ウルトラ解釈ブログ作戦

ウルトラシリーズについて色々語るブログ。

大ピンチ!エースを救え!

2011-10-30 19:36:23 | ウルトラマンエース
タイトル的にはTACがエースを助るのかと思わせるが、結果を見る限りTACがエースに助けられただけ。
まあ、いつものことなので気にしないでおこう。
ただ、大ピンチという割にはそれほどでもなかったような。
やはり、ややタイトル詐欺的な話である。

以前にも書いたが、最後のフィクション云々の字幕は違和感あった。
テレビ放送でもカットしないということは、やはりガスに関する誤った内容が放送されたからか。
この辺りの真偽については公になっていないので想像の域を出ないが、他のシリーズにも見られないだけにやはり何らかの意味はあるのだろう。

ガスゲゴンのデザインはカマキリをモチーフにしたもの。
ジュピターやガスタンクに寄生するなど、昆虫の習性から発想されたのだろう。
昆虫をモチーフにした超獣はエースでは定番。
アリブンタ、ドラゴリー、バラバなど初期に特に多い。
ただ、石堂脚本では獅子舞とか、人間が牛になったり、天女が超獣になったり、返ってこちらの方がイレギュラーともいえるだろう。
そういう意味では、石堂脚本にしては珍しいオーソドックスな話である。

エース終盤はほぼ石堂氏の独壇場であり、なかなかにインパクトのある話が多い。
石堂氏と言えばアニミズムというイメージもあるが、本話や次話のようにSF的な話も書けるので、エース終盤は意外とバラエティに富んでいる。
これに市川氏の曰くつきの脚本「ベロクロンの復讐」も加わるのだから、視聴率が低迷してたのが信じられないくらいだ。

確かにエースはシリーズ全体を通して見たら路線がグダグダで統一感は感じられない。
しかし、それぞれの路線にはそれぞれの見どころがあるので、あまり路線変更ばかり叩くのも得策ではないだろう。
個人的にも子供の頃はあまり興味がなかったエース終盤であるが、大人になってから見るとなかなか面白い。
現状あまり評価されてないエース終盤であるが、もう少し見直しが必要であるのは間違いないだろう。

節分怪談!光る豆

2011-10-22 09:00:26 | ウルトラマンエース
以前にも書いたが、このオニデビルはあたかも自分の意思かのように侵略作戦を展開する。
エース後半の超獣の分類で行くと、コオクスやバッドバアロンと同じく侵略型の超獣だ。
ただ、コオクスはヤプールと合体していたバキシムと同じように自ら人間体に変身をしていたので少し異なる。
超獣人間と名乗っていたことにもそれは表れていよう。
そういう分類からすると、バキシムも正確には超獣人間なのかもしれない。

エース後半の超獣の出自は正直謎に包まれているのだが、ヤプールが以前のように超獣製造マシーンで超獣を作ってるかとなると、さすがにそこまでの組織力はないように思える。
実はヤプールの時代でも全ての超獣がマシーンで作られていたわけではなく、カメレキングやカウラなどなどその製造の方法にはいくつか種類があった。
エースキラー辺りはほぼロボットだし、実際にロボットのエースロボットまで作り出しているのだから、何でもありなんだろう。
因みにマシーンで作った超獣はブロッケンとかブラックピジョンとかなかなかの強敵が多い。

今回のオニデビルも生物同士を融合させたようには見えないので、マシーンで作った超獣ではなさそうだ。
もしかしてヤプール超獣の在庫が残っていたのかもしれないが、バッドバアロンやレッドジャックも含め、これらの超獣にはヤプール残党が関わってる可能性が高いであろう。
まあ、かつての異次元空間のシーンがないとその存在ははっきりしないが、ヤプールがいた異次元空間はエースにより破壊されたので、また別の異次元空間に逃げ込んだか、地底にでも逃げ込んでレジスタンス活動でもしてるのではないか。
最終回で円盤を使っていたことから、あるいは宇宙仮面のような助っ人ヤプールが宇宙から来てるのかもしれないが、いずれも想像の域は出ないであろう。

話の本筋と関係ない話を延々と書いたが、物語自体の感想は以前の大作戦を参照願いたい。
梅津姉弟が退場してこの話辺りからいよいよ最終決戦の雰囲気が漂ってきた。
エース終盤は視聴率的には振るわなかったが、制作陣はなかかな検討しているので、個人的には再評価される日が来ることを期待している。

熱中スタジアム

2011-10-17 21:31:13 | ウルトラ全般
ウルトラ怪獣を特集してるなんて知りませんでした。
先週見逃してしまい残念です。
しかし、ウルトラ38番目の弟のshoryuさんも出てられたとは驚きです。
昔からネットで知ってる人がテレビに出るというのも不思議なものです。
何というか、ネットというのはテレビと視聴者の垣根まで低くしてしまう、そういう力もあるんでしょうね。
まさに双方向メディアの時代です。

内容は今週はコミカル路線の怪獣ということもあり、タロウやエース怪獣(正確には超獣)が多く出ていたのが良かったです。
さすがに80まで行くと知名度の関係かあまり出ませんが、少なくとも初代からレオまでは我々団塊ジュニア世代にとっては同時体験であり、馴染みがあります。
私と同世代若しくは若い人たちが2期の怪獣もしっかり紹介してくれたのは嬉しかったですね。
ただ、世間一般ではやはり初代、セブンが印象に残っているので、今回はややマニアックではありましたが(笑)。

