ウルトラ解釈ブログ作戦

ウルトラシリーズについて色々語るブログ。

君の名は。感想と解釈その4

2018-01-08 02:00:06 | 邦画
さすがに今回が最終回になるはずです(笑)。
では続きを。

自分で書いててもわからなくなってきたので、三葉の現実をおさらいします。
端的に言うと、三葉の現実に変化が起きるのは隕石衝突の朝からでしょう。
それまでは、歴史の改変というものがないので、瀧との入れ替わりや瀧に会いに行った事実は変わらないと思います。
当然、周りも三葉が時々別人みたいになるという事実を記憶してます。
したがって、妹も時々姉ちゃんが自分の胸を揉んでることは覚えているでしょう。
もちろん姉ちゃんが別人と入れ替わってることについてはわからないので、当事者間では狐でもついたという結論になるでしょうけど。
三葉自身も瀧のことは夢として忘れて行きますので、周りがそう言うならそうなんだろうって感じで納得します。
では隕石衝突の日の朝からの事実はどうなるか。
これは映画の通りだと思います。
ここで事実が2つに分岐します。
そして1つはなかったことになるので、隕石衝突回避に奔走して無事生き残った事実だけが残ります。
後は前述したように都合のいいことは忘れて(笑)5年後ということになるでしょう。

ここで1つ疑問が。
カタワレ時に瀧に会った記憶はどうなるのでしょうか。
これは今までと違って入れ替わり中の出来事ではありません。
しかも名前まですぐ忘れてしまいます。
普通名前まで忘れるなら、瀧から説明された計画も忘れるはずですが。
前世で隕石が衝突したのを見た記憶もまだ残っているようですし、名前だけ忘れる道理がわかりません。
この辺りはお互い名前を忘れるというのがこの映画の主題なので、正直考えても無駄でしょう。
強引に理由づけるとすれば、カタワレ時の逢瀬は夢の中の逢瀬と同義であり、名前等の固有名詞はすぐ忘れてしまうということになるでしょうか。
これには三葉が元の世界に戻ってから瀧の名前を繰り返し言って再記憶しているはずだというツッコミもあるでしょうが、夢の中の記憶は簡単には定着しないということで納得しときましょう(笑)。
結局三葉の瀧との記憶は全て夢の中ということになり、瀧の存在そのものを忘れることになります。

では瀧の現実はどうなるか。
糸守の悲劇が回避されたというのは瀧の生活や思想に若干影響を与えるものの、大筋の人生は変わらないでしょう。
そして何故か三葉と入れ替わるのも多分変わりません。
では、糸守へ行くきっかけとなった三葉との入れ替わりの終わりについてはどうなるか。
普通に考えたら三葉は死ななかったので、入れ替わりが終わる理由はありません。
これについては結局隕石衝突の災害を免れた後の三葉に他人との入れ替わり能力がなくなったと解釈するしかないでしょう。
三葉と会えなくなった瀧がネットで糸守を見つけるのは同じ。
ただ、この時村が壊滅して死者の名簿を見つけるということはありえません。
結局三葉は見つからず、そのうち夢の中の出来事として忘却したということでしょう。
遂には何で糸守に行ったのかの理由すら忘れてしまいます。

ただ、お互い夢(前世と言ってもいいでしょう)で会った記憶は朧気ながらも残ります。
そして何よりカタワレ時の記憶は二人の心の奥底に刻まれたでしょう。
それで、2人は自分にとって物凄く大事な人がいるような思いに取りつかれます。
後は説明は不要でしょうね。
最後はハッピーエンド。
そこからは未知の世界でしょうね。
二人が会った時の具体的な記憶は戻ってきませんので、お互い過去を知ることはできないでしょう。
三葉が自分でもわからず避難活動をしたことをフーンて感じで瀧が聞いたりするのでしょうね。
まあ、いい終わり方だと思います。

これに関しては二人がすれ違って終わった方がよかったという意見もあるようです。
ただ、個人的にはハッピーエンドにしないと物語的な粗がもっと目立ったような気がするので、これで正解だったと思います。
さすがにおっさんの年齢でこれだけ矛盾があると感動はできませんが、物語展開は意外性もあり楽しめました。
大ヒットしたのもよくわかりますね。
ただ、音楽はあんまり好きではなかったです。
年取るとちょっとあざと過ぎると興ざめしちゃうんですよね(笑)。

