近くの公園には「イヌシデ(犬四手)」の木があります。
6月、その木からヒラヒラとしたものがぶら下がっていました。
これはイヌシデの実なのだそうです。
この木は見る時期によって違う形のものがぶら下がっているので不思議に思っていました。
3月下旬に見たイヌシデの木です。
この時は長い、ヒモ状のものがぶら下がっていました。
見る時期によってぶら下がっているものが違うのは何故?
ということで、早速この木のことを調べてみました。
このようなシデ類の木は4~5月に花が咲き、6月には実になるようです。
だから、3月下旬に見たヒモ状のものが花、6月のヒラヒラしたものが実、ということでした。
花と実、2つの形状が全く違ったものが、両方ともぶら下がるのだから、不思議に思ったのもうなずけます。
花について・・・
雌雄同株で、雄花と雌花の両方とも蜜について垂れ下がる尾状花序。
雄花は前年の枝の葉の元から長く垂れ下がり、雌花は新枝の先に小さく垂れ下がるようです。
だから雌花は雄花ほど目立ちません。
[イヌシデの花]
実について・・・
咲いていた雄花は授粉後には落ちてしまい、雌花は残って果穂(かすい)になってぶら下がります。
果穂とは中に種子が入った果苞(葉が変形したもの)が房状になっているものだそうです。
その果穂が実なのです。
[イヌシデの実]
名前の『シデ』とは神社でしめ縄や玉串に下げる、あのヒラヒラした紙を折ったもののことで、果穂が垂れ下がる様子をそれに例えたとのことでした。
学名:Carpinus tschonoskii
英名:Korean hornbeam、Chonowski's hornbeam
別名:ソロ、シロシデ、ソネ
科名・属名:カバノキ科 クマシデ属
原産地:日本、朝鮮半島、中国
次に「アカシデ(赤四手)」です。
この木はウォーキングコースの雑木林の中で見つけました。
3月ごろの雄花です。
果穂の様子です。
イヌシデに似ていますが、比べてみると、果穂が少し小さくて果苞がまばらのような気がします。
アカシデ
日本各地の山地に分布するカバノキ科の落葉樹。
特に関東地方の雑木林や川原ではイヌシデと共に普通に見られ、庭木や盆栽として使われることもある。
イヌシデ、クマシデに比べて小ぶりであり、新芽が赤く、幹、葉を始めとした木全体も赤みを帯びることから、アカシデと呼ばれるようになった。(by庭木図鑑)
イヌシデとの見分け方は、アカシデの葉はイヌシデより小さく、葉柄や葉の付け根を含めて木全体が赤みを帯びています。
また、イヌシデの葉には多くの毛が生えていますが、アカシデには毛はありません。
学名:Carpinus laxiflora
英名:Japanese loose-flowered
別名:ソロ、ソロノキ、アカソロ、アカメゾロ
科名・属名:カバノキ科 クマシデ属
原産地:日本、朝鮮半島、中国
そして、「クマシデ(熊四手)」です。
クマシデはアカシデやイヌシデなどの他のシデ類に比べて果穂や葉が大きいので『クマ』の名前が付けられたようです。
ウォーキングコースの途中にある、造園会社の苗木の育成場で実を見つけました。
その実は他のシデ類と違って、ちょっと面白い形をしていました。
大きな蓑虫がぶら下がっているように見えたり、ビールの原料のホップのようにも見えたりしました。
残念なことに、クマシデの花の画像は撮ってありません。
でも、違っているのは実だけで、花は他のシデ類の花と似ているようです。
この果穂が面白い形をしています。
クマシデは果苞が密で、太いのが特徴のようです。
果穂の成り立ちも調べてみました。
雌花の基部に花を抱くようにつく小苞があって、授粉後その小苞は大きくなって葉状の果苞→→果穂となるようです。
(小苞とは---苞とは花を抱くようにつく葉のことで、普通の葉とは形が違っていて、花の基部につく苞を小苞として区別する)
植物の用語って難しいですね。
要するに、雌花には花の基部にガクのようなものがあって、授粉後にそれが大きくなり、ホップのように見える実になる、ということなのでしょうね。
落ちていた実を拾ったので、分解してみました。
果苞の一枚一枚の基部にタネがついていて、マツボックリに似ているような・・・。
果苞の形も独特で、ホタテ貝のような形でした。
学名:Carpinus japonica
英名:Japanese hornbeam
別名:オオクマシデ、オオソネ、イシソネ、カタシデ
科名・属名:カバノキ科 クマシデ属
原産地:日本