思考の7割と収入の3割を旅に注ぐ旅人の日々

一般的には遊び(趣味)と見下されがちな「旅」も、人生のなかでやるべき「仕事」である、という気概で旅する旅人の主張と報告。

2211円の沢登り

2010-07-31 06:00:36 | 自分の旅話(非日常)

10日前の21日(水)、2月の雲取山以来5か月ぶりの登山として、埼玉県・秩父は武甲山南東の大持沢へ沢登りに行ってきた。
当初は行きたい沢をいくつか候補を立てていたが、最終的には経済的な事情つまり最も安く行ける(そしくアプローチも比較的ラクな)ここに決めて、ここは第3希望の沢だった(※1)。それで本項の焦点は沢登りや登山全般のレベルが云々とかいうことではなく、「経済的」ということ。これが最近の極私的大問題。

昨年から沢登りも含めてあちこちへ旅したいのはやまやまだけれども、お金がないせいで行くのをためらい、そして諦めた、ばったばったと倒れまくった計画は数知れず、そして今年も引き続き似たような状態が続いていて、計画はいろいろでっちあげてもまた未遂に終わりそうな計画はたくさん控えている。ここ数年、自分の身体的精神的な実力の有無の見極めよりも、いくらの出費で行けるかという費用対効果を含む経済的な事情が最優先で行き先を考えてしまいがちなのがちょっと悲しい。良い(善い)旅人は真似しないように。
まあ生きる・旅するために仕事(もちろん本職の校正のことね)にありつけないのは自業自得なのはもちろんわかっているのだけど(一般的によく言われる「仕事がないの社会のせいだ」とかいう責任転嫁みたいなことは声高には叫ばないようにしている)。

で、どのくらい酷いかというと、埼玉・東京近郊の日帰りで行ける軽登山や今回のような1回当たり2000~3000円ほどの出費で済みそうな行為にもなかなかおよばない、というか二の足を踏んでしまうくらい。ちなみにタイトルにある今回の沢登りで出費した2211円の内訳は、交通費1400円と行動食代811円の合計ということ。この金額ですら捻出するのに四苦八苦している状態。
だから、毎年次から次へと発売されて年々洗練されている新たな装備を整えるなんてこともここ数年は困難ですなあ。沢登りに限って考えても、大型のドライバッグとか新しい渓流シューズとか昨年から各メーカーの競争が激化した防水仕様のコンパクトデジカメとか、欲しいモノはたくさんあるけど、なかなか手が出せない。

各地への旅や山を含む自然へ赴くよりも普段の生活で仕事をはじめ外出するための交通費等を優先すると、それとともに旅欲も減退してしまう。お金がないと出かける気にならない、やる気が出ない、というのは昔から僕の悪いクセ? で、他人からすると単に働けばよいのでは、言い訳するな、とツッコまれてもなんとでも思われても、一応は「毎日が日曜日状態」というわけでもない僕なりの生活のペースがあるからその“予定”の優先順位に照らし合わせるとなかなかそうもいかない。
例えば、有無が微妙ではあっても仕事の連絡を即受けられるよう待機するために電話の電波の届かないところへうかつに行けない、あるどうしても観たい催しへ行くために予定を必ず空けておきたい、みたいな縛りが常に生じている。なので、そういうことの積み重ねによって悪循環に陥り続けている感じ。
まあこの状態もひっくるめて自業自得で、僕的には一応はその時々で後悔のない選択をしているつもりではあるけど、周りからは単に遊んでいるだけでは? と見られ、逆に小さいながらも常に葛藤を抱いているように見られなくてお気楽野郎なんぢゃないの? と見られることを心外に思うこともある。べつにそれをひた隠しにしているわけでもないのだが。でもだいたい後者のように見られることが多い。

そんななか、今回のように余暇の遊びのために費用をなんとか捻出して行くのもひと苦労。でもまあそのぶん、行けたら行ったで達成感はより増すけどね。今回の沢もしばらく運動不足だったわりには登攀具を出す必要もなく行けて意外に身体が動き、実は近々予定している別の泊まりがけの登山の足慣らしにもなったし。ただ、源頭部で集中力を欠いて少々ではあったが落石の発生を感じられなくてその一部が当たって負傷してあわや惨事に? という可能性もあったのは反省しないと。山から5か月も離れているとその感覚もやや鈍るか。

しっかし、ここ数年の周りの旅人や各分野の行動者の華々しい活躍を見ると、みんなよくそんなに国内外あちこちに出かけられるよなあ、とその各人の行為自体よりもそれに向かうための資金の工面の仕方のような下世話な面が歯噛みしながらどうしても気になってしまう。
今年は旅人の話を聴く機会が例年以上に多いのだが(※2)、それぞれの場でもその活動は自腹なのか取材名目なのかどこかしらのスポンサーが付いているのか、とかいろいろ勘繰ってしまい、これも悪いクセだ。でもまあ、それぞれの旅人が時間もお金も大量に注ぎ込んで人生の重点に置いて実践しているだろう行為だから、各々の行動を別個に切り分けて、人生の分岐点や最高潮が各地で同時進行で繰り広げられている、という解釈で考えるべきだけど、どうも最近みな一緒くたに考えてしまいがちだなあ。
ちなみに、自転車で諸外国を旅する、高所を登る、極地を駆ける、特定の地域へ通ってフィールドワークを継続する、未知の領域を探検する、などのそんな大きなことはできない小粒な僕が単独で行く旅については(※3)、これまでのどの行為もすべて完全に自腹で出かけているけど。

まあそんなこんなで、おそらく僕は一般的な旅人以上に常に何事かを妥協したり諦めたりしながら生きている迷える子羊、ぢゃなくて子豚なのかもしれない。
でもそれでも、今後も今のペースは崩さずに行きたい。ふん、諸外国を見渡すと北極圏やヒマラヤ山脈やアフリカの大砂漠やアマゾン川や4000年の歴史の大陸文化ぢゃなくても、日本にも真冬の北海道や日本アルプス・八ヶ岳や鳥取砂丘や信濃川・利根川や沖縄があるもん! とひがみ根性も時折出しつつ、今後も主に日本で活動していくもんね。身近なところでも頭の使い方次第で新たにできる、縛りを逆に良いほうへ活かせることもあるはずだ、と思っている。
周りからどう見られようとも、これでも極貧の旅人なりに気張っているつもりなのですよ。ひとまず、現状よりも1000円上げて3000~4000円でより楽しめる登山をもっとやれるように努めないとなあ。



