また長いですが、この2週間ほど悩み抜いて結論を出した初の試みで、今後の被災地支援に関する所信表明のようなものです。関心のある方にご一読いただけると幸いです。
●ブログタイトルをひとまず年内いっぱい変更して、そして「思考」の3割は被災地へ
本ブログのタイトルを今日から年末まで、「思考の5割と収入の3割を旅に注ぐ旅人の日々」に変更します。
そして、「思考」を2割減らしたぶんとそれ以外の(普段の生活の)部分から1割足して計3割を、東日本の被害の甚大な被災地への支援に向けることにしました。身体的にも精神的にも。
実際、3月11日(金)以降にも普段の生活のなかで被災地のことを考える時間が多く、報道を聞きかじってもどうしても彼の地に気が向いてしまいます。日によってはその割合が5割を超えることもあります。
報道ではほかの事象も増えてきた最近は平静を取り戻しつつある観はあるものの、被災地では日々それどころではない状況であることは先月に宮城県南部へ少し行っただけでも容易に想像できます。そして実際に少々でも直接かかわるとずっと気になり続けます。僕の場合は特に、実際に行った
亘理ささえあいセンター「ほっと」(旧亘理町災害ボランティアセンター)の活動状況をほぼ毎日チェックせずにはいられない、という感じです(ほかの市町のセンターも同様にチェックしています)。
よって、(一般的によく言われる)長期的に支援する、という意思表示の意味でブログタイトルを変更した次第。
●ボランティア活動について総論賛成各論反対、今後の所信表明みたいなこと
先日の旅話に続いて再び石田ゆうすけさんのブログから引っ張ってきますが、先月に石巻市のボランティアセンターに登録して1週間ほど活動してきたそうな。
それで、これから参加を考えている人向けの注意として書いた4月24日付「
ボラ追記」の記事を読んで、総論的にはそうだそうだと賛同できて納得することばかりではあるものの、部分的に反対というか違和感を覚えることもあります。そこでその一文を下敷きに、僕なりに今後のボランティア活動について思うことを補足的に触れてみます(揚げ足取りになるかもしれないのはすみません)。まあ活動への思い入れはいろいろあってよいですが、その一例として。
まず、活動期間が長期か短期かについて。
僕はかかわっている時間の多少を問わずどちらも自己満足の行為で、ともに「自分の生活を犠牲にしている」という感覚でもないと思います。
たしかに普段の生活の自分の時間を削って行っているからそう考えがちですが、基本的に時間の多少を問わず「ボランティア(volunteer)」という言葉の本来の「志願者、有志」の意味どおりに考えると、自分がやりたいからやっている(もしくは個々人普段の生活のなかでの家族サービスや仕事を差し置いて「やるべきこと」として膨らんでいるかもしれない)=自己満足の行為、だと思うので、例えばプロ野球の犠牲バントのように自分を殺して他者を生かす、というマイナスの意味合いに聞こえそうな「犠牲」という言葉を使うのは僕は控えます。自己満足は自己満足でも自分も他者も生かすプラスの、発展的な行為のはずですし。
次にカンパ(協力金)について。
僕は長期の方よりも、むしろ短期の方のほうがあればあったほうがよいと思います。
というのも、長期で活動する方は大概なんらかのNPO・NGO団体に属していて、その独自の活動に充てるための(時期は不明だけれども被災者に直接渡る「義援金」ではなく)「支援金」を公に募って集まっていればそれが活動資金となり、その組織下で行動していれば現地の滞在中は移動や食住でも自分の出費はほとんどなくてその資金内でほぼ賄えるのではないかと思います。まあ一概には言えないかもしれませんが。
逆に(なんらかの事情で行きっぱなしは難しい)短期の場合、被災地への往復だけでも結構なお金がかかり(だいたい、先月下旬に全通した東北新幹線などよりも比較的安価な長距離高速バスの移動でも東京~仙台間往復で6000~9000円、東京~盛岡間往復で9000~1万4000円かかります)、これを何回も重ねると結構な出費ですね。クルマで複数人が分乗するにしても高速代よりもガソリン代のほうがかかり、似たような出費額になるでしょうか。それに加えて、先月からよく言われる「自己完結」のとおりに特に食に関してもそこそこ出費する必要があります。
ちなみに、僕が先月に亘理町を中心に宮城県南部へ行ったときは、1週間の滞在中の出費合計額は約1万6000円で、そのうち約9000円が埼玉県内の自宅~JR仙台駅~JR亘理駅の往復移動にかかりました。亘理町滞在時はテント泊だったものの、交通費以外の出費も合わせるとそのくらいにはなります。今後、もう少し遠めの岩手県へ行く場合は同程度の日数で2万円前後かかるでしょう。
