僕の感性

詩、映画、古書、薀蓄などを感性の赴くまま紹介します。

蝉論争

2008-06-03 22:04:50 | Weblog
蝉の季節にはちょっと早いのですが、小生も子どもの頃は、夏休みともなると、昆虫採集に明け暮れていました。
特にヒグラシが好きで、夏の夕暮れ時に「カナカナカナ・・・」となくその鳴き声に所在無き孤独感と哀愁を感じたものです。


芭蕉の「閑さや岩にしみ入蝉の声」の「蝉」が、どんな蝉であるか、昭和の初期に歌人・精神科医の斎藤茂吉と、夏目漱石門下で芭蕉研究家の小宮豊隆との間で激しい論戦が繰り広げられました。

茂吉はジージーと鳴くアブラゼミであると主張し、小宮はチィーチィーと小さく鳴くニイニイゼミであると主張しました。山形県出身の茂吉は、山寺のことだけに一歩も譲ることができずアブラゼミで押し通したのです。

そのうちに、これらのセミの活動時期を調べ論戦に決着をつけようということになり、実際に山寺に入って調査が行われました。その結果、芭蕉が山寺を訪れた7月13日(新暦。旧暦では5月27日)ごろ鳴き出しているのはニイニイゼミで、山寺界隈ではこのころまだアブラゼミは鳴かないということになり、茂吉が敗れた形で蝉論議は終結しました。


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