●補足

※1
今回は「埼玉県内で日帰りで単独で山の感覚を取り戻すのに適したお手軽に行ける沢」という条件というか縛りで検討していたのだが、ちなみに第1希望は埼玉県・東京都境に近い「細久保谷左俣(シセン)」、第2希望は大持山の南の「冠岩沢」、第4希望は蕨山の北西の「ハネバミ入」、第5希望は熊倉山の北の「地獄谷」だった。すべてマイナー? ほかにも遡行図をいろいろコピーしまくって行きたいと挙げている沢は奥多摩・丹沢・奥秩父を中心に近郊だけでも常に100本近くあってそのなかから毎年選択しているが、沢の難易度とともに交通費やアプローチの長さを検討材料の上位に据えている。しかも30代後半は地元・埼玉県の沢をもっと突き詰めたくて、両神山・赤平川方面や三峰の大血川流域、それに25日(日)に防災ヘリ墜落事故があったブドウ沢近辺の沢もゆくゆくは行きたいとは思っている。あの報道を観ると、今夏はなんか水量が多くて難易度が上がっていたのかね。ほかにもやさしめで面白そうな沢があったら教えてつかーさい。

※2
やっている人の名前は本ブログで度々挙げているので、毎月の地平線会議の報告会の報告者も含めて各種行動者をあえて行動の結果だけで一部挙げてみると、カメット南東壁初登攀、ヤル・ツアンポー大屈曲部単独探検、ユーラシア自転車横断、ユーラシア徒歩横断、インドシナ~チベット・カイラス自転車走破、パタゴニア・ナバリノ島無人地帯トレッキング、K2単独登山、ヒマラヤ8000m峰12座登頂、北磁極単独徒歩到達、アマゾン川イカダ下降、という感じ。どれが誰だかわかるかな。それらに比べたら僕のやっていることは小粒だなあ、ってそんなことは言われなくても日々痛感している。

※3
単独ではない複数人の活動については唯一、01年冬のネパールの登山は複数人からカンパをいただいてそれも登山の経費に充てさせてもらったため、大学時代のワンゲルの関係者をはじめ周りの方々にお世話になっていた。という経験も一応はあるので、いつも行動者を視るうえで自腹でやっているのか否か、の見極めに結構こだわっていたりする(お金ではなくモノでも。モノは単に物品の提供のみかアドバイザー契約で仕事を兼ねているかでまた事情は微妙に異なってくるし)。最近話題のエヴェレスト単独無酸素登頂を目指す栗城史多氏はどちらの感覚で臨み、普段はどんな仕事観を持っているのだろうか、というのがすんごい気になる。また彼の最近のツイッターのツイートで「お金がないから出来ない。そんな甘い人間には、僕はなりたくない」というのがあり、100%自腹で登山やネット中継をやるのならばわかるけど、8000m峰へ向かう現在は完全に他者の善意で成り立っている登山だから甘いか甘くないかとかいう言い分は説得力に欠けるよなあ。「共有」を殊更に謳うと自分の行為の責任の方向性が変わってくるというか(自分へ向かうのか他者へ向かうのか)。世の中には諦めも肝心、自分の身の丈をわきまえろ、という場面も多々あるし。どうなるんだろう、まだ資金が揃っていないという見切り発車状態の今秋は。

20代女子目線の沖縄と琉球

2010-07-27 03:30:45 | 他人の旅話
先月の月末ネタでもちょっこし触れたメレ山メレ子女史のブログ「メレンゲが腐るほど恋したい」で、今年5月に旅した沖縄本島の話をスローペースで出しているが、最新の記事は本島南部の斎場御嶽(せーふぁうたき)と久高島(くだかじま)について触れている。僕はここ8年で斎場御嶽は3回、久高島は1回行ったことがある。

このへん、行ったことのある人はわかると思うが沖縄県以前の琉球の成り立ちを考えるうえでも特に重要な地域で、以前は男子禁制だったこともあって現在も立入禁止の箇所も多く、南部の祭祀や風習について触れるのは米軍基地話と同様にちょっと勇気が要ると思うのだが、そこを基本的に毒入りのふざけた? 筆致で鳴らすメレ子女史がどのように表現するのかは特に興味があった。で、読んでみた。

まあ猫をはじめとする動物との出合いと触れ合いについてはいつもどおりだが(僕が05年6月に久高島へ行ったときも、強い陽射しを避けるために日陰でだらだらしている動きが緩慢な猫はよく見かけた)、さすがに久高島については毒は控えめか。それにいつもどおりよく調べて書いている。妥当な内容だと思う。
まあこの地域を調べるさい、ネット上や図書館資料に当たればだいたいこの記事のようなカタチに落ち着くだろうから、僕が触れたとしても似たような結果になっただろう。

拙著『沖縄人力紀行』(彩図社刊)でもこの地域のことはさらっと触れてはいるが、そこが本の論旨ではなく、紙幅の都合もあってここまで細かく触れることはできなかった。だからその手落ち分を今回、メレ子女史が補完してくれた感じ。あと近年では、島の祭りを取材した石川直樹くんの撮る・書くものも参考になる。

この地域は僕も今後もできるだけ通ってより理解を深めようと思い続けていて大切にしたいので、まあ追々再訪するつもり。できればイザイホーも一度は観たいし。ええと次回は14年で4年後か。

そんなわけで、写真も相変わらず巧いので、興味のある方は覗かれるとよろしいかと。
というか、20代女子でお軽いキャピキャピしたノリではなくがっつり本気でこの地域について触れるのは珍しいことかと思う。僕は初めて観た。さすが。
今後の沖縄話の更新も楽しみ。

「第7回 鬼子母神通り みちくさ市」に出店し、旅の“プチ報告”の手法を確立

2010-07-26 03:30:15 | その他趣味

24日(土)、東京都・雑司が谷の古本市「第7回 鬼子母神通り みちくさ市」(※1)に昨年9月の第3回以来10か月ぶりに同じ屋号の「人力旅人の本箱 番外編」で出店してきた。9か月ぶりじゃなかった、10か月ぶりに訂正。

当日、雑司が谷へ向かってみちくさ市の受付を経て出店場所の「立川歯科車庫前」へ向かうと、いくら計画的に日陰になった場所を確保しているとはいえ予想どおりの暑さで、荷物運搬ですら困難で水分が常に手放せない状況だった。僕は水分摂取は500mlペットボトルを2本凍らせてきたやつで対応した。まあ直射日光を避けられるのはとても助かった。

で、肝心の14時~18時30分の4時間半の出店だが、同時刻開催の内澤旬子さんのトークイベント、それに猛暑のせいで外出を渋った? せいか客足は前半は鈍く、なんと14時の開始から16時すぎまで2時間強は売り上げ0円続きだった。16時すぎになんとか1冊目が売れ出してからは徐々に波に乗ってきたが。というか客も夕方のいくらか涼しくなる時間帯を狙って訪れるようで、商売らしいやりとりができたのは実質は後半の2時間のみだった。

