。で、その大半を秋葉原で買っていた。大概は『あきばお~』で。そのほうがヤマダ電機やビックカメラなどの家電量販店よりも若干安いから。ちゃんとした日本メーカーのモノが。ちなみにウチの近所に幸いにも「PC DEPOT」もあるので、ここでも台湾製だか中国製だかのノーブランドで割安のBD-R・BD-RE・DVD-Rも買っている。それも含めると全部で150枚は超えているかなあ。
まあ秋葉原に通うといっても3か月に2、3回くらいの頻度で、しかも東京都内に何か用事があるときのついでに行っていたが、いつもは秋葉原で途中下車してAKB48関連や午後の歩道上に点在するメイド服でチラシ配りの娘になんか目もくれずにBDだけ買ってすぐに別の場所へ移動、という感じだけど。今後もこんな感じで秋葉原通いは続くと思われ、このペースで増え続けるとせっかくVHSの頃よりも収納に場所を取らなくなって幾分ラクになったはずなのに、増えすぎてえらいことになるなあ。

という感じの1年であった。

今年は東北への拠出は低調

2012-12-29 23:59:59 | 東日本大震災
今年は年収がここ10年で最も少なくて厳しかったこともあって(28日(金)の投稿の“私事”の影響もあり、今年も6桁……)、先日交代した自民党が主体の政権の人々よりも東北への思いと想いは持っているつもりでも、「支援」という意味では低調だった。義援金・支援金の拠出も0円で、そちらの面では何もできなかったのが悔しい。

ただその代わりに、なるかはどうかわからないが、今年は岩手・宮城・福島の3県のアンテナショップへ行く機会は積極的に設けて、駅前やフリーマーケットなど街なかで東北支援的な即売会でも催していようものならなるべく覗くようにはしていた。
で、微々たる金額だがたまに買い物もしていて、おそらく今年の合計で5000円以上は買っていると思う。もちろん、それだけではたいしたことはないけど。東京都心のアンテナショップ、特に東銀座のいわて銀河プラザ、池袋の宮城ふるさとプラザ、東京の福島県八重洲観光交流館、の3軒のうち、買い物はいわて銀河プラザが最も多かったか。


今年は海産物や酒類を含む飲料のほかに興味深い実用的な小物も多く見かけて、写真は盛岡市のマルツ工房の「イワテヌグイ」の今夏の新作だが、デザインが良かったので買った(税込1260円)。今後は東北への意識を持続させるためには飲食物のような“消え物”よりは、日常で使い続けられる、多く触れることによって東北を頻繁に想起させるモノを買うほうがよいのかもしれない。

今年は、昨春から特に気にしている宮城県亘理町への再訪もこの年末までにせめて1回はと思っていたが結局は金銭的に無理で断念し、来年は登山以外の他地域への旅は極力控えて、東北への再訪の時間をできるだけ作りたい。よく考えたら1年9か月前の震災後に、(北海道以外では)仙台市より北へはまだ行っていないし。

買うのも行くのも何をするのも、まずはお金だよなあ。

今年、“私事”によっておそらく日本一の服部文祥マニアに成った、かもしれない

2012-12-28 23:59:59 | 出版・言葉・校正
秋以降にようやくそこそこの成果が出て、年末ということもあって初出しの報告を。

23(日)の投稿の続き(前振りの受け)みたいなものだが、今年の年始からずっと服部文祥氏の著作を読んでいた。
服部氏の著作は6年前からの発行順に、『サバイバル登山家』(みすず書房、2006年。現在14刷)、『サバイバル! ――人はズルなしで生きられるのか』(ちくま新書、2008年。同初版)、『狩猟サバイバル』(みすず書房、2009年。同7刷)、『百年前の山を旅する』(東京新聞出版部、2010年。同4刷)、『狩猟文学マスターピース』(みすず書房、2011年。同初版)と単著では計5冊あるが、今年は『百年前の山を旅する』以外の4冊を。
というか、「読む」以上に時間をかけて、校正の仕事くらいの力の入れようで「視た」と言うほうが正しいかも。この件について。

コトの発端は昨年2月のトークイベントで服部氏と会ったときに、「俺の本も校正してくださいよ」と言われたことで、このときはお互いに単なる社交辞令としか思っていなかったはずだが、その翌日以降に、実は僕はそれまでに服部氏の文章は編集部員として所属している月刊誌『岳人』の記事は随時読んでいても既刊の著作を通しででは『サバイバル!』の1冊しか読んでいない状態だったので、なんなら読書ついでにやってみるか! と思い立ち、社交辞令をあえて真に受けて取り組むことにした。
なぜそう思ったかの決め手は、先の投稿でも挙げたように単に登山に関してはここ数年で最も好きな書き手であること。雑誌記事はよく読んでいてもこの頃は単行本のほうはあまり読んでいなかった状態も幸いで、もしすでに全部読んでいたら断って(無視して)いたかもしれない。

ひとまずそう決めて翌月から始めるつもりだったのだが、仕事しながら下準備をしている最中に東日本大震災が起こってしまい、その影響でばたばたしてしばらくはどうしても読む気分にはならず、優先してやるべきことも発生したせいでこの件は放置して無期延期の状態になっていた。

だが、年が明けて今年の年始、手持ちの仕事の区切りがついて落ち着いたこともあって、そろそろいいかな、と1月から着手した(まあ要はただの読書ですけど)。ただこれは報酬の発生する仕事ではないので、特に見返りなんか期待することもない極私的な趣味の一環として、しかしやるからには仕事並みに注力するために、仕事と趣味の中間のような位置付けで自分のなかでは“私事”という呼称で取り組んでいた。

で、具体的にどういう作業だったかは秘密、でもなくて挙げてもよいが細かく説明するのが面倒なので割愛するが、僕は本への書き込みは元々嫌いなのでそれはやめてふつうに別紙にメモを取ったり付箋を使ったりして疑問点を洗い出した一覧表を作って、1冊終えては服部氏に結果を随時送る(贈る?)、を繰り返すカタチであった。

服部本を改めて詳しく視ると誤植が結構あり、しかも今春に服部氏と東京都内某所で個人的に会ったときの“事情聴取”で知ったが、増刷するたびに気付いた点は修正していると聞き、だから刷数が後の本のほうが徐々に改善されている。とはいえ、一応はプロ校正者の僕の見立てでは正直とても改善したとは言えない(失礼ながら)お粗末な状態の箇所も数多く見受けられた(しかもそれが本の発売以降はずっと放置された状態で、なぜ誰も指摘しなかったのか……)。

僕は読者歴が今年で18年の『岳人』というと、今月発売の13年1月号からの誌面の大幅なリニューアルに伴って服部氏はなぜか編集部員なのに「スーパー(超)・登山論」という新連載を持つようになったが、それも含めてこれまでの氏の記事のなかでも誤植および誤植と疑わざるを得ない表記も散見され、ああせっかく表現者としてカッコイイことを書いてまとめたつもりでもそういう粗相がたとえ1文字か2文字程度でも存在するとそのぶん説得力を欠き、面目丸潰れまではいかなくてももったいないよなあ、と常にいち読者として心のなかでツッコミを入れていた。なので、(出版のために書き下ろした箇所も多々ある)本も似たような傾向なのかと最初から疑ってかかると案の定で、読み進めるうちに疑問点が次から次へと浮かび上がってきた。まあ良く言えば校正しがいがある、ということか。
今年は服部本を視ながら、良い内容なのに「もったいない」と心のなかで何百回言ったことか、というくらいにもったいない状態である(現在、全国の書店や図書館に流通している本たちが、ということ)。

“私事”で苦労した点をひとつ挙げると、読書以上に力を入れて読むために(1冊あたりで少なくとも3、4回は読み返すくらい時間をかける。というかホントは校正という作業は文章を読んではいけなくて文字を1つずつ追うものだが)、集中力を持続できる環境を探すのが大変だったことか。まあ大概は客入りの少なそうな立地・時間帯のマクドナルドを狙って行って毎回2時間以上は集中して取り組んでいたが(今年4月のエイプリルフール無視ネタで触れた、2月の沖縄県内の旅の最中に読んでいた本も『狩猟サバイバル』だった)、テレビやら菓子類やら横になれる布団やら誘惑の多い自室で、しかもあぐらのままずっと作業し続けるのは腰を痛めたりして限界があるので、どうしても誘惑を断ち切るために、そしてたまには椅子に座りたいがために外出する回数が多かった。だから今年は特に、最近流行りの“ノマド(ワーキング)”みたいなカタチが多く、ファストフード店や喫茶店に長時間入り浸る人たちの気持ちもわからなくはない。
ただ僕の場合はPCはあまり使わないほとんどアナログ作業なので(普段のちゃんと報酬のある仕事も、ペンを持ちながら校正紙とにらめっこの時間が大半)、“ノマド”が毎回苦慮する電源確保の問題とはほぼ無縁だったけど。

そういえば今年の服部氏の動向を振り返ると、お得意の“サバイバル登山”は少なめだった気がする(「気がする」というのは服部氏がウェブサイトやブログや最近流行りのSNSに否定的で、私的な情報発信は昔気質の活字媒体にこだわっている=お金にならないものは書きたくないからで、そのぶん私生活の情報は出さない影響もあるけど)。
その代わりに? 3月は神保町で内澤旬子女史の対談相手に指名され、4月は(『岳人』12年6月号の表紙と記事にもなったが)服部氏のファンだと公言する人気若手俳優の瑛太とともに八ヶ岳南部の雪山へ行き、夏はつり人社のムック『渓流 2012 夏』で登山装備の持論展開とともになぜかセミヌード写真!? を披露し、昨年の震災の影響で延期して今年開催となったモンベルの「冒険塾」では野田知佑・関野吉晴など野外業界の重鎮とともに講師役として名を連ねて参加者たちに泊まりがけで“サバイバル登山”を伝授し、陸上競技で数年前から取り組んでいるという中距離走の年代別で全国優勝し(記録は男子M40の800mのところに)、10月には実は旧知の仲の(ヒマラヤ8000m峰14座完登の)竹内洋岳氏との公開対談に登場し、ほかにもそれらの合間に講演がいくつかあり、と自分の行為と表現を突き詰めるよりも他者と交わる機会のほうが多かったか。なんでだろう、今年に偶然重なったのかなあ。というか、『岳人』の編集部員という本業以外の副業がやたら多いよなあ。

まあこれは、業界的に比較的どころかかなりの有名人の服部氏のことなので公的な情報は集めやすく、参考までにつらつら挙げてみましたけど。
このような服部氏の動向も掴みながら随時、僕が服部本を読了してからまとめた“調査結果”を随時送り、それに関する連絡・補足等をメールでやりとりしていた(ざっくり言い換えると、僕が服部氏に容赦なくツッコミを入れ続けていた)。氏の今年の表立った活躍の裏で、実は僕がそういう嫌味? なことをやっていたのであった。


渓流 2012 夏』。今夏、服部氏がこれにも登場していることを知っている人は釣り人以外では少ないと思われる。僕の仲間内でもほかに1人しか知らないっぽいから。この記事のなかにも目を覆いたくなるような大問題の誤字がある。

