VIVIEN住生活総研

住生活ジャーナリストVivienこと藤井繁子が、公私を交えて住まいや暮らしの情報をお届けします!

長寿命住宅と消費税、シンポジウム

2007年10月23日 | 住宅業界
住宅生産団体連合会主催の住生活月間(10月)の記念シンポジウム《住宅の長寿命化と消費税》が
水道橋の住宅金融支援機構「すまい・るホール]で行われ、私もパネルディスカッションのパネラーとして登壇した。

住団連の浅野専務理事のご挨拶後、まず東京大学生産技術研究所の野城教授が基調講演
   
「住宅の長寿命化による資産価値向上のために」というテーマで、
200年住宅ビジョン(自民党)のいきさつなど、何故住宅の長寿化か?ということからお話しされた。

教授曰わく‘貧困トラップ’にはまっている日本人の住宅事情。その根源は、ローンは残っても資産価値は残らない日本の住宅。
それを解決するための一つの対策が、200年住宅ビジョンであり長寿命住宅であると。

それを解決する手立ての一つが、既存ストックを活用して「5割のコストで7割の満足の実現」を提供し
既存住宅に継続投資する事で資産価値を維持する対策案が提示された。
  
スケルトンインフィルの取り組み事例や、電子家歴書[スマイル・プロジェクト]
住宅履歴情報整備検討委員会(財団法人ベターリビング)の進捗が紹介された。
 
こぼれ話では、‘家歴書’の提唱を05年にはしていたのに、07年他者に商標登録されてしまって使えない事情も。

実際の履歴としては、設計図が現場変更で現況と違って信頼できないとか。確かに・・・配線・配管は図面アテニなりません。
その点は現場での施工写真(携帯電話撮影とか)が重要になるというお話も。
先日の積水ハウスの自然観察システムもそうであるが、日本の携帯電話は多様なシーンで活用できるツールだ。
後半のパネルディスカッションでは、
住団連の長寿命住宅検討会から東急ホームの関氏、全米リアルター協会の三澤氏、
住宅税制に精通しているニッセイ基礎研究所の篠原氏と私の4人がパネラーとしてプレゼン後
野城教授の司会でディスカッションを行った。
 (控え室にて)
私は生活者を代弁する立場で、調査結果を用いながら住宅の[長寿命・耐久性]や住まいに対する価値観などを紹介した。

社会的、環境的に住宅が長寿命であるべきなのは理解できても
いざ住宅建築・購入の際、コスト高になってまでこだわりたい項目にはなっていないので(断熱性や耐震性と比べ)
強制的な制度か優遇税制などが必要。200年住宅絡みの法案がこれから出てくるということであるが
ビジョンどおり、住まい手が豊かな住生活を感じられる制度になる事を期待する。

また消費税の在り方では、諸外国との違いや米国の住宅投資政策が紹介され(サブプライムローン問題で少々説得力に欠けるものの…)
住宅の長寿命化によって税負担を、所得時(消費税)から保有時課税へ検討すべきというのが住団連の提案。

私の方からは、消費税問題で購入者が駆込んだり右往左往させられる事の無いよう業界としてのケアをお願いした。
(前回96年の駆け込み需要後に打撃を受けたのは業界の方であったが)

これから政府の消費税論議が高まるなか、住宅への対応が注目される。