その合間に、今回隣で出店していた「嫌記箱」の店主・塩山芳明さん(※2)と昨春にも不忍・ブックストリート・第8回一箱古本市でも隣で一緒したときのことや(今回も偶然隣同士に)、今春の第10回一箱古本市はお互いに出店日は別々だったけれども両日ともに過去最高の売り上げで好調だったよねえ、でも今日は暑くてどこもダメだね、などと出店に関する雑談を昨年同様にやっていた(でもそんな悪条件のなか、常連の岡崎武志さんは売り上げが3万円ほどだったとは凄い)。また時折、塩山さんの販売の手伝いに来ていたマンガ家志望の娘さんの話になったりもして。不忍に限らずみちくさ市界隈でも“愚娘”は有名みたい。
まあ隣はいつもどおりの古本の目利き(や在庫処分)の上手さで1万5000円近い売り上げがあったようで(実際は1万4000万円弱)、また今回も拙店の売り上げの少なさというか「旅」の本主体の出店のこだわりぶりを逆に心配されちゃったりもしたけど。

また、拙店のほうで予定外の助っ人参加となり、上の写真も提供してもらった『野宿野郎』ウェブ担当の伝道師氏(※3)にアイスクリームをおごってもらったり、逆に塩山さんからもアイスをおごってもらったり、さらにはみちくさ市本部からもガリガリ君ソーダ味もしくはコーラ味の配給が出店者1人1本ずつにあったり、と、とにかくアイスも食べまくって水分摂取に努めた。

そういえば、『野宿野郎』をはじめ野宿関係の出品物はさっぱり売れず(※4)、実は塩山さんも『野宿野郎』のバックナンバーを出品していたが、両店ともに野宿関係はまったく売れなかった。暑すぎると野宿なんて発想には至らないのかねえ。僕は前夜も新宿区内でほぼ毎月恒例の野宿をしたけど、たしかに例月以上に蒸し暑かったし。
ただ、いつもどおり出品している拙著『沖縄人力紀行』(彩図社刊)はなんとか1冊売れて、それも含めて最終的に売り上げは2500円となった。出店料と交通費を差し引いてもまあ一応プラス収支にはなった。

そのなかで、拙著が久々に売れたことも嬉しいけど今回もっと嬉しかったのが、終盤に車椅子のおばあさんとそれを押す娘さん(お母さん)? がやってきて、古本とともに拙店の売りにしている旅絵ハガキのうちの、過去に奥多摩・丹沢の沢登りの道中で撮った沢の流れの写真を用いたハガキをお買い上げくださったこと(※5)。これ、金額的には2枚で50円と安い商売ではあるが、この暑い時期に涼める写真で気に入ったのだそうで。

絵ハガキを買ってくださる方には希望があればいつも撮影地についての簡単な解説も付け加えるだが、それらの沢が東京都・神奈川県の比較的近場の日帰りできるところで撮ったものだと言うと驚かれて、まあおばさまたちにすれば普段はめったに見られない(ひょっとしたら一生行くことがない)、縁遠い光景なのかもしれない。そういうものを見せることによって、古本販売に乗じて僕がやっている旅やらなんやらの“プチ報告”みたいなこともできて面白いじゃあないか、と最近よく考えている。
例えばウェブ更新や雑誌・本の執筆や写真・資料展示とはまた少し違ったカタチの、これも一種の自分の行為の「表現」というか「報告」なのではないか、しかもそれを対面で直接できるし、と気に入っている。写真家が写真展の会場で自分の展示写真やポートフォリオを眺めてもらって、芸術家がギャラリーや美術館で自分の作品を直接観て触れて何かを感じ取ってもらうのとそんなに大差ないのかな、これ。即座に他己評価を受けられるという意味では。

先月の月末ネタで挙げて特にここ1年の活躍が目立つ地平線会議関係者で例えるところの、多胡光純(たご・てるよし)氏がモーターパラグライダーで飛んで撮った映像を上海万博で多くの国の来訪者に観られたり、角幡唯介(かくはた・ゆうすけ)氏がヤルツアンポーの単独探検へ行ってやって生還してそれを書き記したり(※6)、荻田泰永(おぎた・やすなが)氏が一般人には縁遠い北極海での冒険行と極地での生き方を写真や映像も交えて話したり(※7)、というのとはレベル的に雲泥の差があって彼らに比べたら何も大きなことをやっていない? 何か人前で喋るようなたいした話もない僕が、その代わりに小規模ではあってもこの市や近隣のフリマのような身近な場で自分の目と耳の届く範囲で旅についての“プチ報告”を拙著や絵ハガキを通じてできるのはとても有意義なことで、今後もぜひ続けてゆきたいと今回改めて思った。
大勢の前で何か喋るのは小学校高学年時の少々のトラウマのせいもあって昔から苦手で(今後も報告会とかは無理)、しかもどちらかと言うと初対面か否かにかかわらず相手と1対1で喋るほうが性に合っているので(多くても1対3くらい)、現在のやり方が最もしっくりくるカタチなのよね。人と間近で直接会うことはお金では買えない価値がある。なんちゃって。

だから最近は、出店では物品販売でガツガツお金儲けに走る、というよりは旅の啓蒙や報告の場にしたいという思いのほうが強く、こういう市の出店者としては儲けにあえて走らない珍しい部類かもしれない。元が取れれば、あわよくば拙著が売れたりしてプラス収支で終われれば幸い、という感覚でやっているから。
いきなり初対面で1000円前後も出費して拙著を買ってくれとせがむのもなんだか図々しい気がするので、まずは僕がこだわっている旅の実態がどんなものかを生で触れて知ってもらうことから始めないと(隙間産業で草の根営業みたいな)。

まあ3年前からの古本市の出店で屋号を付ける場合はあえて得意の「人力」と「旅」を謳っているのはそういうことで、その手法がようやく今年になって確立されてしっくりきたなと実感している。
もちろんその前に現在は基本的には本ブログ、それにmixiとツイッターという媒体も活用しているけど、それよりももっと至近距離で僕や僕の好きな旅に接することができる場を今後も程よいペースで持ち続けられたらいいな、なんてこともおばあさまたちを見送りつつ、暑さでややのぼせた頭でうっすら考えた。

のぼせた、というと、たしかに出店中は頭がしゃきっとしない感じで続けていたなあ。まあこれは寝不足だったせいもあるけど。日中の最高気温が35~38℃くらいになるこの時期はたしかに屋外での出店は大変なので、出店される方は熱中症対策は万全に。野宿や徹夜の直後の出店はおすすめしませんので、事前にしっかり寝ておきましょう。
そう考えると、みちくさ市の開催時間と熱中症対策は昨年の教訓が活かされているようで、日陰の場所の設定を含めておおむね良かったと思う。9月以降も出店者・来客の両面で薄くかかわってゆくと思うので、今後のみちくさ市と雑司が谷の街の発展に期待したい。