長くなりましたが、君の名は。のレビューはここまで。
映像が綺麗でキャラがかわいくて声優も上手かった。
一歩間違えると「涼宮ハルヒ」とか「けいおん!」とかの萌えアニメになってしまいそうですが、そのギリギリのラインで作品を作れるのが新海氏の才能であり強みなんだなと思います。
あ、別に萌えアニメにケチつけてるわけじゃないですよ。
私は敢えて見ませんが(笑)、本質的には結構そういうの好きなタイプなので。
と、脱線しましたが、新海監督の今後には注目したいですね。

君の名は。感想と解釈その3

2018-01-06 20:52:44 | 邦画
正直、やめときゃよかった「君の名は。」の解釈。
予想外にその3まで来てしまいましたが、まあHPの更新を怠けてたリハビリのつもりで、最後まで解釈します。

二人は奇跡的に運命の日に再会することができました。
まず前述したように、瀧は口噛み酒の霊力により、隕石衝突の日の朝の三葉に乗り移ります。
では、本来の三葉はどこに飛ばされたのでしょうか。
普通に考えると、ご神体のところにいる瀧の体ということになるでしょう。
私も当然そう思って見てました。
ただ、それだとおかしいことになります。
何と瀧に乗り移った三葉には自分が死んだ記憶があった。
つまり、当日朝の三葉ではありません。
これじゃ、あの世から三葉が戻ってきたみたいです。

ただ、この点についてはやはり三葉は死ぬ直前で瀧の体へリープしたと考えます。
死後の世界が出てくると何でもありになってきますので。
三葉は死ぬ瞬間の記憶はないみたいですし、もちろん死後の世界の記憶もありません。
一応それで辻褄は合うでしょう。
じゃあ、隕石衝突瞬間の時の三葉の体の中には誰がいたのか。
普通に考えると瀧になりそうですが、瀧は当日の朝の三葉に乗り移ってます。
となると、残るは当日の朝の三葉ということになるでしょう。
哀れ事情を知らない三葉は瀧のリープにより心太式に押し出されて死の直前の三葉の体の中へ飛ばされましたとさ。
こう考えると結局三葉は死んでしまうみたいですが、そもそもその朝の三葉は死ぬ運命にあった三葉なので、この時点では特に運命に変わりないとも言えるでしょう。

これで現在の瀧に乗り移った三葉に隕石衝突の記憶があることが説明できました。
では、二人はどうやって時間を超えたのか。
まず、三葉(中身瀧)は結局父親を説得できず、自分では駄目だと本当の三葉を探しにご神体へ向かいます。
この辺りはもう直感というか、ご都合主義という名の奇跡でしょうね。
そこへ行った三葉(中身瀧)ですが、当然現在(3年後)の瀧(中身三葉)に会うことはできません。
しかしここで奇跡が起きます。
劇中で説明があったカタワレ時に時空が歪んで、二人の時間が繋がりました。
そんな無茶なと思いますが無理やり理由づけると、隕石が時空の歪みをもたらし、ちょうどご神体の付近がその境界だったということでしょう。
まあ目くじらを立ててはいけません(笑)。

一応二人は時空の境目で物理的に接触します。
いつの間にか二人が入れ替わってましたが、これは三葉の能力ということで説明しておきましょう。
3年後の瀧は三葉に組紐を返します。
これにより三葉と会ったことが現実だという物証がなくなってしまいました。
2人を繋ぐ赤い糸が切れたとも言えるでしょう(あくまで物質レベルの話ですが)。
この時に三葉は瀧から事情を聞きます。
やがてカタワレ時が終わり、二人の邂逅は終わりを告げます。
この時、お互い名前を忘れないように手に名前を書こうとしますが、結局適わず時間切れ。
そして過去が変わりつつあったことから、瀧の記憶も曖昧になっていき、結局三葉のことを忘れてしまいます。

一方三葉も瀧のことを忘れていきます。
この辺りの解釈は正直難しい。
まずこの三葉は隕石で死ぬはずだった三葉です。
三葉は未来の瀧を経由して隕石衝突数時間前の自分に乗り移ることに成功しました。
ここで注意したいのは、瀧との入れ替わりでは必ず元の自分に戻れていたのが、この場合は元の自分が消滅したため戻れないということ。
ただ、自分自身に乗り移っているので、特段問題はないでしょう。
そして徐々に元の自分の記憶は薄れていきます。
これは乗り移り中は元の自分のことはあんまり覚えていないという法則によります。
ただ、それだとこの三葉は過去のことを全部忘れてしまいかねません。
これはこう考えることにより回避しましょう。

