習志野湾岸9条の会

STOP戦争への道 9条を変えるな

参院憲法審査会、国民投票法(6/11、6/13)可決(傍聴記)

2014年06月17日 | 憲法審査会
参院でも委員会、本会議であっという間に可決されてしまいました。

毎回欠かさず傍聴されている方の傍聴記を引き続き転載します。
(止めよう戦争への道!百万人署名運動)ブログより転記


6月11日(水)13時から過ぎから参議院憲法審査会が開催され、改憲手続法
(国民投票法)改定案が可決されました。
そして13日(金)には参議院本会議でも採決が行われ、あっさりと可決・成立してしまいました。
さまざまな問題点を先送りしたままでの採決に、強く抗議したいと思います。

だんまりを決め込んだ自公の委員
11日の憲法審査会では、まず発議者(7会派、8名の衆議院議員)に対する質疑が行われ、白眞勲氏(民主)、
仁比聡平氏(共産)、福島みずほ氏(社民)、そして委員を出していない生活の党の主濱了氏が登場しました。
持ち時間は、改定案に反対の共産党が30分、社民党が20分、賛成の民主党と生活の党が10分ずつでした。
もっとも、白氏の質疑はもっぱら安倍政権が進めようとしている政府解釈の変更による集団的自衛権の
行使容認を批判する内容でしたし、主濱氏も冒頭で選挙権年齢の18歳への早期引下げを主張した後、
白氏と同様に安倍政権の姿勢を非難しました。主濱氏の質問に答えた鈴木克昌氏(生活の党、発議者のひとり)
は、「安倍内閣はひとときの内閣であり、丸い月夜も一夜限り、満月は明日から欠けていく」と述べていました。

続いて討論に入り、仁比氏が反対、藤末健三氏(民主)が賛成、福島氏が反対、松田公太氏(みんな)が
賛成の討論を、それぞれ4分ほど行いました。ここでも、藤末氏の討論の後半は安倍首相の解釈改憲批判に充てられ、
ひとり松田氏のみが「公務員の政治的行為の制限について、地位利用禁止の実効性を持たせる
ため罰則を設けるべきだ
」などとやや場違いな発言をしていました。

討論の後は採決で、小坂憲次会長(自民)を除く44名のうち41名が賛成、反対はわずか3名
(仁比氏、福島氏と共産党のもうひとりの委員、吉良よし子氏)でした。

衆議院憲法審査会での採決は48対1でしたから今さらショックは受けませんでしたが、冷静に考えれば大いに
憂慮すべきとんでもない出来事であったことは間違いありません。国会の現状に慣れることなく、
怒りを持ちつづけることが重要だと思います。

その後、白氏が自民、民主、公明、維新・結い、みんな、改革の共同提案による附帯決議案を読み上げ、
やはり41対3で可決されました。これを受けていつの間にか議場に入っていた新藤義孝総務大臣と谷垣禎一法務大臣が
「附帯決議の趣旨を尊重し、適切に対処していく」などと発言、この日の審査会は14時40分ごろ散会となりました。

ここまでお読みになってあるいはお気づきになったかもしれませんが、この日の審査会では、司会進行役の小坂会長を除き、
自民党、公明党の委員の発言が一切ありませんでした。

とくに自民党の幹事である中川雅治氏と丸川珠代氏はいつも(というのは言い過ぎかもしれませんが、傍聴席から見て
いると実際そう感じてしまうのです)私語を交わしていて、議論の成り行きにはほとんど注意を払っていないように見えました
(これまでの審査会でもそうだったのですが、おそらく今回が今国会最後の報告になると思いますので、ここに明記して
苦言を呈しておきたいと思います)。
こんな議員たちが国政の重要な事項の決定に関わっているのですから、ほんとうに情けない気持ちになってしまいます。

この日は終始40人前後の委員が出席しており、採決時には45人全員が揃いました。また、発議者も6~8名が出席していました。
記者もいつになく多く10名前後が記者席に陣取り、TVカメラ3台を含め多くのカメラが採決の瞬間を撮影していました。
ただし、傍聴者は9名と少なめで(14時頃、議員の後援会のメンバーと思われる十数名のグループが入場してきました)、
私たち百万人署名運動は3人で傍聴してきました。
     
