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チャイナ・ゴシップス お人好しにもほどがある中国大使襲撃事件の日本の対応 これは本気で怒るべきことだ

2012-09-15 09:05:13 | 意見発表

中国新聞趣聞~チャイナ・ゴシップス お人好しにもほどがある中国大使襲撃事件の日本の対応 外交官襲撃、国旗強奪は本気で怒るべきことだ

日経ビジネスオンライン2012年9月6日(木)07:00

 ずいぶん昔、北朝鮮の核問題をめぐる六カ国協議が北京で行われていたころ、中国のネットで流布した笑い話がある。

 六カ国協議中、日本代表がトイレに席を立った時、みんなが我慢強い日本をどうしたら怒らせることができるか、という話で盛り上がった。

北朝鮮代表「国民が拉致されても怒らない国だからな」
韓国代表「独島(竹島)を不法占拠されてもにこにこしているし」
ロシア代表「北方領土とられても平気みたいだ」
中国代表「反日デモで大使館に石投げても日中友好って言っているよ」
北朝鮮代表「さすがに核ミサイルを撃ち込みゃ怒るだろう」
するとアメリカ代表がいった。「ダメダメ、それは俺がもうやってみたから」

 いろんなバージョンがあって細かい文言は忘れてしまったが、とにかく日本がお人よしである、ということを揶揄する内容だった。この笑い話を改めて思い出してしまうのが今の日本の状況だろう。

 韓国大統領が天皇陛下に暴言を吐いても、香港の活動家が尖閣諸島に不法上陸しても、言ったか言わなかった気付かれない程度の抗議の声をあげるぐらいで、日本政府がまず考えるのは大局に立つ日韓、日中関係の安定である。野田佳彦首相が、現状を改善させようと親書を届けても送り返されたり保留されたりする。なるほど日本はいくらコケにされても怒らないのだ、と思われてもしかたがない。中国、韓国の子供じみた挑発に乗る必要はない、あのレベルに堕ちたら国家としての品位が損なわれる、日本は大人の国だから、という意見もあるだろう。だが、さすがに北京の公道で、日本の全権大使の公用車が襲撃され日の丸を奪われた事件については、薄笑いでやり過ごすわけにはいかない。

 4日の新華社によると、BMWに乗車していた23歳と25歳の男性が治安管理処罰法に基づき、行政拘留されているという。アウディを運転していた男も警察から警告を受けた。これで一見落着、日中双方とも水に流してしまうのだろうか。しかし襲撃者が何者であれ、幸い大使にけがなかったととはいえ、これは一種の国家要人テロ事件と言っていい。そう簡単に忘れてもらっては困る。今回は、この大使公用車襲撃について考えてみたい。

社会科学院幹部の発言を外交部が否定

 事件は27日午後4時(現地時間)に発生した。北京市の四環路を走っていた丹羽宇一郎・駐中国大使の乗った公用車が安徽省ナンバーの白のBMWと北京ナンバーの銀色のアウディに幅寄せなどで走行を妨害され、強引に停止させられた。うちBMWの助手席に座っていた男が降りてきて、奇声を上げながら大使公用車のフロントについている日の丸を奪い、そのまま走り去った。最初にクラクションを鳴らして公用車を煽り始めたのはBMWで、途中からアウディが加わったという。煽りや幅寄せ運転は約30分続いたそうだからずいぶん執拗だ。大使公用車に同乗していた公使は携帯電話のカメラで襲撃した車のナンバーや旗を奪った男の写真を撮影し、事件後すぐ公安当局に提供し捜査を要請した。

中国の公道は無数の監視カメラがある上、ナンバーも国旗を奪った男の顔も日本側が写真を撮っているのだから、優秀な北京公安当局なら即日に犯人を割り出すことができるはずだ。2台の車は共謀しておらず、計画性もないという。新華社によると、日の丸を見てかっとなってやった衝動的犯行として治安管理処罰法を適用した。

 しかし、この事件、どうも引っかかる。

 最初に引っかかるのは、29日に行われた日中国交40周年記念シンポジムの場で社会科学院幹部がはっきりと大使公用車を襲撃した車は「偽ナンバープレートを使用していた」と言ったにもかかわらず、外交部(外務省)報道官がそれを否定した点だ。社会科学院は中国政府のシンクタンクであり公安の捜査状況を知るはずはないと外交部報道官は言うが、ではなぜ、社会科学院幹部は知りえるはずのない情報を日本メディアに向かって発信したのか。うっかり嘘を言いました、と?真偽とは関係なく、そういう世論誘導をする必要ありという考えがその時点で政府内にあったということではないかと疑ってしまう。

 参考までに言っておくと、偽ナンバープレートというのは、中国では比較的簡単に手に入る。一昔前は、昵懇のハイヤー会社に「特別車両ナンバーで頼む」と言えば、信号無視や違法駐車が可能な公安や軍関連のナンバープレートの車を派遣してくれた。コネがあるハイヤー会社は公安関係者や軍関係者から特別車両のナンバープレートを入手していた。ちなみにハイヤー運転手には兵役経験者や公安出身者が多いのも常識だ。彼らは断トツに運転技術が高い。

日本側が事実を公表しないのもおかしい

 次にひっかかるのが、大使館側が事件直後に大使会見も開かず、国内外メディアにきちんと事件の詳細を発信していない。報道で五月雨式に出てくる情報はいずれも記者が匿名関係者から聞きこみ取材した内容で、初期段階で情報が錯綜している。それは単に、日本側も事を大きくしたくないからだけなのか。あるいは何か犯人に心あたりでもあるのか。あるいは単なる秘密主義?

