習志野湾岸9条の会

STOP戦争への道 9条を変えるな

12.6参院憲法審査会傍聴記

2017年12月13日 | 憲法審査会
久しぶりに開催された12月6日参院の憲法審査会です。
継続して傍聴している市民グループの傍聴記を掲載します。
自民党の磯崎仁彦氏は改憲対象として9条と合区解消、緊急事態条項、
教育無償化・充実強化の4項目を検討していると説明、年内にも取りまと
められるかも知れない改憲案が具体化しつつあるかもしれません。
百万人署名運動
http://millions.blog.jp/archives/2017-12-12.html

許すな!憲法改悪・市民連絡会
http://web-saiyuki.net/kenpou/post-160.html

憲法審査会開始(傍聴記)

2017年03月30日 | 憲法審査会
憲法審査会が3月16日から始まりました。
とんでもない「緊急事態条項」についても討議されます。

以下傍聴記です
(憲法審査会傍聴備忘録・・許すな憲法改悪市民連絡会)
http://web-saiyuki.net/kenpou/

(傍聴記・・止めよう戦争への道 百万人署名運動)
http://millions.blog.jp/archives/2017-03-19.html
http://millions.blog.jp/archives/2017-03-26.html


憲法審査会傍聴記

2016年12月06日 | 憲法審査会
11月24日の衆院憲法審査会の傍聴記です。
尚、次回の再開は目途が立たず、来年になる見込みです。

(百万人署名運動傍聴記録)
http://millions.blog.jp/archives/2016-12-01.html

(市民連絡会HP・しんぶん赤旗紙、東京新聞引用)
http://web-saiyuki.net/kenpou/2016/11/post-131.html
http://web-saiyuki.net/kenpou/2016/11/post-130.html
http://web-saiyuki.net/kenpou/2016/12/-2016122.html

憲法審査会傍聴記

2016年11月30日 | 憲法審査会
11月17日衆院憲法審査会の傍聴記です。
自民党議員より改憲論議が続きましたが圧巻は
自民党の安藤裕衆院議員は17日の衆院憲法審査会で、天皇陛下の退位を
めぐる皇室典範のあり方について「旧憲法(明治憲法)のように国会の
議決を経ずに、皇室の方々でお決め頂き、国民はそれに従うという風に
決めた方が日本の古来の知恵だ」と述べ、憲法改正を主張しました。

旧皇室典範は明治憲法と並ぶものと位置づけられ、制定や改正に帝国議会の関与はなかった。
一方、現行憲法では天皇の地位は「主権の存する日本国民の総意に基づく」として、皇室典範
は国会で定めるとしている。安藤氏は「天皇の地位は日本書紀における『天壌無窮の神勅』に
由来するものだ。
日本最高の権威が国会の下に置かれている」と述べた。
あまりの暴論、トンデモ論に議場にいたほぼ全員があっけにとられたそうです。

(百万人署名運動HP)
http://millions.blog.jp/archives/2016-11-27.html

(市民連絡会備忘録)
http://web-saiyuki.net/kenpou/

憲法審査会傍聴記

2016年11月27日 | 憲法審査会
国会で始まった憲法審査会。
本来は安保法の意見審査をすべきですが
予定は数の力で改憲ありきで進めようとしています。

16日参院憲法審査会傍聴記。
(毎回欠かさず傍聴している止めよう戦争への道100万人署名運動HPより)
http://millions.blog.jp/archives/2016-11-23.html

市民連絡会憲法審査会備忘録
http://web-saiyuki.net/kenpou/

2.17憲法審査会傍聴記(丸山差別発言他)

2016年02月26日 | 憲法審査会
毎回傍聴されている「とめよう戦争への道!百万人署名運動」からの
転載です。

2月17日(水)13時すぎ(予定時刻より5分ほど遅れて)、参議院憲法審査会が開かれました。
両院を通じて今国会で初めて、今年最初の開催になります。昨年9月7日(月)に開催された前回の審査会で、
柳本卓治会長(自民)が「本審査会の当面の調査テーマにつきましては、幹事会等で協議いたしました結果
、二院制とすることに決定いたしました」(『国会会議録検索システム』による)と述べていたとおり、
この日のテーマは「二院制のうち、参議院と衆議院の関係(参議院として重視すべき役割)について」
と設定されていました。
審議は、事務的な手続き(幹事の選任、会長代理の指名)のあと、上記のテーマに関する参考人
(大東文化大学大学院法務研究科教授 浅野善治氏、千葉経済大学特任教授 荒井達夫氏の2名で、どちらの方も
以前国会に勤務した経験があるそうです)からの意見聴取、発言を希望する委員による質疑という順に進められ、
想定されていた時間を大幅にオーバーして、15時37分頃閉会しました。
委員の出席者数は、参考人からの意見聴取の間は43~45人(定数は45人ですから、ほぼ全員)でしたが、
質疑の時間になると35~40人程度となりました。記者は5~10人ほどでカメラマンが数人(他にテレビカメラが3台入っていて、
途中から2台になりました)、傍聴者は最初15人くらい、途中で団体が加わって30人近くになりましたが、
審議が長引いたためか、最後は10名ほどになっていました。
憲法審査会から姿を消した社民党
今回、社民党の委員が憲法審査会から消えてしまいました。審査会の「顔」の一人であった福島みずほ氏の発言が聞けなく
なってしまったわけで、とても残念です。社民党は衆院の審査会にも委員を出せていませんので、伝統ある護憲政党として、
たいへんな危機に陥ったことになります。
委員の数は、自民22、民主11、公明4、共産2というところまでは前国会と同様ですが、「維新の党」の分裂により
「維新・元気の会」(参院議員数9)が2、「おおさか維新の会」(同7)が1となり、次に議員数4の「日本のこころを大切にする党」
(旧「次世代の党」で、これも元はと言えば「維新の会」から分かれた勢力です)が1を割り当てられ、残り2枠をめぐって議員数3の
3党派が抽選を行った結果、くじを外した社民党がはじき出された形になったようです。なお、このとき当選して委員を出している
「無所属クラブ」から中西健治氏が脱退し、2月19日に自民会派入りしたというニュースがありましたので、
審査会の構成はまた変わることになるのかもしれません。

参院憲法審、5カ月ぶり再開=議論本格化は見通せず
まず、この日の議論の内容が、その背景を含めて要領よくまとめられていた『時事ドットコム』の配信記事
(表題は上記小見出しのとおり)を紹介します(http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2016021700792)。

参院憲法審査会(柳本卓治会長=自民)が17日、約5カ月ぶりに開かれ、「二院制」をテーマに議論を交わした。
自民党は野党側の出方も見極めつつ、優先課題とする「緊急事態条項」創設や9条改正も取り上げていきたい考え。
夏の参院選後をにらみ、衆参の憲法審で議論を活性化させ、安倍晋三首相が意欲を示す憲法改正への布石とする狙いだ。
ただ、民主党は首相の憲法観を強く批判しており、議論が深まるかは見通せない。
参院憲法審での議論は昨年9月以来。民主党は安倍政権下での改憲論議に否定的だが、開催自体には反対しなかった。
今回は「参院として重視すべき役割」がテーマ。有識者として出席した衆院法制局OBで大東文化大大学院教授の浅野善治氏は
「参院は議員間の自由討議に適している」と指摘。参院事務局OBで千葉経済大特任教授の荒井達夫氏は「行政監視は参院が中心
という考えを徹底すべきだ」と訴えた。
自民党は、二院制を議題とすれば野党側も乗りやすいとみて、議論を深掘りしていく方針。同党の赤池誠章氏は質疑で
「国民的な議論をどう起こしていくか。憲法や政治に対する教育をどうしていくかということは大変重要な視点だ」と述べたが、
改憲への前のめりな発言は控えた。
一方、民主党の小西洋之氏は安全保障関連法に言及し、「政府が憲法違反の解釈変更、立法を行っているなら、まずはそれを
徹底的に審議するのが審査会の役割だ」と政権との対決姿勢を示した。
首相は年明け以降、改憲を参院選の争点に掲げる意向を示し、積極姿勢を鮮明にしている。首相が重視する緊急事態条項について、
柳本氏は審査会後、記者団に「避けて通ることはない。議論すべき内容だ」と語った。
しかし、民主党は踏み込んだ改憲論議には慎重姿勢を崩していない。同党の枝野幸男幹事長は17日の記者会見で「そもそも憲法を
守っていない人が憲法を変えるというのはちゃんちゃらおかしい」と首相を重ねて批判。衆院でも憲法審査会の開催に応じるかについて、
「今の首相の姿勢で建設的な議論ができるとは到底思えない」と否定的な考えを示した。

黒人・奴隷発言だけではない丸山氏の問題発言
今回のレポートでは、大手メディアがこぞって報道し、大きな関心を集めた丸山和也氏の発言に触れないわけにはいきません
。その要旨は下記のようなものでした。『東京新聞TOKYO Web』から引用します
(http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201602/CK2016021802000141.html)。

ややユートピア的かもしれないが、例えば、日本が米国の51番目の州になることに憲法上どのような問題があるのか。
(米国の州になれば)集団的自衛権、(日米)安全保障条約は全く問題ない。拉致問題すら起こっていないだろう。
いわゆる国の借金問題についても、行政監視のきかないような、ずたずたの状態には絶対なっていない。
米国の制度にあれば、人口で下院議員の数が決まる。おそらく「日本州」は最大の下院議員選出数を持つ。
世界の中の日本と言うけど、日本州出身が米大統領になる可能性が出てくる。ということは世界の中心で行動できる。
ばかみたいな話だと思われるかもしれないが、今、米国は黒人が大統領になっている。黒人の血を引くね。
これは奴隷ですよ。はっきり言って。まさか米国の建国当初には黒人、奴隷が大統領になるとは考えもしない。
ダイナミックな変革をしていく国だ。

各メディアは、この最後の部分に敏感に反応して、「人種差別的」だと批判しました。これも『東京新聞』から、
同発言を報じた記事のリードを引用します
(http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201602/CK2016021802000141.html)。

自民党の丸山和也参院議員(70)は17日の参院憲法審査会で、オバマ米大統領について「米国は黒人が大統領になっている。
黒人の血を引くね。これは奴隷ですよ。はっきり言って」と人種差別的な発言をした。

丸山氏の発言が進むにつれて議場もざわつきはじめて、改憲派の急先鋒である赤池誠章氏(自民)は「暴言だよ」と叫んでいました。
しかし、自民党の議員が(それも大幹部までもが)この種の「暴言」を吐くのはそんなに珍しいことではなく、
あるブログではこんな指摘がなされていました(『社会科学者の随想』http://blog.livedoor.jp/bbgmgt/archives/1052300323.html)

いまから30年も前の1986年9月22日の出来事であった。当時首相だった中曽根康弘が「黒人などがいるアメリカは知的水準が低い」と発言し,
国際的に問題になり,批判された。その2年あとの1988年7月24日,こんどはその中曽根派に属し,自民党政調会長を務めていた渡辺美智雄が
「アメリカの黒人は破産しても『アッケラカンのカー』だという主旨の発言をし,これまた問題になっていた。

私は、「黒人、奴隷」発言とともに、いや、むしろそれ以上に、「(米国の州になれば)集団的自衛権、
(日米)安全保障条約は全く問題ない」という部分を問題にすべきだと思います。
揚げ足取りと受け取られる方もいるかもしれませんが、この発言は、安倍政権が行ってきた閣議決定による解釈改憲、その内容に沿った
日米防衛協力の指針の改定、そして戦争法制の成立強行という一連の暴挙には、日本がアメリカの州でない以上、憲法上の問題がある、
違憲の疑いがあるということを思わず吐露したものだと言えるのではないでしょうか。
丸山氏は弁護士であり、自民党政務調査会法務部会長です(自民党のホームページに掲載されている2月16日現在の「役員表」による)。
そういう立場の人物がこんな発言をしたということはきわめて重大で、もっと注目されてしかるべきだと思います。

最後に聞けた真っ当な質疑
この日のテーマは二院制における参議院の役割で、これまで何度も議論されてきただけに、終盤近くまで淡々と(悪く言えば退屈な)
審議が進みました。そして、丸山和也氏の(二院制とは全く関係のない)暴言が飛び出したのです。
そのまま閉会していれば徒労感ばかりが残ったかもしれませんが、最後になって小西洋之氏(民主)と荒井達夫氏(参考人)の間で
かわされたまともな質疑に接することができました。以下、その内容を要約して紹介します。

