ウルトラ解釈ブログ作戦

ウルトラシリーズについて色々語るブログ。

逆転!ゾフィー只今参上

2011-05-27 23:31:30 | ウルトラマンエース
ややタイトル詐欺な話。
私も子供の頃肩透かしを食った思い出があります。
かように、この時期のウルトラはタイトル詐欺が頻繁に見られるようになりました。
多分、視聴率対策でしょうが、子供向け番組とはいえ、シビアな現実ですね。

以前の解釈にも書きましたが、正直この話は脚本的にはややバラバラ。
前半と後半が分離してますしね。
ただ、この辺りは映像重視の真船監督が書いたから仕方ないでしょう。
北斗が基地で孤立する描写は、エースの中でも屈指の名場面。
逆にこういう絵が取りたいからこういう脚本にしたんじゃないかと疑いたくなるような、真船節全開でした。

クレイジーキャッツの学生節も世代的には元ネタを知らなかったので、こちらの方が先でした。
というか、最近youtubeで聞くまで聞いたことありませんでしたし。
しかし、何でこれを使ったんでしょうかね。
元の曲からは想像できないほど不気味な仕上がりになってますが、この辺りも監督の趣味なんでしょうね。
まあ、信じてもらえない北斗と引っかけたのかもしれませんが。

真船監督と言えば、個人的には「悪魔と天使の間に」が印象深いですが、新マン、エースにかけて、かなり活躍なさってますね。
ヤプール全滅編を任された理由はわかりませんが、真船氏がこの時期のウルトラでかなり重要なスタッフであったのは間違いないでしょう。
ところで、ヤプール全滅編、夕子帰還編、ダン少年登場編。
このいずれにも田口氏は絡んでません。
ヒッポリト編を書いてるので一概には言えませんが、この頃はまだ田口氏にメインを任せるのは時期尚早と見られてたのかもしれませんね。

まあ、とにかく映像派の監督の脚本だけに、全編異色な空気が漂いまくり。
唐突に始まるヤプールとの戦いは、ゲームのラスボスとの対決的な風味もありました。
よくわからない展開で、よくわからない戦いをして、よくわからない死に様で散る。
そもそもがよくわからないヤプールの最期にこれほど相応しいものはありませんが、倒しようがないはずの観念的な敵をこれほど見事に葬ったのは称賛されてしかるべきでしょう。
細かい粗はありますが、それを補って余りある勢いと説得力を持ったこの話は、エースの中でも出色の出来と言っても過言ないでしょうね。

復讐鬼ヤプール

2011-05-15 19:05:25 | ウルトラマンエース
またまた意味深なタイトル。
まあ、あれだけ毎週作戦が失敗したら復讐鬼ってのもわかるが、勝手に侵略仕掛けて失敗して復讐って、何となく器の小ささを感じさせる。
以前の解釈にも書いたが、いかにもヒーロー物の王道展開は私好み。
まあ、今週も作戦がある意味色仕掛け的なところがエースらしいが、これもエースの良さであろう。
この辺りは北斗、南設定によるところ大と思われる。

今回は山中の狼狽ぶりが面白い。
序盤の「TAC隊員は冷静沈着でないといかん」は完全にネタふりか?
しかし、よく確かめもせず「死んでる」は冷静さを欠くと批判されても仕方ないだろう。
正直、あれでは美川が死んだか否かはわからないので、坂井が美川を蘇生させたか否かは微妙なところである。

しかし、TACが来たら「僕はこの時を待っていたんだ」とテンション上がる坂井はよくわからん。
子どもたちの気の抜けた「怖いよ~」という悲鳴はさておき、BGMで強引に緊迫した場面に持っていくスタッフの手腕はさすがである。
しかし、それでも坂井を信じる美川。
いくら命の恩人とは言え、坂井を信じすぎるのはTAC隊員として如何と思うぞ。

今回、冒頭でナレーターは「ヤプール最後の手段」と言っている。
これは完全にヤプール全滅フラグだろう。
おそらくこの時点でヤプールが滅ぶのは既定路線だったと思われる。
ただし、このナレーションは脚本にあったのか否かは謎。
上原氏は結局これを最後にエースからは降りるが、ヤプール全滅を意識してこの脚本を描いたか否かは微妙である。

あるいはこの時期に色々テコ入れが決まり、それが理由で上原、市川両氏が去ったのかもしれない。
しかし、両氏自身、他の仕事が忙しかったのも事実であろう。
結局、番組の事情、両氏の事情が重なっての降板ではないか。
この2人の降板でエース後半は正直迷走というか、次への助走というか、やや中途半端になってしまう。
ただ、そういう時期を経たからこそウルトラが生き残ったのも事実であろう。
ライターの入れ替わりは長期シリーズでは必須。
もう少し両氏の脚本を見たかったのは偽らざる本音だが、これもシリーズものの宿命として受け入れるしかあるまい。

天女の幻を見た!

