僕の感性

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石上宅嗣(いそのかみのやかつぐ)と物部氏

2013-04-07 22:09:28 | 歴史
石上宅嗣は古代豪族の物部氏を先祖に持つ、奈良時代後期の公卿・文人である。
同時代の淡海三船(おうみのみふね)とともに難読人名の一人でもある。


彼は賢明で悟りも早く立派な容姿を持ち、経書、歴史書を好み幅広い書籍に通じていた。
文を作ることを好み草書、隷書とも上手であった。
旧宅に日本最初の図書館「芸亭(うんてい)」を設けた。

恵美押勝を除こうとして失敗し左遷されたが、藤原仲麻呂の乱で恵美押勝が失脚したので
再び息を吹き返し大納言まで出世した。

石上という地名も現在の奈良県天理市中部にある。この地は物部氏の勢力圏であって
石上神宮で「布都御魂」と呼ばれる神剣をまつり、王家の安泰を祈っていた。
この剣は「磐座(いわくら)」と呼ばれる神聖な巨岩の上でまつられた。
そのため「石の上で神をまつる地」を意味する「石上」の地名が出来た。

古代人は、霊を「もの」と呼んだ。「もの」が化けると「もののけ」になる。
物部氏は石上の有力な霊をまつるので「ものをまつる男」を意味する
「物の夫(もののふ)」と呼ばれた。

後に物部氏が有力な軍事氏族になり、優れた武人が出たので、武士を「もののふ」と
呼ぶ呼び方も生まれたらしい。


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