補足というか追記
※1
たまに鬼子母神について触れるが、ホントは現地では「鬼」の字の上の点は付かないのだが、まあそこはPC上では反映し難いので勘弁。
※2 
塩山さん、この日も群馬県・富岡の自宅から新幹線利用でこの商売のためだけに日帰りで“出勤”した。まあ平日は飯田橋の会社へほぼ毎日新幹線で通勤しているから、通勤定期券があってタダで来られるのだろうけど。ああでも、娘さんの交通費はどうしたのだろう? そのぶんの元は売り上げで取れたのだろうか。そこまでは訊かなかった。
※3
『野宿野郎』に濃くかかわる人はだいたい知っているが、伝道師氏は過去にマンガの執筆に打ち込んでいた時期があり(週刊の某青年誌への入賞歴もあり)、その話を塩山さんの娘さんにもしていた。ということで、そういうマンガ編集のプロのお父さんとは別角度からのマンガ経験者の話も聞けて参考になった彼女としては、塩山さんと拙店が並んだのはある意味幸運だったのかも?
※4
いつもの『野宿野郎』の5号と7号、それに『野宿魂』と『野宿塊』、さらに伝道師氏が持参した特製缶バッジのこと。いずれもまったく売れず、がっくり。まあ冊子は興味を示して立ち読む方は結構いましたけど。特に『野宿塊』を!
※5
どんな写真かはここでは公開しないので、実際に今後の僕の出店を覗きに来て確認してくだされ。点数は徐々に増やしてゆくが、たまに出店場所や事前の準備段階の気分によって随時入れ替えたりもする。
※6
角幡氏、この日に『空白の五マイル 人跡未踏のチベット・ツアンポー峡谷単独行』で集英社の第8回開高健ノンフィクション賞の受賞が決まった、という朗報を出店終了後にツイッターで知った。めでたい。まあその探検行の流れは知っているけど、僕もかねてから所望する11月の厳密な書籍化が今から楽しみ。自身のブログでは25日朝に報告。ちなみに、早稲田大学探検部のひと回り上の先輩の高野秀行氏もブログでコメントしている。そうそう、一昨年の石川直樹くんとともに早稲田の先輩後輩で(しかも地平線会議の報告会経験者で)受賞だよなー。
※7
この前日の23日(金)の地平線会議の荻田氏の報告会は当然聴きに行き、8年ぶりに挨拶してきた。改めて名刺交換も済ませて、来春の北極行の本番までにひょっとしたら個人的にもう一度会う機会がある、かも。

みちくさ市開催

2010-07-24 13:00:07 | その他趣味
先日予告した、東京都・雑司が谷の古本主体の「第7回鬼子母神みちくさ市」、今日の開催が決まったので出店しに行く。ここでは9か月ぶりの出店。
屋号は「人力旅人の本箱 番外編」。

今回は梅雨明け後の最近の猛暑続きを考慮して、開始時間の14時から日陰になる出店場所をあえて設定している。併せて熱中症対策も強調したりして。たしかに真夏の屋外は何をするにも大変だからなあ。それはよくわかる。
そのぶん出店時間は18時30分までの正味4時間半となるが、普段以上に条件が限られたなかでどれだけできるのか、という縛りがあるのもたまには面白そうなので、まあゆるゆるやりますわ。

僕の出店場所は2番の「立川歯科車庫前」と駅から遠いところになってしまったが(でも目白通りからは近い)、まあ出店者を募集してもすぐに埋まってしまう今年の人気ぶりのなかで無理矢理? 入れただけ幸いか。

ただ、最近の暑さのせいもあって肝心の出品物の用意がうまくいかず、本の品揃えもなんだか中途半端な感じになったかも(特に旅に関するモノが)。
本のほかに僕の売りにしている旅絵ハガキも、プリンタのインク不足であまり用意できなかったし。4日のフリマ出店で思いのほか売れたぶんがまだ完全に補充できていないし、新撮の写真も思いどおりに反映できていないし。

そんな中途半端かもしれない状況ではあるけど、ほかに付随する催しや目玉出店もありますし、まあ来られる方はぜひ。

今度こそ短信

2010-07-19 03:00:19 | その他趣味
最近、例年どおりの梅雨独特の蒸し暑さによってブログをがっつり更新する気力もなく、しかも経済的に相変わらず困窮しつつ日々すごしているので、殊勝なことが書けませんなあ。
なので旅や登山に関する・関しないにかかわらずここ1か月の小ネタを引き続きまとめて短くいろいろ。今度こそ短くできるかな。


●W杯の結果は予想を外しまくり
先週終了したサッカーW杯南アフリカ大会、スペインの初優勝でオランダの準優勝という結果で幕引きで、やっと寝不足から解放された。地上波での試合の生中継を全64試合中25試合くらい観た。くらい、というのは試合後半から中途半端に観た試合もあったから。
各種媒体でも賑わっていた僕の今回の優勝国予想は、正直に挙げると当初はイングランドで、でも決勝トーナメントで早々に敗退して(大会前からDFの要のファーディナンドを欠いていたのが痛い)、その次の代わりの予想はオランダとしていたが(ファウルが多くて荒いとか批判もあったが、スナイデルやロッベンの攻めは面白かった)、いずれも外れた。世間では世界的に蛸のパウルくん? の試合予想連続的中ぶり、特にスペインの活躍のほうへ動いていたのが話題になっていたが、彼? は今後どうなるんだろうね。たこ焼き?
あと、決勝には進めず、でもウルグアイに3位決定戦で勝って世界的には予想外の躍進のドイツの若手台頭による活発さも観ていて面白かった。旧来のゲルマン魂とはまた違った雰囲気の、若さ爆発の屈強さが意外にあった気がする。
ああそれと、すでに触れたが日本のベスト16も予想外だった。14日からJリーグが再開されて、欧州移籍が決まってすでに渡欧した日本代表選手もいるが、まあ今後もまずは国内のレベルの底上げに務めて、ここから再び盛り上がってほしい。で、日本代表の次の監督候補の話もそろそろ挙がっているけど、僕個人的にはビエルサかドゥンガが面白いと思うけどなあ。

●値段を見てびっくりの北極点到達ツアー
先日も触れた荻田泰永氏に絡んだ情報収集に最近力を入れていたところ、ユーラシア旅行社が来年4月に主催する北極点到達ツアーというのがあることを知った。催行は最大6名限定で12日間の旅行代金は1名あたり650万円もかかる、というすんごいツアーだが、需要はあるのかしら。しかも時期的に荻田氏が来年に計画している北極点単独無補給徒歩到達と同時期なのね。どちらもうまくいくかなあ。
ウェブサイトのほかに紙の案内も配布されているわよ。僕は先日、東京都・神保町のICI石井スポーツ登山本店でも見かけた。