2011-05-08 21:35:50 | ウルトラマンエース
アプラサールが実体化したり攻撃が突き抜けたりは、宇宙線の密度の違いという説明しかあるまい。
おそらくアプラサールは宇宙線からできているため、実体が不安定なのだろう。
ただ、宇宙線が徐々に蓄積して最後はかなり実体が安定していた。
かように実体が不安定な超獣だからこそ、エースは苦戦したのであろう。
最後アプラサは巨大化したまま宇宙に帰ったが、宇宙線の効果がなくなると元のサイズに戻るものと思われる。

今回の脚本は石堂淑朗。
エースでは二本目で、一本目同様人間(乙女座の少女)が超獣に変身するパターンである。
他の脚本家が生物同士を合体させてるのに対し、人間が超獣化するのが石堂氏の特徴か。
人間の邪な心が超獣を作り出すというのはガランの栗虫太郎があるが、この辺りは市川氏の考えた基本設定をある意味踏襲してるともいえる。
少女に恋する青年の身勝手さという人間のエゴをさり気なくテーマに入れてくる辺りは、さすがに芸が細かい。

変化球的なエピソードが目立つ石堂氏だが、新マンなら新マン、エースならエース、タロウならタロウというように、一応作風に合わせてくるあたりはさすが一流脚本家である。
まあ、ストーリー展開の粗さも目立ってはいるが、細かいことは気にしないのが氏の作品の鑑賞法なので突っ込みは野暮であろう(笑)。

今回もヤプールの作戦は一見意味不明。
しかし、結果的に失敗しただけで竜隊長個人を狙うというのは悪くない。
前回は北斗を狙ったように、TAC隊員の個人個人を狙うというのはヤプールの基本。
ただ、直接手を下さない辺りは、ヤプール並の拘りなのだろう。
とは言え、色仕掛けというのはなかなか性質が悪い(笑)。
やっぱりヤプールは地球侵略そのものより人間の心を弄ぶ方にウェイトを置いているようだ。

まあ、初期の作風からはかなりかけ離れた変な話(笑)。
すっかり侵略もののハードさは失われつつある。
この辺りはメインライターの離脱が大きいだろう。
男女合体変身にシリーズ通した敵組織。
ウルトラでは新しい試みだったが、正直これらはウルトラとは相性が悪いのか。
いずれこの点についても考察してみたい。

青春の星ふたりの星

2011-05-07 11:03:45 | ウルトラマンエース
新旧ウルトラマンの共演。
意味深なタイトルだが、正直あまり意味はないような。
せめて篠田一郎が星に関する名前ならよかったのだが、篠田にとっての星というのがよくわからなかった。
船の名前もスカンジナビアだし、このタイトルでは北斗と南の恋愛ストーリーかもと勘違いしそうである。

ヤプールの計画については正直あまりよくわからない。
その辺は以前の解釈でも触れたので割愛。
単にゼミストラーの念動力でも鍛えてたのかもしれない。
ルークだって飛行機持ち上げる訓練してたしね(笑)。
まあ、その割に火を吐いて暴れまわるゼミストラーだったが、まあお約束ということで。

篠田が大学を休学してた背景には学生運動があるらしい。
時代は1972年。
私の生まれた年だが、この年はあの有名な浅間山荘事件が起こった年。
学生運動に批判的なのはそういう影響もあるのかも。
ただ、田口脚本ってあんまり左翼的な感じはしないんですよね。
ウルトラの脚本家は左翼の人が多く、それが時には名作を生んだりもするのですが、田口氏はあまり思想的な脚本は書かない人ですね。
基本的には個人主義な気もします。
この辺りは戦争体験など、生まれた時代の違いもあるでしょう。