気になった北側氏(公明)の言動
上記のように、この日の審査会で公明党の委員の発言はなかったのですが、発議者の一人として出席していた北側一雄
氏が何度か答弁する機会はあり、その内容と氏のちょっとしたふるまいがとても気になった場面がありました。
傍聴しなければ気づかないことでしたので、ご報告しておきたいと思います。
北側氏は、福島氏の集団的自衛権の解釈改憲についての質問に答えて、「(昭和47年に参議院に提出された政府見解は)
憲法13条の国民の生命、自由、幸福追求権、そして憲法前文にある平和的生存権。この2つを根拠にして、国民の生命、
自由、幸福追求に関する権利が根底から覆されるような急迫不正の事態になったときに、国が何もしないというわけには
いかないだろうと、当然そういう場合の自衛の措置はとれるんだと、こういう論理を展開している。
私は、この47年見解をさらに詳細に検討して、そことの論理的整合性をどう図っていくのかということが一番のポイント
だというふうに認識をしています」と述べた後、着席しながら、すぐ後ろに控えていた人物(衆議院の憲法審査会でよく
答弁していた法制局の担当者)に「これでいいんだよね」というふうに顔を向けました。
すると、その法制局の担当者は、「それでいいんです」と言わんばかりに何度もうなずいていました。
北側氏はニコニコして、すぐ近くに座っていた発議者の一人、中谷元氏(自民)ともうなずき合っていました。
公明党の動向が注目されている最中だったので、「ああ、この内容で手打ちをしたのか」と感じた場面でした。

福島氏の反対討論 次に、この日の審査会での発言の中から、今回の改定案の問題点を過不足なく
簡潔に指摘している福島みずほ氏の反対討論の内容をご紹介しておきたいと思います(福島みずほのどきどき日記より)

社民党を代表して、ただいま議題となりました憲法改正国民投票法改正案に対して反対の討論を行います。
今まさに、安倍内閣は集団的自衛権の行使に関わる憲法解釈を変更しようとしています。長年の国会論戦や国民的議論を
経て確立し、定着してきた政府の憲法解釈を一内閣の判断で変更するという言語道断の企てであります。
立憲主義の根本に関わるこのような憲法破壊の内閣の下で憲法改正国民投票制度の整備を進めるべきではないということ
まず申し上げます。
改めて言うまでもなく、憲法第99条は、天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員に憲法を尊重し
擁護する義務を課しています。私たちは、まず憲法を尊重し擁護しなくてはなりません。
その上で、もし時代の変化や社会の変化の中で不都合なことが生じているのであれば、慎重に慎重に国民の合意をつくり、
国民の判断を仰ぎます。そのための手続を定めるのが憲法改正国民投票法です。
そもそも、同法は2007年5月に第一次安倍内閣の下で自公両党が強引な国会運営の末に強行成立させたものです。
当時の安倍内閣が丁寧な合意形成の努力を怠った結果が、2011年10月に憲法審査会が選任され活動を開始するまで4年以上
を要するという異常な経過につながりました。
その内容も非常に問題の多いものでした。国民の自由な意見表明や国民投票運動が不当に制限されかねないこと、
有料の意見広告の規制が十分ではないことなど、多くの問題が指摘されています。また、投票年齢や公務員の投票運動の規制、
国民投票の対象の拡大など、法律の根幹に関わる問題を宿題として先送りした極めてずさんなものです。
今回の改正案は、これらの欠陥をそのままにし、いわゆる3つの宿題に対応した最低限の体裁を整えるものにほかなりません。
現行法が規定している選挙権年齢や成人年齢の引下げは棚上げにされたままで、投票権年齢だけを確定しています。
公務員による国民投票運動も更に広範囲に制限されかねず、新たに組織による国民投票運動への規制が検討条項に
盛り込まれています。国民投票の対象拡大についても、結論は先送りしたにすぎません。
また、特に参議院においては、憲法改正国民投票法制定時に18項目に及ぶ附帯決議が付きました。投票期日について
両院の議決が一致しない場合の調整、在外投票の権利保障、有料広告規制など、この附帯決議で約束したはずの検討
もほとんど行われておらず、また本改正案には全く反映しておりません。
今、国民の多数は解釈改憲も明文改憲も望んでいません。今回、このように欠陥だらけの改憲手続改正を拙速に進める
必要性は全くないのです。
本改正案は安倍内閣による明文改憲の条件づくりにすぎず、社民党は断固反対であることを申し上げて、反対の討論といたします。