ああそういえば瑛太は、来月からの1月クールのテレビドラマに、フジテレビとテレビ東京の2本掛け持ちで主演するという無茶をやるらしいが、大丈夫かねえ(近年、同じクールのドラマを2本か3本、さらには映画や舞台演劇も、と仕事を複数掛け持つ役者は多いが、ドラマで主演級の掛け持ちは異例。でもまあ撮影時期はたいしてかぶっていなかったのだろうけど)。しばらくは山に行くどころではないだろうがまあ面白いので、同じ服部ファン目線で観るつもり。
ついでにもうひとつそういえば今年、瑛太と杏が共演の某飲料のテレビCMを観ると、登山経験者のあの組み合わせでオリジナルの山ドラマか映画を創ればいいのに、と思った。

そして、僕のその働きかけ? の結果どうなったかを宣伝ついでに挙げると、まだ『サバイバル登山家』の1冊のみだが、実はこの本は10月に約1年ぶりに増刷して14刷になったが、この刷から僕の指摘によって修正されたところが数箇所あり、若干だが本として改善されている。ただこれは素人目にはわかりにくいと思うが、たしかに替えている部分はある。さてどこでしょう。

おそらく絶版状態の『サバイバル!』の増刷や再販は今後も無いと思われるが(でも僕はこの新書サイズが最も読みやすいと思う)、服部本は各種媒体の本の特集記事や書店のフェアなどでも度々取り上げられるので、今後の再注目による売れ行き次第では『狩猟サバイバル』と『狩猟文学マスターピース』はまだまだ増刷の可能性がありそうなので、修正してそれぞれ8刷と2刷が刷られる場合は同様に僕の指摘部分が改善される、かもしれない。
ただ、どこを修正するかはやはり最終的に著者の判断に委ねることに。僕は最大限の選択肢を提供した時点で作業はおしまい。校正者という立場は作者を尊重するために出しゃばりすぎてもいけないので(本来こういう私的な話をブログに書くのもどうかと思うが、すでに世間に出回っている本のことですし、ネタとして面白いので、使ってしまってすみません)、結局はそんなものだ。

指摘箇所は、プロではあっても登山に疎い校正者が視ると見逃す、もしくはわざと流す点もあると思うし、登山の専門用語などある程度は登山のことを知っている者でないとわかりにくい記述もあり(道具、動作、仕組み、山・谷・尾根の名称、俗語などなど)、服部本の作業は(手持ちの時間が多いという意味も含めて)数多の校正者のなかでも近年の登山および関連媒体の傾向も掴んでいる(つもりの)僕にしかできないことではないか、と自負している。服部氏が『岳人』の編集に加わった約16年前から氏の書くものに触れているため、筆致を人一倍知っていることも強みだとも思いますし。
おそらく、服部氏の筆致は感覚的にも年配もしくは山岳関係の編集者やほかの書き手でも理解し難い部分もあるだろう(と、今回取り組んで尚更そう思った)。だから、服部本の一連の“私事”は面倒ではあったがやりがいは普段の仕事以上にあった。野外業界内の服部氏と僕の年齢的な立ち位置を再確認することもできてむしろ良い勉強にもなった。

ホントは服部本に関連する内容の媒体もなるべく調べて反映させたかったのにその時間はあまり取れなかったのは悔しいが、僕も普段の生活があるもので、どうしても、ねえ。まあこれが報酬付きでお金の懸かったれっきとした仕事であれば、目の色を変えて最優先で取り組むだろうけど。
でもまあ関連のある作品として今年、映画では『デルス・ウザーラ』と『リバー・ランズ・スルー・イット』を観て、あとマンガネタで挙げなかったがイブニング連載『山賊ダイアリー』(岡本健太郎、講談社)の既刊2冊も読んで、それらの作品に触れることも服部本の世界観の理解の一助にはなった。

出版物の編集と校正を担当する場合、その著者(もしくは依頼・発注者)の思惑や世界観にいかに深く寄り添うことができるか、というのが肝要だとは常に思いながら取り組んでいて(週刊ヤングジャンプ連載『ハチワンダイバー』で言うところの“ダイブ”の感覚で)、その点は仕事でも“私事”でも変わらないと思う。という僕の普段の仕事の初心に立ち返ることもできた、(僕が得することはほとんど無い、しかも無収入状態で取り組む、という意味で)苦しくも有意義な作業であった。こういう機会が生まれたことを逆に(僕の“私事”を受け容れる懐の深さもある)服部氏に感謝したい。今後はこのようなカタチを仕事としてできるとよいけどなー。

というわけで、今年の“私事”のおかげ? せい? で、服部本に限ってはおそらく書いたご本人以上に詳しくなった、かもしれない。とりわけ、漢字の使い分けや固有名詞・ルビの扱いやかぎ括弧付き会話文の挟み方など表記の癖に関しては尚更。なんなら、ビッグコミックスピリッツ連載『花もて語れ』ばりに情景描写を踏まえた朗読もできそうだなー。というか今後の何かの催しで、服部氏が直接それを披露すると面白いと思う。

ホントは併せて年内に終わらせたかった『百年前の山を旅する』が残ってしまったので、来年の年始から取り組んで早めに完結したい。それとともに僕は現金なヤツなので、業界的に顔も広い服部氏を介して今後は正式な仕事が入るといいなー、と淡く期待もしている。いわゆる、「損して得取れ」ということです、はい。

2012年の野外関連の誤植実例

2012-12-28 00:00:30 | 出版・言葉・校正
昨年に続き、今年1年間のうちに出版された野外関連の紙媒体、特に雑誌とムックに触れている最中に発見した特にわかりやすい、および僕が憤慨した誤植について挙げてみる。今年は25例を。
×が実際に掲載されていたカタチで、○は校正者の僕が視るとこう改善すべきではないか、という訂正例。


●『ワンダーフォーゲル』12年4月号(山と溪谷社)

×カミホロメトック
○上ホロカメットク

※北海道・十勝連峰南部の山名。昭文社・三省堂の地図・書籍も「上ホロカメットク」の表記。たしか他誌にあった山頂の道標の写真でもこの表記だったような。ただ北海道新聞社の書籍では「上ホロメトク」だった。北海道特有のアイヌ語の表記は判別が難しいが、なるべく現地の表記に合わせたいところ。


●『山歩みち』007号(フィールド&マウンテン)

×梅田駅
○大阪駅

※兵庫県の「須磨アルプス」の登山コース案内の略図で、JR山陽本線の東側の至る表記で「梅田駅」としているが、「梅田駅」の名称は阪急電鉄・阪神電鉄・大阪市営地下鉄に使われるので、厳密にはJR(東海道本線)の駅名は「大阪駅」のほうが正しい。ただ、僕は関西方面の事情には疎いが、地元民や大阪駅とその周辺へ行く乗客には「大阪」よりもこの駅付近の地名でもある「梅田」のほうが馴染み深くてそちらを重用するらしい、という傾向があると小耳に挟んだことがあり、そのためにこの略図では「大阪駅・梅田駅」と両方の駅名を併記するのがよいのかも。
また、この略図の場合、大阪駅・梅田駅よりも直近の関西屈指のターミナル駅として、「三ノ宮駅」を挙げてもよかったのではないかとも思う(この駅も鉄道会社によって「三ノ宮駅」と「三宮駅」と表記が分かれていてややこしいが)。


●『フィールドライフ』2012春号((エイ)出版社)

×清秋林道
○青秋林道

※白神山地に関する記事で、誤字。1980年代の建設反対運動によって青森県側が未完の「青秋林道」は青森県と秋田県を通す計画だったので。


●『別冊PEAKS 八ヶ岳トレッキングガイド』(出版社)

×ほんさわおんせん、なつさわこうせん
○ほんざわおんせん、なつざわこうせん

※山小屋の名称のふりがなで濁点が抜けている。「本沢温泉」の場合、ウェブサイトのURLも確認すればわかりそうなもので。


●『別冊PEAKS 週末トレッキングガイド[関西編]』(出版社)

×武奈ヶ丘
○武奈ヶ岳

※本文は合っているが、図版の高低図の山名表記で「岳」を「丘」と誤記。似た字といえばそうなのかもしれない……。
ちなみに、同社のほかのムック『別冊PEAKS 北アルプス・八ヶ岳撮影ポイントガイド』では飛騨山脈・槍ヶ岳の西の「樅沢岳」を「樅山岳」とする誤記もあり、この版元は本文と図版の整合性が取れていない、そして図版の微妙な誤記も頻発する。


●『ベストカー情報版 アウトドアGEAR最新カタログ2012-2013版』(講談社ビーシー)

×SUNTO
○SUUNTO

※道具類の解説の一部で、単にメーカー名「SUUNTO(スント)」のアルファベット表記の脱字。そばに商品写真を添えていてそれで「SUUNTO」と判別できるにもかかわらず。


●『TRAMPIN’』vol.8(地球丸)

×非情通信手段
○非常通信手段

※携帯電話・無線など救助要請に関する説明の一部で誤変換。人間らしい思いやりの感情を持たない「非情」は薄情や冷徹といった非人道的な意味合いもあり、直ちに生死にかかわる救助要請のような人情ありきの情報伝達と行動について触れる場合には不適切な表現で、倫理的にもまずい誤変換ではないか。そのあとに妥当な「非常」の表記は2回あり、なぜ「非情」が誤変換のまま残ってしまったのかは気になる。


●『岳人』12年6月号(東京新聞)

×ツェルト2
○ツエルトII

finetrack(ファイントラック)製品の紹介で、商品名を微妙に誤字。小文字の「ェ」は『PEAKS』12年3月号(出版社)の記事にもあり。また、『ワンダーフォーゲル』12年4月号(山と溪谷社)には「ストームゴーシュアルパインパンツ」というのもあり(正しくは濁点の「ストームゴージュアルパインパンツ」で、フランス語で峡谷を意味する「gorge」のカナ表記)、なぜかこのメーカーの商品名の誤字は結構多い。カタログどおりに書けばいいのに。


●『GO OUT』12年7月号(三栄書房)

×WID-1
○WILD-1

※東日本と京都府にチェーン展開の野外道具店「WILD‐1」大文字「L」の脱字。同誌の12年4月号では「wild-1」という小文字表記もあった。紙面で時折、店舗紹介をすることもあって普段から懇意の得意先? 同士の関係なのに、なぜか店名の誤字が出てしまう。


●『CYCLE SPORTS』12年7月号(八重洲出版)

×クランクに貼られた→マークは、もちろんイカ娘の髪の毛がモチーフだ
○クランクに貼られた→マークは、もちろんイカ娘の触手がモチーフだ

※特別企画「痛チャリの世界」の記事で、主に(実際にレースにも出走できる仕様の)ロードバイクのリヤホイールのホイールカバーやフレームにあえてアニメキャラクターの塗装を施す“痛チャリ”の実例として27台を紹介しているなかで、週刊少年チャンピオン連載でアニメ化もされたギャグマンガ『侵略!イカ娘』の塗装の紹介の一部。
この原作を読んでいない人にはわかりにくいことだろうが、基本的にはイカである主人公の「イカ娘」の水色の頭髪部分は厳密には触手なので、この場合はできれば「髪の毛」ではなくそのように書いてほしい。「触手(髪の毛)」という併記でもよいか。
ちなみに、この原作とアニメでは絵柄が若干異なり、イカ娘の痛チャリの紹介は27台中3台だったがいずれもアニメのほうの絵を使用していると見受けられた。その場合、アニメの第1期は『侵略!イカ娘』、第2期は『侵略!?イカ娘』とタイトルロゴの疑問符・感嘆符が微妙に異なるのも注意したい。原作は第1期と同様に「!」で。僕は原作もアニメもチェックしているためにその微妙な差異もわかり、気になっちゃう。


