結局、混沌としたカオス地獄に光をもたらしたのは
時間だけだった。
まっ、いわゆる時の流れに身を任せ…ってやつかな。
時間を経ることで、状況も徐々に変わり、そして自分の
中の自己回復能力みたいなものも加味されて結果が出た。
来週、彼を退院させる。
そう決めた。
結果を出したってより、出たって感じだな。
入院当初よりはもちろん、突然の退院勧告よりも彼は落ち着いて
きた。
涙を駄々流ししているわけでなく、自分の意見を聞かないといって
暴れることもなく、そして自死しようということもなさそうだ。
もちろん、全部が全部元通りになったわけではないが。
でも、最低これなら一緒に居られるかもってレベルには
戻ったんだと思う。
そう思える出来事がある。
退院の時期についてのこと。
あれから何度も何度も話し合った。
彼は今の病院が嫌で嫌でしょうがない。
だからすぐにでも、今にでも退院したくてしょうがない。
これは当然だろう。
お義父さんは、今の彼を病院に入れておくのがかわいそうで
かわいそうでしかたない。
彼を夜病院に送り返す時間になると、泣いてしまうくらいに。
毎日、私にいつ退院させるか聞いてくる。
直接的でなくとも、婉曲的にでも、それは私のプレッシャーになる。
退院なんて誰が決めるの?それは私が決めるの?って。
確かに、先生がいいという以上あとは本人と家族。
本人はもちろんOK、だとすると残るは私?ってことか。
そして、私は転医先にこだわった。
今の病院、今の担当医はできれば縁切りしたい。
でも、転医希望先からは連絡がこない。
先がわからないのに、中途半端な状態でなし崩し的に退院するのは
嫌だった。
その辺きっちりと線引きしたかった。
彼の言うがままに、押し切られるように、うやむやにしたくなかった。
でも、転医希望先になかなか連絡を貰えず、苛立つ私に彼が
「大丈夫だよ、もうちょっと待とう。」って。
私がそこにこだわるのであれば、待つって。
誰より退院したいのは彼だろうに、そこは私の気持ちを優先してくれた。
で、結局連絡も来ないうちに退院するのだから、甘いっちゃ甘いけど。
何でもかんでも自分のことだけ、自分のことしか考えられないって
時期が長かったから、ちょっとでも、自分が辛くても、私を優先
してくれるってわかって、よし!って決心できた。
ちょっと、戻ってるじゃんって。
この1ヶ月以上あった入院で何が変わったかは、まだこれからだろう。
でも、絶対にこっから変わったってことにしたい。
だから、まず私の納得したタイミングで退院することはいいことだと
思う。
私の方が、自分本位か?
でも、そのくらいの我侭はたまにはいいだろう。