東京都知事選は脱原発票が2つに分かれ、自公組織票の舛添の一人勝ちとなりました。
脱原発派はそれぞれの候補を応援し合計で193万超の票取り、舛添に17万票と迫っていました。
フクシマを忘れるなという思いで頑張ってきた人々にとっては遺恨を残すこともあるかも知れず、
安倍政権に対するせっかくのチャンスを逃してしましました。「達成感がある」、「大健闘」等と
いうのは論外ですがしかしここは前向きにとらえていくべきかもしれません。
細川氏を応援した鎌田慧氏、宇都宮氏を応援した雨宮処凛氏のコメントがありますので紹介します。
(鎌田慧氏コメント)
東京都知事選は結局、自民と公明の与党が支援した舛添要一氏が逃げ切ったかたちで当選を果たした。
「原発ゼロ」を最大公約に掲げ、自民党の原発推進政権に歯止めをかけようとした細川護熙氏は敗れた。
細川氏は起ち上がりの遅さを最後まで挽回(ばんかい)できなかった。
街頭演説では、「原発ゼロで日本を再生しよう」と訴え続けた小泉純一郎氏と細川氏との元首相コンビが、
圧倒的な人気をみせていた。どこでも千人を超す人垣ができた。
それが票となって表れるなら、細川氏が舛添氏に圧勝していたはずだ。が、東京の地下深くに延びている、
保守的な岩盤、自公の組織票を崩すことができなかった。
今回の都知事選は、自公が舛添氏を支援し、共産、社民が宇都宮健児氏を推薦、細川氏は民主などが支援
という三派鼎立(ていりつ)の構図だったが、民主を支えている連合東京は舛添氏を支援した。東電労組や
電機メーカーなど原発関連産業の労組は、原発とその再稼働に賛成だから、労使一体となって、脱原発の「細川不支持」だった。
都知事選は、米軍基地建設反対を掲げて当選した沖縄の名護市長選挙、同じ日にやはり自民の国会議員に
支援された候補が敗北した福島県南相馬市長選挙に続いて、安倍政権のきわめて右派的な重要政策
(原発推進、秘密保護法実施、集団的自衛権容認)にストップをかける、重要な選挙だった。
細川氏と小泉氏は原発ゼロの経済効果を説くばかりではなく、政治の流れを変える、とも語った。
保守派からの「安倍右傾化」批判でもあった。自民党から除名された舛添氏を、安倍首相が担いで選挙を戦ったのは、
ほかに勝てそうな候補がいなかったからだ。
舛添氏の公約は「東京世界一」「史上最高のオリンピック」というものだった。日本の将来よりも当面の利益を保証する、
という公約が、原発依存と建設ブームに期待する大企業や、不況と失業に打ちひしがれている中小業者や若者たちの期待感
を引きつけたのは事実だった。
選挙戦がはじまったとき、細川選挙事務所にいってみると、運動員はいない、ビラはない。街宣車のマイクが小さい。
指揮系統がはっきりしない。集まってきたボランティアは、仕事がなく、すごすご帰るありさまだった。「地上戦なしの空中戦」
が、選挙責任者の方針だった、という。
態勢を組み直されたのは、当初の運動責任者が一掃されてからである。そのときは、もうすでに一週間がすぎていた。
つまり、「舛添が勝った」というより、細川選対の準備不足の敗北だった。
せっかく、二人の元首相が、「原発を認めたのは無知だった。間違いだった」と公衆の面前で重大な告白をしても、
宇都宮氏を推す共産、社民の陣営はかつての小泉政治を批判して聞く耳をもたず、共倒れとなった。日本の政治の未成熟さだった。
原発が再稼働に向かおうとする前夜に、原発の危険性を叫び続けた細川氏の功績は大きい。経済もオリンピックも、
もう一度原発の事故が起きればゼロである。
「原発ゼロでオリンピックを迎えよう」は、いまも有効な警世の叫びである。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5f/90/4a623acd76206c67ffa3574100fb62b0.jpg)
(雨宮処凛氏コメント)
トーキョー・ノーサイド宣言!!の巻
怒濤の都知事選が終わった。結果はご存知の通り。舛添都知事が誕生してしまった。
反貧困、脱原発を掲げた宇都宮さんを応援してきた身としては、あまりにも残念な結果だ。
同じく脱原発を掲げる細川氏を応援してきた人たちにとっても、忸怩たる思いが残る結果だろう。
そしてもっとも心配なのは、この選挙結果を受けて、「脱原発候補の一本化が実現しなかったからだ」
「実現しなかったのは○○さんが悪いのだ」「いや○○さんのせいだ」といった「犯人探し」や、
自分とは違う選択をした人たちへの批判が始まることだ。
もちろん、反省し、総括しなければならない点は山ほどあるはずだ。 しかし、この結果が脱原発運動や平和を目指す運動、
そして反貧困運動などに禍根を残すようなことになるのだけは避けたい。
そんな思いから、都知事選投開票日の夜、「トーキョー・ノーサイド宣言」をブチ上げた。
呼びかけ人は香山リカさん、池田香代子さん、そして私。
以下、呼びかけ文である。
みんなで「ノーサイド」を――都知事選を終えて
トーキョー・ノーサイド! 宣言
ラグビーでは、試合終了の合図を「ノーサイド」と呼びます。
試合中は敵と味方として激しく戦い合ったプレーヤーも、試合が終わればお互いの健闘をたたえ合い、
同じラグビーを愛する仲間どうしとして友情で結ばれる。これが「ノーサイド」の精神です。
今回の都知事選では、「脱原発」を強く訴えるふたりの候補者、宇都宮けんじ氏、細川護煕氏が立候補し、
この問題が大きな争点となって有権者や全国の人々、マスメディアの大きな関心が集まりました。両候補への
支持を表明した人たちは、それぞれの立場で一生懸命、投票を呼びかけ、「脱原発」を訴えました。
私たちは、その方たちすべてに深く敬意を表します。
そして、激しい選挙戦は終わり、健闘むなしく両候補とも当選には及びませんでした。とても残念なことに思います。
しかし、この選挙戦を通して両候補が訴えてきた「脱原発」「平和の発信」「環境重視」「安倍政権暴走へのストップ」
などへの取り組みまでが、これで終わったわけではありません。
今回の選挙で私たちは、東京、いえ全国に、脱原発を願い、協調と平和を愛し、どんな人にとってもやさしい社会を目指したい、
と願う人たちが大勢いることを知りました。万が一、今回の選挙でその大きな力が削がれるようなことがあれば、
それは選挙結果以上の痛手となりかねません。
ラグビーの試合終了の合図は、「ノーサイド」。
私たちもそれぞれが「ノーサイド!」と宣言し、自分をたたえ、仲間をたたえ、相手やその仲間をたたえて再び手を取り合い、
前を向いていっしょに歩んで行きましょう。
2014年2月都知事選を終えて
トーキョー・ノーサイド!実行委員会
雨宮処凛
池田香代子
香山リカ