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僕の感性

詩、映画、古書、薀蓄などを感性の赴くまま紹介します。

芥川龍之介 奉教人の死

2018-01-04 18:36:41 | 文学
新年おめでとうございます!

今年の冬は雪が多いですね。雪かきに少し疲れます。

話は唐突ですが
何年か前にユダはイエスを裏切っていなかったという福音書が発見されましたよね。

銀貨30枚でイエスの居場所をピラトに密告した裏切り者のはずが、
実はイエスみずからユダに自分を官憲のところに連れていけと指示したというのです。この福音書の写本では、
ユダが唯一イエスの真意を理解していた弟子だとも
書かれています。

私は真実はわかりません。けれど実にイエスらしい行為のような気がします。

芥川龍之介に「奉教人の死」という小説があります。舞台は安土桃山時代の長崎の教会「さんたるちあ」。

主人公の「ろおれんぞ」は、信心深く、見目形もそれはそれは美しい人物でした。
特に宣教師しめおんは、本当の弟のように彼を可愛がりました。

けれど、ろおれんぞを慕っていた傘屋の娘が子供を身籠って、ろおれんぞの子だと嘘をつきます。

このことから、信頼していたしめおんや、その他の宣教師たちにも破門され見捨てられました。

ろおれんぞは乞食にまで身を堕としてしまいます。

ある日、大火があって風下の傘屋の娘の家が燃え盛ります。
逃げ出す娘と翁は、赤ん坊を残してきてしまったことに気づきます。

そこへ、ろおれんぞがやってきて火の中に飛び込んでいくのです。

あらすじはここまでにしましょう。

なぜ「ろおれんぞ」は破門されたとき、娘の発言は嘘だと言い訳しなかったのでしょう。

なぜ自分をおとしめた張本人の娘のこどもを助けようとしたのでしょう。

ここではこの提案だけにして終わりにします。

今年も何卒宜しくお願いいたします。