●今夏は“山ガール”狙いの出版がお盛んのようで
先月の『ランドネ』の月刊化以外にも最近、『モンタニュ』や『Hutte』や『山歩びより』などの明らかに女子登山というか“山ガール”層を狙った雑誌(というか不定期刊行だから雑誌コードがあってもムック扱いか)の出版が相次いでいる。ほかにも男女問わずの登山関係で『GO OUT』や『トランピン』、それに書籍もか。一般誌でも山特集が今年はよく組まれるし。今夏は例年になく山と溪谷社以外の版元からも山関連の出版ラッシュで、よくそんなに出せるよなあ、と感心と呆れが半々くらいの心持ちで視ている。というか、いつも愛読している月刊誌・季刊誌のほかにそんなに一気呵成に乱発したらチェックしきれないではないか、もう。
ただ、勢いで出版するのもまた(その世相を反映していて)よいとは思うけど、各誌をおおまかにチェックするとこれはどうなんだろ? という誤植が結構あり、編集の粗さもちょっこし窺える。まあ夏の登山最盛期に合わせて突貫工事的に急ごしらえで間に合わせたのだろうけど、なんかもっと後々にもきちんと残せるような丁寧なつくりにしてほしいなあ、とこの話題に一家言あるいち読者としては願ってやまないのだが、各版元の内情は(取材時期とか)予定的にも(紙質とか)予算的にもそう悠長にやっていられないことも察することはできるので、うーむ。
その最近の雑誌・ムックについては僕が買うまでに至るほどのものはないのだが(まあ金欠だから手が出ないということもあるけど)、書籍については欲しいものがたくさんあってまた困っているのよね。ああ、なぜこんな大事な時期にお金がないのだろう。

●アシックス×ホグロフス
先週、アシックスがスウェーデン発で最近勢いのある野外系メーカーのホグロフスを買収するとの報道があったが、これ、報道ではホグロフスがアシックスのアジア特に中国市場への進出を睨んで、と、逆にアシックスがホグロフスの持つ欧州での販路へ進出しよう、というお互いの業務拡大の意図が強く、買収というよりは業務提携みたいな感じなのかしら。まあ野外系ウエアの分野ではすでにザ・ノース・フェイスやパタゴニアやコロンビアでほぼ占められているアメリカよりは欧州のほうが付け入る隙はあるかもだけど(ここ数年は国内メーカーからは特にモンベルが進出に力を入れているし)、それでもやはり厳しい争いになりそうだなあ。
また、アシックスとしてもこれまでの自社野外系ブランドとしてもう20年超だっけ? 頑張ってきたタラスブルバとは別の、ホグロフスの技術を活かした若者向けの新ブランドの立ち上げも目論んでいるのかも。という勝手で無責任な予想をここでしてみる。
これまでホグロフスはあまり興味なかったのだが(というか欧州メーカーにあえてあまり触れずに国内メーカーのモノにこだわってきた)、買収されてもホグロフスのブランドはしっかり残していくだろうから(またはぺツル×シャルレのようにダブルネームみたいな扱いになるのか?)、アシックスとの協力体制? によって今後どのように発展していくのかいかないのかは見モノやね。今回のは国内主体でいくという意味で。

●『散歩の達人』の新戦力の筆致に期待
そういえばのややマニアックなひとネタだが、毎月の愛読誌のひとつの『散歩の達人』で、今春からその制作に以前『山と溪谷』編集部に属していた菊野令子氏が加わったのが興味深い。誌面でのまだ大幅な執筆というか登場は見られないが、今後随所により食い込んでくるだろうから楽しみ。
というのも、ヤマケイ時代の登山初心者? の彼女の取材登山記事を読むにつけ、なんか見た目と違ってあんまり若々しくない、しかも虚を突くというか物事のヘンな方向からの見方が不思議で掴みどころがない、まあつまりはすっとぼけた筆致が僕は結構好きで(でもおそらくヤマケイの古参の読者からはあのくだけた感じには批判も多かったかも)、実は僕は隠れ菊野ファンだったりする。このすっとぼけた曲者ぶりは某ミニコミ誌の女性編集長にも酷似していて、しかもふたりは同世代なんじゃないの? 実際に会えば、必ずや通じるものはあると思う。ああいうのを書けるのは逆に突き抜けた才能なのではないか、と別の意味で感心もする。爪を隠すほどの能ある鷹にはまったく見えないけど。
で、菊野氏、ヤマケイを辞したあとはどうするのだろう、実際にお会いしたことはなくて筆致のみで判断して失礼かもだが直ちに結婚して家庭に入れそうな雰囲気でもないし、だったらとにかく出版業界にしがみつくのかなあ、と気を揉みまくっていたら、経緯はわからんが交通新聞社というか『散歩の達人』に活躍の場が移り、より楽しみが増えて嬉しい。まあ登山よりはこの雑誌の売りである様々な誘惑の多い? 方々の街歩きのほうが運動強度は低くて彼女には向いている、というか個性をより発揮しやすい場であるだろうし。
ちなみに、先月発売の10年7月号の、編集者たちが毎月の自分のおすすめ本を紹介する「今月のサンポマスター本」というコーナーで、菊野氏が先月発売の勝峰富雄氏の『山で見た夢 ある山岳雑誌編集者の記憶』(みすず書房刊)を紹介していて、このふたりはヤマケイで一時期は上司と部下の関係だったのにそれを他誌で何事もなかったかのようにさらっと触れていたのには笑った(この可笑しさがわかる人はごくわずかかも)。
それからこの雑誌でもうひとつ、『本の雑誌』の炎の営業・杉江由次氏が今春から浦和レッズ愛についての思いっきり偏見含みの連載も始まり、そちらも浦和好きとしては興味深い。『散歩の達人』はますます面白くなってきたから、今後来るよ。

●映画『運命を分けたザイル2』を観た
5月からDVDレンタルが開始された07年公開の映画『運命を分けたザイル2』を先日やっとこさ観た。前作のペルーアンデスの遭難からの生還劇はちゃんと映画館で観たが、これは観逃していたのよね。
で、内容は前作の続編の要素もありつつ、基本的には1936年のトニー・クルツらドイツ・オーストリアの4人組がアイガー北壁初登攀に挑んだときのルートを現代的に辿ってゆく話。だからまあ今春公開の『アイガー北壁』と内容はほぼかぶっているが、それよりはセリフで当時の登攀の様子が詳説されていて、わかりやすいっちゃあわかりやすい。ただ説明調のドキュメンタリー映画が苦手な人にはやや不満な内容かもだが、僕は好きなので短いながらも楽しめた。

