習志野湾岸9条の会

STOP戦争への道 9条を変えるな

4.22衆院憲法審査会(自民党招致のとんでもない参考人)

2014年04月28日 | 憲法審査会
毎回欠かさず傍聴されている方の傍聴記を引き続き転載します

西川重則氏(平和遺族会全国連絡会代表、止めよう戦争への道!百万人署名運動事務局長)傍聴記より


異例の開催スケジュール
4月22日(火)朝9時から衆議院憲法審査会が開催され、参考人質疑が行われました。国会の本会議、委員会等は、予算委員会等以外は
決められた曜日(「定例日」と呼ばれます)に開かれるのが通例で、衆院憲法審査会の定例日は木曜日ですから、この日の開催は異例
のことだったと言えます。
慎重審議を求める声に配慮していますよという姿勢を示しながら、今国会中に確実にこの法案を成立させるため、このような強行日程となったのでしょう。
その証拠に、2日後の24日(木)にも審査会がセットされていて、定例日ではありますが、午前だけでなく午後にも審議が行われるという、
これまでにないスケジュールとなっています。
案の定と言うべきか、この日の委員の出席率はきわめて低く、最初は35人ほどが席に着いていましたが、時間が進むにしたがって欠席者が増え、
11時頃からは25人を割り込む=定足数(定員50人の半数)に満たない=時間帯もありました。とくにひどかったのは自民党(50人中31人を占めています)で、
開会時に20人ほどだった出席者は最後には10人そこそこになっていました。このことについて、笠井亮氏(共産)が「せっかくお越しいただいている
参考人の方々に対する礼を欠くので、会長は各委員の出席が確保できる日程でやっていただきたい」と苦言を呈しましたが、保利茂会長(自民)は
「ご意見として承る」と答えただけで、けんもほろろの態度でした。
傍聴者は前回より増えて30人ほどで、いつもより若い人が目立ちましたが、この日の参考人・高橋亮平氏の大学かNPO法人の関係者だったようです。
これとは別に30人ほどの高齢の一団が入ってきてほどなく立ち去っていくということもありましたが、どこかの議員の後援会の国会見学だったのかもしれません。
私たち百万人署名運動は4人で傍聴してきました。
参考人の主張
この日の審議は、4人の参考人が15分ずつ意見を述べ、8会派各1人の委員が15分ずつ質疑を行うという形で進められました。
各氏の意見のポイントを、ウェブ上の記事から引用しておきます。
【高橋亮平氏 特定非営利活動法人Rights代表理事、中央大学商学部特任准教授】
「国民投票の投票年齢と選挙権が得られる年齢を速やかに18歳以上に引き下げ、それが実現した後に、民法の成人年齢も引き下げるべきだ。」
(『NHK NEWSWEB』)
(改定案の選挙権年齢規定について)「(引き下げの)期限がなくなった。投票権年齢とのリンクも切られてしまった。実現に危惧をもっている。」
(『しんぶん』赤旗)
【斎木洋平氏 一般社団法人リビジョン代表理事、ティーンズライツムーブメント発起人】
「憲法に対し、若い世代も含めて国民的な議論を深めるため、国民投票の投票年齢に加えて選挙権が得られる年齢の18歳以上への引き下げも実現させてほしい。」
(『NHK NEWSWEB』)
【百地章氏 日本大学法学部教授】
(公務員が賛否を知人に働きかける勧誘運動について)「憲法改正は高度な政治性を有しており、ほかの法律で厳格に政治的行為が制限されている公務員を自由に
参加させるのは矛盾している。組織的な運動は規制すべきだ。」(『NHK NEWSWEB』)
【田中隆氏 弁護士、元自由法曹団幹事長】 (国民投票法の改正案について)「憲法9条の改憲に向けたレールを敷き直して
加速させようとするもので、このまま進めば政治の道具にされる。国民投票を求める国民の声は上がっていない。」(『NHK NEWSWEB』)
「3年の議論をかけた(手続き法成立時の)到達点を(改定案は)大幅に後退させ、後送りさせるものだ。」「公正中立であるべき改憲手続きをいっそう
政局・政治の道具におとしめることになる。」
(改定案では公務員の国民投票運動が規制強化されていることについて)「公務員の政治活動や選挙活動を規制・禁止してきた後進性を脱却すべきだ。」
「もともと憲法は権力を縛るものだ。縛られている政権党の側が憲法を変えるために、手続き法の整備を提起すること自体が不幸だ。手続き法の整備が
必要だとしたら国民が求めるときだ。」
(現行法審議の際、日弁連や公務員労組などが意見を述べていたことについて)「改めて当時の関係者から意見を聞くべきだ。」(『しんぶん』赤旗)
なお、『NHK NEWSWEB』によれば、高橋氏は民主党の推薦、斎木氏は日本維新の会、みんなの党、結いの党の推薦、百地氏は自民党の推薦、
田中氏は共産党の推薦だったそうです。
「憲法学者」の驚くべき発言
18歳選挙権の早期実現を強く訴えた高橋亮平氏、斎木陽平氏は若く、とくに斎木氏は22歳の大学院生だそうです。
田中隆氏も18歳選挙権に肯定的な意見を表明していましたが、百地章氏だけは、国民投票法の制定時に、もともと自民党の原案で20歳だった投票権年齢の
規定が妥協の産物として18歳に「なってしまった」経緯に「いかがわしいものを感じている」とまで述べて(その後すぐ「いかがわしい」という表現は
カットしてほしいと発言していたので、正式の会議録では訂正されるかもしれません)、消極的な立場を示しました。
百地氏は憲法学者で、産経新聞のオピニオン欄『正論』の執筆者であり、同紙が昨年4月に発表した『国民の憲法』要綱の起草委員を
務めた人物です。
このレポートを書くにあたってインターネットで百地氏の名前を検索してみたところ、昨年の12月25日(安倍首相の靖国神社参拝の前日)に、
「首相は英霊の加護信じて参拝を」という文章を『正論』で発表していたことがわかりました。