○小西氏:参議院憲法審査会では、国民投票法の改正のとき、政府が憲法の解釈を変更しようとするときは、国会での審議を十分に
踏まえることという附帯決議をしている。7.1閣議決定による政府の解釈変更は、この国権の最高機関の附帯決議に違反し、
国会が持つ憲法監視機能を侵害していると考えていいか。
○荒井氏:今の話はどっちとも言えないという感じがする。ただ、この問題について私には意見があり、それをお話しさせていただきたい。
行政監視、それから法を誠実に執行するという観点から考えたとき、今起きていることはどういうことか。主権は国民にあり、
主権者が定めた憲法に基づき内閣と国会は権限を与えられているのだから、内閣と国会は国民に対して憲法を誠実に執行する義務を負っている。
そして、集団的自衛権の行使は憲法上一切許されないという話、これは政府の一貫した解釈だった。集団的自衛権の行使を認めるためには
憲法の条文改正が必要であるということは国会を通じた国民の了解事項となっていた。内閣が憲法解釈の変更によって集団的自衛権の行使を
認めるというのは、これを否定することになるのではないかと思う。
もう一つ、憲法の解釈変更を前提として法改正でよいとするやり方。これを取ることは憲法事項を法律で済ませようとするものになってしまうのではないか。
集団的自衛権の行使を認めるためには憲法の条文改正が必要であるという国民の了解に反するのではないか。憲法尊重擁護義務に反して
集団的自衛権を認める安保関連法を国会が可決したのは、これは憲法違反になってしまうのではないかと私は思い、それをずっとお話ししてきた。
なるほどマーク
○小西氏:憲法審査会の任務は、国会法で、衆参全く同じ条文で、日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制について広範かつ総合的に
調査を行うこととされている。そうすると、もし政府または与党が憲法違反の解釈変更、立法を行っているのであれば、まずはそれを徹底的に
審議するのがこの審査会の役割であり、それすらしない憲法審査会に憲法改正原案の議論をすることができるのか。資格というか、能力的にそれができるの
かと思うのだが、いかがだろうか。憲法審査会の規程上、我々には安保法制、解釈変更について議論する任務があるという理解でよろしいだろうか。
○荒井氏:憲法の基本原理に関わる話は、まず最初に議論しなければならないと思う。憲法審査会は、常に憲法とは何かというところから議論しなければいけない。
そして、その基本原理に関わるような話は、どういう立場に立とうと徹底して議論しない限り憲法改正の話というのは出てきようがないだろうというのが私の意見だ。



いかがでしょうか。現実に審査会がここで指摘されたような形で運営されることはないだろうと考えるとむなしい気分にもなりますが、
審査会が開かれるたびに繰り返し附帯決議の話を持ち出して議論を喚起しようとしている小西氏のしつこさを見習って、
これからも傍聴とレポートを続けていきたいと思います。(G)

6.4憲法審査会(3人の学者が全員憲法違反)

2015年06月08日 | 憲法審査会
毎回欠かさず傍聴されている方の傍聴記を転載します。
(止めよう戦争への道!百万人署名運動・代表西川重則氏)ブログより転記



参考人3氏の安保関連法案「違憲」発言で大注目を浴びた衆院憲法審査会(6/4)

6月4日(木)午前9時から11時30分まで、「憲法保障をめぐる諸問題(特に①立憲主義、改正の限界及び制定経緯、
②違憲立法審査のあり方について)」をテーマとして衆議院憲法審査会が開かれました。今国会3度目、5月7日以来の開催で、
参考人として下記3氏が出席して意見聴取(各20分以内)と質疑(各会派代表15分以内)が行われました。
・早稲田大学法学学術院教授  長谷部恭男氏
・慶應義塾大学名誉教授、弁護士 小林 節氏
・早稲田大学政治経済学術院教授 笹田栄司氏
まず、参考人の長谷部氏と小林氏が①について、笹田氏が②について見解を述べた後、質疑が始まりましたが、
最初の自民党・山田賢司氏の質疑では、小林氏がいわゆる「お試し改憲」に賛意を表するなど、与党議員が心地
よく感じたであろう雰囲気の中で時間が経過していきました。
それが一変したのは、二番手、中川正春氏(民主党)の質疑のときでした。
まず、そのことを要領よく伝えた『TBS Newsi』の報道を引用しておきます(4日16時51分)。

* * *
参考人全員が新安保法制は「憲法違反」、衆院・審査会
政府与党にとって想定外の反応でしょう。衆議院の憲法審査会に参考人として出席した憲法の専門家3人が、いずれも今の
国会で審議中の新たな安全保障法制について「憲法違反」との考えを示しました。
衆議院の憲法審査会に出席した憲法の専門家3人。早稲田大学の長谷部教授は自民、公明など。同じく早稲田の笹田教授は維新。
そして慶応大学の小林名誉教授は民主と、与野党それぞれの推薦で選ばれましたが、この質問には……
「今の(国会で審議中の)安保法制、憲法違反だと思われますか」(民主党 中川正春 衆院議員)
「集団的自衛権の行使が許されるという、その点については、私は憲法違反であると考えております」(長谷部恭男 早稲田大学・法学学術院教授)
「私も違憲と考えます。憲法9条に違反します」(小林 節 慶応義塾大学名誉教授・弁護士)
「定義では踏み越えてしまったということで、違憲の考えでたっていると思います」(笹田栄司 早稲田大学・政治経済学術院教授)
自民党が推薦した参考人も含めて3人すべてが国会で審議中の新たな安保法制は「違憲」との考えを示したのです。
「ちょっと予想を超えたところがあったと思っている」(自民党 船田 元 憲法改正推進本部長)
想定外の反応に、自民党の船田憲法改正推進本部長は、佐藤国対委員長に事情を説明しましたが、佐藤氏からは
「安保法制の審議に十分配慮を」と釘を刺される事態に。また、野党は……
「議事録を精査して、明日も我が党の議員が本日の憲法審査会での議論を踏まえた質疑をする予定にしている」(民主党 長妻 昭 代表代行)
政府与党内から法案審議への影響を懸念する声もあがる中、5日の特別委員会での議論が注目されます。

* * * 
<対照的なメディアの報道ぶり>
ほかにもいくつかの報道を掲げておきたいと思います。
まずは、周章狼狽ぶりが際立った『産経ニュース』から。
『産経』は、まだ審査会が開催中の11時21分に、次のような記事をウェブ上に掲載しました。さしてニュース・バリューが
あるとは思えない「押しつけ憲法論」をめぐるやり取りを、さも重大なことのように報じています。

* * * 
「押しつけは歴史的事実」 「GHQ憲法」めぐり参考人質疑 衆院憲法審
衆院憲法審査会は4日、早稲田大の長谷部恭男、笹田栄司両教授と慶応大の小林節名誉教授を招き、現行憲法の制定過程
などをテーマに参考人質疑を行った。
小林氏は連合国軍総司令部(GHQ)による「押し付け憲法論」について「日本が占領されていたのだから押しつけられたのは歴史的事実だ」と指摘。
その上で「この憲法のもとで素晴らしい発展をとげたことは間違いない事実。恨み節を言い合うよりも今どうするかにエネルギーを使っていただきたい」
と続けた。
また、3氏は憲法解釈の変更によって集団的自衛権の行使などを容認する政府・与党の手法に否定的見解を示した。

* * *
そして、18時51分、52分には以下の記事を連続して配信し、論点を「人選ミス」にすり替えるとともに、菅官房長官の噴飯ものの「反論」をいち早く伝えました。

* * *
与党参考人が安保法案「違憲」 “人選ミス”で異例の事態 野党「痛快」 憲法審査会
衆院憲法審査会は4日、憲法学の専門家3人を招いて参考人質疑を行った。憲法解釈変更による集団的自衛権の行使を含む新たな安全保障関連法案
について、与党が推薦した参考人をはじめ全員が「憲法違反だ」と批判した。与党が呼んだ参考人が政府の法案を否定するという異例の事態となり、
“人選ミス”で墓穴を掘った。
自民党や公明党などが推薦した早稲田大の長谷部恭男教授は審査会で、安保法案について「憲法違反だ。従来の政府見解の基本的な論理の枠内では
説明がつかない」と明言した。
これに対し、法案作りに関わった公明党の北側一雄副代表は「憲法9条の下でどこまで自衛措置が許されるのか突き詰めて議論した」と理解を求めた。
だが、長谷部氏は「どこまで武力行使が新たに許容されるのかはっきりしていない」と批判を続けた。
関係者によると、自民党は参考人の人選を衆院法制局に一任したという。ただ、長谷部氏は安保法案に反対する有識者の団体で活動しているだけ
に調整ミスは明らか。「長谷部氏でゴーサインを出した党の責任だ。明らかな人選ミスだ」(自民党幹部)との批判が高まっている。
(後略)
違憲指摘「全く当たらない」 菅氏、衆院憲法審査会参考人質疑に反論
菅義偉官房長官は4日の会見で、同日開かれた衆院憲法審査会の参考人質疑で、3人の参考人全員が審議中の安全保障関連法案について「憲法違反」
としたことに関し、「法的安定性や論理的整合性は確保されている。全く違憲との指摘はあたらない」と述べた。
菅氏は、昨年7月に閣議決定した安保関連法案の基本方針に触れ「憲法前文、憲法第13条の趣旨をふまえれば、自国の平和を維持し、
その存立を全うするために必要な自衛措置を禁じられていない」と指摘。「そのための必要最小限の武力の行使は許容されるという、
以前の政府見解の基本的な論理の枠内で合理的に導き出すことができる」と話した。
自民党などが参考人として推薦した早稲田大の長谷部恭男教授が憲法違反だと指摘した点に関しては「全く違憲でないという著名な憲法学者もたくさんいる」
と述べ、今後の法案審議への影響は限定的との見方を示した。

* * *
この記事の最後に紹介されている菅氏の発言については、早速「著名な憲法学者」たちから、次のようなツイートが飛び交いました。
「菅氏『全く違憲でないという著名な憲法学者もたくさんいる』とのこと。その『著名な憲法学者』の名前を教えてほしい今日この頃」
(木村草太氏)。「菅官房長官によれば、『全く違憲でない』と言う『著名な』『憲法学者』が『たくさん』いるらしい。是非ご教示賜りたい」
(南野森氏)。
6日の『朝日新聞』「素粒子」はさらに辛辣に「一、二、三、いっぱい。子どもの数え方ですか。『違憲じゃない』という著名な学者もいっぱいいる、
と官房長官」とこき下ろしています。
なお、2日に発表された『安保関連法案に反対し、そのすみやかな廃案を求める憲法研究者の声明』には、5日22時現在で188名
(呼びかけ人38人と賛同者150人)が名前を連ねており、そこには長谷部氏も小林氏も笹田氏も、また木村氏も南野氏も含まれていません。
つまり、憲法学界の圧倒的多数が安保法制は違憲であるという見解で一致していることは明々白々たる事実であり、いかに苦し紛れであったとは言え、
菅氏の発言は歴史に残る虚言であったと言えるでしょう。

一方、『朝日新聞』は、5日の朝刊で大きなスペースを割いて4日の審査会の様子とその反響を伝えました。
ここまで紹介した記事と重複するところがありますが、1面と4面の記事を『朝日デジタル』から引用します。
* * *
安保法制、3学者全員「違憲」 憲法審査会で見解
(前略)
憲法改正に慎重な立場の長谷部氏は、集団的自衛権の行使を認める安保関連法案について「憲法違反だ」とし、
「個別的自衛権のみ許されるという(9条の)論理で、なぜ集団的自衛権が許されるのか」と批判。9条改正が持論の小林氏も
「憲法9条2項で、海外で軍事活動する法的資格を与えられていない。仲間の国を助けるために海外に戦争に行くのは9条違反だ」
との見解を示した。笹田氏も、従来の政府による9条解釈が「ガラス細工と言えなくもない、ぎりぎりで保ってきた」との認識を示し、
法案について「(これまでの定義を)踏み越えてしまっており違憲だ」と指摘した。
(後略)
(渡辺哲哉)
戦争参加するなら「戦争法」、集団的自衛権「範囲不明確」、憲法審査会で学者指摘
「集団的自衛権の行使は違憲」。4日の衆院憲法審査会に招かれた憲法学者3人は、安全保障関連法案に「レッドカード」を突きつけた。
政府・与党内には、今後の衆院特別委員会の審議に冷や水を浴びせかねないとの見方が広がり、「委員会の存立危機事態だ」との声も出た。
この日の憲法審査会は本来、立憲主義や憲法制定過程を巡る議論について、各党推薦の専門家から意見を聴く参考人質疑だった。しかし、
議論は衆院特別委で審議中の安保法案をめぐる議論に集中していった。
小林節・慶大名誉教授は、今の安保関連法案の本質について「国際法上の戦争に参加することになる以上は戦争法だ」と断じ、平和安全法制と
名付けた安倍晋三首相や政府の姿勢を「平和だ、安全だ、レッテル貼りだ、失礼だと言う方が失礼だ」と痛烈に批判した。
憲法や安全保障についての考え方が異なる3人の参考人だが、そろって問題視したのは閣議決定で認めた集団的自衛権の行使。集団的自衛権は
「違憲」との見方を示し、憲法改正手続きを無視した形で推し進める安倍政権の手法を批判した。
長谷部恭男・早大教授は、従来の政府解釈が個別的自衛権のみを認めてきた点を踏まえて「(閣議決定は)どこまで武力行使が許されるのかも不明確で、
立憲主義にもとる」と批判した。
笹田栄司・早大教授は、内閣の判断で憲法解釈を変えることについて、戦前のドイツでナチスの台頭を許した「ワイマール(体制)のことを思う」と言及。
専門の違憲審査の問題を踏まえて、憲法解釈については「少しクールに考える場所が必要」などと指摘した。
教授らは、新たな安保関連法案が、「戦闘現場」以外なら米軍などへの後方支援を拡充する点についても問題点を指摘した。
長谷部氏が「(憲法9条に抵触する他国との)武力行使の一体化が生ずるおそれは極めて高くなる」と発言。小林氏は、戦争への協力を銀行強盗を
手伝うことにたとえて、こう皮肉った。
「一体化そのもの。長谷部先生が銀行強盗して、僕が車で送迎すれば、一緒に強盗したことになる」
(後略)
(笹川翔平、高橋健次郎)
* * *
クローバー
さて、引用ばかりで申し訳ありませんが、最後にアッと驚く『読売新聞』の社説を紹介します。4日の審査会から中1日置いて6日の掲載ですから
相当に考え抜いた上でまとめられた文章だと思いますが、その内容たるやあまりにも低レベルで「なんともはや」という言葉しか出てきません。
『YOMIURI ONLINE』から引用します。

