実家に帰った彼は飲み放題、食べ放題、肥え放題。
まぁ…日ごろ抑圧的な生活を強いられているわけだから
実家に帰ったときくらいは…と大目に見ていた。
しかし、年が明け元旦である。
お雑煮も食べずに朝から自分の家に帰ると言い出した。
ここ数年、お正月にはお義父さん、お義母さんと共に
初詣がてらお払いをしてもらっている。
病気治癒に家内安全、加えて彼は今年はまだ後厄がある。
それもぶっちぎって帰ると言い張る彼に、
「何?誰かと約束でもあるの?」と聞くとなんてことはない
お正月に家に呼んで会うのは今日だと言う。
「私、2日って聞いてたけどぉ?」と食って掛かると
「うん、そう言ったかな。でも今日なんだ。」と平然と言い放つ。
そもそも会うというメンバーは私が聞いているのが正しいとすれば
独身女性1名。既婚女性(子供なし)1名。バツ1子供アリ男性1名。
まぁ…独身女性のお姉さんが正月の1日からどこで遊んで何処に泊まろうが
いいとして、バツ1子供あり男性が日中出かけて夜家にかえるのもいいとして
既婚女性が旦那ほっぽり出して他人の家にお泊りで遊びに行くってどうなん?
常識なくねぇ?って…まぁ夫婦の問題なんでしょうけどぉ…。
私も数度会った事のあるこの既婚女性。確かにかなり変わっている人では
あるものの…結婚しても同じなんだぁ…。
ここは好きにすればいい発言はなし。
彼の好きなお雑煮を作り、お払いのために封筒を用意するなど
色々準備してくれたお義母さんを思えば許すわけにはいかない。
「そうやって今年も自分勝手に、自分の好きなように、人の事を
まったく考えないでやっていくつもり?
こうやって色々用意してくれているのを有り難いとも思わず
無視するって有り得ないでしょ。
自分も親なら○○(娘)にそうされたら寂しいでしょ。
日ごろどれだけお世話になっているかわからないんだから
帰ったときくらいちゃんと親孝行だと思って親の言うこと
聞きなよ。」
と切々と説教をする。
そもそもお雑煮を食べ、お払いに行っても約束の時間に間に合うのだ。
一応納得したのか、お雑煮も食べお払いも一緒に行った。
あとすっかり忘れていたようだが、娘にお年玉も渡してもらった。
あとお義父さんとお義母さんの誕生日が1月なので誕生日プレゼントも
渡してもらった。
それこそこっちが色々考えて用意しているというのに…まったくいい気なものだ。
薬を飲むこと、ちゃんと寝ること、あまりのみ過ぎないこと、連絡をすること
などなどを約束させ、彼は一人帰っていった。
が、夕方になるとまた一悶着。
電話がかかって来ると
「冷蔵庫にハムときゅうりと卵あるかな~?」と暢気にいう。
「はっ?何日も留守にするのにそんなん全部ないよ。
でも何、どういうこと?」と聞くと
「いや~簡単なもの作ってくれるっていうから~」って。
ちょっと待て。
君は泊めるには泊めるけど、台所は使わないっていいませんでしたか?
それを家を出る30日の朝方言われて急遽掃除を始めましたが、
冷蔵庫の掃除などしていませんし、まな板も漂白してこなかったし、
あとは…あれもこれも…と走馬灯のように日ごろ怠けている証拠の
山々が思い出されて具合悪くなりそうだった。
「それってさぁ…台所使わないって言わなかった?」と言うと
「でもせっかくそういってくれるからさぁ~」って。
ぶち切れた。
「日ごろキチンとしていない私が悪いのはわかるけど、あれだけ
イヤだって言ってることどうしてわかんないの?
掃除したくても、その時間も気力もなくて切ないから勘弁して
って言ったの忘れたの?
そんなに勝手にしたいなら、勝手にすればいい!」
なんて了見の狭い人間なんだろう…とは思う。
大らかな気持ちでどうぞ~と言えればどんなに言いか。
いや、そう言えるほどきれいだったら良かったのに…。
色んな自責の念が錯綜する中で、でもどっかで正月から主のいない他人ちの
台所に平気で入ろうという既婚女性の常識のなさに無性に腹が立った。
もうわけがわからいほど、自分がいやになった。
義理の両親に気を使い、彼の病状を心配し、自分の器の小ささを暴露され
それでも今彼の実家にいる自分がいやになった。
なんで彼は自分勝手に、自分の好きなようにしているのに、私は振り回される
だけなんだろう…。
なんでこう心に波風を立てられないといけないんだろう。
感情がぐるぐるして、一人で篭城した。
いっそ、このまま自分の実家に帰ろうかと思ったがそれも義理の両親に
悪い…と考える自分がさらにイヤだった。
結局私は他人からよく見られたいってだけのことなんだろう。
また彼から電話が来た。
「ごめんねぇ。出来合いのもの買って来たからご飯だけ俺が炊く。」
って言われても、もう言えるのはこの一言だけだ。
「好きにすればいいよ…。」
一年の計は元旦にアリ。
つまり私の今年1年は彼に振り回されて散々ってことなんろうと思ったら
なんだか、もうすべてがイヤになった…。
心穏やかになんか過ごせそうもないなぁ…。