●『別冊PEAKS 登山口パーフェクトガイド』(出版社)

×卵丼
○玉子丼

※山梨県北杜市の「中村農場」の食事処のメニューの説明で、「お品書き」の一覧では「玉子丼」である。ウェブサイトでも確認済み。
今年はこの誤記を機に、媒体の大小や分野を問わず料理に関する記事で頻出する「卵」と「玉子」の表記の(諸説ある)使い分けについて深く考えることとなった。丼物として調理した場合は「玉子」が妥当であるし、少なくともこの場合は実際の店舗のメニュー表記をそのまま反映させるべき。


●『別冊PEAKS シェルパ斉藤の厳選トレイルガイド』(出版社)

×大島登山口
○大鳥登山口

※誤変換ではなく地名の誤記。ほかの媒体でも「島」と「鳥」の勘違いはたまにある。これらもたしかに似た字ではあるけど。
ちなみにこのムックについて、シェルパ斉藤氏のウェブサイトで自身も触れているが、6月下旬のこの出版の直前には山梨県在住の斉藤氏が編集作業の追い込みのために上京し、版元とのやりとりのためにほぼカンヅメ状態で制作していたそうで、時間の制約もあったためかほかのページにも確認が間に合わなかった? と思しき誤字がいくつもあった。もっと時間と人手をかけて制作していれば改善できたはずの問題点ばかりで、もったいない。

●『別冊PEAKS 山岳遭難最新エマージェンシーBOOK[改訂版]』(出版社)

×自動対外式除細動機
○自動体外式除細動器

AEDの解説で、「体外」を「対外」と誤変換。
ちなみにこれを機に今夏、東京23区内のいくつかの大手百貨店の店舗案内を入手して表記の確認とともにAEDが店内に実際に配置されている場所の確認を行なったりもして研究してみたが、おおむね正しかったが銀座三越は「対外」になっていた。(僕も過去の仕事で多少の経験はある)こういった百貨店の出入口やエスカレーター前によく配置しているような無料の配布物の制作でも誤記は出やすい、と再認識した。


●『山と溪谷』12年8月号(山と溪谷社)

×ダイダラ尾根
○ダイグラ尾根

※飯豊山周辺の概念図(図版)の表記で誤記。たしかにカナのなかでも特に「タ」と「ク」は似ている字ではある。


●『岳人』12年8月号(東京新聞)

×63歳のエヴェレスト(白山書房)
63歳のエヴェレスト(白水社)

5月下旬にエヴェレストを女性最高齢(73歳)で登頂してギネス認定もされた、と話題になった渡邉(渡辺)玉枝氏の登山に関する記事で(エヴェレストの登頂は今年が2回目)、付記していた1冊のみある(03年出版の)著書の、版元の誤認識。この本は現在は絶版状態らしいが、僕は古本で所有している。


●『Trail Running magazine』No.10(出版社)

×天使山地
○天子山地

※5月中旬に初開催の、富士山麓を一周する長距離トレイルランレース「ウルトラトレイル・マウントフジ」のコース後半の難所の(一般のハイキングコースとしてもやや難度は高い)、山地名の誤字。ここを通過する頃には疲労困憊で幻覚症状が見えた人もいた? の参加者たちの目の前には、天使は現れたのだろうか。


●『PEAKS』12年9月号(出版社)

×野口みづき
○野口みずき

※人名の誤記(しかも夏季五輪金メダリストという一般的にも有名人の名前の)。彼女が愛用している山本光学・SWANSのサングラスの写真の注釈で、しかもその写真に直筆サインがしっかり写っているにもかかわらず。記事では直筆と活字の整合性を即座に確認できるため、より失礼な誤字かもしれない。


●『MOUNTAIN GEAR BOOK』(出版社)

×WHISPERLIGHT INTERNATIONAL
○WHISPERLITE INTERNATIONAL

※ひとつの媒体のなかの同じ製品の紹介で、製品名の9ページ「LITE」と129ページ「LIGHT」の混在。ちなみにMSR製品を販売するアメリカのカスケードデザインのウェブサイトでは「LITE」となっている。ただ、「LITE」はたしか「LIGHT」の簡略形の表記で、厳密には意味は同じだとは思うが、製品名としては「LITE」のほうが正しいはず。この製品は僕も15年ほど使用していることもあり、当然気になる。


●『フィールドライフ』2012秋号(出版社)

×経済規模こそ異なるものの一昨年の事故を経験したわれわれがニュージーランドに学ぶことは多い
○経済規模こそ異なるものの昨年の事故を経験したわれわれがニュージーランドに学ぶことは多い

※記事の書き手が著名なのであえて名前を挙げると、アウトドアライターの村石太郎氏の記事。高品質のメリノウールを活かした製品でよく知られるニュージーランドのメーカー「アイスブレーカー」の取材記事で、(開拓後の)現在は自然保護国に転換したニュージーランドが電力政策でも原子力に頼らないことへの言及の一節。
このフリーマガジンの号の発行日は今年の9月30日で、同社について内容が重複にならないように別の書き方で取り上げていた『PEAKS』12年9月号の連載「野外道具探訪記」の記事によると、どうやらここへ取材に行ったのは6月(南半球の秋)らしい。
となると、もし件の一節の「事故」が11年3月の東日本大震災による東京電力福島第一原発(“いちえふ”)の爆発事故のことであれば、その発生からの経過年月は取材日時点で約1年3か月、この号の発行日時点では約1年6か月、といずれも2年には満たないため、「一昨年」では不適切である。しかし、「一昨年の事故」が10年1月の九州電力川内原発または同年12月の同玄海原発の事故と、“いちえふ”以外の事故を指すのであればこのままで正しいので、疑問出しにとどめておく事例かもしれない。こればかりは書いた本人にいつ・どこの「事故」なのかを直接確認しないとどうしようもない。今月の「遊歩大全ナイト」で村石氏と会う機会はあったのだが、訊きそびれた。
ただ、僕の直感ではこの「事故」は全国的に有名になってしまった“いちえふ”のことのような気がするので、もしその場合は2年経った、と経過期間を実際よりも3か月か6か月も長めに書く(“さばを読む”)のは特に福島県民や原発被害を現在も注視する読者にとっては違和感を覚える、というか気に障る、これまた倫理的にまずい表記かもしれない。そういう意味でも印刷前にきちんと確認すべき点である。


●『PEAKS』12年11月号(出版社)

×徳島泡おどり空港
徳島阿波おどり空港

※近年、全国の空港で愛称を付けた名称に切り替えているところが増えつつあり、旧徳島空港も同様に10年4月から名称変更されたが、その名称で誤変換。しかも四国の登山の記事の、ページ見開きの本文の冒頭で目に付きやすい位置に……。ちなみにこの書き手は村石氏と同様に最近人気のアウトドアライターの高橋庄太郎氏で、ケアレスミスか。


●『山と溪谷』12年11月号(山と溪谷社)

×阿左見冷蔵
阿左美冷蔵

※僕も過去に数回行ったことのある埼玉県・長瀞の宝登山の、コースガイドにある立ち寄り場所の表記の一部で、天然氷を使ったかき氷の販売で有名な店の店名を誤変換。ここは埼玉県内、特に秩父・長瀞の観光ガイドブックや記事、それにもっと受け手の多いテレビ番組でも毎年、特に夏場に頻出する有名店なので要注意。いち埼玉県民としてはどうしても見過ごせない。


●『Trail Running magazine』No.11(出版社)

×要領が大きい
○容量が大きい

※トレイルランニング用の小型バックパックの説明で、単に誤変換。


●『GO OUT』12年12月号(三栄書房)

×チイ散歩、モヤサマ
○ちい散歩、モヤさま

※ゆるい散歩系の連載「SOTOKEN」の記事で、東京都・蒲田周辺を自転車で巡って夜は“アーバンビバーク”(野宿)するという話のなかで、ここ数年で人気の散歩系テレビ番組『ちい散歩』と『モヤモヤさまぁ~ず(2)』の略称を(その番組と似たような旅のカタチであるということで)引用していた。併せて『ブラタモリ』についても軽く触れていた。
が、それが一般的なかな表記ではなくカナ表記になっている。これでは番組名の誤認識で、しかも僕のようなふたつの番組および(今年亡くなった)地井武男、それにさまぁ~ずのファンにとっては番組と出演者はじめ番組に携わっている人々を簡単に侮辱しているようにも見えてしまい(番組の雰囲気を阻害する印象を持つ読者もいるかもしれない)、人によっては編集部へ抗議文を送りつけて訂正を求めてもおかしくないレベルのとても腹立たしい誤記である。僕も今回は25例を挙げたなかでこれが最も憤慨した誤植である。
この雑誌はこのような固有名詞の問題がよく起こるので、特に固有名詞の扱いには気を付けていただきたい。


●『e-MOOK MonoMax別冊 OUTDOOR GEAR BOOK 2012-2013 AUTUMN/WINTER』(宝島社)

×植村直巳物語
植村直己物語

これはフェイスブックにもひとネタ書いたことだが、植村直己は家族のあいだで決められた名前は「巳」の字のほうだが、それに似ている「己」の字のほうが「オノレ」と自分のことという読み方ができてカッコイイという理由で、学生時代以降の数々の単独志向の冒険行も「己」を使い続けていたのは植村ファンのあいだでは有名な話。読書ネタで触れた今年のマンガ『ヤマノススメ』1巻の序盤のセリフでも植村直己の引用で「巳」の表記があり、この場合も疑問出ししたいところ。よって、後年の西田敏行が主演の映画化のタイトルも「己」のほうなので、こちらにすべき。
ちなみに、植村直己以外にも今年は長谷川恒男を「長谷川恒夫」としたり(『TRAMPIN’』vol.10(地球丸))、最近活躍している山岳ガイドの江本悠滋氏を「江本悠二」(『ランドネ』13年1月号(出版社))としたり、というような登山業界内の著名な人物名の誤記も散見された(「長谷川恒夫」も毎年よくある)。固有名詞、特に人名の誤りはホントに失礼なもので。


●『PEAKS』13年1月号(出版社)

