ちょっとしたあぶく銭が入った。
と言っても無論、悪事を働いたわけでなく、宝くじがあたったわけでなく。
単に以前入院したときの保険金が入金されただけ。
随分と時間が経ってしまっていたのだが、どうしても彼の入院していた
病院に行くのが心理的に無理でずーっとほって置いた。
そうしたら、彼自身が診断書を取りに行って請求に至った。
まっ、お金の力は甚大ですなっ。
私以上に行きたくない場所だったろうに。
で、通知が来たので「半分頂戴」と請求してみた。
もちろん、全部でもいいのかもしれないがでもそれじゃ~頑張って
診断書取りに行った意味がないだろうと思って。
一旦は納得したのに、あとからやってきて
「使わないで、貯金するから全部頂戴。」と言い出した。
(ふ・ざ・け・ん・な)である。(←もちろん口には出していない)
毎月のやりくりがずーっと赤なのに、さらに年末年始と物入りで
たいへんだってのに、彼の毎日の金銭要求にヘキヘキしているのに。
彼の金銭要求とは、自分だけが使う、細かいものまでいちいち私に
請求してくることを言う。
例えば、エアダスター 500円也。
トリートメント剤 700円也。
あまりに頭に着たので、現実を突きつけてやった。
「あのね、家はお金がないの。
しかも私の会社はいつつぶれてもおかしくないの。
そんな中で必死になってやりくりしてんのに、自分だけ
何暢気なこと言ってんの?」
「えっ、俺どうしたらいいの…?」と青ざめる。
私の会社がいつつぶれておかしくない状態なのは前にも言ってあるはず
なのに、初めて聞いたみたいにパニックになって膝から崩れ落ちた。
しばらくしゃがんで固まっていたが、その後嘔吐しそうになって完全に
パニック状態…。
ありゃ~~~やっぱり、やめときゃよかった…と後悔先に立たず…である。
しょうがないので、頓服を飲ませ落ち着かせてから
「どうしたらって、働けとか稼いで来いなんて言ってないでしょ。
今すぐつぶれるって話じゃないし。
ただ、そういうこともありえるって覚悟で私は毎日やりくりしてんの。
もちろん、もしそうなっても仕事見つけてなんとかやっていこうって
覚悟もあるし。
そうやって自分のことだけ考えて、不安でいっぱいいっぱいになってないで
何か一つでも家族のためにできること考えなよ。
そうできるように努力しないよ。
薬をキチンと飲むことも、睡眠をキチンと取ることも、食事をキチンと
食べることも全部、鬱でも躁でもなく普通にいられるようになることへ
つながっているでしょ。
見た目だけこだわって食事しなかったり、酒飲んでゲームしてちゃんと
寝ないなんてありえないから。」
…とまぁ、後悔しつつも、言い出したついでなので思いっきり説教モード。
ところが、そっから落ち着きを取り戻した彼は自分の貧乏エピソードと
現実逃避の話をし始めた。
曰く、
「家にいると現実に押しつぶされそうになるから、フリードリンクを
頼んで1日ぼーっとそこにいたり、友達の家でゲームしたりすると
現実を忘れれることができるんだ。でも帰ってくると何も現実は
かわってないわけで、また苦しくなるんだ。
だから、家にいるときはなるたけ考えないようにしてゲームしたり
携帯いじってる。」とかなんとか…。
(だからいつまでたっても病気に振り回されているんだろっ!)と
思ったが、ここではぐっと我慢をし、
「逃げれる先があるだけ、よかったじゃない。
私は仕事も家のことも、○○(娘)のこともあって逃げ出したくても
逃げ出せないし、逃げる先もないよ。
私がいつもそんなストレスや会社のストレス抱えて生きているの
考えたこともないでしょ。
自分だけつらいわけじゃないんだから。」
と思いっきり嫌味を言ってみた。
しかし、
「いい加減、この病気抱えて生きてく覚悟しなよ。
逃げてばっかりいても埒があかんでしょうよ。」
と一番言いたいことは結局言えなかった。