●沖縄発の写真雑誌『LP』
先日、東京都・新宿のコニカミノルタプラザの「第11回コニカミノルタフォトプレミオ 年度賞受賞写真展」を観に行き、その場で初めて見本を読んで知ったのだが、07年から沖縄発の写真雑誌というかミニコミ誌のような体の『LP』という雑誌が発行されているのね。全然知らなかったわ。
本土のプロ・アマを問わずヤマトンチュの写真家たちで沖縄を題材として撮る人はたくさんいるが、沖縄出身のウチナーンチュが自分たちの地元を撮る・撮られることについてどう思うのか、みたいなことを今後いろいろ突き詰めていくのかしら。そういう視点は珍しいと思うので、バックナンバーをチェックしたくなってみたわ。
ちなみに最新号は11冊目の発行となり、それは会場の見本でさらっと読んで、特に最後の石川直樹×土屋誠一×タイラジュンの座談会「なぜ、沖縄か」は、石川直樹くんが今春に沖縄県立博物館・美術館で写真展を開催した経緯、そもそもの写真家による写真展の開催意義、それに沖縄を撮ることについての近年の(本土の)写真家の感覚、のような突っ込んだ話がてんこ盛りで面白かった。

●ジブリ映画『借りぐらしのアリエッティ』で違和感のある点にあえてツッコミ
17日(土)に公開された今夏のスタジオジブリの新作映画『借りぐらしのアリエッティ』を、先週に試写会でひと足先に観た。
その直後のほかの観客からは物足りない内容だ、みたいな言い分も実際聞かれたが、でも僕的には同世代の米林宏昌監督の手腕が光り、作画・動画ともにジブリらしさはしっかり受け継がれていて、観ていて安心できる内容にはなっていた(まあこの安心感はデジタルではなく手描きの作画によるものだろうね)。お子様、特に男子は大好きであろう探検・冒険的な見せ場も多かったし。
とはいえ、全体的な物語の構成というか脚本は宮崎駿氏らしく示唆に富んだ問題提起型? のセリフもいくつかあった。「借り」と「狩り」を掛けたりとか。近年はジブリ映画をテレビなどで再見するときも、画の良さは言わずもがななので、それよりも脚本のほうが年々気になってきたのよね。主に言葉選びについて。まあそれは、宮さんがここ数年の作品の声の出演にアニメ専門の声優ではなく俳優を重用することも少しは影響しているけど(ちなみに出演陣では特に、お手伝いのハル役の樹木希林が秀逸)。
そんななか、脚本で序盤にひとつ引っかかった点が。もう公開されているし宣伝用ポスターにも描かれているからネタバレさせてもよいと思うが、アリエッティが父・ポッドの狩り? に初めて同行したときに途中で裁縫用のまち針を拾い、それを「獲物」と呼んでいたこと。
まあこれは解釈は人それぞれだと思うが、5月末の投稿でも偶然にも少し触れたが、やや似ていて混同しやすい「穫」と「獲」の漢字、特に後者のほうはけものへんが付いているだけに生物に関する事象にこそ当てはめるべきだと僕は思っていて(「捕獲」「乱獲」「獲得」のように)、国語辞典でも「狩や漁でとれたもの、とろうとしているもの」という意味になっている。だから加工品というか無機物である針に「獲」の字の付いた言葉を当てはめるのは違和感がある。ふつうに「(人間の)落とし物」とか「拾い物」とかではダメだったのか。ただ、この作品の趣旨である小人が人間の生活空間を「借り」て共存するなかで小人がより生き延びるために必然的な行為を「狩り」と呼ぶのであれば、そこでとれたモノを「獲物」と呼んでもよいのかな? とも少しは思うので(アリエッティはまち針を虫との格闘時の武器=剣として使用していた)、解釈に迷う。
これは校正者としてすんごい気になる点なので、できれば宮さんにこのへんの解釈を訊ける機会があれば直接訊いてみたいんだけどなあ。スタジオジブリはウチからも距離的にそんなに遠くないし(直線距離で10km強と自転車で数時間で往復できるくらい)、無理矢理押しかけてよいものか。うーむ。

●日本山岳サーチアンドレスキュー研究機構の「2009年トムラウシ遭難シンポジウム資料集」を読もう読もう
2月27日(土)に神戸で三山岳団体共催(日本山岳協会、日本勤労者山岳連盟、日本山岳サーチアンドレスキュー研究機構)で行なわれた2009年のトムラウシ大量遭難に関するシンポジウム、興味は当然あったのだがさすがに神戸だと遠くて行けなくて悔しかった。
しかし、ああ残念残念と思い続けていたところに最近、このシンポの分厚い資料集が日本山岳サーチアンドレスキュー研究機構によってpdfで配布され始めたことを知った。本ブログ2010年4月18日の投稿で触れた、社団法人日本山岳ガイド協会が2月に出した事故の現地調査の最終報告書を基にそこからさらに突っ込んで、9人の専門家を介してより深く突き詰められていて、ボリューム満点。今年の『岳人』10年6月号の、このシンポのパネリストのひとりの岩城史枝氏による「続・トムラウシ遭難 この事故を風化させないために」の記事でそのときの流れはなんとなく知っているが、まあ資料集を追々じっくり読んでいくことにする。
先週16日(金)であの遭難から丸1年なのよね。今週、山と溪谷社からこの遭難をまとめた本も出版されるが、小耳に挟んだところではかなり生々しい新証言? も収録されているようなので、たしかにその出版が妥当なくらい、近年の山岳遭難のなかでも特にいろいろ考えさせられることが多いと思う。だから硬軟問わず山を登っている、とりわけ複数人で行くことが多い人は最近の山ガール景気? もわかるけど、こういった負の側面ももうちょい気にしてほしいものだ。

●縁のある人の催しが相次ぐのだが……
偶然にだが、なんか先週から来月中旬にかけて、本ブログで過去に取り上げたものでもないほどの、僕の友人知人が表方または裏方で直接的間接的にかかわっている旅に関する・関しない小さな催しも結構頻発していて、でもなんだかんだでほとんど行けていないのがとても心苦しかったりする。各種催しにかかわっている(時折連絡もくださる)みなさん、内心はすべてに行きたいのだけど経済的な理由などによりなかなか行けそうにない、と、この場を使って謝罪。ごめんなさい。
今週末の特に24日(土)の夕方以降にも催しが2、3かぶっているのだが、その日は雑司が谷・みちくさ市に出店するつもりなのでいずれも無理そうだし(僕は各種催しなどに遅刻して行くのは嫌いなタチなので)、しかも今月は特に自分の時間を持ちたかったので、誠に申し訳ない。


ああもう、結局また長くなっちゃった。更新が2週間ぶりなので、まあそのぶんのネタをまとめて放出したということにしておこう。

もっと短い小ネタはツイッターで日々だらだらとやっているので、こちらも参照していただければと。最近、面白いフォロー先もたくさん増えたし。
そういえば、なんかもう5か月近くも山に行っていないよなー。梅雨は17日に明けたし、そろそろ沢登りとかで山に癒されたいなあ。今年下半期の登山や小旅のテーマはあえて「癒し」でいくべ。

