空き地に一面に広がっていた大きな葉っぱの植物。
小さな黄色い花がポチポチと咲いていて、実が生っていた。
この独特な形をした実で「イチビ(莔麻)」だとすぐに分かった。
「イチビ」は平安時代に日本に入ってきて、江戸時代までは茎の皮から繊維をとるために栽培され、利用されていたらしい。
ところが今ではその栽培種の「イチビ」はほとんどなくなってしまい、見ることもできなくなっている。
それじゃ今あちこちで見られるイチビは何なの? ということになる。
それは、別品種のイチビが家畜の飼料として輸入されたトウモロコシなどの中に混じって入ってきてしまい、その繁殖力がハンパなく強いのであちこちに蔓延ってしまった。
今はその増えたイチビを見ているということらしい。
この別品種のイチビには問題があって「日本の侵略的外来種ワースト100」に選定されてしまった。
それは何故か? やはり嫌われるには理由があって、この種類のものは枝分かれしやすく、一株から多くのタネができるため繁殖力が強すぎて他の植物の成長を妨げてしまうからだとか。
現在では繁殖力の強い外来種は植物でも動物でもみんな同じように要注意外来生物として嫌われる運命となってしまっているようだ。
それに加えこのイチビは他にも問題があった。
それは、牧草地に生えたものを牛が食べてしまうと牛乳に異臭がついてしまったり、畑などに生えると皮が丈夫なので駆除するのも大変なため、野菜などの収穫の妨げになったりするということなどが指摘されている。
変わった形の実が熟すと黒くなるのがこの品種のイチビの特徴で、従来の繊維をとる方のイチビは実が黒くならなく緑色のままらしい。
でも、そっちのイチビを見ることはもうないのだろうと思うと何だか残念!!
学名:Abutilon theophrasti
英名:Butterprint、Velvetleaf、Indian mallow、Buttonweed
別名:ボウマ(莔麻)、キリアサ(桐麻)
科名・属名:アオイ科 イチビ属
原産地:インド