* * *
集団的自衛権 限定容認は憲法違反ではない
昨年7月の政府見解で決着したはずの憲法問題が今、蒸し返されたことに違和感を覚える。
中谷防衛相は安全保障関連法案審議で、集団的自衛権の限定行使について、「憲法違反にならない」と答弁した。
「これまでの憲法9条の議論との整合性を考慮し、行政府の憲法解釈の範囲内だ」とも語った。
前日の衆院憲法審査会で自民党推薦の参考人が法案を「憲法違反」と断じたことを取り上げ、法案の撤回を求めた民主党議員に、
正面から反論したものだ。
参考人の長谷部恭男早大教授は「従来の政府見解の基本的論理で説明がつかないし、法的安定性を大きく揺るがす」と述べた。
首をかしげたくなる見解である。
政府は、集団的自衛権の行使について「我が国の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される明白な危険」という、
極めて厳しい要件をつけている。
この要件は、自国の存立を全うするために必要な自衛措置を容認した1959年の最高裁の砂川事件判決を踏まえたものだ。
国民の権利が根底から覆される事態に対処する、必要最小限度の武力行使は許容されるとした72年の政府見解とも合致している。
これは、内閣が持つ憲法の公権的解釈権に基づく合理的な範囲内の憲法解釈の変更だ。国会は現在、法案審議を通じて関与し、
司法も将来、違憲立法審査を行える。
まさに憲法の三権分立に沿っており、法的な安定性も確保できる。新見解が「立憲主義に反する」との野党の批判は当たるまい。
むしろ、抑制的過ぎた過去の憲法解釈を、国際・社会情勢の変化に応じて適正化したのが実態だ。かつて自衛隊の存在自体にも憲法違反との
批判があったが、今は、すっかり影を潜めている。
中谷氏は、集団的自衛権の限定行使について「やむを得ない自衛措置として初めて容認される」と述べた。
国際法上の集団的自衛権とは異なる点を認めたものだ。
抑止力を強化する観点では、本来、他国と同様、行使の全面容認が望ましかった。だが、過去の解釈との整合性などから限定容認にしたのは
現実的な選択だった。
看過できないのは、政府提出法案の内容を否定するような参考人を自民党が推薦し、混乱を招いたことだ。参考人の見識や持論を事前に点検し
ておくのは当然で、明らかな人選ミスである。
法案審議は重要な局面を迎えている。政府・与党は、もっと緊張感を持って国会に臨むべきだ。

<今こそ流れを変えるべく行動しよう>
前回5月7日の衆院審査会レポート(http://millions.blog.jp/archives/29950958.html)を、私は次のように締めくくりました。
「最近のマスコミの世論調査を見ると、安倍政権の進めている主要政策についてはことごとく『反対』が上回っており、ちょっとしたきっかけで
流れが変わる可能性があります。それを現実のものとするために、確信を持って闘っていきましょう。」
あれから約1カ月、「漏れた年金問題」も発覚し、安倍政権はたいへんな苦境に陥りつつあります。今こそ行動に立ちあがり、戦争法制の廃案、
そして安倍政権の打倒に突き進んでいきましょう。

この日の出席者は40人前後で、委員の出席率は前回より下がりました(定数は50)。参考人を招いておきながら、失礼なことだと思います。記者、
カメラマンは25人前後でやはり前回を下回り、テレビカメラは2台だけで、途中でいなくなってしまいました。傍聴者は20名強、百万人署名運動は
4名で傍聴してきました。(G)

※それにしてもこの期に及んで人選ミスとか都合のいいことを並べ立てるこの見苦しい御用メディアや政権は何なのでしょうか。
 自分たちに都合の悪い意見を排除してきた当然の報いではないでしょうか。

5.7憲法審査会

2015年05月16日 | 憲法審査会

毎回欠かさず傍聴されている方の傍聴記を転載します。
(止めよう戦争への道!百万人署名運動・代表西川重則氏)ブログより転記


公明党を含め自公維新・次世代等のこんなレベルのくだらない歴史認識や人権意識の論議で戦争を始めようとはとんでもないことです。
そんなに戦争したいならあんたらだけでやって欲しい。何が国民合意でしょうか。
自民党良識派?もあるかもしれないが政権与党にいる以上期待すべきことは一片もないのではないでしょうか。

「今後の憲法審査会で議論すべきこと」をテーマに衆院審査会開催
5月7日(木)9時30分から12時まで、「今後の憲法審査会で議論すべきこと」をテーマとして衆議院憲法審査会が開かれました。
yurusuna
今国会2度目、4月2日以来の開催でしたが、今回から次世代の党が委員を出しています。その経緯を報じた『朝日新聞デジタル』の記事
(4月14日付)を引用しておきます。
* * * * *
次世代、くじ引きで憲法審査委員に 上西議員の除名で(http://digital.asahi.com/articles/ASH4G5660H4GUTFK00M.html)
維新の党が上西小百合衆院議員を除名して1議席減らしたのに伴い、衆院憲法審査会の同党委員5人のうち1人分の枠を失った。
野党5党が14日、後任委員をくじ引きで選んだ結果、次世代の党が枠を獲得した。園田博之氏が委員に就く予定。
審査会の委員(50人)は、各党の議席数に応じて配分される。維新の議席減を受けて配分枠を計算したところ、50人目の委員の枠について、
維新、共産、次世代、社民、生活の5党が等しく資格を得たため、くじ引きとなった。審査会の新たな構成は自民31、民主8、公明4、維新4、共産2、次世代1。
* * * * *
昨年末の総選挙後初の開催となった前回に引き続き、実質的な審議が始まった今回も多くの報道関係者が詰めかけ、開会時には50人近く、
閉会時にも30人ほどの記者、カメラマンが取材に当たっていました。テレビカメラも7台が記者席の最前列に並んでいて(最後は4台になりました)、
後方の傍聴席からは議場の一部が死角になってしまいました。したがって、委員の出席状況を正確に把握することはできなかったのですが、この日は
常に45人以上(定数は50です)が着席していたと思います。傍聴者は20名ほどで、百万人署名運動は4名で傍聴してきました。
各会派代表者の主張
この日は、まず、6月15日に高知県で公聴会を実施することが提案され、起立採決の結果、賛成多数(共産党は反対)で議決されました。
続いて、審査会に委員を出している6会派の代表者が1人ずつ、「今後の憲法審査会で議論すべきこと」について意見を表明しました。多くの報道がありましたが、
私が見た範囲でもっとも的確にポイントが押さえられていると感じた『時事ドットコム』の記事、「衆院憲法審査会・各党発言要旨」を掲げておきます
(http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_date4&k=2015050700631)。
* * * * *
7日に開かれた衆院憲法審査会での各党発言要旨は次の通り。
船田元氏(自民) 現行憲法は、国内外の情勢が大きく変化する中、現実と乖離した条項が指摘されている。新たに付け加えるべき案件も多数ある。
時代にマッチした前向きな改正を議論し、結論を導き出すことは国会に課された重要な責務だ。
緊急事態条項、環境権をはじめとする新しい人権、財政規律条項の設定などのテーマを優先的に議論してはどうか。緊急事態条項については、
大規模自然災害発生時などに国会議員の任期を延長できるなどの規定が急務だ。自民党の憲法改正草案は、衆参両院の3分の2以上の合意を得るため、
大いなる妥協を続けることになり、結果として草案は元の姿ではなくなる。
武正公一氏(民主) 立憲主義について各党の考え方を改めて確認し、議論を丁寧に進めるべきだ。昨年7月1日、政府は憲法解釈を変更し、集団的自衛権行使容認の
閣議決定を行って、それを受けての安全保障法案の閣議決定が間もなく行われようとしている。
立憲主義からいえば、一内閣が都合の良いように恣意的に憲法解釈を変更することは、あらざるものと言わざるを得ない。
安倍晋三首相は1946年に憲法も国際法も全く素人の連合国軍総司令部(GHQ)の人たちが、たった8日間で創り上げた代物だと発言されている。
いわゆる「押し付け憲法論」について、各党の考え方を確認して議論を進めていく(べきだ)。
現に生じている社会問題として、現行憲法に足らざる点、補うべき点として明確になっているものから優先的に議論していくことを提案する。
解散権は衆院で内閣の重要案件が否決され、審議未了になった場合などに限られるべきで、昨年の解散は解散権の乱用の疑いがある。道州制を含めた地方分権、
地域主権については、議論を深掘りする必要がある。
井上英孝氏(維新) 緊急事態条項を検討することは喫緊の課題だ。憲法改正発議要件を緩和することにより、憲法改正原案を提示する機会を増やし、
国民的な憲法議論を喚起しやすくする必要がある。
斉藤鉄夫氏(公明) 環境権が加憲の検討対象の一つであるとの姿勢は何ら変わっていない。緊急事態条項は、速やかな対応検討が求められる。
赤嶺政賢氏(共産) 国民の多数は改憲を求めておらず、改憲のための憲法審査会を動かす必要はない。
園田博之氏(次世代) 非常事態への対応は新たに憲法に加えないといけない。憲法審査会では、なるべく早く、合意できるところから合意し、
国民投票の機会を得られるよう切に願う。

* * * * *
「お試し改憲」をめぐる応酬
代表者6名の意見表明に続いて、20人ほどの委員から発言がありました。(いつもそうなのですが)自分の言いたいことをまくし立てるだけの委員が多く、
討議とか論争と言えるようなやり取りはほとんどなかったのですが、そんな中、いわゆる「お試し改憲」をめぐって議論が交わされました。『TBSテレビ』
がそれをうまくまとめていましたので、その記事、「憲法改正めぐり議論スタート、『お試し改憲』で応酬」を引用させてもらいます
(http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2486586.html)。

* * * * *
連休明けの国会では憲法改正を巡る実質的な議論が始まりました。大災害などに対応する緊急事態条項などを改憲議論のテーマに挙げた自民党に、民主党が
「本丸は9条のお試し改憲では」と質す場面もありました。
連休中、ゴルフを楽しんだ安倍総理。パットを沈め力強くガッツポーズ。
「(安保法制の整備は)この夏までに成就させます」(安倍首相、米上下両院合同会議・4月30日〔日本時間〕)
その安倍総理、アメリカでも力強く安保関連法案の「夏までの成立」を宣言していましたが・・・
「立憲主義から言えば一内閣が、自分の内閣の都合の良いように恣意的に憲法解釈を変更することは、あらざるものと言わざるを得ません」(民主党 武正公一
衆院憲法審査会幹事)
「安倍首相は国民と国会に(安保関連法案の)内容を示してもいないのに、この夏までに成就させることを米議会で宣言した」(共産党 赤嶺政賢 衆院議員)
7日に開かれた衆議院の憲法審査会でも、一部の野党は、この発言に反発。一方、自民党の憲法改正の旗振り役にあたる船田氏は・・・
「緊急事態条項、環境権をはじめとする新しい人権、財政規律条項の設定、これらのテーマを優先的に議論してはどうかと考えております」
(自民党 船田 元 衆院憲法審査会幹事)
これから議論を深めたいテーマを挙げましたが、民主党からは、こんな言葉が持ち出されました。
「お試し改憲という報道がありまして、つまり本丸は憲法9条なんだけれども、やさしいところ、国民の皆さんが、まあ皆さんが理解するようなところを、
ここでまずはやっていこうと」(民主党 長妻 昭 衆院議員)
「全ての憲法改正においては、お試しという気持ちは全くない。全て真剣であるということは、あえて申し上げたい」(自民党 船田 元 衆院憲法審査会幹事)
衆院憲法審査会は来月15日に高知で地方公聴会を実施する予定で、憲法改正のための改正国民投票法についても説明するということです。

* * * * *
上記の船田氏の発言ですが、氏は4月16日にネット配信された『プレジデント』のインタビューで、「われわれも国民投票する国民のみなさんも初めての経験です。
もちろん第9条が大事ですが、1回目からこれを扱うと、なかなか厳しいだろうということがあります。1回目で仮に国会が第9条改正を発議して、国民投票で否決さ
れる事態が起これば、多分、憲法改正は政治的にはしばらくできないでしょう。第9条以外に改正したいところがありますから、第9条改正は2回目以降にして、
それ以外で、多くの政党、国民が賛成する項目から取り組んでいくのが現実的な対応ではないかと思います」と述べています(http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150416-00015041-president-bus_all&p=1)。つまり、船田氏らが、(それがどこまで「真剣」であるかはともかく)まずは「お試し改憲」をやってみて、
それがうまくいった後で9条改憲に着手しようと考えていることは間違いありません。