短信・今月以降のこと

2010-07-05 03:00:53 | 普段の生活(日常)
短く3点。

●ツイッターの状況

今日で本ブログ開設から4年半でmixiを始めて2年半で、それからツイッターを始めてちょうど半年。
ツイッター、当初は半年もやれば飽きるだろうと思っていたが、1月に3日間のみさぼった? 以外は毎日何かしらぶつぶつとツイートしている。飽きるどころか逆に日に日にはまっている。先月下旬でツイート数1000越えは多いのか少ないのか。やり方にはなんとなく慣れてきてPCよりも専らウィルコム携帯できる電話のほうで「モバツイッター」を使って外出先ででもがしがし使っている。

で、単に全国的に知り合いか否かを問わず他人の動向をリアルタイムで知る以外に情報源としてもかなり有効なことは日に日に実感していて、一度この経路を手に入れるとなかなか手放し難いなあ、という点もツイッターにはまっている要因のひとつ。
最近徐々に、友人知人が参入する様子も見られる。基本的には一度以上会ったことのある、もしくは催しなどで絡んだことのある人を中心にフォローしているが、そのフォロー先のまたフォロワー(自分がフォローされている人)でも興味のあるツイートをしていれば気軽にフォローしているし、フォロー返しもあるにはある。興味はより拡がっていく感じ。
あと個人的には、有名人はあまりフォローしていないほうかもで、それよりは自分の興味のある分野でだいたい決まっているかな。主に旅、登山、野宿、スポーツ、埼玉県、沖縄県、出版、古本、マンガ、写真、の関係の方が多いか。

今後も登山などで数日間電波の届かないところへ行くとき以外は気が向いたときに続けるけど(今夏に数日間山へ入るつもりだけど、どうなるかはまだ未定)、まあ気負わずに続けますか。でも最近、即時性をちょいと意識して情報を咀嚼せずに先走る傾向があるので、自重しよう。もちろんツイッターでも本ブログと同様に嘘話は触れないけど。


●「みちくさ市」に出店予定

今月24日(土)の午後に予定されている、昨年9月にも出店した東京都・雑司が谷・鬼子母神通りでの古本販売が主体の「みちくさ市」に出店することになった。今回で7回目で、なんか回を追うごとに人気が増して、今年は申し込みを始めても数分以内に締め切られるというくらいに狭き門になっているけど。

今回は24日午後に、14時~18時30分といういつもよりも短い4時間半という出店時間なのが微妙だが、先のフリマ出店のように来客はどこでも開始早々に集中するもので、まあなるようになる、と、こちらも気負わずに楽観的にいくことにする。

ちなみに、すでに公式ブログで今回の出店者の情報も出ているが、屋号は毎春の不忍ブックストリート・一箱古本市とは少し変えて昨夏と同様に「人力旅人の本箱 番外編」とした。「番外編」が、旅の本以外の一般的な本も扱う、という意味。野宿関係の媒体も用意したいが、間に合うかなあ。
24日に雨天の場合は翌25日(日)に順延で、どちらの日になっても出店するつもり。今回は僕ひとりで。
都合つく方はぜひ。


●今月と来月の旅話

先月ほど力を入れていないが、今月と来月にも東京都内で他人の旅話を聴ける機会が多そう。ただ今月は自分のことに集中するつもりで、ほかにも山にも久々に行きたいし観たい写真展や映画も多いし、まあそれらの娯楽のひとつとして行けたら行く、という感じ。

現時点で今週以降興味のあるのは以下。

・ 7月8日(木)  野川かさね@パタゴニア渋谷ストア  20:30~
  または
  7月28日(水) 野川かさね@パタゴニアゲートシティ大崎ストア  20:30~
・ 8月7日(土)  月風かおり@モンベルクラブ渋谷店  13:00~

今回はめんどくさいのでリンクは張らず。
ほかにもあるけど、ここで挙げるほどのものでもないかも。
また後日、8月上旬にもうひとつ増えるかも。

8月7日の「風書家」の月風かおり氏のはすでに予約済みで決定。数年前から気になっている方で、しかもなんか僕と共通の知人もちらほらいるようでその確認もしてみたいため。

あと、先月30日の投稿でもやたらと触れた地平線会議の今月分は23日(金)に、そこでも触れた荻田泰永氏。実は昨日も神奈川県・横浜で別の報告会があるのは知っていて行きたかったが、金欠などいろいろな理由により断念。まあそれを楽しみにしますよ。


※10日(土)の追記
旅話の続き。
8日(木)のパタゴニア渋谷はなんだかんだで行けなかったので、28日(水)のほうに行こうかと。
それから5日時点ではまだ告知されていなかった、東京都・西荻窪の旅の本屋のまどで8月6日(金)19:30~、で組まれたカベルナリア吉田×松鳥むう・島旅トークイベントも気になる。が、この日は行けるかどうかまだ微妙なので保留。でもこのふたりは結構人気あるので、うかうかしていると早めに埋まっちゃうかも。どうしようかなあ。
しっかし、カベルナリアさんの新刊は先日ちょいとチェックしたけど、ふたりともなぜ毎年そんなに立て続けに本を出版できるのかなあ(溜め息)。

※8月10日(火)の追記
7月28日の野川かさね、8月7日の月風かおり、の両氏のトークイベント、行ってきた。いろいろ収穫があって良かった。今後は女性の行動者ももっと視ていかないとねー。
それで月風さんの活動については、ご本人のウェブサイトとともに8月8日(日)に千葉県のFMラジオ局・BayFMの野外系番組『ザ・フリントストーン』に出演していて、そのときのインタビューの再録のほうが比較的わかりやすいかもしれない。
ちなみにこの番組、本ブログで度々取り上げるような僕の知り合いも含めて旅系の人々がしょっちゅう出演していて興味深い。しかしウチは電波がうまく受信できなくて番組を聴けないのよね。毎週残念無念で、たまにこのサイトで後追いで確認している。

新宿中央公園の、予想に反して雨が降らなくて幸いだったフリマ出店

2010-07-05 02:24:51 | その他趣味
昨日3日(土)に東京都・新宿中央公園で行なわれたNPO法人フリーマーケット主催団体協議会が主催のフリーマーケット、数日前から天気が心配だったもののなんとか滞りなく出店できた。