ということで、周りの方々からお金を募る行為については(最近は詐欺の問題も増えて)慎重に考えるべきですが、どちらかというと短期の方のほうがお金はあれば随分助かると思います。それに僕のようにクルマではなく公共交通で移動し、買い占めにならない程度に被災地で買い物もして、と行動中に現地にお金を落とすことが地域貢献にわずかながらもつながり(そこは旅と同様ですね)、むしろ短期の移動・滞在のほうが義援金よりも即効性のある被災地支援になると思います。
そういえば先月22日(金)の地平線会議の報告会で、石巻市以北で長期的に支援を続けていて先月から「
Think the Earth基金」の対象にも加わって一般的な認知度が増しつつある(僕の知人でも現地へ行って短期・長期ともに複数人かかわっている)「
RQ市民災害救援センター」の関係者の話でボランティアが(阪神淡路大震災のときよりも)足りない、という話がありましたが、これは単に被害の甚大な三陸海岸など太平洋側の地域が距離的に遠く、それによって移動にお金がかかるから、という一因もあると思います。僕のように(真っ当? な勤め人よりも)時間はあっても行くためのお金を捻出し難い、という人も多いと思います。
「貴重な経験をさせてもらいにいく」について。
たしかに、一般的によく言われる“未曾有の大災害”なので、被災地へ行けば何もかもが初体験のことばかりでしょうが、始めから貴重な経験を、という動機付けで行くとそれこそ物珍しい事象を見に行ってやる、と観光や物見遊山の感覚が先走ってしまう気がします。ジャーナリストやルポライターやカメラマンなどの肩書きで「仕事」で「取材」名目で行く人はその意識がより強いのでしょうが。ある意味、物珍しさを検証・実証しに行くみたいな、いわゆる“メシの種”にする動機が不純だと批判される可能性もあるでしょうね。
僕はそのような感覚ではなく、やはり単に被災地の方々のマイナス要素を減らすために、それをプラスに転換するために行く、という意識で今後は出かけます。まあ実際に行ってみて「貴重な経験になった」と結果論で語られるのであればまだよいですが、最初から何かを得るために、という感覚で行くのはちょっと違うと思うので、そこは混同しないように気を付けます。
ちなみに僕が先月に宮城県南部へ行ったことを「報告」として被災地の状況を本ブログに出したのは、日々ここをご覧になる方々に現状を知ってもらいたい欲も1割程度ありますが、基本的に9割前後は個人的な記録というか結果論として出し、今後も僕が被災地を気にし続けるための記憶の引き出しにしているだけのことで(もちろん写真も出すさいは現地へ配慮します)、それを今後も「仕事」に転用するつもりも毛頭ありません。先月の投稿のように「報告」も「自己完結」とします。
「自分の行動がエライ」について。
「手伝ってあげる」とか「助けてあげる」とかいう上からの感覚ではなく、自己満足で行くことをちゃんとわきまえていれば、言い換えると自分の時間を(もちろん見返りなんか求めずに)贈る、プレゼントする、もしくは「奉仕」する感覚であれば、そう簡単に自分の行為が「偉い」とか「尊い」と勘違いすることもないでしょう。「奉仕」という表現は特に
ボーイスカウト活動に参加経験のある方はよりわかると思います。ちなみにその意味は国語辞典によると「国家・社会や目上の者などのために、私心を捨てて力を尽くすこと」で、「労働」とは異質のものですね。
先日、学生時代の先輩や知人に先月に亘理町へ行って活動したことを(近況を訊かれたことへの回答として)軽く報告すると、「偉い」とか「素晴らしい」とか言われたりもしましたが、そんな褒め言葉? をもらっても自己満足のために行っただけなので違和感を覚えました。それよりもむしろ家が一軒建つくらい多額の寄付を行なう芸能人や社長のほうが数段偉いし、普段の生活のなかで経済的に不安定な僕よりも多く納税しているふつうに会社勤めで安定している知人たちもむしろ偉いと思いますが、どうなんでしょうね。
●そこで、厚かましいのはわかっちゃいるけど協力金(カンパ)のお願い
僕は以上のような考え方で今後も被災地の支援に取り組みます。
ただ、本ブログをよく覗かれる方はご存知でしょうが、僕は前々から不安定な仕事で基本的にはいつも困窮しているため(そのぶん、まとまった休日は取りやすいですが)、普段の生活もままならないくらいにホントにお金がありません。この件についてはどう非難されてもハイすみません、と小さくなるばかりですが。
