1987年、とんでもない説が発表されました。現在の人類の祖先は、29~14万年前にアフリカに住んでいた、あるひとりの女性であったというのです。
これは、DNAの研究からでてきた仮説である。細胞内のミトコンドリアがもつDNAは、ヒトなど高等生物の場合、母親側からしか遺伝しないことがわかっているので、これを調べることで母方の先祖をたどることができます。そして、アフリカ人、アジア人、オーストラリア人、ヨーロッパ人、ニューギニア人からとったミトコンドリアDNAを比較して家系図をつくった結果、アフリカ人から他の人種が枝わかれしていったことがわかったのです。
この説によれば、現在の人類は、20万年ほど前にアフリカに出現した新人から枝分かれしていきました。世界各地にいた原人たちは、子孫を残すことなく絶滅したということになります。ちなみに、人類共通の先祖と想定されるアフリカ女性は、旧約聖書に登場する最初の女にちなんで「ミトコンドリア・イブ」と名付けられました。
現在アフリカ人に引き継がれているミトコンドリアDNAのタイプが13種類発見されているそうですが、その内の1つだけが、約10万年前に誕生の地、アフリカを離れ、中近東に向かいました。
面白いのは、人類がそこでかなり長い間(数万年間)、中東に留まったと推測されている事です。この「停滞」もしくは「長期逗留」の原因は良く分かっていないようです。一説では、その地を、すでに占めていたネアンデルタール人との「生存競争」に中々勝てなかったためだとされています。この時期こそ、人類第二の揺籃期と言えるのではないでしょうか?
そして、6~9万年前に起きたなんらかの「革新」が、ネアンデルタール原人と共存していた状況を一変させたようなのです。中東を出た人類は、原人(旧人と言わないといけないのでしょうが)達を僻地に追いやりながら、今まで溜め込んでいた力を一気に放出するかのように、一気に全世界に拡散して行きました。凍結したベーリング海を越えて新大陸を移住した人類は、なんとたったの一千年で南アメリカ南端に居住域を拡大しました。
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