9rogo
さて、マスコミの報道を紹介するだけではレポートを書く意味がありませんので、以下、気になった発言をいくつか掲げて、論評しておきましょう。

公明党・北側氏の苦しい言い訳
まず、昨年の7.1閣議決定、そして今般の「戦争法案」をめぐる与党協議での公明党側のキーマンである北側一雄氏の発言です。

* *
先ほど、昨年7月1日の閣議決定と立憲主義との関係について(閣議決定は立憲主義に反するという)ご意見があった。私の立場から、この問題について一言発言
させていただく。
憲法9条と自衛の措置の限界というテーマについては、長年、(最高裁が明確な判断をしていないので)国会と政府とのやりとりの中で、公式な質疑の中で政府が
9条解釈を形成してきた。私が過去の政府見解を詳しく調べたところでは、この問題について一番論理的に明確に述べているのは、1972年10月14日に政府側から提出
された見解であり、その後の政府見解もこれを踏襲している。
この見解では、9条で自衛の措置が認められていること、その限界がどこにあるかということを極めて論理的に展開している。どういう表現をしているかと言うと、
「外国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底からくつがえされるという急迫、不正の事態に対処し、国民のこれらの権利を守るための
止むを得ない措置としてはじめて容認される」。私はここが憲法9条と自衛の措置の限界という解釈の根幹に当たる部分だと思っている。
これまでの政府見解との論理的な整合性を図る中で、9条の措置の限界がどこにあるかを突き詰めて議論したのが、昨年7月1日の閣議決定であったと認識している。
そこで新しい自衛の措置についての3条件を定めたわけである。
第一要件として、わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これによりわが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から
覆される明白な危険がある場合において、第二要件に、これを排除し、わが国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないときに、そして第三要件に、
必要最小限度の実力を行使する。
私は、この閣議決定は9条のこれまでの法理、規範の根幹は変えておらず、その中で9条の限界について見解を示したものと考えている。専守防衛、自国防衛という
立場は全く変わっていない。そういう意味で、立憲主義に反するものではないと考えている。

* *
いかがでしょうか。7.1閣議決定の内容がこれまでの政府見解に整合しているか否かは、北側氏の表現を借りれば、まずは「国会と政府とのやりとりの中で、公式な
質疑の中で」議論されるべきことであり、政府与党が勝手に決定できることではありません。
国会での審議抜きで閣議決定を強行したことは、やはり立憲主義を踏みにじる暴挙と言うほかないと思います。

安倍首相を参考人招致?
7.1閣議決定を実効あらしめる「戦争法案」についてはこれから審議が行われるので、国会が立憲主義の旗を掲げつづけていける余地はまだかろうじて残されていると
言えるかもしれません。
しかし、安倍首相はアメリカの議会で「戦争法案」の成立を約束し、それを前提として政府は「日米ガイドライン」を改定してしまいました。
こんなことは絶対に許容できません。
次に、このことを的確に指摘した辻本清美氏(民主党)の発言を紹介しておきます。

* *
先日、安倍総理がアメリカの議会でスピーチされ、立憲主義及び民主主義を支える三権分立を踏み外しているのではないかと思われる発言をした。
総理はこうおっしゃっている。
日本は今、安保法制の充実に取り組んでいる。戦後初めての大改革であり、この夏までに成就させる。ここで皆様(アメリカ議会)にご報告したいことがある。
一昨日、ケリー国務長官、カーター国防長官は岸田外相、中谷防衛相と協議して、今申し上げた法整備を前提として日米がその持てる力をよく合わせられるよう
にする仕組み(ガイドライン)ができた。昨日、オバマ大統領と私はその意義について互いに認め合った。私たちは真に歴史的な文書に合意したのだ。
日本の国会に説明どころか法案の提出もされていない中で、アメリカの議会で安倍総理は夏までに成就させるとか、ご報告をいたしますというような発言をしている。
これは三権分立から見たら、ここにいる憲法審査会のメンバーだけではなく立法府として何をしているのかと(いうことになる)。私は、立憲主義、
そして三権分立の一つの立法府にある憲法審査会こそ、安倍総理をここに呼んでどういうつもりなんだと(問いただすべきであり、総理に)参考人に来てほしいぐらいだ。
* *

審査会への参考人招致には現実味がありませんが、今後、本会議でも委員会でも党首討論でも、あらゆる機会をとらえて安倍首相に論戦を仕掛け、立ち往生させて
戦争法案の成立を阻止し、退任へと追い詰めていくことが国会議員諸氏の務めだと思います。

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毎度おなじみ、自民党委員のトンデモ発言集
今回も、自民党の委員の面々のトンデモ発言を列挙しておきます。
* *

佐藤ゆかり氏 戦後、行き過ぎた個人主義に対して、年金や生活保護の不正受給の問題しかり、個人の権利主張の裏側にあるべき自助の精神の教えが欠
個人の権利と個人の義務の関係、特にこの義務の記載、こうしたものをより明確に概念上記述するような憲法の改正、これが重要であると考えている。

山下貴司氏 憲法解釈の変更について、私は、憲法条項の許す範囲内で、国民の負託を受けた議会に立脚した内閣が直面する諸課題に対応するため憲法解釈の
変更を行うことは、立憲主義にかなうものであると考えている。むしろ、憲法上規定されていない行政権による憲法解釈の拘束力を認め、憲法解釈の変更を許さないことこそ、私は立憲主義に反するというふうに考えている。
緊急事態条項、これは私はどうしても必要であると思っている。例えば、昨今、ネパールの首都カトマンズにおいて大地震があった。日本も首都直下型地震を経験している。こうした大災害あるいは戦乱の中で、あるいは人命が保護される可能性が極端に低くなると言われる72時間を超える範囲内で、国会で審議するいとまがない、
そういった事態にやはり対応する条項が必要であると考えている。

安藤裕氏 私が思うのは、日本という国は世界の中で今でも一番古い歴史を持っている国だということだ。いろいろな国で保守主義という考え方はあると思うが、
神話の時代から、いつ始まったかわからない一つの国として続いている国はこの国しかないわけで、ほかの国は革命などいろいろなことが起きている中で今の国がある。
戦後の新しい日本国憲法の中で、我々は、自由とか平等とか基本的人権の尊重というものを大事に思ってきたわけだが、逆に、行き過ぎた平等とか、あるいは規律なき
自由というものが今この国を本当に壊し始めているのではないかということもこの場で議論する必要があるのではないかと思う。
今、きずなが大事である、あるいは地方が大変に疲弊していると言われているが、自由とか平等とかが余りにも強調され過ぎて、重たい価値観として重要視され過ぎて
いるからこそ、そういった大事なことが失われているのではないか。今の憲法観より上にもっと大事にしなきゃいけない価値観があるのではないかということを、
もう少しこの場で議論していくべきではないかと強く思っている。

山田賢司氏 おそらく大多数の国民にとっては、敗戦によって平和がもたらされたと思われているけれども、この日本国憲法ができた後ですら、竹島というのは武力侵略
を受けて、漁師さんが殺されて4000人近い漁民が拿捕されてしまった。
そして、忘れてはならないのは、今この瞬間も、我々日本人が北朝鮮によって捕らわれている。このことについてどうするんだ、憲法を変えなくても救えるということ
であればそれで構わないけれども、憲法の制約があって救い出すことができない、これはあってはならないのではないか。
国家の最大の責務は、やはり国民の命を守ることである。これをどうやってやるのか。

* *
緊急事態条項の根拠として早速ネパールの地震を持ち出したり(「日本も首都直下型地震を経験している」というのは、どの地震のことを指しているのでしょうか?)、
日本が世界一古い歴史を持っていると言ったり、とんでもない議論が横行しています。
傍聴する度にあきれたり驚いたりうんざりしたり気が滅入ったりするのですが、めげずに報告を続けていきたいと思います。

一方、こんな発言も
最後に、自民党の委員の意外な?発言も紹介しておきましょう。
* *

河野太郎氏 憲法改正の発議を衆議院が行う場合には、政党が党議拘束を議員に課さない、つまり、国民が選んだ議員一人一人がそれぞれの考えと信念に基づいて
賛成または反対の投票ができるように保障されるべきだと私は思っている。これは非常に重要な問題で、憲法改正の細かい議論をする前に、この手続きに関して
しっかりとした議論をこの審査会で行っていただきたい。
自民党の憲法改正草案なるものがあるが、これが改正の理想的な法案では決してないと思っている議員が少なからず自民党の中にいることも記録にとどめたいと思う。

後藤田正純氏 私もいわゆる党議拘束等については反対であり、一国会議員として、国民として、しっかりと意思を表示すべきだと思う。
脅威をあおるようなことだとか、短期間で決めたとか押しつけだとか、そういう議論で憲法の改正議論をしてはいけない。そうすることによって国民が離れると思う。
この70年間この憲法が果たしてきた役割、戦後からの復興、繁栄、そしてまた安定、平和、そして今、成熟期に至るまでにどれだけの役割を果たしてきたかということを、
まずこの場で共有して、国民の皆さんとも共有すべきだと思うし、その上で、国家の運営上どうしても変えなきゃいけないことは何なのかということをここでしっかり
議論して、それをまた国民の皆様にお伝えしていくということだと思う。
日本国憲法は硬性憲法であり、時代の変化になかなか迅速に対応できないと言われるが、私は、もっと大事なのは憲法の尊厳性というか信頼性というもので、
いわゆる解釈改憲でどんどん進んでいくとそれが失われていく危険性を感じている。
改めて申し上げるが、普通の国になる前に理想の国になるということを私どもは世界に訴えていくべきだと思っている。

* *
あらためて自民党の幅の広さには驚くべきものがあると感じさせられましたが、私たちは自民党の良識派に、あるいは公明党の「歯止め」や民主党以下の野党の頑張りに
過度の期待を寄せることなく、院外で戦争法反対、改憲阻止、辺野古新基地建設中止の声を上げつづけていくしかないと思います。
最近のマスコミの世論調査を見ると、安倍政権の進めている主要政策についてはことごとく「反対」が上回っており(注参照)、ちょっとしたきっかけで流れが変わる
可能性があります。それを現実のものとするために、確信を持って闘っていきましょう。(G)


注:5月9、10に実施されたJNNの世論調査(http://news.tbs.co.jp/newsi_sp/yoron/backnumber/20150509/q1-1.html)によれば、日米ガイドライン改定に賛成36%、
反対46%、集団的自衛権行使のための安保法制に賛成35%、反対50%、原発の再稼働に賛成34%、反対57%、普天間基地の辺野古移設に賛成39%、反対43%となっている。

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今国会初の衆議院憲法審査会(4/2)

2015年04月08日 | 憲法審査会
毎回欠かさず傍聴されている方の傍聴記を引き続き転載します。
(止めよう戦争への道!百万人署名運動・代表西川重則氏)ブログより転記


4月2日(木)午前10時30分から、今国会初の衆議院憲法審査会が開かれました。
あらかじめ15分程度という予定であったため傍聴者は百万人署名運動からの2人だけでした。
ところが、委員会室に行くとびっくり。すでに報道関係者50人くらいが詰めかけていて、
本来の傍聴者が座る席がすぐには見つけられないほどでした。
マスコミの注目度が高かったためでしょうか、この日は会議開始時点で全部で50人の委員のうち47名が着席していました
(こんなことはめずらしい!)。
委員会での発言は、新しく憲法審査会会長となった保岡興治議員(自民)の挨拶だけでしたが、自民党が
「16年秋には改正案発議ー翌春には第1回目の国民投票を実現」と改憲シナリオを表明しており、
それに向けて改憲項目の縛り込みに入るという実質的な第1回目となる憲法審査会だったので、
マスコミ総結集となったのだと思います。
憲法審査会委員の構成は、自民31、公明4、維新5、民主8、共産2、多数決をとれば一目瞭然の現状です。
今国会でさまざまな戦争法を強行しようとする安倍政権が狙う改憲案など絶対に認められません。
「戦争法と改憲に反対します。」の全国署名を職場・学園・地域で広げ、絶対反対の声を強めましょう!(S)

衆議院の憲法審査会を傍聴するためには、ここから入ってすぐの面会所で紹介議員の秘書さんから傍聴券を受け取って、
さらに奥へ入っていきます。
傍聴受付の場所では荷物や上着をロッカーに入れさせられ、筆記用具くらいしか持って入ることはできません。
傍聴席では声をあげることも許されず、貼られている傍聴規則もひどいもので、国会へ行くと「主権者は誰か!」といつも腹が立ちます。
衆議院議員面会所最寄りの駅は地下鉄「国会議事堂前」出口1です。

駅を出てすぐ右前が首相官邸、いつも厳重に警備されてます。

左側には警備車両がズラリ。国会は外は警察、中は衛視(国会の中の警察みたいな感じ、一応衆議院議長の指揮下にあるそうです)
によって厳重に守られていました(誰から?)。