×「剛力伝」
○「強力伝」

※山に携わる仕事の紹介の記事の一部で、ヘリコプターによる荷上げ(荷揚げ)を新田次郎の1956年の直木賞受賞作『強力伝』(新潮社、現行の書名は正しくは『強力伝・孤島』)になぞらえて紹介したかったのだろうが、そこは『剛力伝』になってしまっていた。
これは個人の署名ではなく編集部名義の記事だったのだが、この記事を最初に読んだときになぜこうなったのかと原因を即座に考えてみた。おそらく最も有力なのは、ここ2年で人気上昇中でテレビや雑誌などの媒体露出も年々高まっている(1月クールのフジテレビ月9ドラマ主演の)若手俳優? の剛力彩芽について、執筆者がPCでこの記事を書く前にネット検索か何かで彼女に触れていて、そのせいで記事に取りかかるときには「ごうりき」の単語登録による予測変換で「強力」よりも「剛力」のほうが先に出るカタチになり、そのまま入力して再確認せずに流れてしまった、という感じか。その可能性が高いと思うなあ。もしくは「ごう」で「強」よりも「剛」か。
単なる書名の勘違い、「強力」という人力の荷運びの仕事があったことへの無知・無関心というよりは、書き上げたあとの再確認を怠った、ということかなあ。ふつうは予測変換では「強力」のほうが先に出ると思うから。この誤字も新田次郎(もしくは剛力彩芽)への侮辱と捉えるファンがいてもおかしくない。
今後は各媒体で必然的な制作スタッフの若返りというか世代交代によって、剛力彩芽は知っていても「強力」を知らない世代が徐々に増えてゆくのかなあ、そうなるとこの誤植のカタチと文章の質の悪化は致し方ない時代の流れなのかも、と憂慮する。そういえば、剛力彩芽の最近の雑誌取材でも触れていたが、「剛力」という名字は全国的にもとても珍しいらしく(60人程度?)、たしかに僕も彼女以外には聞いたことがない。


1文字違うだけでも大問題、という事例も今年は昨年よりも多かったですねえ。ほかにも赤字指摘レベルの誤植は細かい点ではこの数倍はあるが、以上が代表的なもので。
正直に言うと昨年までと同様にやはり特に、一部の関係者からは雑誌・本の制作でほぼ連日の徹夜状態で慌ただしい様子から“不夜城”と呼ばれているらしい(エイ)出版社の出版物にミスが多い。まあこれは例年どおりで、日々の(労働環境の問題? の噂もたまに耳にする)無茶しすぎ? の出版点数の多さのせいなんだろうけど。
まあここに限らず、ミスの発生する主な原因としてはやはり、制作の時間が元々足りない(無茶な予定を組んでいる?)、それとも校正や校了の手間をわざと省いている(経費節減?)、はたまた制作に携わるスタッフの人事異動や若返りの影響、か(最近、山と溪谷社も若い人材の採用に力を入れているね)。いち読者レベルでは詳細はわからないが、どの版元ももう少し商業出版に携わっていて創るほうも買うほうもお金が懸かっている、そんななかでミスが多発した言わば欠陥品の状態で流通させるのはいかん、という意識を強く持って取り組んでいただきたいものだ。それ以前に欠陥を欠陥とも思わない危機意識の低さが最も問題なのかもしれないけど。

その場合、僕みたいな校正を生業とする者が役に立つことも多々ありそうだと各媒体を随時読んでいても見受けられるので、何か協力できる機会があれば来年以降もひとまず(報酬の有無は置いておいて)話を伺う用意はある。

2012年の読書一覧

2012-12-27 23:30:59 | その他趣味
昨年は30冊未満で見送った今年の読書ネタ、今年はギリギリで以下の30冊だったので挙げてみる。相変わらず少ないなあ。


●2012年刊行

・野宿もん (かとうちあき、徳間書店)
・信念 東浦奈良男 一万日連続登山への挑戦 (吉田智彦、山と溪谷社)
・自転車はここを走る! (疋田智・小林成基、出版社)
・ロスからニューヨーク走り旅 北米大陸横断単独マラソン5393km (坪井伸吾、ラピュータ)
・北アルプス テントを背中に山の旅へ (高橋庄太郎、出版社)
・カメラをつれて山歩へ行こう! (矢島慎一、技術評論社)
・山テントで、わっしょい! 極める「山女子」のヨロコビ (鈴木みき、講談社)
・デイリーアウトドア 自然とつながって心ゆたかに暮らそう (四角友里、メディアファクトリー)
・山と山小屋 週末に行きたい17軒 (小林百合子・野川かさね、平凡社)
・山と写真  カメラを持って山に出かけよう (野川かさね、実業之日本社)
・ノマドライフ 好きな場所に住んで自由に働くために、やっておくべきこと (本田直之、朝日新聞出版)
・自由であり続けるために20代で捨てるべき50のこと (四角大輔、サンクチュアリ・パブリッシング)
・探検家、36歳の憂鬱 (角幡唯介、文藝春秋)
・山の単語帳 (田部井淳子、世界文化社)
・Hutte BOOKS 私の山道具2 (山と溪谷社アウトドア出版部編、山と溪谷社)
・うちのわんこは世界一! マッシャー・本多有香のユーコンクエスト (地平線会議編)
・信越トレイルと加藤則芳 (NPO法人信越トレイルクラブ編)

●2011年以前刊行

・雪男が向こうからやって来た (角幡唯介、集英社、2011年)
・山行記 (南木佳士、山と溪谷社、2011年)
・For Everest ちょっと世界のてっぺんまで (石川直樹、リトルモア、2011年)
・日本人のためのフェイスブック入門 (松宮義仁、フォレスト出版、2011年)
・ラスト ラン (角野栄子、角川書店、2011年)
・逮捕されるまで 空白の2年7カ月の記録 (市橋達也、幻冬舎、2011年)
・自転車ツーキニストの作法 (疋田智、ソフトバンク新書、2010年)
・山スタイル手帖 (KIKI、講談社、2011年)
・Hutte BOOKS 私の山道具 (山と溪谷社アウトドア出版部編、2011年)
・サバイバル登山家 (服部文祥、みすず書房、2006年)
・狩猟サバイバル (服部文祥、みすず書房、2009年)
・サバイバル! ――人はズルなしで生きられるのか (服部文祥、ちくま新書、2008年)
・狩猟文学マスターピース (服部文祥、みすず書房、2011年)


なんかもう、普段読むのは雑誌ばかりなので僕の書籍の読書量はここ数年の傾向を考えると年間30冊が限度のような気がする。仕事でも活字を追ってばかりだし。
本ブログですでに挙げた作品も含めて、やはり特に好みの登山関連の書籍ばかりに偏っちゃうしなあ。

それに、今年はどちらかというとマンガを結構読んでいて、立ち読みで少年誌・青年誌の連載を追う以外で買うくらいに気に入っている、もしくはいろいろな点で今後の展開が特に気になっている今年発売の作品は以下。


・百姓貴族 2巻 (荒川弘、新書館)
・花のズボラ飯 2巻 (作・久住昌之、画・水沢悦子、秋田書店)
・ヤマノススメ 1巻、2巻 (しろ、アーススター・エンターテイメント)
・ちづかマップ 1巻 (衿沢世衣子、小学館)
・暴れん坊本屋さん 完全版 【棚の巻】、【平台の巻】 (久世番子、新書館)


『百姓貴族』は、というか荒川弘の農業マンガは最近のマンガ関連の媒体でも高評価で累計500万部突破の週刊少年サンデー連載『銀の匙』も当然読んでいるが、僕はそれよりも現実的なノンフィクションの『百姓貴族』のほうがもっと好きで、どちらかというとこれのほうが(老若男女問わず全国民の問題である)日本の農業を再考するうえでも教科書代わりになる、もっと広く読まれるべき良書だと思う。これはホントに義務教育のなかでお子様に読ませてもよいくらい。やはり農業高校出身で実体験に基づいて描いているということで説得力がある。

『花のズボラ飯』は、今秋の倉科カナが主演のテレビドラマも全話観ていた(『平清盛』ばりに視聴率は低かったようだが、僕は『ウェルかめ』の頃から年々成長している倉科のひとり芝居も含めて良かったけどなあ、劇中の「解説」を除いて)。久住昌之原作では『孤独のグルメ』のほうが有名だが(今年のこのドラマ化も当然チェックした)、女子向けとは思えないほどに男子でも充分楽しめる。今年は一般の雑誌などでも冷蔵庫のなかの残り物を使いきる的な安上がりな食に関する特集記事で、「ズボラ」という単語を引用する類似企画も散見されたが、この傾向はしばらく続きそう。

『ヤマノススメ』は、登山初心者(特に山ガール)向けの入門書みたいなつくりになっていて、説明の細部(一般的に浸透している「植村直己」が「植村直巳」になっていたりするような誤植? とか)は気になるものの全体の流れは案外悪くない。今秋に『山と溪谷』でも軽く紹介していたが、作者は雪山登山もかじるらしいね。来月からテレビアニメ化ということで、僕の地元ではTOKYO MXの深夜放送だがこれもきっちり観るつもり。

『ちづかマップ』は、以前の講談社版も読んでいて、小学館に移籍? したこれは前者の設定を引き継いでいて実質はその続き(2巻)のようなカタチ。同じ地点の年号ごとの地図が階層になっていてその変化がわかる「時層地図」の話も出てきたりでそんなに地図好きでもない読者にはちょっとマニアックかもしれないが、タモリくらいの世代のおじさんに愛好者が多い古地図の話を主にスマートフォンを不自由なく使いこなす若者(しかも女子)向けに噛み砕いた、アナログとデジタルを共存させたりもする話のつくりは面白い。僕は最近流行りのマンガ原作の安易な実写ドラマ・映画化は好まないのだが、これに限っては早めの実写化もアリだと思う。

『暴れん坊本屋さん 完全版』は、全3巻の旧作『暴れん坊本屋さん』を今年になって2冊にまとめ直したもの。さらに、大手出版取次の日販が発行の『日販通信』の「本販通信」という毎月1ページの連載と、新書館のコミック注文書の裏にこっそり落書きのように描いていた「暴れん坊営業さん」も収録し、書店流通関係者しか読めなかった両作品!? を一般の読者も読めるようにしたのは嬉しい。
これは基本的に書店員経験者の(一時期はマンガ家稼業と掛け持ちしていた)久世番子さんがその悲喜こもごもを描いたほぼノンフィクションだが、書店員に限らずとにかく書店と本好きの方は間違いなく楽しめるでしょう。特に仕事として出版業界に携わる関係者は本の流通の一部を垣間見ることもできる必読の書である、と断言しちゃう。僕もこれまでに出版業界の仕事はアルバイト並みの作業や拙著の出版を通じて制作(主に校正)・印刷・製本・流通(主に取次)・営業・返品・断裁とほぼ網羅しているが、その末端の書店販売だけは未経験なので、良い勉強になる。
ちなみに、今年はこれと同時期発売の『よちよち文藝部』(文藝春秋)が雑誌の書評の好影響もあって売れてメジャーの階段を昇った? 番子さんの作品はほとんど好きで、この“暴本”に関しても先月に新宿で開催の発売記念サイン会にも行ったくらい(男性読者も半数近くいた)。実は番子さんのサインをもらったのはそのときが4年ぶり2回目だったりする。