自分自身に乗り移った三葉は当然自分については全て知っています。
したがって、この時点で三葉が現実に体験したことは記憶し直すことができます。
もちろん前日に東京に行ったことも覚えているでしょう。
ただ、自分がどうしてそういう行動に出たのかは覚えていません。
瀧の体と入れ替わった記憶については夢として記憶されるので、徐々に忘れて行くからです。
何故かよくわからないが東京に行って、見知らぬ中学生の男子に組紐を渡したような気がするが、でも組紐は今持ってるから結局それも自分の勘違いってことで忘れて行ったのでしょう。

それでは、隕石衝突の記憶はどうなったのか。
これも夢として忘れていきます。
何故なら、隕石衝突そのものが事実でなくなってしまうから。
ただ、入れ替わり直後は元の記憶は残っているので、近づいてくる隕石や勅使河原との対話等で記憶が強化され、最後まで隕石回避の行動を取ることができたのでしょう。
しかしいざ回避されると徐々に村に隕石が衝突した記憶は薄れていき、自分でも何でああいう行動を取ったかはわからなくなります。
そりゃ、事実じゃないんだから夢と思っても不思議ではないでしょう。
その後の三葉は自分が現実に体験したことは再記憶して保持したが、最初の隕石衝突の日の朝からの記憶(前世の記憶と言ってもいいでしょう)は夢として忘れて行きます。
その出来事そのものがなかったことになるので他人に聞いてもそんなことなかったと言われますからね。

もうちっとだけという割に長くなってしまいました。
まだ終わらないので続きは次回。
しかしご都合主義の塊のような映画なので、理屈を付けてもまた新たな矛盾がすぐ出てきてきりがありません(笑)。

君の名は。感想と解釈その2

2018-01-05 22:36:30 | 邦画
君の名は。の続きです。
ウルトラ解釈とは違っておまけみたいなものなので、適当なところはご寛恕ください(笑)。

今日は問題の瀧が口噛み酒を飲むシーンから行きますね。
ここでの最大の謎はなぜ瀧は三葉の口噛み酒を飲んだことで、隕石衝突の朝にリープできたのか。
これを考える前にそもそも何故2人が入れ替わることができるのか、おさらいしましょう。
これは作中繰り返し出てきた組紐の効果によると思われます。
つまり瀧に組紐を渡したときから、2人が繋がった。
え?その組紐って既に瀧と何回か入れ替わった後に三葉が渡したものだから矛盾する?
いわゆるタイムパラドックスってやつでしょうか。

まあ、私はSFと言えばドラえもんとウルトラシリーズで止まってる人間なのでその辺の詳しいことはわかりませんが、それはこう考えることで回避できると考えます。
つまり、時間軸的に最初に入れ替わりのきっかけを作ったのは三葉だということ。
三葉が巫女の霊力で能動的に3年後の瀧に乗り移った。
なぜ瀧だったのか。
それはただの偶然ですね(笑)。
しかしドラマ上、偶然は運命とも読み替えられます。
そこを突っ込むのは野暮ってものです。
まあ敢えて理由づけるなら、隕石回避のためには未来の人間に乗り移らなければならなかった。
そして同い年で東京暮らしのイケメンという三葉の好みが合わさった結果瀧が選ばれた。
ドラマの根幹ではあるが、根幹だからこそ解釈すべきところではありませんね。

ここで三葉から瀧への線は繋がりました。
では瀧が三葉へ乗り移れたのは何故かというと、これが前述した組紐ですね。
この組紐がワームホールとなって、3年前の三葉の世界と繋がったということになります。
しかし三葉は隕石衝突の前日に組紐を瀧に渡してしまった。
そのため瀧はその日以後の三葉には乗り移れません。
運命の組紐のおかげで会えなくなる。
何とも皮肉な話ですね。
そこで瀧が望みを掛けたのがご神体に備えた口噛み酒。
これを体内に取り込むことにより、組紐のワームホールを頼ることなく直接三葉に乗り移ろうとした。
結果的にこれが成功したのは偶然としか言えませんが、これは三葉を思う強い気持ちがあればこそという解釈になりますかね。
ドラマ的には奇跡といいます(笑)。

瀧はこの奇跡により、三葉が死んだ過去を変える可能性を得ます。
そこからの奮闘は映画を見ての通り。
では、時間軸の違う二人がなぜ会うことができたのか。
この映画の最大の難所ですね(笑)。
これはもう強引に解釈するしかありません。