憲法審査会 委員名簿・・・数人を除きオール改憲派の異常な委員会
             改憲反対の世論は過半数なのにどこにも民意は反映されない。

役職 氏名
会長 保岡 興治君 自民
幹事 後藤田 正純君 自民
幹事 河野 太郎君 自民
幹事 根本 匠君 自民
幹事 平沢 勝栄君 自民
幹事 船田 元君 自民
幹事 古屋 圭司君 自民
幹事 武正 公一君 民主
幹事 井上 英孝君 維新
幹事 北側 一雄君 公明
委員 赤枝 恒雄君 自民
委員 安藤 裕君 自民
委員 池田 佳隆君 自民
委員 江崎 鐵磨君 自民
委員 衛藤 征士郎君 自民
委員 木原 稔君 自民
委員 小島 敏文君 自民
委員 佐藤 ゆかり君 自民
委員 高木 宏壽君 自民
委員 棚橋 泰文君 自民
委員 土屋 正忠君 自民
委員 寺田 稔君 自民
委員 野田 毅君 自民
委員 牧原 秀樹君 自民
委員 松本 文明君 自民
委員 宮崎 謙介君 自民
委員 宮崎 政久君 自民
委員 武藤 貴也君 自民
委員 務台 俊介君 自民
委員 村井 英樹君 自民
委員 山下 貴司君 自民
委員 山田 賢司君 自民
委員 山本 有二君 自民
委員 若宮 健嗣君 自民
委員 大島 敦君 民主
委員 鈴木 克昌君 民主
委員 辻元 清美君 民主
委員 中川 正春君 民主
委員 長妻 昭君 民主
委員 古本 伸一郎君 民主
委員 鷲尾 英一郎君 民主
委員 小沢 鋭仁君 維新
委員 木内 孝胤君 維新
委員 馬場 伸幸君 維新
委員 吉村 洋文君 維新
委員 國重 徹君 公明
委員 斉藤 鉄夫君 公明
委員 浜地 雅一君 公明
委員 赤嶺 政賢君 共産
委員 大平 喜信君 共産

自民党集団的自衛権集中講義(小林節)続編

2015年03月08日 | 憲法審査会
元々保守派で本来は改憲派の小林教授の一連の連続講座です。
如何に自民党の集団的自衛権が矛盾に満ち粗悪であるばかりか、
安倍政権を「戦争ごっこ」断言しています。
政治家や官僚には知性が感じられず自衛隊員の命さえも軽視しているとも言っています。
(日刊ゲンダイ3/4~3/7記事のコピー)

今国会最後の衆院憲法審査会(11/19)

2014年11月26日 | 憲法審査会
毎回欠かさず傍聴されている方の傍聴記を引き続き転載します。
(止めよう戦争への道!百万人署名運動・代表西川重則氏)ブログより転記


解散の2日前、11月19日(水)の9時30分から、衆議院憲法審査会が行われました。定例日(木曜日の午後)
ではない水曜日午前中の開催でした。この日の議題は17日(月)に盛岡市で開かれた地方公聴会の報告のみで、
配布されたA4版3ページの『派遣報告』を武正公一氏(民主)が読み上げただけで、10分もかからずに散会となりました。

開会時には空席が目立ちましたが、すぐに出席者は40人以上となり、散会時にはほぼ全員、47人が着席して
いました(定数は50人)。記者は3人で他にカメラマンが2人、傍聴者は私たち百万人署名運動の2人だけでした。

この日の開催は、いつも傍聴券の手配でお世話になっている議員の秘書さんから18日の夕方に教えていただきました。
衆議院憲法審査会のホームページには18日に「今後の開会予定を更新しました」と記載されていますが、私がチェック
した21時すぎにはまだ告知されていませんでした。もし連絡がなければ傍聴できないところでした。いつもながら国会
の広報のあり方にはほんとうに腹が立ちます。

この日の審査会では、散会後に保利耕輔会長(自民)の短い挨拶がありました。氏は次回の総選挙には立候補しない
ことを明らかにし、委員の面々に対してこれまでの審査会での協力に謝意を表するとともに今後も憲法改正に向けて
着実に検討を進めてほしい旨を述べて、大きな拍手を受けていました(この発言を『衆議院インターネット審議中継』
の『ビデオライブラリ』から起こして正確にご紹介したいと考えていたのですが、残念ながら散会後の音声がカットされていました。
後日公表される『会議録』にも記載されないと思います)。

さて、17日の盛岡地方公聴会ですが、さすがに盛岡まで傍聴に行く時間はとれなかったので(と言うより、交通費の
負担が大きすぎるので)、私は『衆議院インターネット審議中継』で視聴するつもりでした。
ところが、公聴会の模様は中継されなかったのです。
会場の都合などで同時中継が難しかったとしても『ビデオライブラリ』に録画をアップしてほしかったのですが、それもありません。
つまり、私たちが公聴会の様子を映像で確認する手段はないということです。
解散総選挙にはおよそ700億円の国費が投入されると報じられていますが、大した費用が掛かるとは思えない録画とその
公開くらいは行ってしかるべきだったのではないでしょうか。

報道もあまりなかったのですが、私がチェックした中ではいちばん詳しかった『NHK NEWSWEB』の記事を掲げておきます
(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141117/k10013264431000.html)。

衆院憲法審査会 初の地方公聴会(11月17日16時19分)

衆議院憲法審査会は憲法改正を巡る国民の意見を幅広く聞くため、初めての地方公聴会を盛岡市で開き、
憲法改正に向けた審査を急ぐべきだという意見が出る一方、拙速に進めるべきではないという慎重な意見も出されました。

衆議院憲法審査会が盛岡市で初めて開いた公聴会では「これからの憲法審査会に望むこと」をテーマに、大学教授や
弁護士ら5人が意見を陳述しました。

このうち東北大学大学院教授の糠塚康江氏は先の国会で成立した改正国民投票法に関連して、「国民投票の投票率が極めて低い場合、
ごく少数の賛成で憲法改正が実現し、正当性に疑義が生じる。国民投票の成立に一定の投票率を満たすことを条件とする
『最低投票率』制度を設けるべきではないか」と述べました。

岩手弁護士会所属の弁護士、小笠原基也氏は「被災地で暮らしている多くの人たちは、いまだに仕事もなく家を建てる場所もない。
なぜ国民の生活が尊重される世の中ができないのかをきちんと見たうえで、憲法改正の必要があるかどうか、地に足の着いた
審議をしてほしい」と述べました。

宮城県議会議員の相沢光哉氏は「衆参両院に憲法審査会が設置されてすでに7年が経過しており、機は熟し切っている。
いまの憲法はGHQ=連合国軍総司令部の占領下に制定されたもので、独立国にふさわしい自主憲法の制定に向けて憲法審査を急ぐべきだ」
と述べました。

岩手県生活協同組合連合会会長理事の加藤善正氏は「憲法改正は主権者である国民から声が上がって初めて国会で議論を
始めるのが立憲主義の建て前だ。政治不信が広がっているなか、憲法改正を主張する国民の声は少数であり、あまり
拙速に進めるべきではない」と述べました。

日本大学名誉教授の小林宏晨氏は、集団的自衛権の行使容認に関連して、「集団的自衛権は主権国家の固有の権利だ。
安倍内閣による閣議決定で行使が容認されたことは方向付けとして非常によく、この方向付けを継続して、積極的に
平和に関与してほしい」と述べました。

* * * * *

なお、もっと詳しくお知りになりたい方は、上述の『派遣報告』が衆議院憲法審査会のホームページにアップされていますので、
そちらをご覧ください(http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kenpou.nsf/html/kenpou/187-11-19.htm)。

こうして今国会の憲法審査会は幕を閉じたわけですが、与党、そして野党の半分くらいを含む改憲勢力が絶対多数を占める中で、
7.1閣議決定の内容や手続きについて突っ込んだ議論が行われることなく、明文改憲に向けた準備が着々と進められている状況にあります。
総選挙の結果がどうなろうと、私たちは憲法改悪絶対阻止の声を上げ続け、国民の過半数の共感、支持を取り付けなければなりません。
厳しい情勢ですが、ともに闘っていきましょう。(G)


憲法審査会、参議院でも始動

2014年11月08日 | 憲法審査会
衆院に続き参院でも憲法審査会が開催されました。
毎回欠かさず傍聴されている方の傍聴記を引き続き転載します。
(止めよう戦争への道!百万人署名運動・代表西川重則氏)ブログより転記


10月22日(水)13時から参議院憲法審査会が開かれました。今国会2度目の開催でしたが、初回(9月29日)は会長、
幹事の選任を行っただけでしたので、実質的にはこの日が今国会初めての審議となりました。なお、審査会の発足
」以来会長を務めていた小坂憲次氏(自民)が退任し、新たに柳本卓治氏(自民)が会長に就任しました。そのほ
か幹事も11名中7名が交代し、特に自民党は5名全員が入れ替わりました。ただし、小坂氏も前幹事の多くも引き続
き審査会のメンバーには残っています。

この日は前半は40人以上、後半になっても35人以上の委員が出席しており(定数は45人)、前週に開かれた衆院の
審査会と比較すると目覚ましい出席率でした。記者は6~8人程度が議論に聞き入り、傍聴者は15名ほど(散会間近
になって議員の後援会のメンバーと思われる20~30名のグループが入場してきました)、私たち百万人署名運動は
2人で傍聴してきました。

附帯決議違反の7.1閣議決定
この日の憲法審査会では、「憲法に対する認識」について意見交換が行われました。まず委員を出している9会派か
ら1人ずつ各5分間の発言があり、その後自由討議となりました。テーマが漠然としていましたので好き勝手に持論
を開陳する委員が多かったのですが(押し付け論をはじめ、一度も改定されていないのは異常だ、前文は翻訳調で
日本語としてこなれていない、選挙区は人口以外の要素も加味して決めるべきだなど今回も「定番」の議論が持ち
出され、大いに辟易させられました)、集団的自衛権の行使を容認した7月1日の閣議決定後初めての審査会でした
ので、もちろんこれを非難する発言も目立ちました。

まず、小西洋之氏(民主、審査会幹事)の見解表明の最後の部分を紹介しておきたいと思います
(氏の公式ウェブサイトから引用
○ 実は、我が参議院憲法審査会においては、主権者国民のために、閣議決定の強行を阻止するための強力な措置が
講じられていました。
それは、6 月 11 日 改正国民投票法附帯決議 第4項から第6項であり、そこには、「政府が、憲法解釈の変更を行う
際には、事前に、「解釈の変更の案」、すなわち、7.1 閣議決定の最終案そのものについて、その論理的整合性等に
つき、十分な国会審議を受けること」が明記されていました。

○ この国権の最高機関の委員会決議を、安倍内閣は真っ正面から否定し、閣議決定を強行したことは誰の目にも明
らかな、厳然たる事実であります。
もし、事前の国会審議があったならば、我々立法府の力により、閣議決定は法令解釈の名にすら値しない、暴挙として、
これを阻止することができたものと確信致します。

○ この点、7.1 閣議決定に対し、本附帯決議 第1項及び第2項より「立憲主義及び恒久平和主義等の基本原理に基づい
て、今後、徹底的に審議を尽くすこと」こそが、まさに「日本国憲法について広範かつ総合的に調査を行う」ことを
任務とする我が審査会が国民のために自ら担った崇高なる使命であって、この全うこそが、我が憲法審査会が、立法府
における「立憲主義と法の支配の砦」としてその権威を保持していく唯一の道であることを、会長及び同僚委員の皆様
に心よりお訴えをさせて頂き、私からの見解の表明とさせて頂きます。


福島みずほ氏(社民)も、下記のとおり同様の意見を表明しました
(氏の公式ウェブサイトから引用:http://www.mizuhoto.org/policy/2014/10/20141022.html)。

○ 憲法改正の国民投票法の改正法が可決をされたときに、参議院の憲法審査会は附帯決議を付けました。6項、「本法
律の施行に当たっては、憲法の最高法規性及び国民代表機関たる国会の国権の最高機関としての地位に鑑み、政府にあっ
ては、憲法の解釈を変更しようとするときは、当該解釈の変更の案及び第4項における政府の憲法解釈の考え方に係る原則
への適合性について、国会での審議を十分に踏まえること。」。

○ 安倍内閣が7月1日、全く国会にかけることなく憲法解釈を明確に変えたことは、この附帯決議を真っ正面から踏みに
じるものです。参議院の憲法審査会は極めて重いものです。しかし、安倍内閣が国会の憲法審査会を全く顧みず憲法解釈
の変更をしたことは、国権の最高機関たる国会を踏みにじるものです。参議院の憲法審査会はこのことから議論しなけれ
ばなりません。

小西氏が「暴挙」と言い、福島氏が繰り返し「踏みにじる」と述べたように、7.1閣議決定はその内容はもちろん手続きに
もけっして看過できない重大な問題があります。両氏が言及した附帯決議は自民党の委員たちも賛成して採択されたもので
あり、仮に今後も憲法審査会での審議を続けるのであれば、まずは国会の意思を無視した安倍政権のやり口を厳しく追及し、
閣議決定の撤回を要求することから始めなければならないはずです。