と、マンガ云々のネタが主になってしまったが、毎年、基本的に読書の傾向はこんな感じだから仕方ない。

冒頭の書籍に戻ってひとネタかますと、仕事レベルではないが特に気になる作品では誤植など体裁のチェックを読みながら行なっていて、余計に時間がかかったりする。



その事例として今年出版の作品で写真の手前から、『野宿もん』、『ロスからニューヨーク走り旅 北米大陸横断単独マラソン5393km』、『北アルプス テントを背中に山の旅へ』を。偶然にも3冊とも著者サイン入りの本だが、まあそれは置いておいて校正者目線で少し時間をかけて読み進めると、内容ではなく表記の問題でこのくらいの数の誤植や疑問点の付箋はどうしても立ってしまう(致命的な点も含めてそれぞれ30か所以上はあるかと……)。これは著者の文章力とは別に、本の制作過程の期間が短い、予算削減で編集と校正の手間を省いてしまった、校正をかけていたとしてもそのテーマが不得意な方が担当したせいで見逃しが多い? などが憂慮すべきことである。
特に『野宿もん』と『ロスからニューヨーク走り旅 北米大陸横断単独マラソン5393km』の著者のかとう・坪井の両氏は知り合いなので、下版前(印刷に出す前)に僕にゲラ(校正刷り)を見せてくれればもっと改善できたのになあ、書籍の出版は一生モノなのになあ、と他人事ながら後悔の念は多少ある。面白い本だけに。
この3冊のような本の場合は校正は、自分で言うのもなんだがこの分野が最も得意な僕が担当したほうがより良くなるはずなんだけどなあ。ああ、もったいない。

来年は、ひとまず今年の出版で未読状態の本を片付けないと。野外系では、『飼い喰い 三匹の豚とわたし』(内澤旬子、岩波書店)、『ウルトラライトハイキングギア』(寺澤英明、山と溪谷社)、『シェルパ斉藤の世界10大トレイル紀行』(斉藤政喜、山と溪谷社)、『アグルーカの行方』(角幡唯介、集英社)、『遊歩大全』(コリン・フレッチャー/芦沢一洋訳、ヤマケイ文庫)、あたりも買ってはいるが手付かずなのでなるべく早めに着手したい。『アグルーカの行方』は今年上半期の文芸誌『すばる』の連載は読んでいたが、構成をやや変更して別物になったらしいし。昨年より前の年に出版されて読書が途中で止まって保留中の本も数冊あるしなあ。
読んでいて気に入る雰囲気の本は、最初もしくは途中から付箋を片手に読み進めるためにさらに時間がかかるし、いつになったらすべて読みきれるのだろうか。うーむうーむ。

2012年の映画鑑賞一覧

2012-12-26 23:30:39 | その他趣味
今年も金欠続きのために低調だったがなんとか30本以上は観たので、以下のとおり。


●2012年公開

・琉神マブヤー THE MOVIE 七つのマブイ (佐野智樹)
・ヒミズ (園子温)
・ロボジー (矢口史靖)
・アフロ田中 (松居大悟)
・はやぶさ 遥かなる帰還 (瀧本智行)
・ももへの手紙 (沖浦啓之)
・僕達急行 A列車で行こう (森田芳光)
・星の旅人たち (エミリオ・エステヴェス)
・おおかみこどもの雨と雪 (細田守) ★
・BRAVE HEARTS 海猿 (羽住英一郎)
・石巻市立湊小学校避難所 (藤川佳三)
・かぞくのくに (ヤン・ヨンヒ)
・踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望 (本広克行)
・北のカナリアたち (阪本順治) ★
・宇宙刑事ギャバン THE MOVIE (金田治)
・ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q (摩砂雪・前田真宏・鶴巻和哉、総監督:庵野秀明) ★
・のぼうの城 (犬堂一心・樋口真嗣)
・希望の国 (園子温)


●2011年以前公開

・127時間 (ダニー・ボイル、2011年)
・その街のこども 劇場版 (井上剛、2010年)
・デルス・ウザーラ (黒澤明、1975年)
・南極料理人 (沖田修一、2009年)
・ソーシャル・ネットワーク (デヴィッド・フィンチャー、2011年)
・プール (大森美香、2009年)
・女の子ものがたり (森岡利行、2009年)
・リンダ リンダ リンダ (山下敦弘、2005年)
・リバー・ランズ・スルー・イット (ロバート・レッドフォード、1992年)
・ガマの油 (役所広司、2009年)
・劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ (入江悠、2011年)
・アントキノイノチ (瀬々敬久、2011年)
・ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 (摩砂雪・鶴巻和哉、総監督:庵野秀明、2007年)
・ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 (摩砂雪・鶴巻和哉、総監督:庵野秀明、2009年)
・映画 けいおん! (山田尚子、2011年)
・まほろ駅前多田便利軒 (大森立嗣、2011年)
・續(続)姿三四郎 (黒澤明、1945年)
・キャタピラー (若松孝二、2010年)


歳の数だけ、36本。
しかも邦画に偏っているのはなんでだろう。まあ元々、洋画よりも邦画のほうが好きだけど(ダジャレではない)。
★は、2回観たという印。そこも偏っているし。

だから、おすすめという意味では洋画に関しては何も言えないが、『星の旅人たち』は良かった。旅好きを自認する人は観たほうがよい。サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路よりも親子(父子)関係のほうが主の話ではあるけど(実際にマーティン・シーンとエミリオ・エステヴェスの父子で主演と監督の立場で制作しているし)。
邦画は、本ブログでも触れた『石巻市立湊小学校避難所』が最も良いでしょう。現在も各地で上映会の予定はちょいちょい立っているようで(先頃、ドバイの映画祭に招待されたりもして世界的な評価も得つつあるようで)。ひとまず3月頃まではいくつか上映の話はありそうだと、“カントク”と先日会ったときにも聞いた。これも全国各地のより多くの方に観ていただきたい。

毎年の黒澤明の監督作品シリーズも継続していて、昨年は挙げなかったが『姿三四郎』を観ていて、今年はその続きの『續(続)姿三四郎』を。

そういえば、今年亡くなってしまった若松孝二の監督作品はもっと観たいとは常に思っているが、なかなか機会がないのよねえ。レンタルがダメなら各映画館には企画上映の機会をもっと設けてほしいなあ。

2012年の展覧会一覧

2012-12-25 23:00:23 | その他趣味
今年の写真展以外に観に行った展覧会は以下。


・地図展 日本橋と五街道 (三越前、地下鉄半蔵門線口コンコース・三越前駅付近通路)
・科博コラボ・ミュージアムin旭山動物園 ペンギン展 (北日ノ出、旭山動物園)
・水木しげる版画展 ゲゲゲの鬼太郎と妖怪たち (つくば、筑波西武6階特設会場)
・宇宙から見たオーロラ展2012 (新宿、コニカミノルタプラザ)
・沖縄の美術シリーズ3 玉那覇正吉展 (おもろまち、沖縄県立博物館・美術館)
・サイト・シーイング 沖縄美術をめぐる旅 ~島嶼性と異化 (おもろまち、沖縄県立博物館・美術館)
・平成23年度沖縄県立図書館 新収蔵資料展 (県庁前、沖縄県立図書館)
・しむにじむ 中村真 piano × 土田瞬 drawing (銀座、銀座スペースにはたづみ)
・銅の不思議な世界2012 (coppers早川、東京、丸善丸の内本店4階ギャラリーB)
・東京五美術大学連合卒業・修了制作展 (乃木坂、国立新美術館)
・第15回文化庁メディア芸術祭 (乃木坂、国立新美術館)
・KONICA MINOLTA エコ&アートアワード2012 作品展 (新宿、コニカミノルタプラザ)
・今和次郎 採集講義展 (汐留、パナソニック汐留ミュージアム)
・画家の原点回帰 ~ウガンダ~ (小松美羽、神田小川町、オリンパスギャラリー東京)
・内澤旬子のイラストと蒐集本展 (内澤旬子、水道橋、スタジオイワト)
・日本製木のおもちゃの展示会 遊ぶ木展 (表参道、表参道ヒルズ・ギャラリー同潤会)
・こどものための、ヴンダーカマー (四谷三丁目、CCAAアートプラザ・ランプ坂ギャラリー1・3)
・『ちい散歩』 地井さんが描いた563枚の絵手紙展 (銀座、銀座三越9階テラスコート)
・「アートをおうちに持ち帰る。新しくて、楽しくて、温かい毎日が始まる。」展 (銀座、銀座三越8階ギャラリー)
・フェルメール 光の王国展 (池袋、西武池袋本店別館2階西武ギャラリー)
・50周年記念 タツノコプロテン (銀座、松屋銀座8階イベントスクエア)
・ちょこ旅原画展 (松鳥むう、渋谷、モンベル渋谷店)
・コニカミノルタプラザ×吉本興業 これからの100年を考える よしもと芸人エコ&アート展 (新宿、コニカミノルタプラザ)
・ピンクリボン女子美アート作品展 (新宿、コニカミノルタプラザ)
・絵本とスポンジアート ~ようこそ、ちいさな大自然へ~ (村上康成・ヨシカワゴエモン、新宿、コニカミノルタプラザ)
・TRANS ARTS TOKYO (淡路町、旧東京電機大学校舎11号館)
・昆虫大学 (淡路町、旧東京電機大学校舎11号館)
・New personification Vol.4 私たちのどこまでが鉄ではないのか (藤井健仁、馬喰町、unseal contemporary)
・第2回ゴミコン(GOMI-CON)入選作品展 (新宿、コニカミノルタプラザ)


以上、30本。

なかでも今年で最も良かったのは、友人に勧められて行った『今和次郎 採集講義展』か。
今氏の調査の手法は書籍でなんとなくは聞きかじってはいたが、展示で改めてその全容を一気に観ると、その緻密さは凄かった。特に関東大震災後の東京都心の世俗を記録した仕事は、今後の東日本大震災後の東北を見続けてゆくうえでも指針としておおいに役立つのではないかと思った。僕の得意とする地理に関する展示も多かった会場をすべてきっちり観るのに1時間や2時間では足りないくらいの充実した内容で、大満足であった。