 少なくとも日本メディアに犯人の容貌ぐらい説明してもいいはずだ。国旗を奪った男性が角刈りのマッチョ男なのか、金鎖に金時計の腹の出たアンチャンなのか、長髪のチャラ男なのか。見た目で人を判断してはいけないが、そういう外見情報も知りたいところである。

そもそも、これだけの証拠がそろっていたならば、容疑者を拘束し事情聴取して、人定、動機を公表するまでにそんなに時間がかかろうはずがない。それをしないのは、事実をストレートに公表できない理由があると考えるのが普通である。中国が愛国無罪の英雄支持世論を刺激したくないということと、犯人を特定して公表することは、直接は関係ない。関係あるのは、愛国無罪の主張の方を容認するか、ウィーン条約違反に対する厳正なる処分を行うかという中国政府の姿勢である。

権力者のドラ息子の犯行か

 私は事件発生当日に、犯人がどういう人間だと思われるか、と某テレビ局から問われたので、少し考えてみた。今の段階では情報が少なすぎて本当のところは分からない、という前提で、高級車を乗り回し、しかも大使公用車にちょっかいを出してもさほど罪に問われることはない、多少の罰金など屁でもないとタカをくくれるほど権力背景がある金持ちのドラ息子説を立ててみた。一応、北京の情報通によれば、事件直後から中国政府内で「純粋に偶発事件」との見解が通っていた。

 ちょうどそのころ、第18回党大会を前に、党中央軍事委員会人事で胡錦濤氏が完全引退する代わりに李克強氏を副主席に押し込むかの駆け引きが佳境にきていると聞いていたので、ひょっとすると軍部のはねっかえりが、胡錦濤政権に尖閣問題への明確な姿勢を引き出すために仕組んだ挑発ではないか、という疑いも持っていたのだが、あくまで「偶発事件」というならば、交通事故くらいならもみ消せるレベルの権力背景を持つ、たとえば軍や公安官僚、党幹部の子弟の方が可能性があるだろう。

 もちろん、普通の金持ちビジネスマンというセンもあるが、しかしナンバープレートに「使」の文字が書いてある日の丸を掲げたレクサスを幅寄せ運転で停止させる度胸が実利優先の普通のビジネスマンにあるか。反日デモで大衆心理に煽られてどさくさにまぎれて大使館や公用車に投石するのとわけがちがう。

 中国側の裏事情や犯人当てクイズはそれなりに興味深いのだが、もっと重要なことがある。日本政府の姿勢である。犯人が金持ちのドラ息子だろうが軍や公安関係者の子弟であろうが、どういう中国側の国内事情があろうが、これは外交官襲撃事件であり、外交官保護を定めたウィーン条約違反である。時代が時代なら戦争のきっかけにも成りうる大事件だという認識が残念ながら日本側にもない。大使にけがもなく国旗を奪われただけ、と思うかもしれないが、国旗を奪われるということがどれほどの屈辱であるか。

よく引き合いに出される長崎国旗事件(1958年の右翼による中国切手切り紙展覧会の装飾に使われた五星紅旗棄損事件、犯人は器物破損の書類送検で罰金500円)では、中国は日本への制裁として2年にわたる通商断絶を行った。中国国内では五星紅旗を辱める行為は懲役3年以下の刑事罰だ。同じような事件が日本で中国大使の公用車に対して行われたらどういう状況になったか想像してみればよい。外交官を襲い、小さくとも本物の国旗を侮辱するという行為は日本全体を侮辱する行為であり、中国がきちんと処罰できないとしたら、それは中国政府が日本はいくら侮辱してもよい、と公言しているようなものだと思うが、違うだろうか

 おそらく日本側は、中国とことを荒立てないことが、秋に本番を迎える日中国交正常化40周年行事への悪影響を防ぎ、在中国日本企業や邦人の安全を守ることにつながると考えているのだろう。しかしそれは勘違いだと思う。国家としての尊厳を守れないような国の企業や人間の安全が、中国や中国人に重視されると思うのか

踏み越えてはならない一線を中国は踏み越えた

 中国人とビジネスをしたことがある人なら分かるだろう。彼らはこちらが引けば押してくる。弱みを見せれば攻めてくる。相手が反撃をしないと思えばいくらでも舐めた態度でくる。だが、こちらが実力を備えていたり、あるいは覚悟をもって強く出たりすれば、力が拮抗するところで留まる。それが中国でいうところの交渉力なのだ

 報道によれば事件後、丹羽大使は北京で開催された日中国交正常化40周年記念イベント「スーパー盆踊り」に中国市民と一緒に参加して、「難しいことは忘れて日本と中国が仲良くやれてよかった」とコメントしたそうだ。侮辱されてもニコニコ笑って「難しいことを忘れる」日本に対し、中国や中国人民が「さすが日本は大人な対応」「大使、いい人!」と表面上感心して見せても、本音では「ここまでやっても怒らないんだ」と思っているはずだ。

 衝突を避けても、衝突の方が追いかけてくるのがこの国なのだ。きちんと衝突して、この一線を踏み越えてきたらお人よし国家・日本も本気で怒り少々やっかいなのだ、と相手に思い知らせることが実は本当のリスク回避になる。

 もし外交官襲撃、国旗強奪が、踏み越えてはならないその一線ではないというなら、日本にとって何が一線だというのだろう。こんな調子では、本当に冒頭の笑い話のように「核ミサイルをぶち込む」くらいの挑発が必要なのか、と思われてしまう日が来るかもしれない。


1.中国人に対しては本気で喧嘩しないと友人にはなれないと言われているのです。バカにされて文句を言わなかったら更にバカにされるだけです。

2、日本人は敵、中国を知っていない。


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