2月5日の「ひまわり」の記事で、消えてしまった金沢の映画館について触れたが、またしても
私の身近にある文化の灯が消えてしまった。
40年来のお付き合いである石引町の”弘文館書店”が、本日をもって閉店することになったのだ。
年明け早々に二代目のご主人から挨拶文を頂戴した時は、私自身いささか動揺してしまったのだが、文面をみて閉店は苦渋の選択でもあり、今後の新しいお仕事の内容についても触れられていることから、ご一家の新たな門出でもあるのだと感じた。
何とも寂しい限りだが、本屋さんご一家のご多幸を祈念することとしたい。
”弘文館書店”は新刊の本と貸本を同じ場所で営業している珍しい本屋さんで、金沢市内ではここだけだったのではないだろうか。小学校3年生のときに初めてマンガの単行本を借りたのだが、先代の奥さんに住所と名前のほかに「何年生?何組や?」と優しく聞かれて、子供心にドキドキしたのを今でも覚えている。
当時、”弘文館書店”では「少年」、「冒険王」、「まんが王」等の月刊マンガ雑誌も貸していたのだが、貸本は本体の雑誌のみで、別冊の付録は外されていた。付録は格安(10円~30円ぐらい)で販売していたが、すごく人気があり店頭に並ぶとすぐに売れてしまうため、なかなか買うことはできなかった。
私が高校生ぐらいになるとツケでの買物も可能となった。お小遣いをもらう日まで支払いを待ってくれていたのだ。何とずうずうしい高校生だったか・・・・すんませんでした。
インターネットで”ポチッ”っとやると、何でも玄関先に届く時代にはなったが、お店の人とのコミュニケーション:ふれあいまでは”ポチッ”っとはできない。便利になったようで何とも味気ない世の中になったものだ。「今日は寒いね~。雪でも降るがかねぇ~」・・・・あたりまえの季節の挨拶が心地よかったのだが。
~最後の買物~
<石引町について>
「ひまわり」を観た「スタア劇場」があった金沢市石引町は、金沢城築城の折に石垣の石を(引いて)運搬した道筋にあたることが、その名の由来である。このことからも金沢の古町であることがうかがえる。
この石引・小立野(こだつの)界隈には、金沢大学の医学部、薬学部、工学部に加え金沢美術工芸大学があって、いわゆる学生の街だったのだが、金沢大学の総合移転を機に急速に街全体の活気がなくなったように思う。