この日、驚かされた氏の発言をもうひとつ挙げておきましょう。
「憲法教育とか政治教育の問題は大切だと思うし、していく必要があると思う」が、「現在のような教科書をもとにそれを子どもたちに教えることについては、
きわめて危険だと思うし、少なくとも中立性に反すると思う。」
公務員の国民投票運動を否定し、18歳選挙権の実現にも難色を示すこのような人物を参考人として推薦したのですから、自民党の立場も「推して知るべし」
ということでしょうか。

ともあれ、この日の審査会は12時過ぎに散会となりました。(G)

※百地章
静岡県周智郡森町出身。学生時代は民族派の運動に参加し(党派未詳)、1969年に京都商工会議所大ホールで開催された全日本学生文化会議の第1回全国大会
「日本の文化と伝統を護る学生の集い」では大会実行委員長を務めるなどした。
左翼的な風潮の強い憲法学界においては珍しく、保守的な学説を展開している。特に靖国神社問題や在日外国人の参政権問題、創価学会の政治活動・選挙活動の
当否について日本の国益を重視する説を唱える。保守系政治組織日本会議の政策委員も務める。
皇位継承問題に関しては、男系すなわち万世一系の皇統護持を主張し、女系天皇推進派や女性宮家創設の動きを批判している[1]。
国旗国歌問題では教職員組合の反対を“妨害活動”と批判している[2]。
憲法改正論議においては改憲の立場をとっている。民社協会系の「創憲会議」が2005年2月14日に発表した「創憲」を考えるための提言書の内容は百地を始め
加藤秀治郎、西修らの原案を元にしている。

良くこのような人物を出してくるものです。自民党の目指している憲法改正とは戦前どころかそれ以前の封建制度か鎖国でしょうか。
完全に国民はなめられています。