来年は、今年以上にお金を作って有料の催しもたくさん観に行きたいなあ。

2012年の写真展一覧

2012-12-24 23:00:51 | その他趣味
今年観に行った写真展は以下。

・栂海新道を拓く(小野健、南町田、モンベルグランベリーモール店)
・Halluci Mountain -幻の山- (石川直樹、明治神宮前、EYE OF GYRE)
・第59回ニッコールフォトコンテスト入賞作品展 第2部カラー 第3部ネイチャー (新宿、新宿ニコンサロン)
・第59回ニッコールフォトコンテスト入賞作品展 第1部モノクローム 第4部U-31 (新宿、ニコンサロンbis新宿)
・奥利根抒情 ときめく季節の中へ (檜谷俊樹、新宿、ペンタックスフォーラム)
・四季逍遥 (飯倉豊啓、新宿、ペンタックスフォーラム)
・チベット・仏と牛とチョモランマ (保屋野厚、新宿、エプソンイメージングギャラリー エプサイト)
・冬陽 (千葉潤六、銀座、キヤノンギャラリー銀座)
・五冊の余熱(ホトボリ) (樋口徹、銀座、銀座ニコンサロン)
・A TRIBUTE TO NATURE (ジム・ブランデンバーグ、新宿、コニカミノルタプラザ)
・光野 (丸山勇樹、新宿、新宿ニコンサロン)
・大サンパウロ (田中雄一郎、新宿、ニコンサロンbis新宿)
・菊地奈々子 元WBC世界チャンピオン 女子ボクサーの軌跡 (石渡知子、新宿、エプソンイメージングギャラリー エプサイト)
・山水の光響画 (勝山有一、新宿、ペンタックスフォーラム)
・第4回フォトアカデミー梓写真展 自然へのまなざし ~至福の瞬間~ (新宿、ペンタックスフォーラム)
・Facing Shibuya (Howard Weitzman、銀座、銀座ニコンサロン)
・High Tide (アレハンドロ・チャスキエルベルグ、銀座、リコーフォトギャラリーRING CUBE)
・RUN RUN まこと (川島小鳥、銀座、キヤノンギャラリー銀座)
・津野力男写真展・前期 (津野力男、おもろまち、沖縄県立博物館・美術館)
・大和(だいわ)コレクション展II期 森山大道「新宿」 (おもろまち、沖縄県立博物館・美術館)
・丘の向こうの小さな村 ~ネパールの山村~ (佐藤敬久、新宿、コニカミノルタプラザ)
・ナティカシャ、カナシャ ~奄美の光~ (古林洋平、新宿、コニカミノルタプラザ)
・PEACE ASIA (武藤弘司、新宿、コニカミノルタプラザ)
・知らない顔 (細野晋司、銀座、キヤノンギャラリー銀座)
・やがてわたしがいる場所にも草が生い茂る (石川直樹、銀座、銀座ニコンサロン)
・惨禍 -三陸沿岸部の定点記録- (和田直樹、新宿、新宿ニコンサロン)
・京都造形芸術大学通信教育部写真コース 卒業制作展 (新宿、ニコンサロンbis新宿)
・はまゆりの頃に (田代一倫、新宿、新宿ニコンサロン)
・日本写真芸術専門学校写真科フォトアート菊池東太ゼミ卒業作品展 (新宿、ニコンサロンbis新宿)
・葛飾小菅、昭和のある町 (川村容一、新宿、ペンタックスフォーラム)
・野の詩 (林潤、新宿、ペンタックスフォーラム)
・Here and There -明日の島  (新井卓、銀座、銀座ニコンサロン)
・ZERO写真展2012 (大村克巳、銀座、リコーフォトギャラリーRING CUBE)
・遠い水平線 (鷲尾和彦、新宿、新宿ニコンサロン)
・Yahoo! JAPAN 東日本大震災写真保存プロジェクト 「3.11震災と復興」写真展 (新宿、ニコンサロンbis新宿)
・子どもたちの元気便-震災からの出発 (長倉洋海、新宿、コニカミノルタプラザ)
・Under Ethiopian Skies (野町和嘉、銀座、キヤノンギャラリー銀座)
・道路2011 -岩手・宮城・福島- (吉野正起、銀座、銀座ニコンサロン)
・No Curiosity, No Life (西村勇人、新宿、コニカミノルタプラザ)
・東京の片隅で (池口正和、新宿、コニカミノルタプラザ)
・PRIMROSE ~選んだ光景~ (大倉将則、新宿、コニカミノルタプラザ)
・儚き存在の証明 (平間美穂、新宿御苑前、PLACE M・メインギャラリー)
・Searchlight (林佳奈、新宿御苑前、PLACE M・ミニギャラリー)
・床屋 都会の中に息づくニッポンの技 (David Venture、新宿御苑前、M2ギャラリー)
・第17回キヤノンフォトクラブ東京フラワー写真展 季色(ときいろ)の中で (新宿御苑前、フォトギャラリーキタムラ)
・蝶の見た夢 (藤原敦、新宿御苑前、ギャラリー蒼穹舎)
・Time To Time 2008-2010 1983年からの、3年ごとの写真と詩による日録vol.9 (中島健、新宿御苑前、アイデムフォトギャラリー「シリウス」)
・大切/Comfortable pieces (コーサカトモ、新宿、エプソンイメージングギャラリー エプサイト)
・Pentax645D × EpsonPX-5V 体験イベント参加者写真展 猿島 (新宿、エプソンイメージングギャラリー エプサイト)
・Waterscape 海辺の風景 (山口史男、新宿、ペンタックスフォーラム)
・中禅寺湖の自然 (増田利夫、新宿、ペンタックスフォーラム)
・mother -まきばのお母ちゃん- (佐藤弘康、新宿、コニカミノルタプラザ)
・断章 (伊藤時男、新宿、コニカミノルタプラザ)
・ゲニウス・ロキ -地球に宿る精霊達- (角田直子、新宿、コニカミノルタプラザ)
・Fade Out Changdian/LOST WORLD (高橋ジュンコ、新宿、新宿ニコンサロン)
・2012東日本読売写真クラブ連合展 (新宿、ニコンサロンbis新宿)
・Go round Tokyo 山手線で行く (出牛敏夫、新宿、ペンタックスフォーラム)
・memento mori (冨田寿一郎、新宿、エプソンイメージングギャラリー エプサイト)
・海と人のあいだ ~After The Flood~ (小池英文、新宿、コニカミノルタプラザ)
・工場の呼吸 ~キューポラの町から~ (高橋あつこ、新宿、コニカミノルタプラザ)
・みさおとふくまる (伊原美代子、新宿、コニカミノルタプラザ)
・第31回土門拳賞受賞作品展 IN’ (高梨豊、銀座、銀座ニコンサロン)
・マグナム・フォト創設65周年記念写真展 マグナム・コンタクトシート (銀座、リコーフォトギャラリーRING CUBE)
・日本・ウズベキスタン外交関係樹立20周年記念展 (半蔵門、JCIIフォトサロン)
・雲南鄙街道 (植田英夫、半蔵門、JCIIクラブ25)
・なむとらやや (小沢竜也、新宿、コニカミノルタプラザ)
・identity (サイトウリョウ、新宿、コニカミノルタプラザ)
・第37回木村伊兵衛写真賞受賞作品展 東北 (田附勝、新宿、コニカミノルタプラザ)
・写真家たちの日本紀行2011 (銀座、キヤノンギャラリー銀座)
・ソマリア 戦場に生きる人々 (瀧野恵太、新宿、新宿ニコンサロン)
・追想の地図 (神田開主、新宿、ニコンサロンbis新宿)
・散歩道 (山口繁夫、新宿、ペンタックスフォーラム)
・Leaf&Leaves2 葉っぱへのオマージュ (金城真喜子、新宿、ペンタックスフォーラム)
・Photo-Camarade 第6回仲間展 (新宿御苑前、フォトギャラリーキタムラ)
・国境なき子どもたち(KnK)写真展2012 岩手 この空の下、明日への道を探して (渋谷敦志・安田菜津紀・佐藤慧、新宿御苑前、アイデムフォトギャラリー「シリウス」)
・自然譜III (水野紘一、新宿御苑前、HCLフォトギャラリー新宿御苑)
・動物展示 ~ANIMAL DISPLAY~ (古財英昭、新宿、コニカミノルタプラザ)
・地球の上に生きる2012 -DAYS JAPAN フォトジャーナリズム写真展- (新宿、コニカミノルタプラザ)
・第18回酒田市土門拳文化賞受賞作品展 芦川-高齢・過疎の集落で-文明社会における芦川住民の精神性 (橋ぎいち、新宿、新宿ニコンサロン)
・栃木県立栃木工業高等学校写真部写真展 わが故郷(ふるさと)とちぎ (新宿、ニコンサロンbis新宿)
・カラコルムヒマラヤ大星夜 (藤田弘基、新宿、ペンタックスフォーラム)
・私的報道写真 (三澤武彦、新宿、エプソンイメージングギャラリー エプサイト)
・人の惑星(ほし) (石川梵、品川、キヤノンギャラリーS)
・日本野鳥の会写真展 「東北で、ともに生きる」 (品川、キヤノンSタワー2階オープンギャラリー)
・ROOMS floor-01 portfolio exhibition (新宿御苑前、PLACE M・メインギャラリー)
・陰と影の目 (根本真一郎、新宿御苑前、PLACE M・ミニギャラリー)
・風の皺 (冨士田錬子、新宿御苑前、M2ギャラリー)
・蜻蛉 (こくまい太、新宿御苑前、ギャラリー蒼穹舎)
・滝・幾千年を流れる (水島和實、アイデムフォトギャラリー「シリウス」)
・漆器職人の世界 (野嵜正興、新宿、東京都健康プラザハイジア・1階アートウォール)
・DISCOVERY (ミヒャエル・ポリツァ、新宿、コニカミノルタプラザ)
・『OGASAWARA』 ~小笠原、未来へつなぐ自然展~(新宿、コニカミノルタプラザ)
・砂町 (大西みつぐ、新宿、エプソンイメージングギャラリー エプサイト)
・雫景・宝石たちのメモリー (鈴木是清、新宿、ペンタックスフォーラム)
・第5回極楽蜻蛉Photoクラブ写真展 「山手線」一周カメラウォーク (新宿、ペンタックスフォーラム)
・TOKYOスナップショット (熊切圭介、六本木、ホテルアイビスミニギャラリー)
・ワスレジノアリカ (西岡潔、新宿、新宿ニコンサロン)
・帰化植物 (杉澤直哉、新宿、ニコンサロンbis新宿)
・ヤマダチ (木村肇、新宿、コニカミノルタプラザ)
・アダンの根 (西尾温、新宿、コニカミノルタプラザ)
・第13回コニカミノルタフォト・プレミオ年度賞受賞写真展 (新宿、コニカミノルタプラザ)
・旅の記憶 N-real color Z (梶山博明、渋谷、モンベル渋谷店)
・東浦奈良男写真展 (吉田智彦、神保町、iciclub神田アースプラザ)
・3×20の旅 (高島史於、新宿、エプソンイメージングギャラリー エプサイト)
・第三楽章 ~フリーハンドで描く風景~ (川村高弘、銀座、キヤノンギャラリー銀座)
・New Island ~そこは風と命の島~ (野口純一、新宿、コニカミノルタプラザ)
・スクールガールジャパン (小林幹幸、新宿、ペンタックスフォーラム)
