主に今月に体験して感じたカレー絡みの小話を5点まとめて挙げて、ひとつの投稿にまとめてみた。
●「カフェテラス本郷」の大盛りカレーに挑む
東京都文京区本郷に「カフェテラス本郷」という一見なんの変哲もない喫茶店のような飲食店があるのだが、ここ、知る人ぞ知ることとしては通常メニューのほかにカレーやパスタやオムライスなどの軽食の大盛りメニューを1000~1300円で提供していて、店の東側にある東京大学の学生にはその点からも昔から御用達の店である。
カレー専門店ではないために僕も趣味のカレー店訪問の軒数には数えられないが、それでもここの大盛りカレーを一度は試しておきたいと思い、今月のある平日の午後に初めて入店してみた。そのなかからインドカレー大盛(1000円)を選択した。上の写真がそれ。
皿の大きさは、手前にPASMO(パスモ)を置いたので、それと比較すればわかるかな。ちなみに皿は平べったいものではなく4cmくらいの深さがあってライスの量は見た目よりも多いので、今後これに挑む方はご注意を。
最近は痩せたいがために食べる量を抑えていて完食には時間がかかると思ったが、結局これは10分ほどで完食できた。ただこのメニュー、具は玉ねぎのみなので食べるというよりは甘辛めのルウをひたすら飲むという感じで(カレーは飲み物?)、人によっては飽きやすく、何かトッピングが欲しくなる味かも。ただ、本ブログ2007年9月3日の投稿で触れた神奈川県高座郡寒川町一之宮の「入澤」のジャンボカツカレーのような「豪快」という言葉の範疇を超えている(ルウよりも厚さ2cm近くあるトンカツのほうが主役みたいな)トッピングは勘弁だけど。そういえば、「入澤」のリベンジはまだ果たせていないなあ。
たまたま僕が本郷のこの店を訪れたときに、会話から察するに東大生らしい数人の集団のひとりが同様に大盛りメニューに挑んでいたが、毎春にとある体育会系サークルの新歓行事でここの大盛りメニューを東大の洗礼? として強制的に食べさせる習慣もあるらしい。
再訪するときは、同じ値段のキーマカレーを試してみようかしら。
そういえば本郷三丁目交差点の周辺って、「プティフ」や「アルルカン」など、なぜかカレー店が結構ひしめいているのよね。まだ全店巡っていないけど。
●松屋のフレッシュトマトカレーはなかなか
カレー専門店とは一線を画すファーストフード的な松屋だが、安価に手っ取り早くカレーを食べたいときはSガストやC&Cとともに結構利用している。
で最近、これまでのオリジナルカレー(並350円)とは別にフレッシュトマトカレー(並290円)という新作が登場した。しかもオリジナルよりも少し安い。
これはまだ1回しか試していないが、オリジナルよりもトマトの酸味が効いていて夏場は食欲はより増しそうで、良いと思う。カレーを作るときに使用する野菜では甘味を引き出す玉ねぎが最も肝心とは一般的にはよく言うが、僕個人的にはスパイスありきのインド風カレーを作るときはトマトも同列くらいで重要だと思っているので(トマトが高価で買えないときはトマトジュースを活用するのも有効では?)、味はどちらかと言うとフレッシュトマトカレーのほうが好き。まあ具は少なくて鶏肉も申し訳程度にしかちょこちょこしか入っていないけど、これで300円未満という価格設定だったらまあ妥協できる範囲内である。
今後、マクドナルドのハンバーガー・マックポークと並んで僕の外出時の外食の常食となるメニューですな。欲を言えば、もう少し全体量を増やしてほしいところだが。
●もうすぐ400軒
趣味の全国各地のカレー店訪問は、ここ1年は個人的不況ゆえに月に1、2軒行けばよいほうで(以前は多いときは1日5軒ハシゴしたこともあったのに……)、一応は極私的毎月カレー店新規開拓の記録は02年1月~今月まで91か月連続で細々と継続できている。
それよりも肝心なのがこれまでの総訪問軒数だが、こちらは今日現在で395軒となり、年内に400軒を突破する見込み。でも毎年どこかしらで店の主人は日本人かインド人かにかかわらず新規のカレー店が開店して増減も繰り返されて(全体的には微増傾向か?)、ラーメン店ほどの競争の激化ぶりではないがそれでもカレー業界がここ数年活気づいている実感はこれまでに400軒近く巡ってきたなかで感じている。
よく考えると、本場のインド仕込みのカレーに限って考えても、『世界の統計2009』によると08年の人口は約13億3600万人で世界第1位の中国から派生した中華料理店が国内外各地に溢れているのと同様に、人口は約11億8600万人と世界第2位のインドからのインド料理、まあ平たく言うとカレーを扱う店が年々各地に広まっているのはごくしぜんな流れであると言える。
2030年の人口予測ではインドが中国を抜いて世界第1位になるようだし(中国の「一人っ子政策」やインドの「家族計画」は現在もきちんと機能しているのだろうか?)、今後もカレー店の席巻は続いてゆくだろう。カレー好きのひとりとしては良い傾向である。
ただ、インド人のカレーと日本人が修業や旅などでインドや東南アジアを巡って体得した味覚をもとに創作した(インド人もびっくり? の)カレーとは質がかなり異なるので(はたまたイギリス発祥の欧風カレーもあるし。東京都・神保町の「ボンディ」はホントに欧州風なのかは疑問だけど)、その違いにも注視していかなければ。