梅雨の真っ只中ゆえにホントに天気が微妙で、この日の朝は5時頃に起きてからもやきもきしていたが、会場で開始予定時間の9時頃に開催するか否かを判断する、というお達しがあってまずは現地に行ってみなければわからない、という賭けに挑んでいるような状況だった。ということで一応は前夜に用意しておいた出品物を持って行ってみた。
すると、その移動中の8時頃に開催決定の連絡があり、ホッとひと安心。今回は出品物が多くていつもの40リットルのザックとウチで家族がたまに使うふつうの旅行用のスーツケースを借りてそれらに荷物をまとめ、これからどこかに旅行に行くのか? と傍から思われそうな格好で行ったのだが(スーツケースをガラガラ引くのも数年ぶり)、その荷物運搬が空振りに終らなくてホントに良かったわ。もし中止になって、そんな大荷物を抱えて周りの店などがまだ開いていない10時前の新宿駅前で途方に暮れるのイヤだったから。

開催場所に行くと予想外に良い天気で、太陽が出ていたりもして雨の降る雰囲気ではなかったので、賭けに勝ったような気分でまず安堵した。
開始時間の9時より少し前に着いて受付したときには、開催の判断が微妙だったせいか見渡すとこの時間前に準備が進んでいた区画は20程度だった。でも時間が経つにつれて増えてきて、ここで出店できる200店すべては埋まらなかったようだが昼頃には8割がた埋まっていたか。

僕も9時頃からゆるゆると準備して出店して、最初の2時間ほどはできるだけ良いモノを狙う客が多く訪れるために接客の機会も多い、というどこでも同じの序盤の流れを経て、空を時折見上げると暗めの色の雲もたまには流れるものの結局は雨が降るほどではなく、15時30分の終了時間まで心配だった雨は1回も降らなかった。むしろ正午前後の太陽が南中のときに特に陽射しが強く、半袖ポロシャツを着ていたが腕を見るとうっすらと日焼けしていたくらい。

そういえばここ、過去の一般的なフリマ出店で最長の6時間半の出店時間で、時間が長いぶんより売れるだろうなあ、と目論んでいたが、降雨の心配もあってか? 14時をすぎると来客も一気に減り、結局は最後の1時間半は売り上げ0円で、結局はそんなに長々と出店できても意味はなかった。
それで結果だが、5月に持ち越したモノも含めて出品物を結構多めに持参したこともあり、売り上げ総額は6880円となった。だいたい予想どおりでまあ納得の結果。ただ値引き交渉に失敗して売れ残ったモノもあるので、それらをもう少し譲歩して売り抜けられればあと700~800円ほどは上積みできたかも。商売は水モノやねえ、と対面販売の難しさを改めて思い知り、でも勉強になった。交渉力をもっと磨かねば。

それで、いつものように古本類とともに拙著『沖縄人力紀行』(彩図社刊)も出してみたが、手に取る方は数人いたが今回は売れず。でも古本は6冊売れてまあまあ。また、もうひとつ紙類で面白かったのが、こちらも毎回出している旅写真の絵ハガキをまとめたファイルを覗いていく方が結構多かったこと。でも大半は買うまではいかず。
しかし昼頃に、そのなかでまとめ買いしていった男性がいて、その枚数がなんと18枚で(僕的にはなんと! なのですよ)、設定している金額で言うと計700円の売り上げとなった。その選択の一部にはふざけた野宿写真も含まれていたのだが、何にそんなに惹かれたのだろうか。今後の参考にその決め手を訊いておけばよかったなあ。10枚以上もまとめ買いされたのはもちろん初めてのことなので、我ながら驚いた。

そんなこともありながら、出店料がやや高い2500円と往復の交通費780円の計3280円を差し引くと、3600円の儲けとなった。
実はここ2週間ほど、仕事が少なくて今年最低の経済状況で食費や交通費を削ったりしてここの出店料を捻出するだけでもひと苦労だったが(冗談抜きで1円単位で皮算用しながら日々の買い物などを厳密にやっていた。松屋や吉野家に行くのでさえも贅沢、と思うくらい低レベルに)、なんとか息を吹き返した。安い商売でも生でやるとそれなりに達成感はある。それにしても終了後に野口英世さんよりも格上? の樋口一葉さんを観て触ったのはいつ以来だろう。

まあ結局は天気予報が良い意味で外れていろいろ助かった出店であった。めでたし。
でも儲けたぶんは数日内にすぐに消えるだろうけど。



ちょいと珍しい? 当日の様子を以下に3点。


まだ9時の開始前、店を広げ始める出店者のところに来客の一部ができるだけ良いモノはないかと取り囲まれて物色されている様子。僕が広げるときもこんなに大勢ではなかったが、数人にまじまじと覗かれながら出店準備をする羽目に。そんなに視線が集中すると準備しにくいし恥ずかしい。これは野宿明けに寝袋から這い出して起床する様子を他人に間近で見つめられるのと同程度の恥ずかしさか。


僕の店の隣の様子。中央奥に新宿西口界隈のビル群では最近特に目立つ曲線のコクーンタワーが見える。この写真右側のほうを見上げると東京都庁が聳えているし。やや威圧感のあるビル群だが、でも公園内に目をやるとは緑が多くてそちらは和む。


僕の出品したTシャツの一部。何が珍しいかというと、出店中はある程度見栄え良く並べてもいろいろな客が触って結局はぐちゃぐちゃになるので、だいたい適当に置いておくことになる。だが、出店終盤にある若い男子が物色して見終ってから、このように1枚ずつきれいにたたんで何も言わずに去っていった。そのときはほかの接客と会計の整理に集中していて彼とは喋れなかったのが少々悔やまれる。たたみ方の上手さを見ると、ユニクロかどこかの被服関連の店で働いた経験があるのかな、というくらいにきれいなたたみ方であった。結局彼は何も買わなかったが、それでも去り際がカッコ良くてなんとなく嬉しかった。

新宿中央公園のフリマは辛うじて開催

2010-07-03 09:00:16 | その他趣味
今日9時から予定されていた東京都・新宿中央公園のフリマ、6時の時点では現地に行かないと開催か否かわからないギャンブル状態で微妙だったが、先程なんとか開催が決まってひと安心。

新宿界隈は今は太陽が出ているが、天気予報では天気はこれから悪化して昼からはいつ雨が降ってきてもおかしくない感じと判断しているが、どうなることやら。16時頃までもつといいけどなあ。

公園の場所はよく知っていても出店では初めて訪れる会場なので、集客もどのくらいになるかは未知数でなにもかも微妙な感じだが、まあ出店料2500円を払ってしまったのであとはやるしかない。

200区画はあるにはあるが、今朝の開催判断が微妙だったからすべては埋まらないだろうね。でもすでに目当てのモノを物色している客? が結構いて、まだ店を広げる前から「○○はないっすか?」と数人から訊かれたりもしている。

雨が降ってきたら途中で打ち切りの可能性もあるだろうけど、ひとまず予定どおりに15時30分まで出店するつもり。
お近くの方はぜひー。