ただ逆に、定職に就いて週末や大型連休以外にまとまった休みが取り難い方よりは行動しやすく、むしろボランティア活動で特に人手の要る平日のほうが行ける場合が多いです。
そんなとき、身体は行けるのにお金がないばかりに行けない、という心苦しい事態が今後も続くものと思われます。それを少しは解消したいと思ったため、今回、協力金(カンパ)をお願いすることにしました。これは先月の亘理町滞在中からずっと考えていたことで、ようやくその道筋が定まりました。
一般的によく言われる「自己完結」や「自己責任」、それに拙著『沖縄人力紀行』(彩図社)を読まれた方はよりわかると思いますがそこで触れた「自助努力」と、旅でも普段の生活でも何事も自分の手に負える範囲内で行なうべき、という意識で僕はこれまで行動してきましたし、ボランティア活動も基本的にはそれと同様に自分でお金を作って行くべきだということは重々承知しています。
が、経済的な問題だけは僕の四六時中の悩みごとの上位に常にあり、単にお金がないから行けない、という被災地へ行くお金がなくて歯噛みする現況をなんとかしたいと思いました。
そこで苦肉の策として、昔から何事も自分で解決したいという自尊心を曲げてでも、経済的に「自己完結」ではないじゃん、と批判されてもかまわないからとにかく現地へ行くべし、という思いが徐々に強まり、協力金を求めることにしました。1円からでもかまいませんので出してやってもいいよ、という方がもしいらっしゃいましたら、お願いします。普段利用している、以下のみっつの口座で承ります。
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・ゆうちょ銀行
・埼玉りそな銀行
・みずほ銀行
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僕は自他ともに認める頑固さがあり、(返済義務のある借金以外に)周りからお金を集めるなんてことは絶対にやりたくないもんね、と周りの方々がボランティア活動に限らず事あるごとにカンパ(協力金)を求める様子を斜めに冷ややかに見ながら生きてきたタチですが、先月に被災地に直接かかわると、ちっぽけな自尊心なんてもうどうでもよくてそんな些末なことを言っている場合ではない、今回の震災の規模の大きさを考えても他人に頼らなければならないので頼れるところはどんどん頼ってゆくべき、とにかく早急になんとかしなければ! という思いに駆られました。実際に自分の脚で被災地を歩けばそういう感情はしぜんに生まれるはずです。
もちろん、目的はただひとつ「被災地にプラスになること」を意識して行くために必要なものです。
この僕のわがままに賛同というか付き合っていただける方のみでかまいませんし、そんなの知ったこっちゃねえ、自分で稼げよ、と思う方はご自身でほかの自治体や団体へ義援金・支援金を寄付し、週末など空いている時間に被災地へ手伝いに行けばよいでしょう。むしろそのほうが現実はてきめんにわかります。ボランティア活動にがっつり参加できなくとも、同じ日本人としてできるだけ早めに現実を自分の目で見るべきです。
もしご協力いただける場合は、上記の口座に1円からでもかまいませんので振り込んでいただければ幸いです。その後、ご協力いただけた方は本ブログにてお礼としてお名前をハンドルネームもしくはイニシャルで、それに都道府県名も随時掲載しますが(金額は伏せます)、それが不要な場合は以下のメールアドレスにその旨をご連絡ください。連絡がない場合は掲載する方向です。
watarureport@mail.goo.ne.jp
(上記がつながらない場合は予備的に watarureport@yahoo.co.jp でも承ります)
入金のさい、振込手数料も申し訳ないですがご負担願います。が、もし後日にこちらから郵便で何か送ってもよいよという方にはその宛先に、手数料に近い額面の切手を返送します。例えば手数料が105円の場合は50円切手×2枚を返送しますので、その旨ご希望の方はこちらも上記メールアドレスで承ります。
ご協力いただいたお金は収支も本ブログにて1円単位で随時報告し、行動中は自分の所持金・支出ともきっちり分類して会計します。
ひとまず年内いっぱい、12月31日(土)まで受け付けます。よろしくお願いします。
※この項は2011年12月15日(木)で終了しました。
●せっかくなので要望というか、御用聞きみたいなことも
