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古語の助動詞

2020-03-09 21:31:04 | ことば
【古語の助動詞の活用は解りづらいので、ここに備忘録として】




助動詞 間違いやすい活用

られる られるは口語。文語は「らる}

らる  四段・ナ変・ラ変以外の未然形を受ける。他の場合は「る」

         活用   活用例

     未然形 られ   寄せられず

     連用形 られ   寄せられけり

     終止形 らる   寄せらる

     連体形 らるる  寄せらるる物

     已然形 らるれ  寄せらるれども

     命令形 られよ  寄せられよ

れる  れるは口語。文語は「る}

る   四段・ナ変・ラ変の未然形を受ける。他の場合は「らる」

         活用   活用例

     未然形 れ    思はれぬ

     連用形 れ    思はれけり

     終止形 る    思はる

     連体形 るる   思はるるとき

     已然形 るれ   思はるれども

     命令形 れよ   思はれよ



ぬ 一 連用形について 完了・継続・強意

    ・完了            夢去りぬ

    ・動作の結果がなお残っている 花散りぬ

    ・陳述を強める        ありぬべし

ぬ 二 未然形について 打ち消しの助動詞「ず」の連用形

    ・尽きせぬ命  行かぬ



き(過去回想の助動詞)は終止形・連体形・已然形のみに活用する。

    未然  連用  終止  連体  已然  命令

    ー   ―   き   し   しか  ー

    美しかりき・見しが・入りし・止みしかば



・助動詞「き」はカ変動詞には特殊な接続をする

 引いて来し…これは終止形。「引いて来き」と、き音の重なりを避ける

 終止形・連体形はきし・こし、已然形はきしか、こしかとなる

・「き」の連体形と已然形はサ変動詞には未然形に接続する。

 旗印せし しるしせよの未然形「しるしせ」に接続  「旗じるししし」を避ける

 ×嫁しし子 ○嫁せし子  ×為ししとき ○為せしとき ×蔵しし書 ○蔵せし書



・助動詞テ・タリは終止形には付かず、連用形に付く

 ×咲くて  ○咲きて  ○咲いて    イ音便

 ×惑ふて  ○惑ひて  ○惑うて    ウ音便

 ×死ぬて  ○死にて  ○死んで    撥音便

 ×買ふて  ○買ひて  ○買つて    促音便



・「り」は四段の已然形・サ変の未然形につく

  四段  ○咲けり  ○吹けり   ○消せり 已然形に付く

  サ変  ○察せり  ○命ぜり   ○論ぜり 未然形に付く

  下二段 ×初めり  ○初めぬ 「り」は接続できないので「ぬ」など



送り仮名・他

・原則として名詞は仮名を送らず、動詞には送る。

 但し例外が多数あり。季語の場合は歳時記に従い、それ以外は国語辞書に準拠。

 飾(名詞)・飾り(動詞) 祭(名詞)・祭り(動詞)

・向かふ(動詞) 名詞の場合は、向かう・向う・川向かう



連体形の送り仮名の誤り 「る」を抜いてしまう誤り

 ×老ゆ父  ○老ゆる父   ×投ぐパン ○投ぐるパン

 ×生く母  ○生くる母   ×出づ月 ○出づる月  ×閉づ瞳  ○閉づる瞳

連体形の送り仮名の誤り 「ら」抜きの誤り

 ×見れる ○見られる    ×食べれる ○食べられる



係り結び

係助詞によって強調された(係り)場合に、述部の最後尾要素が呼応して特定の活用形に決まる(結び)という文法規則。文意の強調や疑問の意味を持たせたりする。

 係助詞  活用形

  係り   結び   例

  は  → 終止形  雲は白き。紫。黒きもをかし

  も  → 終止形  雲は白き。紫。黒きもをかし

  ぞ  → 連体形  音ぞ聞こゆる・雪ぞ降りける

  なむ → 連体形  みやつことなむいひける

  や  → 連体形  蓑・笠やある

こそ →已然形 夜こそ明くれ 今こそわかれめ

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