ただし、残念ながらこの日の審議で7.1閣議決定を批判する発言を行ったのは、両氏のほか民主党の牧山ひろえ氏、共産党の
仁比聡平氏と吉良よし子氏のみであったことを報告しなければなりません。

なお、国民投票法改定時の経緯については、附帯決議の内容を含めて当ブログの過去の記事で詳しく説明していますので、
興味のある方はこちらを参照してください

『赤旗』の記事

上記のような重要な論点があったにもかかわらず、今回の憲法審査会についての報道は少なかったのですが、『赤旗』の
ウェブ版に掲載された記事を紹介しておきます。

○ 解釈改憲の暴走批判 参院憲法審査会 仁比・吉良氏発言
参院の憲法審査会が22日、開かれました。日本国憲法について各党が見解を表明し、日本共産党から仁比聡平議員と吉良
よし子議員が発言しました。

仁比氏は改めて、「憲法審査会は動かすべきでない」と主張しました。日米軍事協力の指針(ガイドライン)の再改定に
向けた「中間報告」について、「(集団的自衛権行使容認の)閣議決定の具体化を国会審議もまともにやらず、何ら国内法の
土台もないもとで、日米両政府間の協議を先行させ、『海外で戦争をする国』づくりのレールを敷くやり方は、憲法の上に
日米同盟を置き、国民も国会もそっちのけに憲法を二重三重に踏みにじる暴挙だ」と批判しました。

そのうえで、多くの国民が解釈改憲の暴走に反対の声を上げていると強調。閣議決定を「国会の多数を獲得すれば時の政権の
判断次第という憲法破壊宣言だ」と批判し、撤回を求めました。日米ガイドライン再改定に向けた作業を直ちに中止するよう
求めました。

吉良氏は、現憲法が戦争への反省から出発し、戦争で殺し殺されなかった67年間の実績を強調し、「現憲法の歴史そのもの
に誇りを持ち、守り抜くことが重要だ」と述べました。

また、国民の暮らしと権利を保障する規定を定めながら、若者の半数が非正規雇用などで苦しむ現状を告発し、「歴代政権に
よって働く権利を踏みにじる改悪が続けられてきたからだ」と指摘。「憲法を語るなら、改悪によって現行憲法の掲げる理想
を壊している政府のやり方こそ、最も真剣に語られなければならない」と述べました。

このほか、『朝日新聞』が「いま国会で 論ずべきは憲法の価値」と題した社説を10月26日に掲載しました。文字どおり煮え切
らない内容でがっかりする(あるいは腹が立つ)可能性大ですが、時間のある方はお読みください   (G)

(本日11/8新宿での怒りのドラムデモ。6月に集団的自衛権行使容認に反対して焼身自殺を図った方がいた歩道橋より撮影)






















今国会初の衆院憲法審査会(10/16傍聴記)

2014年11月04日 | 憲法審査会

久しぶりに憲法審査会が開催されました。
毎回欠かさず傍聴されている方の傍聴記を引き続き転載します。
(止めよう戦争への道!百万人署名運動・代表西川重則氏)ブログより転記


10月16日(木)10時から、今臨時国会で初めて衆議院の憲法審査会が開催されました。
この日の議題は、「幹事の補欠選任」、「委員派遣承認申請の件」、「日本国憲法及び日本国憲法
に密接に関連する基本法制の件(衆議院欧州各国憲法及び国民投票制度調査議員団の調査の概要)」の3件でした。

傍聴の権利をないがしろにする広報の遅れ

審議内容の報告に入る前に、まず、この日の開催が審査会のホームページに掲載されたのがなんと
前日15日の17時ころであったことを怒りを込めて記載しておきます。
多くの人が気付かなかったでしょうし、運よく目にしたとしても夕方に「明日の朝10時に来てね」
と言われて「はい、行きます」と答えられる人がはたしてどのくらいいるでしょうか。

いったい国民の国会傍聴の権利をなんだと思っているのかということです。この日の開催は14日(火)
に開かれた幹事懇談会で決定されていました(武正公一氏〈民主、審査会の会長代理〉のブログによる)
ので、遅くても15日の朝には広報できたはずだし、そうすべきだったと思います。

このような事情のためか、この日の傍聴者は私たち百万人署名運動の3人だけでした。言うまでもなく、
こんなことは審査会の発足以来初めてでした。

憲法審査会の会派別構成

最初の議題、「幹事の補欠選任」では、委員の異動によって欠員となっていた幹事3名を保利耕輔会長(自民)が指名しました。

それにしても、幹事10名(会長を含む)中7名、その他の委員40名中24名、合わせて50名のうち実に31名が自民党で、
公明党の3名を加えると「与党」が34名。
他に「準与党」とも言うべき維新の党が5名、次世代の党2名、みんなの党1名で、かなり心もとないところはあるけれども
「野党」と言えそうな民主党が6名、生活の党が1名、そして共産党が1名で社民党は委員を出せていないのですから、
今後の憲法審査会の運営がどのように進められていくのかは容易に想像することができます。

これに関連して、10月8日の朝日新聞朝刊に掲載された「自民、改憲へ三つの論点提案」という記事を引用しておきます。
「衆院憲法審査会(会長・保利耕輔元自治相)は7日、国会内で幹事懇談会を開いた。自民党は『環境権』『緊急事態条項』
『財政健全化規定』の三つの論点について、今国会での審議を提案。憲法改正に向けた議論に入ることを狙ったものだ。
民主党など野党4党は持ち帰って検討することになった。共産党は提案に反対した。」

なぜ今公聴会開催が必要なのか?

次の議題、「委員派遣承認申請の件」は、11月17日(月)に岩手県盛岡市で地方公聴会を開催するので憲法審査会の委員を
派遣したいという内容でしたが、何の議論もなくいきなり起立採決され、共産党を除く圧倒的多数で承認されました。

このことについては、上記の開催告知とは対照的に早速審査会のホームページに「日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連
する基本法制に関する調査のため、今般、広く国民の皆様から『改正国民投票法の施行を受けて、これからの憲法審査会に
望むこと』をテーマに意見を聴取する地方公聴会を」「開催することになりました」、意見陳述者は「6名程度」で
「青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県及び福島県に在住する方から一般公募を行」って「選定します」という
「お知らせ」が掲載されています。

しかし、対象を東北6県のわずか6名程度に絞って「広く国民の皆様から」「意見を聴取」したことになるのか、
そもそもなぜ今地方公聴会を開く必要があるのか、とうてい腑に落ちることではありません。

欧州調査の成果とは?

3つ目の議題は、国会閉会中の7月に衆院憲法審査会のメンバー7名がギリシャ、ポルトガル、スペインを訪問し、
各国の憲法や国民投票制度について実施した「欧州調査」をめぐるものでした。

まず団長を務めた保利氏が簡単な報告を行い、次に副団長の武正氏が調査結果をやや詳細に説明し、さらに調査に
参加した船田元氏、中谷元氏(ともに自民)、馬場伸幸氏(維新)、斉藤鉄夫氏(公明)、笠井亮氏(共産)
がそれぞれ感想を述べ、最後に委員間で自由討議を行うという順に審議が進められました。

傍聴者には保利氏と武正氏の報告内容を記載したA4版6ページの資料が配布され、委員の机上には分厚い報告書が
置かれていましたが、私が最初に思ったのはこの調査にいったい幾らかかったのだろうということでした(人数は
わかりませんが、調査には衆議院憲法審査会事務局、法制局と国会図書館の職員が同行しており、
報告書は彼らがまとめたのだと思います)。

武正氏の説明などを聴いていると調査の内容、結果はそれなりに興味深いものだと感じましたが、大方の委員の
発言は自分に都合のいい部分だけを強調したり、ひどいものになると自らの主張に沿うように捻じ曲げて解釈し
たりというもので、やはりこの欧州調査は税金の無駄遣いだったのではないかとの感をぬぐえませんでした。

保利会長の2つの発言

というわけで、この日の審議ではあえてこのブログの読者の方々にお知らせしたいという発言はあまりありません
でしたが(そのことを反映してか、今回はマスコミの報道もほとんどなかったようです)、そんな中で私がオヤッと
感じた保利会長の2つの発言をご紹介しておきたいと思います。

そのひとつは、自由討議の中で西野弘一氏(次世代)が「わが国ではGHQの強い影響力の下に仕方なく今の憲法を作ったので、
ポルトガルにならって、早く国民の手による自主憲法を制定しなければならない。改正国民投票法もできたので、早急に憲法
の中身を議論できるような審議会にしていただけたらなと思った」という主旨の意見を述べた後、保利氏が
「ありがとうございました。よくわかりました」と発言したことです。

会長は淡々と議事を進行すべきであって、保利氏もいつもはそのように振る舞っているので、委員の表明した意見に賛意
を示すというのは異例のことだったと思います。ちなみに衆議院の「インターネット審議中継」でこのときの様子を確認すると、
隣の席に座っている船田氏と顔を見合わせてにっこりしていることが見て取れます。

もうひとつは、散会を宣言した後に、「申し上げておきたいと思いますが、与党の方の空席が目立っておりますので、
この次やりますときはできるだけの方にご出席をいただきますように与党の方で確保していただきたいと思います。
よろしくお願いいたします」と述べたことです。これまで笠井氏の苦言を受けて同様の発言をしたことはありましたが、
自らこれを言い出したのは初めてのことでした。

事実、この日の出席状況は惨憺たるありさまで、2つ目の議題の委員派遣承認の採決のときには40名ほどの委員が席に
着いていましたが(定員は50名)、その後は退席する委員が相次いで定足数(25名)をかろうじて上回るという状態になり、
一時的ではありましたが定足数を下回ることもありました。ただし、保利氏が与党と言っているのは正確ではなく、公明党の委員
(3名)はほとんどの時間帯にわたって全員が出席していましたので、責任を負うべきはもっぱら自民党であることをはっきりさせ
ておきたいと思います。(G)

※開催日の前日の夕方の告知とは。傍聴者も「署名運動」の3人だけ。見落としたら誰も傍聴できない状況。
 こんな中で憲法を変えようとするとは。
 

参院憲法審査会、国民投票法(6/11、6/13)可決(傍聴記)

2014年06月17日 | 憲法審査会
参院でも委員会、本会議であっという間に可決されてしまいました。

毎回欠かさず傍聴されている方の傍聴記を引き続き転載します。
(止めよう戦争への道!百万人署名運動)ブログより転記


6月11日(水)13時から過ぎから参議院憲法審査会が開催され、改憲手続法
(国民投票法)改定案が可決されました。
そして13日(金)には参議院本会議でも採決が行われ、あっさりと可決・成立してしまいました。
さまざまな問題点を先送りしたままでの採決に、強く抗議したいと思います。

だんまりを決め込んだ自公の委員
11日の憲法審査会では、まず発議者(7会派、8名の衆議院議員)に対する質疑が行われ、白眞勲氏(民主)、
仁比聡平氏(共産)、福島みずほ氏(社民)、そして委員を出していない生活の党の主濱了氏が登場しました。
持ち時間は、改定案に反対の共産党が30分、社民党が20分、賛成の民主党と生活の党が10分ずつでした。
もっとも、白氏の質疑はもっぱら安倍政権が進めようとしている政府解釈の変更による集団的自衛権の
行使容認を批判する内容でしたし、主濱氏も冒頭で選挙権年齢の18歳への早期引下げを主張した後、
白氏と同様に安倍政権の姿勢を非難しました。主濱氏の質問に答えた鈴木克昌氏(生活の党、発議者のひとり)
は、「安倍内閣はひとときの内閣であり、丸い月夜も一夜限り、満月は明日から欠けていく」と述べていました。

続いて討論に入り、仁比氏が反対、藤末健三氏(民主)が賛成、福島氏が反対、松田公太氏(みんな)が
賛成の討論を、それぞれ4分ほど行いました。ここでも、藤末氏の討論の後半は安倍首相の解釈改憲批判に充てられ、
ひとり松田氏のみが「公務員の政治的行為の制限について、地位利用禁止の実効性を持たせる
ため罰則を設けるべきだ
」などとやや場違いな発言をしていました。

討論の後は採決で、小坂憲次会長(自民)を除く44名のうち41名が賛成、反対はわずか3名
(仁比氏、福島氏と共産党のもうひとりの委員、吉良よし子氏)でした。

衆議院憲法審査会での採決は48対1でしたから今さらショックは受けませんでしたが、冷静に考えれば大いに
憂慮すべきとんでもない出来事であったことは間違いありません。国会の現状に慣れることなく、
怒りを持ちつづけることが重要だと思います。

その後、白氏が自民、民主、公明、維新・結い、みんな、改革の共同提案による附帯決議案を読み上げ、
やはり41対3で可決されました。これを受けていつの間にか議場に入っていた新藤義孝総務大臣と谷垣禎一法務大臣が
「附帯決議の趣旨を尊重し、適切に対処していく」などと発言、この日の審査会は14時40分ごろ散会となりました。

ここまでお読みになってあるいはお気づきになったかもしれませんが、この日の審査会では、司会進行役の小坂会長を除き、
自民党、公明党の委員の発言が一切ありませんでした。