・いきものたち (吉野信、新宿、東京都健康プラザハイジア・1階アートウォール)
・新田次郎生誕100年記念写真展 新田次郎の愛した山々 富士山からスイスアルプスまで (六本木、富士フイルムフォトサロン)
・終生モダニズムを貫いた写真家 植田正治の写真世界 (六本木、写真歴史博物館)
・doughnuts企画写真展 都会の星 (東山正宜・石井ゆかり、銀座、リコーフォトギャラリーRING CUBE)
・INAYA TOL (伊ヶ崎忍、銀座、銀座ニコンサロン)
・星のある風景 (長嶋厚樹、銀座、フレームマン.ギンザ.サロン)
・リフレクションとの出逢い (慶田愛子、銀座、フレームマン.ギンザ.サロンミニギャラリー)
・第1回キヤノンフォトグラファーズセッション-キヤノン賞受賞作品展- (植田真紗美・堤賢悟、銀座、キヤノンギャラリー銀座)
・カトマンズ (大山行男、新宿、エプソンイメージングギャラリー エプサイト)
・Partner and Passage (Garrett Hansen、新宿、新宿ニコンサロン)
・奇色(kiiro) (河合智子、新宿、ニコンサロンbis新宿)
・夜 (沢渡朔、新宿御苑前、PLACE M・メインギャラリー)
・CINEMA JAPON (UMA KINOSHITA、新宿御苑前、M2ギャラリー)
・365日フォトコンテスト2011(秋・冬) (新宿御苑前、フォトギャラリーキタムラ)
・After The Rain (鶴田厚博、新宿御苑前、ギャラリー蒼穹舎)
・ハチク会写真展  それぞれの顔2012 (アイデムフォトギャラリー「シリウス」)
・南極渡航のべ33回の4人による写真展 「南極の夏」 ~The Four Photographed Antarctic Summer ~ (池田宏・毛塚潤・谷ヶ崎智子・中島賢一、新宿、コニカミノルタプラザ)
・飛行機雲へ (松本明芳、新宿、コニカミノルタプラザ)
・汽罐車(きかんしゃ) ~よみがえる鉄路の記憶1963-72~ (大木茂、新宿、コニカミノルタプラザ)
・戸山公園・高尾山などの蝶の美を追い求めた写真展(第2回) (西早稲田、戸山公園屋外ギャラリー)
・Storm Last Night/Earth Rain House (津田直、品川、キヤノンギャラリーS)
・海のグレートジャーニー (関野吉晴、品川、キヤノンSタワー2階オープンギャラリー)
・ロンドンオリンピック雑誌速報写真展 (銀座、キヤノンギャラリー銀座)
・古稀同人 第26回四字成句写真展 (新宿、コニカミノルタプラザ)
・楽しくなさそうにはしていない猫 ~大切なもの~ (津乗健太、新宿、コニカミノルタプラザ)
・私の武甲百景 (山口清文、新宿、コニカミノルタプラザ)
・日光 ~香りの情景~ (加藤真弓、銀座、キヤノンギャラリー銀座)
・WATER (Alena Dvorakova Viktor Fischer、銀座、銀座ニコンサロン)
・あいの風吹く 黒部川扇状地の四季 (米田利昭、新宿、ペンタックスフォーラム)
・LIKE JUST A DOG (新保勇樹、新宿、コニカミノルタプラザ)
・さよ子 (濱大作、新宿、コニカミノルタプラザ)
・風に聴く ~ブラジル北東海岸~ (永竹ひかる、新宿、コニカミノルタプラザ)
・幻の島 (松井一泰、新宿、新宿ニコンサロン)
・第36回全国高等学校総合文化祭写真展 優秀作品展 (新宿、ニコンサロンbis新宿)
・ユングフラウの光と風 (織作峰子、新宿、ペンタックスフォーラム)
・『世界10大冒険』写真展 -アニマル石川と冒険仲間たち(1995-2012)- (アニマル石川、渋谷、NHKふれあいホールギャラリー)
・2012全日本山岳写真展 -未来に残そう美しい山河- (池袋、東京芸術劇場5階ギャラリー1・2)
・ARTIFACTS -日系人強制収容所からの「もの」- (渡邉博史、銀座、銀座ニコンサロン)
・西アフリカでもみんな生きている (青木仁志、新宿、エプソンイメージングギャラリー エプサイト)
・houses (石井保子、新宿、新宿ニコンサロン)
・site (津田隆志、新宿、ニコンサロンbis新宿)
・LIVING WITH NATURE (ステファノ・ウンターティナー、新宿、コニカミノルタプラザ)
・岩国・柳井・周防大島写真展 (新宿、新宿三井ビル・55SQUARE)
・記憶の行方 (八木隆、銀座、キヤノンギャラリー銀座)
・マラムレシュ 家の記憶 (芦沢武仁、銀座、銀座ニコンサロン)
・ハレの日 ~秩父路だより~ (山田昇、新宿、コニカミノルタプラザ)
・海を渡るとカーニバル (丸山巌、新宿、コニカミノルタプラザ)
・Art in Ocean and Canoe (木下健二、銀座、キヤノンギャラリー銀座)
・DAYS FUKUSHIMA (時津剛、銀座、銀座ニコンサロン)
・Rebuild 大槌造船記 (野田雅也、新宿、コニカミノルタプラザ)
・チャイニーズ・ドリーム (松本真理、新宿、コニカミノルタプラザ)
・コドモノクニ (齋藤亮一、新宿、コニカミノルタプラザ)
・道 OZE (JIU IWASAKI、新宿、ペンタックスフォーラム)
・遠くから来た舟 (小林紀晴、品川、キヤノンギャラリーS)
・キヤノンフォトコレクション展 前田真三写真展 (前田真三、品川、キヤノンSタワー2階オープンギャラリー)
・越冬 -命の鼓動- (山本純一、銀座、キヤノンギャラリー銀座)
・写真家・石川直樹が見たバングラデシュ (石川直樹、芝公園、増上寺三縁ホール)
・FUJISAN (藤代冥砂、京橋、72Gallery)
・九十九里 (岡嶋和幸、新宿、エプソンイメージングギャラリー エプサイト)
・彩の国 ~安らぎの里山~ (荒川利夫、新宿、ペンタックスフォーラム)
・釜石呑ん兵衛横丁 -3.11 復興へ- (佐々木貴範、新宿、ペンタックスフォーラム)
・COMMONAGE (土屋友幸、新宿、新宿ニコンサロン)
・「飯舘村の暮らし」から (管野千代子、新宿、ニコンサロンbis新宿)
・東浦奈良男写真展 (吉田智彦、渋谷、モンベル渋谷店)
・旅ゆけば 東京~八戸 (秋山亮二、新宿、コニカミノルタプラザ)
・オオタカ(若鳥)展 (西早稲田、戸山公園屋外ギャラリー)
・North India (千葉雅人、新宿、コニカミノルタプラザ)
・関西札遊び (木藤富士夫、新宿、コニカミノルタプラザ)
・MY EYES ~東日本大震災。いま、私たちが思うこと~ (江田よしお・HidetakaOnoyama・クボタショウヤ・蓮見浩明・松木克信、新宿、ヨドバシフォトギャラリーINSTANCE)
・スパルタワークショップ写真展(熱血講師:小澤太一) (新宿、ヨドバシフォトギャラリーINSTANCE)
・報われない街 (比嘉ダビド久人リアオ、新宿、エプソンイメージングギャラリー エプサイト)
・Micro Landscape Part2 -アリの目で観る地上の景色- (栗林慧、新宿、ペンタックスフォーラム)
・Hello World (大塚広幸、新宿、新宿ニコンサロン)
・潜む光景 (池上洋平、新宿、ニコンサロンbis新宿)
・犬笛 (ホイキシュウ、新宿御苑前、PLACE M・メインギャラリー)
・ドッペルゲンガーの夢 (小島茂、新宿御苑前、M2ギャラリー)
・幸せな一会 ――アンコール展 (川隅勲、新宿御苑前、フォトギャラリーキタムラ)
・夢の島 夢の色 -江ノ島'79~'81- (柴田恭介、新宿御苑前、ギャラリー蒼穹舎)
・第11回写真を楽しむ仲間「せせらぎ」写真展 駅前原っぱ ~山手線各駅停車~ (アイデムフォトギャラリー「シリウス」)
・神おわします (鈴木一弘、新宿御苑前、HCLフォトギャラリー新宿御苑)
・フジフイルムスクエア企画写真展 星野道夫 アラスカ 悠久の時を旅する(六本木、富士フイルムフォトサロン)
・MAGNUMを創った写真家たち キャパ・カルティエ=ブレッソン・ロジャー・シーモア (六本木、写真歴史博物館)
・ちらがー 沖縄の素肌 (比嘉良治、銀座、銀座ニコンサロン)
・J-POWER写真展 a moment in time ~世界に伝えたい日本~  (銀座、J-POWER本店1階ロビー)
・2012第36回鉄道ファン/キヤノン フォトコンテスト入賞・佳作作品展 (銀座、キヤノンギャラリー銀座)
・そら色の夢 (高砂淳二、新宿、コニカミノルタプラザ)
・冬のこだま (高橋和子、新宿御苑前、富士フォトギャラリー新宿)
・Mask Road (早川康文、新宿御苑前、PLACE M・メインギャラリー)
・Thinkings (西村勇人、新宿御苑前、M2ギャラリー)
・かのこ (松谷友美、新宿御苑前、ギャラリー蒼穹舎)
・第8回アイデム写真コンテスト はたらくすがた 2012年入選作品展 (アイデムフォトギャラリー「シリウス」)
・東京デジタルフォトクラブ 第一回記念写真展 (新宿御苑前、HCLフォトギャラリー新宿御苑)
・ズイコーデジタルアカデミー講師による OLYMPUS OM-D写真展 (淡路町、オリンパスギャラリー東京)
・KITSILANO (一之瀬ちひろ、銀座、銀座ニコンサロン)
・ゲーサンメド写真展 チベットへのいざない (銀座、フレームマン.ギンザ.サロン)・Breath of Genesis 原始小笠原 (古市智之、銀座、キヤノンギャラリー銀座)
・三木淳賞奨励賞受賞作品展 マトマニ (西岡潔、新宿、新宿ニコンサロン)
・三木淳賞奨励賞受賞作品展 大サンパウロ (田中雄一郎、新宿、ニコンサロンbis新宿)
・OH! my DIGITAL OLYMPUS OM-D E-M5に魅せられた6人による写真展 (なぎら健壱・本城直季・坂崎幸之助・石川直樹・田附勝・赤瀬川原平、淡路町、オリンパスギャラリー東京)
・異人/国東 (石川直樹、新宿御苑前、PLACE M・メインギャラリー)
・sorane 空音 (濱浦しゅう、新宿御苑前、M2ギャラリー)
・日本航空写真家協会2012写真展 SKY MOMENTS (アイデムフォトギャラリー「シリウス」)
・第34回山岳写真ASA写真展 「岳」山稜の光彩 (新宿御苑前、HCLフォトギャラリー新宿御苑)
・ペンタックスリコーフォトコンテスト展 (新宿、ペンタックスフォーラム)
・Designs (穂積大和、新宿、新宿ニコンサロン)
・maburi ~奄美の光~ (古林洋平、新宿、ニコンサロンbis新宿)
・九州産業大学大学院芸術研究科写真専攻写真展「Crux」 (新宿、コニカミノルタプラザ)
・Land's End North×South (百瀬俊哉、新宿、コニカミノルタプラザ)

