僕の感性

詩、映画、古書、薀蓄などを感性の赴くまま紹介します。

セザンヌとりんご

2018-12-10 23:41:54 | 歴史
実家から林檎フジが送られてきた。

通販で買った蜜柑と皿にのせてみる。


「りんごとオレンジ」というセザンヌの作品がある。

視点を移動して描くという手法を使っている。

ひとつのモチーフをいくつもの視点からみた形を
同一画面に描くことにより、奥行きや立体感を表現する事ができる。

セザンヌは60以上の林檎を題材とした作品を描いた。
彼にとって林檎は反抗しないモデルであり
古くから西欧で救済やあがない、広範に述べると「愛」の象徴であった。
それに林檎は学生時代にいじめにあっていたゾラを
助けたお礼の品でもあり、ゾラとの友情の源になり得た。

けれど斜めの視点からの林檎の絵が
布上からこぼれ落ちるように
二人の友情も破綻を迎える。

しかし生涯セザンヌの脳裏から「林檎」は
消え去ることがなく
恒に深淵なモチーフとして残った。