昨日、『星守る犬』を観た。
時々、涙が流れた。
西田敏行扮する「おとうさんは」、普通に魅力がある恰幅のいい男性である。
ただ、小泉純一郎の大改革において、リストラの嵐が吹き荒れていた。
このおとうさんも町工場の仕事を解雇されてしまう。
その頃からおとうさんは無気力になっていく。
義父の介護のことも、娘の非行にも関心を示さなくなった。
挙句の果て奥さんに離婚を宣言されてしまう。
このあと、東京から東北を経て、北海道に渡るのだが、彼と愛犬(ハッピー)の死出の旅だったように思う。
そこにあるのは、諦観と無力感。ただ従容とした厳かな態度を貫いた。
そして、おとうさんの根底には、温かみのある優しさがあった。
それがゆえに、観るものに悲惨さを与えない。
最後までほんわりとした雰囲気を与えつつ死んでいく。
偶然ですね。
久しぶりに 良い作品を見ることが出来たという感想です。
大変やるせない気持ちになりました。
自分の身元のわかるものをすべて消したこと‥‥心を打ちました。
登場するコンビニ、骨董や、旅館、レストラン
いずれも、携わっている人間達が
お父さんの生き方とオーバーラップして
どことなく哀愁があって 共感を覚えました。
おとうさんがレストランのオーナーに
ハッピーを託し、別れるシーンがありましたが
とても切なかったです。
奥津京介(玉山鉄二)の純粋さにも
心打たれました。