ただ、こちらから協力金をいただくだけではなんなので、もしご協力いただける方に被害の甚大な被災地に親類や友人知人がいらっしゃる場合(もしくはその知人でも)、安否確認がすでに済んで緊急性もそんなになくて、かつ自衛隊や警察や消防、それに各自治体のボランティアセンターや任意ボランティア団体の活動に抵触しない程度のことに限り、僕個人的な行動によってお手伝いさせていただきます。
事例は以下のような感じで。
・○○市町の△△地区の写真を撮ってきてほしい
・△△地区の道路や土地を確認してきてほしい
・(身内の)□□さんを手伝ってきてほしい、話し相手になってほしい
・□□さんに直接モノを届けてほしい
・△△の土産品を(地域貢献のために)買ってきてほしい
などなど。
さしずめ、遠距離の“御用聞き”みたいなものでしょうか。ご要望がありましたら北は青森県から南は福島県まで地域を問わず、それを優先的に考慮しながら行きます(茨城県以南の被害は比較的軽微だと思うので、やはり行くのは東北地方が中心になります)。
ただ、配達のようなことはすでにクルマの通行が可能で郵便や宅配便が配達できるところはそちらにお任せすべきで、まだまだそこまで手が届かなそうなところへ直接行こうと考えています。
そういった要望が特になければ、先月の亘理町のように各自治体のボランティアセンターへの登録によってその活動に複数日まとまった期間で参加して活動する方針です。ただ、個別のご要望は最初からなんらかの組織に入ると個人的な行動がし難くなるため、その前後の別のタイミングで行動する必要が出てきます。その日時の調整は、ある程度は希望に沿いますが、できれば僕に一任していただけると幸いです。
今後想定している動き方は例えば、1週間の行程中に最初の1~3日でその細かい要望にお応えして、残りの4~6日はボランティア活動に参加する、という感じですかね。
何かご要望がありましたら、協力金の旨の連絡ついででもかまいませんので以下のメールアドレス、
watarureport@mail.goo.ne.jp
(上記がつながらない場合は予備的に watarureport@yahoo.co.jp でも承ります)
にご連絡ください。こちらもひとまず年内いっぱい行動するつもりです。
●マイナスではなくプラスに
繰り返しになりますが、今後はなぜ被災地へ手伝いに行くのかと問われれば、「被災地をプラスにするため」と答え、それを肝に銘じて行動し続けます。自分が被害の甚大な被災地へ行くことがマイナスの結果にはならないように、とも併せて気を付けなければ。
協力金については、家庭や仕事などの事情で現地へ行きたくてもどうしても行けない方のお金と、僕が現地でなんらかの活動をする「奉仕」の時間を等価交換する、みたいな感覚でご協力いただく感じでもよろしいかと思います。そのぶん、代わりに僕がいろいろ動いて視て先月の投稿のように「報告」します。
僕は今後も基本的に公共交通機関を利用してテント泊で1週間~10日程度の短期間を1単位として行動するつもりで(しかも、
モンベルのアウトドア義援隊のようにあらかじめ活動期間をきっちり確定させる事前申し込みがなくて飛び入り参加できる団体が好ましい)、経済的に比較的安く上げながら継続して被災地へ行きます。諸事情により1~2か月またはそれ以上、と長期間は出かけられないので、とにかく回数を重ねたいです。そのさいにもしお金があれば、その回数をより増やせるということですね。もちろん自分でお金を作るように努めるのが大前提ですが、その手間を少しでも省けると助かります。
私見では義援金・支援金も今後さらに必要ですが、現状ではそれよりも各地のボランティア活動のほうが優先順位は上だと思います。僕が先月に亘理町でかかわってきた家屋の片付けよりも、石巻市以北では喫緊の支援物資(特に食料)の仕分けや配達、避難所の炊き出しのような人命にかかわることもまだまだあるようで、海沿いの地域では漁港の周辺片付けや漁具の回収のような今後の地域の活力につながる作業もあるようです。とにかく来週の連休明け以降も、早急に人手をかけるべきだと思うのでぜひ行きたいものです。
今後いろいろと整えば、石巻市以北では特に被害の甚大な南三陸町や陸前高田市、それに亘理町以南の新地町や相馬市へも向かうつもりです。ただ、後者はテント泊での滞在が(福島第一原発からの放射能の影響を鑑みて)不可だそうで、その対策も考えています。
長くなりましたが以上の件、もしよろしければお付き合いいただける方はご協力よろしくお願いします。