とくに自民党の幹事である中川雅治氏と丸川珠代氏はいつも(というのは言い過ぎかもしれませんが、傍聴席から見て
いると実際そう感じてしまうのです)私語を交わしていて、議論の成り行きにはほとんど注意を払っていないように見えました
(これまでの審査会でもそうだったのですが、おそらく今回が今国会最後の報告になると思いますので、ここに明記して
苦言を呈しておきたいと思います)。
こんな議員たちが国政の重要な事項の決定に関わっているのですから、ほんとうに情けない気持ちになってしまいます。

この日は終始40人前後の委員が出席しており、採決時には45人全員が揃いました。また、発議者も6~8名が出席していました。
記者もいつになく多く10名前後が記者席に陣取り、TVカメラ3台を含め多くのカメラが採決の瞬間を撮影していました。
ただし、傍聴者は9名と少なめで(14時頃、議員の後援会のメンバーと思われる十数名のグループが入場してきました)、
私たち百万人署名運動は3人で傍聴してきました。
     
気になった北側氏(公明)の言動
上記のように、この日の審査会で公明党の委員の発言はなかったのですが、発議者の一人として出席していた北側一雄
氏が何度か答弁する機会はあり、その内容と氏のちょっとしたふるまいがとても気になった場面がありました。
傍聴しなければ気づかないことでしたので、ご報告しておきたいと思います。
北側氏は、福島氏の集団的自衛権の解釈改憲についての質問に答えて、「(昭和47年に参議院に提出された政府見解は)
憲法13条の国民の生命、自由、幸福追求権、そして憲法前文にある平和的生存権。この2つを根拠にして、国民の生命、
自由、幸福追求に関する権利が根底から覆されるような急迫不正の事態になったときに、国が何もしないというわけには
いかないだろうと、当然そういう場合の自衛の措置はとれるんだと、こういう論理を展開している。
私は、この47年見解をさらに詳細に検討して、そことの論理的整合性をどう図っていくのかということが一番のポイント
だというふうに認識をしています」と述べた後、着席しながら、すぐ後ろに控えていた人物(衆議院の憲法審査会でよく
答弁していた法制局の担当者)に「これでいいんだよね」というふうに顔を向けました。
すると、その法制局の担当者は、「それでいいんです」と言わんばかりに何度もうなずいていました。
北側氏はニコニコして、すぐ近くに座っていた発議者の一人、中谷元氏(自民)ともうなずき合っていました。
公明党の動向が注目されている最中だったので、「ああ、この内容で手打ちをしたのか」と感じた場面でした。

福島氏の反対討論 次に、この日の審査会での発言の中から、今回の改定案の問題点を過不足なく
簡潔に指摘している福島みずほ氏の反対討論の内容をご紹介しておきたいと思います(福島みずほのどきどき日記より)

社民党を代表して、ただいま議題となりました憲法改正国民投票法改正案に対して反対の討論を行います。
今まさに、安倍内閣は集団的自衛権の行使に関わる憲法解釈を変更しようとしています。長年の国会論戦や国民的議論を
経て確立し、定着してきた政府の憲法解釈を一内閣の判断で変更するという言語道断の企てであります。
立憲主義の根本に関わるこのような憲法破壊の内閣の下で憲法改正国民投票制度の整備を進めるべきではないということ
まず申し上げます。
改めて言うまでもなく、憲法第99条は、天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員に憲法を尊重し
擁護する義務を課しています。私たちは、まず憲法を尊重し擁護しなくてはなりません。
その上で、もし時代の変化や社会の変化の中で不都合なことが生じているのであれば、慎重に慎重に国民の合意をつくり、
国民の判断を仰ぎます。そのための手続を定めるのが憲法改正国民投票法です。
そもそも、同法は2007年5月に第一次安倍内閣の下で自公両党が強引な国会運営の末に強行成立させたものです。
当時の安倍内閣が丁寧な合意形成の努力を怠った結果が、2011年10月に憲法審査会が選任され活動を開始するまで4年以上
を要するという異常な経過につながりました。
その内容も非常に問題の多いものでした。国民の自由な意見表明や国民投票運動が不当に制限されかねないこと、
有料の意見広告の規制が十分ではないことなど、多くの問題が指摘されています。また、投票年齢や公務員の投票運動の規制、
国民投票の対象の拡大など、法律の根幹に関わる問題を宿題として先送りした極めてずさんなものです。
今回の改正案は、これらの欠陥をそのままにし、いわゆる3つの宿題に対応した最低限の体裁を整えるものにほかなりません。
現行法が規定している選挙権年齢や成人年齢の引下げは棚上げにされたままで、投票権年齢だけを確定しています。
公務員による国民投票運動も更に広範囲に制限されかねず、新たに組織による国民投票運動への規制が検討条項に
盛り込まれています。国民投票の対象拡大についても、結論は先送りしたにすぎません。
また、特に参議院においては、憲法改正国民投票法制定時に18項目に及ぶ附帯決議が付きました。投票期日について
両院の議決が一致しない場合の調整、在外投票の権利保障、有料広告規制など、この附帯決議で約束したはずの検討
もほとんど行われておらず、また本改正案には全く反映しておりません。
今、国民の多数は解釈改憲も明文改憲も望んでいません。今回、このように欠陥だらけの改憲手続改正を拙速に進める
必要性は全くないのです。
本改正案は安倍内閣による明文改憲の条件づくりにすぎず、社民党は断固反対であることを申し上げて、反対の討論といたします。

解釈改憲の障害となりうる附帯決議
上記のように福島氏は国民投票制定時の18項目の附帯決議の内容が改正案に反映されていないことを非難していますが、
今回の改定案には何と20項目!の附帯決議が付されました。

既述のとおり白氏がこれを読み上げたのですが、滑舌のいい氏が早口で読んだにもかかわらず、読み終えるまで実に
6分以上を要したのです。
この附帯決議が、6月15日付の『朝日新聞』「天声人語」で次のように取り上げられていました。

目立たなくても注目するべきできごとがある。先日、憲法改正の手続きを定めた改正国民投票法が成立するにあたり、
参院憲法審査会が付帯決議をした。安倍政権への警鐘とも読めそうな内容だ▼憲法解釈はどうあるべきかについて決議
は述べる。いわく、解釈は政府が自由に変更できる性質のものではない。便宜的、意図的に変更すれば憲法規範そのもの
に対する国民の信頼が損なわれかねない、と▼これは政府が過去に繰り返してきた公式見解をそのまま引用した文言だ。
決議は、それを十分に踏まえよと政府に求めている。首相が解釈の変更で集団的自衛権を使えるようにしようとしている折である。
その邪魔にもなりうる決議に、自民党が賛成した事実は軽くない▼民主党の小西洋之参院議員が渋る自民党と交渉し、
可決に持ち込んだ。決議はまたいわく、解釈を変えようとするなら国会で十分審議せよ。この項目を根拠に小西氏は、
首相がもくろむ閣議決定の前に、まず国会で議論すべしと政府に迫っている▼決議に法的な拘束力はないが、
審査会としての意思表明は重い。憲法解釈は、憲法によって権力を縛るという立憲主義の原理に基づくべし、ともうたっている。
そこには、解釈変更に反対する陣営が政権と切り結ぶための足がかりが潜む▼9条に限らない。公明党と創価学会の関係に
対する政府見解を「政教一致」と認定し直す可能性に触れる発言が、政権周辺から飛び出した。どれもこれも解釈変更か。危なすぎる。

少し長くなりますが、「天声人語」で言及されている附帯決議の該当部分を引用しておきます。
私も、議場でこのくだりを聴いたとき、自民党がよくこんな文言を受け入れたものだなと思い、びっくりしました。

四、本法律の施行に当たり、政府にあっては、憲法を始めとする法令の解釈は、当該法令の規定の文言、趣旨等に即しつつ、
立案者の意図や立案の背景となる社会情勢等を考慮し、また、議論の積み重ねのあるものについては全体の整合性を保つこと
にも留意して論理的に確定されるべきものであり、政府による憲法の解釈は、このような考え方に基づき、それぞれ論理的
な追求の結果として示されたものであって、諸情勢の変化とそれから生ずる新たな要請を考慮すべきことは当然であるとしても、
なお、前記のような考え方を離れて政府が自由に当該解釈を変更することができるという性質のものではなく、仮に政府において、
憲法解釈を便宜的、意図的に変更するようなことをするとすれば、政府の解釈ひいては憲法規範そのものに対する国民の信頼
が損なわれかねず、このようなことを前提に検討を行った結果、従前の解釈を変更することが至当であるとの結論が得られた
場合には、これを変更することがおよそ許されないというものではないが、いずれにせよ、その当否については、個別的、
具体的に検討されるべきものであると政府自身も憲法の解釈の変更に関する審議で明らかにしているところであり、
それを十分に踏まえること。

五、本法律の施行に当たり、政府においては、前項に基づき、解釈に当たっては、立憲主義及び国民主権の原理に基づき、
憲法規範そのものに対する国民の信頼を保持し、かつ、日本国憲法を国の最高法規とする法秩序の維持のために、取り組むこと。

六、本法律の施行に当たっては、憲法の最高法規性及び国民代表機関たる国会の国権の最高機関としての地位に鑑み、
政府にあっては、憲法の解釈を変更しようとするときは、当該解釈の変更の案及び第四項における政府の憲法解釈の考え方に係る原則への適合性について、国会での審議を十分に踏まえること。

何回か前の報告で、5月21日の参院憲法審査会での審議の中で飛び出した「船田3原則」を紹介しましたが
(http://million.at.webry.info/201406/article_1.html)、このような発言や上掲の附帯決議が引き出されたことは、
憲法審査会での審議がまったくの無駄ではなかったことを示していると思います。

参議院本会議での可決、そして
13日(金)の本会議については傍聴したわけではなく、『参議院インターネット審議中継』
のアーカイブを視聴しただけですが、審議の経緯を簡単にご報告しておきたいと思います。

まず、小坂憲次氏(自民)が3分ほどの委員長報告を行い、続いて仁比聡平氏(共産)が約8分の反対討論、白眞勲氏(民主)
がほぼ10分、松田公太氏(みんな)がおよそ8分をかけて賛成討論に立った後、採決が行われました。
結果は224対16で可決、国民投票法の改定案が成立しました。参議院の共産党、社民党の議席数は11と3、あわせて14ですので、他に2名、おそらく無所属の糸数慶子氏、山本太郎氏あたりが反対票を投じたものと思われます。

『msn産経ニュース』によれば、この結果を受けて、「安倍晋三首相は官邸で記者団に『若い皆さんにしっかりと憲法のあり
方について議論してほしい。憲法改正について国民的な議論が深まることを期待したい』と話した」そうです。

また、「自民党の船田元憲法改正推進本部長は『2年ほどで1回目の(改憲を問う)国民投票ができるとありがたい』との見通しを示し」、「与野党が賛同しやすいテーマとして『環境権』や有事などの際に首相の権限を一時的に強める『緊急事態条項』の新設などを挙げた」
とのことです。

今、安倍政権は明文改憲ではなく、政府解釈の変更による集団的自衛権の行使容認への道を突っ走ろうとしています。
こんなことは絶対に認められません。当面の闘いに力を注ぐことはもちろん、これからもずっと続くであろう改憲派との攻防に
立ち向かうためには、私たちこそ「若い皆さんにしっかりと憲法のあり方について議論して」もらうよう努めて、
長期的な展望に基づき幅広く力強い連帯を作り出していくことが重要だと思います。ともにがんばりましょう。(G)
(以上引用)

※「集団的自衛権行使容認」に先駆けて、衆参両院で改正国民投票法が成立した。投票年齢を20才→18才に引き下げるものです。
 これは何を意味するのでしょうか。「徴兵制」を視野に入れたものとも考えられます。
 集団的自衛権行使により自衛隊員が海外の戦争に行くようになったら、自衛隊員の誰が行くのでしょうか?
  防衛大学卒業の一部エリート(これらはの多くは戦争を始めたくてしょうがない)を除いて多くの自衛隊員からも海外
での戦争に行くために入隊したわけではないとの声も上がり始めています。自衛隊法が改正され石破の言うように
  戦争に行かない人間は軍事法廷にかけられて死刑。こんな自衛隊に誰が入隊するのでしょうか。家族も反対するでしょう。
  その先は18才以上の「徴兵制」です。
  憲法18条は【奴隷的拘束及び苦役からの自由】をうたっています。
  何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。 又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。
  つまり、自衛隊員の数が不足して補充するために徴兵制を法制化することは本来できません。
  しかしこの政権のことです。おそらく憲法18条も解釈改憲してしまうでしょう。




参院憲法審国民投票改正案、11日採決(6/4傍聴記)

2014年06月10日 | 憲法審査会
参院憲法審査会は9日の幹事懇談会で、国民投票法が定める投票年齢を「20歳以上
」から4年後に「18歳以上」に引き下げる同法改正案を11日に採決することを決めました。
与党と民主党などの賛成多数で可決され、13日(金)の参院本会議で可決、成立する見通し
とのことです。