と、予想外に長くなってしまったので、今日はここまで。
もうちっとだけ続くんじゃ。

君の名は。感想と解釈その1

2018-01-04 11:41:39 | 邦画
テレビ放映したのを初めて見ましたが、結構楽しく見れました。
もっと若い人向けなのかと思いましたが、おっさんの私でも違和感なく入り込めましたね。
ただ、ツッコミどころは満載でストーリー的にはごちゃごちゃしすぎでしたが。
そうやって鑑賞後も色々話題になるってのも、ヒットの原因の一つかもしれません。
以下ネタバレありなので、未見でこれから見ようという人は読まないように。

テーマ自体は難しいことはなく、かつての名作ドラマのタイトルに肖ってるようにすれ違い純愛もの。
まあ、すれ違いの部分って実質最後だけなのですが(そもそも入れ替わって相手そのものになってますから)、先輩とのデートの日を最後に5年間会えなかったのだから、一応すれ違いものと言っていいでしょう。
ただ、本当ならその間の5年間のドラマは描いた方がいいんですけどね。
映画の尺的には無理なのですが、お互い他の人に恋をしたり付き合ったり、色々な人生を経験していく中で、何故か夢の中で会ったのかどうかすらわからない人の面影を追い求めてるってシーンを描いた方が、より運命的な感じがしてドラマ的には深みが増すんですけど。
まあ、その辺は脳内補完するしかないでしょうね。

ではこのHPらしくSF的解釈を。
と言っても、正直話をこじつけるのは難しい。
その辺はウルトラと同じで、子供向けファンタジーと割り切るしかないでしょうね。
まず、なぜ二人は三年の時差に気付かなかったのか。
それは入れ替わり中は元の世界の記憶も曖昧になって、自分が別の時間の人間だということが認識できなかったということになるでしょうか?
自分の時間に戻った時は、夢の中の記憶として曖昧になるので、自分たちの行動の記憶しか残らなかった。
社会的な細かい情報は記憶に残らないのでしょう。

なぜお互いに連絡しようとしなかったか。
当初は早くこの状況を脱したいと思っていたので、現実に連絡を取り合うのは控えていた。
で、お互い好意を持つようになって、お互いの連絡先を教えあった。
思い切って連絡したのは先輩とのデートの日(三葉にとっては東京に行った日)が初めてだったのでしょう。
当然相手にはつながらない。
ただ、ここはお互い連絡先を教えようとしても入れ替わり中だから思い出せなくて連絡を取れないとした方がよかった気がします。
この辺は瀧が三葉に電話して相手に繋がらないというシーンを入れたいというドラマ的な演出の都合でしょうね。
観客に対しては伏線ということになるでしょうか。

ここからドラマは急展開します。
入れ替わりがなくなったことから三葉に会えなくなった瀧は、自分の風景の記憶を基に三葉の居場所を探そうとする。
細かい名詞までは覚えていないので、風景から場所を特定しようとネットを駆使して必死に探します。
漸く候補を割り出し現地に向かう瀧。
先輩と友達が付いてきたのは、特に意味はないですね。
演出的に先輩への気持ちは完全になくなり、先輩と友達がいい雰囲気になったというところを描くためでしょうか。
それも意味があるっちゃあ、あるのですが。

ここで瀧は糸守の悲劇を知ります。
糸守という地名は例の組紐との繋がりが深いことを示唆してますね。
ただ、この辺りの話は正直よくわかりませんでした。
かつて隕石が落ちたからまた落ちる。
それを予言するために宮水家の女性には特殊能力がある。
話が大きすぎます。
この辺りはあんまり気にしちゃいけないところって気もしますが、まあ無理やり巫女の口噛み酒の霊力を根拠づけたのでしょう。
かなり強引な展開です。

ここでまた謎が。
三葉との時間軸のずれに気付いた瀧のスマホから三葉が書いた文字が消えていきます。
オカルトですね(笑)。
ご都合すぎます。
瀧が事実に気づいたことにより歴史の改変が始まったとでも解釈するしかないですが、それがスマホにだけ作用する道理がわかりません。
歴史の改変により三葉がこちらの世界に来なかったと改変されたのなら、瀧や先輩たちの記憶からも入れ替わった時の記憶がなくなってるはず。
でも、歴史が改変されても入れ替わりの事実は変わらないような。
この辺りの解釈を観客に投げてるところが、この映画の問題点ではありますね。

疲れてきたので今日はここまで。
正直この映画に誰もが納得できるすっきりした解釈ってのは無理だと思います。
空想科学読本的なツッコミではなく、物語の整合性に問題があるのがこの映画の弱点でしょうね。