解釈改憲の障害となりうる附帯決議
上記のように福島氏は国民投票制定時の18項目の附帯決議の内容が改正案に反映されていないことを非難していますが、
今回の改定案には何と20項目!の附帯決議が付されました。

既述のとおり白氏がこれを読み上げたのですが、滑舌のいい氏が早口で読んだにもかかわらず、読み終えるまで実に
6分以上を要したのです。
この附帯決議が、6月15日付の『朝日新聞』「天声人語」で次のように取り上げられていました。

目立たなくても注目するべきできごとがある。先日、憲法改正の手続きを定めた改正国民投票法が成立するにあたり、
参院憲法審査会が付帯決議をした。安倍政権への警鐘とも読めそうな内容だ▼憲法解釈はどうあるべきかについて決議
は述べる。いわく、解釈は政府が自由に変更できる性質のものではない。便宜的、意図的に変更すれば憲法規範そのもの
に対する国民の信頼が損なわれかねない、と▼これは政府が過去に繰り返してきた公式見解をそのまま引用した文言だ。
決議は、それを十分に踏まえよと政府に求めている。首相が解釈の変更で集団的自衛権を使えるようにしようとしている折である。
その邪魔にもなりうる決議に、自民党が賛成した事実は軽くない▼民主党の小西洋之参院議員が渋る自民党と交渉し、
可決に持ち込んだ。決議はまたいわく、解釈を変えようとするなら国会で十分審議せよ。この項目を根拠に小西氏は、
首相がもくろむ閣議決定の前に、まず国会で議論すべしと政府に迫っている▼決議に法的な拘束力はないが、
審査会としての意思表明は重い。憲法解釈は、憲法によって権力を縛るという立憲主義の原理に基づくべし、ともうたっている。
そこには、解釈変更に反対する陣営が政権と切り結ぶための足がかりが潜む▼9条に限らない。公明党と創価学会の関係に
対する政府見解を「政教一致」と認定し直す可能性に触れる発言が、政権周辺から飛び出した。どれもこれも解釈変更か。危なすぎる。

少し長くなりますが、「天声人語」で言及されている附帯決議の該当部分を引用しておきます。
私も、議場でこのくだりを聴いたとき、自民党がよくこんな文言を受け入れたものだなと思い、びっくりしました。

四、本法律の施行に当たり、政府にあっては、憲法を始めとする法令の解釈は、当該法令の規定の文言、趣旨等に即しつつ、
立案者の意図や立案の背景となる社会情勢等を考慮し、また、議論の積み重ねのあるものについては全体の整合性を保つこと
にも留意して論理的に確定されるべきものであり、政府による憲法の解釈は、このような考え方に基づき、それぞれ論理的
な追求の結果として示されたものであって、諸情勢の変化とそれから生ずる新たな要請を考慮すべきことは当然であるとしても、
なお、前記のような考え方を離れて政府が自由に当該解釈を変更することができるという性質のものではなく、仮に政府において、
憲法解釈を便宜的、意図的に変更するようなことをするとすれば、政府の解釈ひいては憲法規範そのものに対する国民の信頼
が損なわれかねず、このようなことを前提に検討を行った結果、従前の解釈を変更することが至当であるとの結論が得られた
場合には、これを変更することがおよそ許されないというものではないが、いずれにせよ、その当否については、個別的、
具体的に検討されるべきものであると政府自身も憲法の解釈の変更に関する審議で明らかにしているところであり、
それを十分に踏まえること。