また日本に進出しているインド料理店でも、本場そのままの味で乗り込んできたのではなくて日本人に合わせて肉の部位やスパイスの配合を変えて食べやすくしている店も多いらしく、そこも要注意か。僕としてはそんなふうに他国の事情に迎合しなくていいから、本場の味で勝負してほしいとは思う。
●カレー店の情報収集ばかりの日々
普段のカレー店に関する情報はテレビ番組やインターネットよりは主に雑誌から得ていて、なかでも食系月刊誌『dancyu』で毎年夏の号ではカレー特集を組むのだが、主にそれを頼りにしている。
ただ最近はそれ以外にもカレー系の書籍・ムックの出版が増え、さらには週刊の一般誌でもたまに取り上げているのを目ざとく見付けてはチェックしている。
そんなふうに心に留めておいたもののまだ未訪問の店が今月に50軒を超え、時間的にはだいたいいつでも行ける状況にあるのだが、依然続く金欠によって金銭的にはカレーを食べる費用がなかなか捻出できないのがもどかしい。
なんとか改善できないものか。実食経験よりも情報のほうが溜まり、どんどん頭でっかちになっていく……。カレー好きの名が廃る。
なお、最近の情報を吟味したうえで特に気になっている店は、
・ライオンシェア(東京都渋谷区代々木)
・ケララの風(東京都大田区山王)
・OXYMORON(神奈川県鎌倉市雪ノ下)
・GUESTHOUSE DENON(愛知県一宮市木曽川町)
・チョウク(大阪府大阪市福島区福島)
の5軒かな。すでに食べに行った方の報告を聴きたい。
●カレーマンガ『華麗なる食卓』作者のサイン会に行ってきた
海の日絡みの3連休の19日(日)、今月の『週刊ヤングジャンプ』誌上では事前告知されていた、僕が数年前からお気に入りマンガ第1位に挙げているカレーマンガ『華麗なる食卓』作者のふなつ一輝(ふなつ・かずき)氏がサイン会を行なうというので、東京都・原宿でのサイン会への参加条件がやや複雑というか面倒だったが、万難を排して行ってみた。
なお、僕がほかに特に好きなマンガに挙げている『ビッグコミックオリジナル』連載の『岳』は他人に薦めたいマンガ第1位に挙げているが、僕が好きなマンガとしては『華麗~』と同率1位という感じ。『華麗~』のほうは、若い女子にはちょっと薦めにくい男目線の描写(つまり下ネタ)も結構含まれているのよね……。
で、19日の夕方、2日前に入手した整理券の案内どおりに会場に向かったが、サイン対象の今月発売の33巻購入者はやはり大半が僕と同年代か若い男子で、でもカレーが3度の飯よりも好き、というカレー中毒者的な風体ではない、アキバ系みたいな話でずっと盛り上がっていたグループもいたりしたが、まあそれはそれでよいか。同時開催の葉月京氏のサイン会の影響もあったのか。
このマンガ、カレー以外にも世界各国の硬派な食事情の情報とは対極のそういったおふざけやお色気満載の描写もあって硬軟の振り幅が広いから、そういう人たちが食い付くのも無理はない。ふなつ氏、最近は単行本のほうでは『マクロスフロンティア』が好き、というアニメオタク? ぶりも垣間見えるし(僕はウチの兄がどっぷりはまっていた影響で観ていた初代マクロスとの落差が怖くて、まだ観ていないけど)。
で、約1時間並んだすえにようやくふなつ氏と対面でき、主人公の高円寺マキトの絵付きのサインをいただいて両手でガッチリ握手もして、感激。これを全員にやっていたな。この件に関してはミーハーと言われてもかまわない。普段憧れたり親しんだりしている人に会えたら嬉しいのは、どの分野でも同じことでしょ。
生のふなつ氏の格好および全身の雰囲気は帽子の被り方も含めてマキトっぽくて、というか関西弁も含めて素をそのままマンガに投影しているのか、と今回ようやく会えたことで真に実感できた。今後の連載を読み進めるうえでもより楽しくなりますなあ。
あとはこのマンガを監修している、カレーも含む食文化に精通している森枝卓士氏にも一度はお目にかかりたいんだよなあ。
そういえばふなつ氏、今月の連載でも33巻でも告知済みだが先月からブログを始めていて、こちらも今後マメにチェックしていく。しかも仕事場が埼玉県・所沢と僕の地元の近所ということもあり、ブログでその周辺の僕もよく知っている地名が頻出しているのも面白く、これまで以上に『華麗なる食卓』が好きになった。このマンガ、近年のカレー業界への貢献度も高いはずなので、それがウチの近所から日々生み出されていることも身近に感じつつ、今後も要チェックですな。
それに僕の場合、このマンガから普段疎い関西弁の使い方も勉強になっているので、ネームのなかのカレー絡みのうんちく以外に言語学的な観点からも今後の連載も楽しみにする。最近、関西出身の方と接する機会も増えてきているもので。
ああそれと近々では僕個人的には、年内に発売されるであろう単行本34巻に収録されるはずの内容が既刊のなかでも特に精神的に興味深く(カレーと陶芸の組み合わせの話)、これの解釈について美術・芸術関連の事象に精通した方からの感想をぜひ知りたいなあ。
という感じで、なぜか今月にカレーネタが集中した、という話は以上。まとめたらまた長くなっちゃった。
まあいいや、暑い夏こそカレーのことをもっとよく知り、もっと食べるべきなのだ。