今回は「市民連絡会、高田健氏」と「止めよう戦争への道!百万人署名運動」の6/4の審査会の傍聴記を転記します。

「市民連絡会」ブログより転記。
来週月曜日、憲法審査会幹事懇が開催されます。
内容は、11日の憲法審査会開催についてです。
いよいよ、11日に採決となるか、その場合の附帯決議はどうするのか、ということが議論される予定です。
(以下はNHKニュースウェーブを引用)
参議院憲法審査会で、憲法改正の手続きを定めた国民投票法の改正案に関する参考人質疑が行われ、
公務員の運動の在り方や、国民投票の投票年齢と選挙権が得られる年齢の関係などについて意見が出されました。
この中で、自民党と公明党が推薦した九州産業大学准教授の大西斎氏は、公務員の運動の在り方について
「個人であれ組織であれ、公務員が必要以上に投票に影響を与えることは看過できず、政治的中立性の点から
一定の制約が必要だ」と述べ、さらに制限すべきだという考えを示しました。
民主党、共産党、社民党が推薦した弁護士の伊藤真氏は、改正案が国民投票の投票年齢を改正法の施行から
4年後に18歳以上に引き下げるとしていることに関連して、「今の14歳が国民投票に参加する可能性があり、
中学校や高校で国民主権や民主主義を理解させる憲法教育が必要だ」と述べました。
みんなの党が推薦した慶応大学教授の小林良彰氏は、「国民投票の投票年齢と選挙権が得られる年齢は一致させ
るべきだが、民法の成人年齢などは、おのおのの法律の立法趣旨に則して決められるべきだ」と述べ、成人年齢
などの引き下げは慎重に検討すべきだという考えを示しました。
民主党、共産党、社民党が推薦した名古屋大学大学院教授の愛敬浩二氏は、裁判官や警察官などは賛否を知人に
働きかける勧誘運動が禁止されていることについて、「裁判官などが見識と経験を踏まえて運動することは熟議の
ために必要不可欠だ」と述べ、見直しを求めました。

(止めよう戦争への道!百万人署名運動)ブログより転記
※このブログよりの転記は、今まで事務局長の「西川重則氏傍聴記」としていましたが、西川氏は
毎回欠かさず出席しているようですが、実際の傍聴記は一緒に傍聴している他の方が書かれているとの
ご指摘がありましたので、今回より「百万人署名運動」ブログより転記とさせいいただきます。
また過去掲載分もそのような認識といたします。

6月4日(水)13時から16時まで参議院憲法審査会が開かれ、改憲手続法(国民投票法)改定案について
2回目の参考人質疑が行われました。
これで2週連続して月曜日、水曜日の週2回開催となり、今国会会期中の成立に向けて着々とスケジュール
が消化されています。このブログでは憲法審査会の審議内容を「速報」としてお届けすべく心掛けている
のですが、開催頻度が高いため掲載が遅れがちになってしまい、申し訳ありません。
この日の委員の出欠は、参考人4人の意見聴取(1人15分ずつ)が行われた最初の1時間は35人以上が出席しており、
委員の質疑が始まると30人前後に減少しましたが、最後の1時間は再び35人以上に回復しました(定数は45名)。
記者は2~3人で少なく、傍聴者は15人程度、私たち百万人署名運動は4人で傍聴してきました。
参考人の意見表明

まず、『NHK NEWSWEB』において、参考人の意見がどのように報じられているのかを見ておきたいと思います。
※この内容は上記の「市民連絡会」でも取り上げていますので省略します。

公明党よ、どこへ行く
審査会の場では参考人がどの会派から推薦されたのかが紹介されるわけではありませんので、後で上掲のNHKの
記事を読んで驚きました。それは、公明党が自民党と一緒になって大西氏を推薦していたことが記されていたからです。
上記のように、大西氏は公務員の運動を「さらに制限すべきだ」と主張していましたし、参政権年齢についても
「20歳で成年とするというわが国の伝統文化が守られてしかるべきだ」「わが国が培ってきた20歳の参政権を簡単に
変更していいものだろうか」などと述べていました。
党の立場と参考人の意見が100パーセント一致する必要はないと思いますが、大きく食い違っているとすればやはり
問題ではないでしょうか。

さて、この日質疑に立ったのは、発言順に山下雄平氏(自民)、藤末健三氏(民主)、石川博崇氏(公明)、川田龍平氏
(維新・結い)、松沢成文氏(みんな)、福島みずほ氏(社民)、吉良よし子氏(共産)、浜田和幸氏(改革)の8氏で、
持ち時間は15分ずつでした。
各氏の質疑の中でいちばんびっくりしたのは、これも公明党がらみになりますが、石川氏の発言でした。氏は、
「国民の憲法に対する理解をどのように向上させていくのかという観点で、たとえば憲法の趣旨をよりわかりやすくする
ような改正ということもあり得るのではないか」と述べたうえで、その例として「憲法9条では戦争の放棄は強調されてい
るけれども、自衛権というものが明記されていない」ことを挙げたのです。
私の理解しているところでは、公明党の改憲に対する立場は環境権などの「加憲」論で、9条については「戦争放棄、
戦力不保持を定めた1、2項を堅持した上で自衛隊の存在や国際貢献などの役割を憲法上に位置付けるべきか否かも、
加憲の議論の対象としてもいい」(公明党のウェブサイトに掲載されている『公明新聞』5月4日付の記事「環境権など
新たな理念も 公明、各地で憲法記念日街頭演説会」から山口那津男代表の発言を引用)というものだったと思うのですが、
あの党はついに「自衛権」の明記まで容認しようとしているのでしょうか。

公務員の政治的行為をめぐって
さて、この日は公務員の政治的行為の規制のあり方をめぐっていろいろな発言がありましたので、それらの中から、
私が興味深く感じたものをご紹介したいと思います。
まずは伊藤真氏の意見表明の中での発言です。
公務員は仕事の場面では権力を行使する側にあるが、同時に国民という主権者であるという面があるわけで、そちらの方
がむしろ重要だ。だがら、主権者たる国民である公務員に、運動に参加し自由な意見を述べる機会を与えることはきわめ
て重要であり、当然のことだと考えている。
また、公務員は99条で憲法尊重擁護義務を課せられており、いちばんの利害関係人と言ってもいいかもしれない。
自分が憲法によってどういうことを命じられるのかについて自由に意見が述べられないことになれば、それは民主的では
ないと思う。たとえば自衛官に集団的自衛権を行使できるように憲法を改正するから海外に行って武力行使をしてきなさい
となれば、言葉はきついかもしれないが国民の名によって殺人を強要される仕事になるわけだから、当事者である自衛官が
それについての意見を述べる機会が封じられてしまうことはあってはならないだろう。
憲法尊重擁護義務を課されている側の公務員の意見を聞かずして、憲法の改正の議論は前に進まないと思っている。
多くの方が誤解しているが、政治的中立性というのは職務において公正中立であるということであり、公務員一人一人の
思想、信条が中立的であるなどということはあり得ない。
個人として投票運動をしたことが、その職務の中立性を観念的にではなく現実的に、実質的にどれだけ損ねるおそれがある
のかを考えると、あらかじめ様々な法的な規制をしておく必要は全くないと考えている。
今回、特定公務員については罰則付きで運動を禁止するということになっているが、裁判官であろうが警察官であろうが
公正中立な立場で職務を行うということさえきちっと守られるのであれば、その職務を離れて個人として投票運動に参加
することは何ら問題ないと思っている。
ドイツの裁判官などは自分の部屋に原発反対のポスターを掲げたり、ミサイル配備反対のデモ行進に参加したりしているが、
むしろ目の前の裁判官がどういう政治的な信条を持っているかを明らかにすることが裁判の公正さにつながるという考え方もある。
個人としてどういう信条を持っているのかが一般の国民に明らかにされることによって、その職務が公正中立に行われているか
どうかがより厳しい目で監視されることになるからだ。
     
そして同じく意見表明の中での愛敬浩二氏の発言。
そもそも公務員法上の政治的行為の禁止それ自体の合憲性が非常に疑わしいと考えている。
日本のように包括的、画一的な禁止は比較法的に珍しいと指摘されているし、日本の学説においても違憲説が有力だと思う。
そもそも違憲性が高いと考えられている事柄をベースにして国民投票運動のあり方を議論することは疑問だと思っている。
5月21日の本審査会における船田議員の発言を見ると、純粋な国民投票運動とそうでないものの切り分けについて、
現行法で禁止されているほかの政治的行為を伴っていれば今回の改正案でも許されない行為であるとの基準を示した上で、
たとえば特定の政党、特定の候補、あるいは内閣の支持、不支持といったものがそのような行為に該当すると述べられている。

しかし、この切り分け論は疑問である。4月22日の衆議院憲法審査会で田中隆参考人が指摘されているが、憲法改正の
賛否の勧誘や意見表明は前提となっている政治認識の表明を含まざるを得ないと考えるからだ。
特定公務員の国民投票運動の禁止をめぐって、裁判官についてイギリスの例を述べさせていただく。
イギリスでは、1998年人権法が制定された際に、上級裁判所の裁判官でありながら権利章典の制定やヨーロッパ人権憲章の
国内法化、あるいは国会主権原理の法的制約という憲法の根本原理に関わる事柄に関して積極的に論文や講演で訴えた方々
がいた。
高い見識と実務経験に裏打ちされた彼らの見解に賛否はいろいろあったものの、いずれも学者の間でシリアスに受け止められ、
人権法の制定に向けて一定の理論的効果があったものと私は評価している。裁判官や検察官がその見識と経験を踏まえて
国民投票運動に参加することは、憲法改正国民投票におけるより良い熟議のために必要不可欠ではないかと考えている。      

いずれも説得力のあるしごく真っ当な見解だと思うのですが、残念ながら今回の国民投票法改定案の内容は下記のとおり
となっています(正確を期すために、衆議院憲法審査会のホームページ所載の資料をコピペします)。
(1) 純粋な勧誘行為及び意見表明についての国家公務員法等の特例並びに組織的勧誘運動の企画等に係る検討条項
① 公務員が行う国民投票運動については、賛成・反対の投票等の勧誘行為及び憲法改正に関する意見表明としてされる
ものに限り、行うことができる。ただし、当該勧誘行為が公務員に係る他の法令により禁止されている他の政治的行為
を伴う場合は、この限りでない。
② 組織により行われる勧誘運動、署名運動及び示威運動の公務員による企画、主宰及び指導並びにこれらに類する行為
に対する規制の在り方については、「改正法施行後速やかに、公務員の政治的中立性及び公務の公正性を確保する等の観点
から、必要な法制上の措置を講ずるものとする」旨の検討条項を、改正法附則に設ける。
(2) 特定公務員の国民投票運動の禁止
裁判官、検察官、公安委員会の委員及び警察官は、在職中、国民投票運動をすることができないものとする。
その違反に対し、罰則(6 月以下の禁錮又は 30 万円以下の罰金)を設ける。
さらに念の入ったことに、改定案の提出に当たって自民、公明、民主、維新、みんな、結い、生活の提出会派7党に新党改革
を加えた 8 党の間で交わされた『確認書』では、「合意に至った」項目の中に下記の3点が掲げられています。
(同じく衆院審査会のウェブサイトからコピペ)。
2 公務員等及び教育者の地位利用による国民投票運動の禁止規定の違反に対し罰則を設けることの是非については、
今後の検討課題とする。
3 地方公務員の政治的行為について国家公務員と同様の規制とすることについては、各党の担当部局に引き継ぐこととする。
4 改正法施行に当たり、国民投票運動を行う公務員に萎縮的効果を与えることとならないよう、政府に対して、配慮を行う
ことを求める。
現行法の附則第11条で「国は、この法律が施行されるまでの間に、公務員が国民投票に際して行う憲法改正に関する賛否の
勧誘その他意見の表明が制限されることとならないよう、公務員の政治的行為の制限について定める国家公務員法、地方公務
員法その他の法令の規定について検討を加え、必要な法制上の措置を講ずるものとする」とされていることと比較して、
ベクトルが逆方向になっていることは明らかではないでしょうか。
『確認書』4項目目の「政府に対して、配慮を行うことを求める」という文言など、開いた口がふさがりません。
政府に配慮を求める前に、国会議員なんだから自分たちが必要なことを決めろよ!と言いたいです。国権の最高機関である
国会の会派がうち揃って(厳密に言えば共産、社民は蚊帳の外に置かれていますが)こんなことを書くなんて、情けないと
思わないのでしょうか。
参議院の傍聴規則では、傍聴人は「議場における言論に対して賛否を表明し、又は拍手をしないこと」「静粛を旨とし、
議事の妨害になるような行為を、しないこと」とされていますが、しばしばヤジを飛ばしたい気持ちになります。
今回は少し感情的な表現で終わることになってしまいましたが、ご容赦ください。(G)
(以上引用)
※改憲側のトンでも意見ばかりで、ろくな議論もないまま、11日(水)には採決可決、13日(金)本会議可決とのことです。
議論の中で公明党の譲歩を見ていると「集団的自衛権」の中での公明党の危うさが透けて見える感じです。
筆者の(G)氏でなくともこのような議論に野次を飛ばしたくなるのは当然です。


(6月9日官邸前で「集団的自衛権容認閣議決定」へ突っ走る安倍政権に対して抗議する人々・・レイバーネットより)