五、本法律の施行に当たり、政府においては、前項に基づき、解釈に当たっては、立憲主義及び国民主権の原理に基づき、
憲法規範そのものに対する国民の信頼を保持し、かつ、日本国憲法を国の最高法規とする法秩序の維持のために、取り組むこと。

六、本法律の施行に当たっては、憲法の最高法規性及び国民代表機関たる国会の国権の最高機関としての地位に鑑み、
政府にあっては、憲法の解釈を変更しようとするときは、当該解釈の変更の案及び第四項における政府の憲法解釈の考え方に係る原則への適合性について、国会での審議を十分に踏まえること。

何回か前の報告で、5月21日の参院憲法審査会での審議の中で飛び出した「船田3原則」を紹介しましたが
(http://million.at.webry.info/201406/article_1.html)、このような発言や上掲の附帯決議が引き出されたことは、
憲法審査会での審議がまったくの無駄ではなかったことを示していると思います。

参議院本会議での可決、そして
13日(金)の本会議については傍聴したわけではなく、『参議院インターネット審議中継』
のアーカイブを視聴しただけですが、審議の経緯を簡単にご報告しておきたいと思います。

まず、小坂憲次氏(自民)が3分ほどの委員長報告を行い、続いて仁比聡平氏(共産)が約8分の反対討論、白眞勲氏(民主)
がほぼ10分、松田公太氏(みんな)がおよそ8分をかけて賛成討論に立った後、採決が行われました。
結果は224対16で可決、国民投票法の改定案が成立しました。参議院の共産党、社民党の議席数は11と3、あわせて14ですので、他に2名、おそらく無所属の糸数慶子氏、山本太郎氏あたりが反対票を投じたものと思われます。

『msn産経ニュース』によれば、この結果を受けて、「安倍晋三首相は官邸で記者団に『若い皆さんにしっかりと憲法のあり
方について議論してほしい。憲法改正について国民的な議論が深まることを期待したい』と話した」そうです。

また、「自民党の船田元憲法改正推進本部長は『2年ほどで1回目の(改憲を問う)国民投票ができるとありがたい』との見通しを示し」、「与野党が賛同しやすいテーマとして『環境権』や有事などの際に首相の権限を一時的に強める『緊急事態条項』の新設などを挙げた」
とのことです。

今、安倍政権は明文改憲ではなく、政府解釈の変更による集団的自衛権の行使容認への道を突っ走ろうとしています。
こんなことは絶対に認められません。当面の闘いに力を注ぐことはもちろん、これからもずっと続くであろう改憲派との攻防に
立ち向かうためには、私たちこそ「若い皆さんにしっかりと憲法のあり方について議論して」もらうよう努めて、
長期的な展望に基づき幅広く力強い連帯を作り出していくことが重要だと思います。ともにがんばりましょう。(G)
(以上引用)

※「集団的自衛権行使容認」に先駆けて、衆参両院で改正国民投票法が成立した。投票年齢を20才→18才に引き下げるものです。
 これは何を意味するのでしょうか。「徴兵制」を視野に入れたものとも考えられます。
 集団的自衛権行使により自衛隊員が海外の戦争に行くようになったら、自衛隊員の誰が行くのでしょうか?
  防衛大学卒業の一部エリート(これらはの多くは戦争を始めたくてしょうがない)を除いて多くの自衛隊員からも海外
での戦争に行くために入隊したわけではないとの声も上がり始めています。自衛隊法が改正され石破の言うように
  戦争に行かない人間は軍事法廷にかけられて死刑。こんな自衛隊に誰が入隊するのでしょうか。家族も反対するでしょう。
  その先は18才以上の「徴兵制」です。
  憲法18条は【奴隷的拘束及び苦役からの自由】をうたっています。
  何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。 又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。
  つまり、自衛隊員の数が不足して補充するために徴兵制を法制化することは本来できません。
  しかしこの政権のことです。おそらく憲法18条も解釈改憲してしまうでしょう。




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