今年は215本。昨年とほぼ同じ。また例年どおりに東京都内で観すぎた感はあるが、まあいいか。
そのなかでベスト10を挙げると以下。

1 みさおとふくまる (伊原美代子、新宿、コニカミノルタプラザ)
2 カラコルムヒマラヤ大星夜 (藤田弘基、新宿、ペンタックスフォーラム)
3 海のグレートジャーニー (関野吉晴、品川、キヤノンSタワー2階オープンギャラリー)
4 私的報道写真 (三澤武彦、新宿、エプソンイメージングギャラリー エプサイト)
5 マグナム・フォト創設65周年記念写真展 マグナム・コンタクトシート (銀座、リコーフォトギャラリーRING CUBE)
6 ヤマダチ (木村肇、新宿、コニカミノルタプラザ)
7 栂海新道を拓く(小野健、南町田、モンベルグランベリーモール店)
8 フジフイルムスクエア企画写真展 星野道夫 アラスカ 悠久の時を旅する(六本木、富士フイルムフォトサロン)
9 工場の呼吸 ~キューポラの町から~ (高橋あつこ、新宿、コニカミノルタプラザ)
10 ロンドンオリンピック雑誌速報写真展 (銀座、キヤノンギャラリー銀座)

『みさおとふくまる』は、この写真展の前後? から、伊原氏が連載を持つ『DAYS JAPAN』の影響かどうかはよくわからないが外国で評価が高まり、その人気が国内に逆輸入された感じで国内でも写真集が売れているとか。僕は今春の写真展だけで1位と即断したけど。
2位に挙げた山岳(特にヒマラヤ)写真で知られる藤田氏、『岳人』で連載もあったが、今年亡くなってしまって残念。ヒマラヤの写真は好んで観ていたのに。今後の回顧展などに期待したい。

それから、昨年の震災関連の写真も、タイトルで殊更に主張するわけでもないが東北各地の風景や人物の写真を目にする機会は昨年よりも多かった。来年はさらに増えるかも。

2012年の登山関連媒体の好きな書き手

2012-12-23 15:30:59 | 登山
年末ネタまでの埋め草として、近年僕が特に日々の“監視”に力を入れている登山関連の媒体の、主に月刊誌に署名記事を書いている書き手の今年のランキングをベスト10で挙げちゃう。敬称略。

登山以外の話も含めると人選はまた大きく異なるのだが、以下は登山に限定で。
括弧書きは所属先。大概はフリーランスのライター・作家、もしくは本業は別にある方だけど。


1 服部文祥(『岳人』) ★
2 柏澄子(フリー、登山ガイドと兼業) ★
3 森山憲一(『PEAKS』)
4 角幡唯介(フリー) ★
5 森山伸也(フリー)
6 鈴木みき(フリー) ★
7 新谷暁生(本業は北海道・ニセコの宿経営とシーカヤックガイド) ★
8 高橋庄太郎(フリー) ★
9 石川直樹(フリー、ここ数年の本業は写真家?) ★
10 大畑貴美子(『山と溪谷』)


1、2、3位はここ数年は不動で、4位以下は毎年変動する。
簡潔にしたいのであえて解説はなし、ということで。ホントはベスト50くらいまで挙げることもできるが、蛇足になりそうな気がするのでやめておく。
★は著作がある、という印。
ちなみにこの10人のうち、森山伸也・新谷暁生、の両氏以外は1回以上会ったことがある。でも一般人の僕のことは知らない(もしくは、しばらく会わなくなるとすっかり忘れている)だろうなあ。

上記はどういう基準で挙げているかというと、山への思い入れの深さと経験・技術はもちろんのこと、独自の視点というか個性が明瞭で、(自分の書いた文章に酔っている? ことなく)読者への配慮が感じられ、かつ僕の仕事(校正)目線で誤植も少なめと感じる方々(生業か趣味かにかかわらず文章を書いている限りは誤植を根絶するのはほぼ不可能なので、「少なめ」ということで)、というあたりを総合的に判断した感じ。
ただ、例外もあるし、誤植に関しても「てにをは」のブレや句読点・改行の不備程度の軽傷? から人名・地名・作品名など固有名詞や事実関係の誤認識のような物書き生活の危機に瀕する致命傷? までレベルが数段階あるので、そこも踏まえて出している。人によっては10年以上とか触れていると、動詞・形容詞の使い方など表記のだいたいのクセは見抜いている。

まあいわゆる「独断と偏見」の僕個人的な好みなのでまったく参考にならないだろうけど。読者それぞれが自分の好きな推しメン? を探して選ぶのがいちばんですわね。

なお、これは近々出す小ネタにも多少かかわってくるので前振りとして触れてみたが、それは年内じゅうに書けるかなあ。うーむ。


※24日(月祝)の追記
ベスト50やベスト30は多すぎて面倒なので、おまけとして男女別のベスト10を挙げてみる。

●男性
1 服部文祥(『岳人』) ★
2 森山憲一(『PEAKS』)
3 角幡唯介(フリー) ★
4 森山伸也(フリー)
5 新谷暁生(本業は北海道・ニセコの宿経営とシーカヤックガイド) ★
6 高橋庄太郎(フリー) ★
7 石川直樹(作家? 近年の本業は写真家?) ★
8 神長幹雄(フリー?)
9 山田哲哉(本業は山岳ガイド)
10 田中幹也(冒険家?)

●女性
1 柏澄子(フリー、登山ガイドと兼業) ★
2 鈴木みき(フリー、イラストレーター兼粘土作家?) ★
3 大畑貴美子(『山と溪谷』)
4 恩田真砂美(会社員、登山ガイドと兼業)
5 岩城史枝(『岳人』)
6 若菜晃子(フリー、『murren』主宰) ★
7 華恵(大学生、作家) ★
8 田部井淳子(フリー、登山家) ★
9 橋尾歌子(フリー、イラストレーター)
10 小林百合子(フリー編集者?) ★ 


ここ数年、(エイ)出版社の月刊誌『ランドネ』や山と溪谷社の季刊誌?『Hutte』のように、女性、主に山ガール向けの媒体も増えつつあり、女性の書き手の需要も高まっているために野外業界への女性の新規参入が年々増えているように思う(僕はそのへんの媒体も随時チェックしている)。男女問わず競合が活発になるのは良いことであるね。


※13年1月10日(木)の追記
『岳人』13年1月号からの山田哲哉氏の新連載の初回で、(『岳人』でも『山と溪谷』でもない)ある山岳雑誌、だからおそらく『PEAKS』の12年8月号のことと思われるが、そこからのパーティー(パーティ)登山に関する原稿依頼のなかの質問というか設問のずさんな? 内容にキレた、という話があって、その号も読んでいる僕としてはとても興味深いのだが、山田氏がキレる感覚も設問を提示する雑誌側の感覚も両方ともわかるので、ちょいと複雑。
で、『PEAKS』というと、本文のランキングでは3位に挙げた森山憲一氏が副編集長を務めているが、件の設問のレベルがどうとか、それ以前に雑誌ごとの色というか編集方針とかは置いておいて所属はあくまで所属として、所属(立場)を切り離していち個人として山に関する署名記事を書くさいにどうなのか、と考えて好みを挙げているだけなのである、と本文に名前を挙げた意図を補足しておきたい。
こういう対立の構図というか議論? は面白いと思うので、今後も『PEAKS』側が山田氏の怒りを鎮められるような回答を出しながら、続けていってほしいなあ、といち読者としては面白半分で期待している。

2012年の講演会・トークイベント

2012-12-22 15:30:21 | 他人の旅話
今年の、地平線会議の報告会以外で聴きに行った野外関連の講演会・トークイベントの結果は以下。14本。


12/01/14 田部井淳子×市毛良枝・山野井泰史×角幡唯介、有楽町、有楽町朝日ホール「ヤマケイ文庫フェスティバル」
12/03/31 服部文祥×内澤旬子、神保町、東京堂書店
12/05/18 鈴木みき、新橋、アルパインツアーサービス
12/06/23 坪井伸吾、渋谷、モンベル渋谷店
12/06/24 吉田智彦、神保町、iciclub神田アースプラザ
12/06/30 高橋庄太郎、神保町、パタゴニア神田店
12/07/20 野田知佑×鹿熊勤、新宿、紀伊國屋書店新宿南店
12/08/09 かとうちあき、川口、川口メディアセブン
12/10/06 竹内洋岳×服部文祥、新富町、銀座ブロッサム
12/11/10 竹内洋岳、大崎、立正大学・石橋湛山記念講堂
12/11/18 吉田智彦、渋谷、モンベル渋谷店
12/12/08 大塚博美・荻田泰永・中出水勲×廣江研・松浦輝夫・湯川豊、大山、板橋区立文化会館「植村冒険館20周年記念講演会」
12/12/14 宮崎茂男、市ヶ谷、日本山岳会「山岳遭難防止セミナー」
12/12/18 村石太郎×土屋智哉×伊藤弘、渋谷、モンベル渋谷店「遊歩大全ナイト」


特に下のほうの、今月に立て続けにあった3本はいずれも濃かった。
大山では「植村直己とは何だったのか」という面白いお題で催して結局は早急に結論は出さずに今後も考え続けてゆこうとまとまり(荻田氏は来春の再びの北極行が決定して、その資金集めの話が中心になっていたけど)、市ヶ谷では冬山遭難の実例として特に時間を割いたのはこの数日前に起こってしまった仙丈ヶ岳付近の稜線で浜松の兄弟(2人とも死亡)の捜索話を現場写真付きで一般の報道以上に詳しく聴き、渋谷ではコリン・フレッチャーの名著の復刊を大々的に祝うのかと思いきや「構成を考えずにダラダラ書いている」「真剣に読んではいけない本」「引きこもり」などと彼の偏屈? な人間性と筆致へツッコミを入れる会となり(しかしもちろん、この本への思い入れと愛情からくる放言だったが)、と、充実した集まりで収穫も多かった。


これは「遊歩大全ナイト」の模様で、村石氏(右)が進行役だった

今年は数人の登壇者は同一人物でかぶってしまったが、興味関心があるのだから仕方ない。
来年はもっと多種多様な行動者の話を聴きたいなあ。

ウチの選挙区の5番目の男

2012-12-12 21:21:00 | 普段の生活(日常)
えーと今回の衆院選の、埼玉県の話。
なんかネット上では話題沸騰? らしい、埼玉4区に無所属で立候補している小笠原洋輝(ひろき)候補、先程、アルバイトの帰りに地元駅前で初めて見かけた。そのときは白地のたすきを掛けて単独でビラ配りをしていたが、ちゃんと活動しているようで。

ビラにある公約とWeb上の記述を読むと、僕は賛同しかねる部分も多々あるが全体的には案外まともで、一応やる気はあるのね。毎日jpのアンケート回答は適当っぽいけど。
どこかの駅前で(といっても東武東上線沿線だろうけど)、演説もやってほしいなあ。

まだ期日前投票していなくて、16日(日)の投票日当日に投票するかもしれず、だから彼に投票する可能性もまだある。投票先は決定しておらず、もうちょい検討する。
今回の選挙、政党と争点が入り乱れていて僕が選挙権を持ち始めてから過去最高にわけわからん状態になっているが、個人的には東北と原発を重視しているところに投じたいとは思っているけど。現在の国内で最優先すべき課題はそこでしょう。

まあ僕個人的な投票行動は置いておいて、彼は果たしてどうなりますやら。地元なだけに、選挙の行方が人一倍気になる。


※20日(木)の追記
今回の衆院選、全国的には自民党が圧勝というなかで、小笠原氏はまさか3000票以上も獲得するとは思わなかったよ。2000票を超えたら凄いなあ、というくらいしか思っていなかったから。よくやりました。供託金は没収だろうけど。
次回の参院選とかも考えているのかなあ。今後の動向がわかれば期待したい(ホント)。

来年3月から特別展「グレートジャーニー」が

2012-12-01 23:00:15 | 他人の旅話
来年の3月から6月に、関野吉晴さんの「グレートジャーニー」に関する特別展が東京都・上野の国立科学博物館で開催される、という話は夏から小耳に挟んではいたが、そのオフィシャルサイトがいつの間にか設けられているのを今日知った。

ただ、そのサイトを覗くと、この展覧会のために今年進めている大型? 企画のことはまだはっきりと告知していないのかしら(なんとなく匂わせてはいるけど)。そちらも楽しみ。

来年の会期中に少なくとも2回は観に行きたいので、金銭的な準備をしておかないとなー。