今回は専ら北斗と篠田の話なので、夕子はあまり出番はなし。
この辺りも田口脚本らしいでしょうか。
竜隊長がやや冷たく見えるのも田口氏らしい。
最後、篠田は待ってるだけでは何もできないと悟るのですが、この辺りのドラマは正直30分で描くのは無理でしょう。
超獣出しつつ一人の青年の心の葛藤を30分で描くなんて無理。
というわけで、ドラマ的にはかなり無理のある話になってます。
多分、時間かければちゃんとしたものになったでしょうが、小説でもいいのでしっかり構成しなおした話を読んでみたいですね。

本話はおそらくゲスト先にありきの話。
篠田さんが次のタロウの主役候補だったからと思われますが、この条件で脚本を書くのはかなり大変でしょうね。
あまりイメージ悪い役もさせられませんし。
ただ、結果的に篠田一郎は東光太郎のプロトタイプ的なキャラになりました。
これはタロウのメインライターが田口氏というのもあるでしょうが、この時点で氏の頭の中にはタロウの基本設定というのが浮かんでたんでしょうかね。
エースは設定の複雑さが裏目に出た面が大きかったので、田口氏的には怪獣出現にあまり理屈が必要な話じゃなく、もっと単純にしたいというのがあったのかも。
エースの設定の中ではイマイチ田口氏の良さも出てませんし。

河童屋敷の謎

2011-05-01 12:32:51 | ウルトラマンエース
相変わらずよくわからないヤプールの作戦だが、以前の解釈通り、これは北斗を狙った遠回りで遠大な計画だと解釈しておこう。
つか、適当に実験で超獣を作ってみたものの使い道が思い浮かばないから、適当な作戦を作り出したのかと勘ぐりたくなるほどである(笑)。

今回もお馴染み、超獣を目撃したという子どもの証言が無視されるパターン。
ブロッケン、バラバ等このパターンが多いが、大人である北斗の証言すら無視されるんだからこれも仕方ないか。
まあ、今回は超獣がプールになるという奇抜な展開なので余計疑われたのだろうが、それにしても怪しい春山夫婦なのでもう少し調査をした方が良かったような。
この辺りは嘘つき少年というヤスオの設定で相殺されていると見るしかなかろう。

しかし、今回の話はなかなかグロイ。
一応大脳皮質ホルモンの異常という説明がなされているが、超獣に洗脳されたかのような描写は単にそれだけでは説明が難しいであろう。
超獣を倒したことにより病状が回復する点も含めて、これはヤメタランスの時のようにキングカッパーの株のようなものを植えつけられた結果ではないか。
カッパーの出す電波のようなもので子どもたちは操り人形のようにされていたものと思われる。

北斗が人質に取られることに何の疑問も抱かない隊員たち。
しかし北斗を狙うならこんな遠回りなことしなくてもいいような気がするが。
というか、夕子を狙う方が手っ取り早い気もする。
二人は普段は別行動なわけだし。
まあ、この辺りの突っ込みはお約束なので無視することにする。

今回の夕子はアローからパラシュートもつけずに脱出してプールに飛び込むなど大活躍。
エースでは基本的に危険な目に遭うのが北斗の場合が多いので、夕子が飛び込むパターンが多い。
まあ、丸バレなわけだが、その辺りはあえて無視することにしよう。

エースがカッパーのプールの水を吸い取ったのは、あの水の中にへそがあるという設定だからであろう。
ただ、上述したようにへそがなくなったのは別に取られたわけではないので、これにはあまり意味はないと思われる。
一応北斗がヤスオにへそを取り戻してあげたと言ってはいるが、これはちょっと違うであろう。
子ども向けに形だけ整えたという感じだ。

春山夫婦はなかなか印象に残るキャラ。
特に夫の方の死に様は結構凝ってて面白かった。
ある意味、ターミネーターの先取りのようなキャラだと思う。
しかし、よく確かめもせず射殺は酷いぞ。
彼らも操られてる人間かもしれないのに。
まあ、この辺りはいつものことなので、スルーしよう。

今回の脚本は斉藤正夫氏。
他の脚本家とはちょっと違ったテイストの話で、偶にはこういうゲスト脚本家の参加も良いと思う。
まあ、少々強引なところはあったが、それでも帰ってきたウルトラマンの2本よりはまだ纏まっていた。
異色編としては十分な出来であろう。