内容的には怪獣が中心なのでユニタングとかが単なる色物扱いになったり、そういう不満はありましたね。
あれじゃ、エースやタロウがおふざけばかりみたいに思われかねません。
ただ、どんな形であれウルトラに興味を持っていただいて実際にストーリーを見ていただくことが大事です。
そこを入り口にウルトラの奥深さに触れることができますし。

前回は1期のエピソード、今回はウルトラ怪獣ですから、次回は防衛隊辺りでしょうか?
ただ、防衛隊にそこまで熱中してる人は少なそうなので、もう打ち止めですかね。
それとも趣向を変えて平成ウルトラマンとか。
脚本家や音楽等々、まだまだ取り上げる題材はあると思うんですがね。
ウルトラシリーズの第三弾。
是非実現してほしいですね。

怪談!雪男の叫び

2011-10-16 10:23:20 | ウルトラマンエース
話の強引さについては以前に書いたので、割愛。
ただ内容的にはかなり暗い話である。
大泉氏の飄々とした演技に助けられてるとはいえ、この仙人男のキャラはなかなか強烈。
子供向けとしてはこういう異端な男は大抵ただの悪役なのだが、今回の話では村人が超獣が出るのをTACのせいにするなどあまり好意的に描かれてないのもあり、一種被害者ぽくなってるのが面白い。
まあ、最後は救いがあるのが子供向けではあるが、石堂氏の場合、最後の救いにはあまり関心がないのか、とってつけたようなものになるのでやっつけっぽくなってしまうのだろう。

最近休暇ばかりの北斗。
本部も暇そうだったし、最近は仕事が少ないのだろう。
出動が決まったときの今野も嬉しそうだったし。
これもヤプール退場の影響か?
しかし、休暇の行く先々で超獣事件に巻き込まれていては折角の休暇が台無しである。

今回も雪の中の戦闘。
吹雪の中での光線技の応酬はまさにウルトラの醍醐味。
ふんだんに光学効果を用いており、今見ても古さを感じさせない特撮はさすがである。
タイアップで予算が余ったのだろうか(笑)。
最後の仙人男の散髪シーン。
使われてた新聞の記事が「日米最大手同士が提携」「野村とメリルリンチ」。
何とも時代を感じさせる。

本話はフブギララの出自や村人たちが助かるシーンなど脚本的な粗も目立つが、テーマはなかなかに重く、そういう点ではやや大人向けとも言える話である。
最後の村人と仙人男の和解もとってつけた感はあるが、TACを追い出したことをダンに非難されたことにより自分たちの排他性を反省するシーンもあったので、一応の筋は通っていた。
村人と仙人男の間にどういう感情の行き違いがあったかまではわからないが、盗みを働く乞食にも一分の理はあったのだろう。
異端はただ排除すればいいといいというものではない。
そういうものを受け入れる度量というものが大切なのである。

石堂氏は帰ってきたウルトラマンの「魔神月に咆える」でもMATを追い出そうとする村人を描いていた。
すなわちMATの隊長のせいで怪獣が出たと。
まあ、実際はその通りだったので村人の方が正論ではあるが、石堂氏は今回も含め、誰々のせいで怪獣が出るという展開をよく使う。
レオの最終話前でもレオのせいで円盤生物が出ると言わせていたし、別に軍隊があるから戦争が起こるという意見に対する批判でもないのだろうが、このテーマはかなり意識していたのであろう。

前述したが、最後の和解は石堂氏的には蛇足であろう。
石堂氏が描きたいのは村人=日本人の排他性、日本人の他人任せ的無責任さ。
それが見せられれば十分なのである。
その後の和解はわざわざ描くまでもなく必然的帰結。
それは日本人自ら考えて至るべき結論なのだから。

神秘!怪獣ウーの復活

2011-10-10 18:25:33 | ウルトラマンエース
今回と次回は雪山ロケシリーズ。
雪山と言えば、初代マンに出てきたウー。
これを使わない手はないと作り上げた脚本がこの作品だろう。

初代のウーとの最大の違いは父親がウーになるところ。
ただし、初代のウーは母親が化けたという明確な証拠はないので、その辺りは注意が必要だろう。
また、両者とも結局死なないで山に帰っていくのも共通点か。
まあ、初代は謎の多いストーリーだったので、二代目は子供向けによりわかりやすい話になっているという点が特徴である。

ウーばかりに注目されがちだが、エースの本来の敵はアイスロン。
こちらは超獣なのだが、何故超獣なのかの説明は相変わらずなし。
後半はこういう超獣ばかりなので仕方ないが、子どもの頃ヤプールがいないのに超獣が出続けることに混乱したのは確か。
ただ、この話で超獣は怪獣より強いということを改めて確認したのも事実である。
エースで出た怪獣は、ムルチ二代目とウー二代目だけだから、結局新しく出る怪獣は全部超獣という定義なのだろう。
タロウに出てくるベムスターはヤプール傘下でも怪獣だし。

今回の脚本は田口成光。
こちらも可もなく不可もなく。
新マンの初期を思い出させる地味な話で、あまりエースっぽくはない。
テーマもごく普通の父娘の愛情という子供向けでは定番だ。
その分、あまり印象に残る話ではないだろう。

エースは初期の設定を全て放棄したので、この時期には物語の骨子になる設定がない。
かと言って、新たな敵を設定したわけではないので、ちょっと消化試合感は否めないだろう。
そういう意味では平成ウルトラのテーマ主義で育った人には物足りないかもしれない。
ただ、だからエースがダメというのも違うであろう。

テーマがあると全体に筋が通って大した話でなくてもそれなりの意味を持たせることができる。
そういう意味では個々の脚本の弱さを誤魔化すことができるという利点もある。
しかし、少なくともウルトラにおいてはテーマに頼らなくても面白い話を作る意気込みだけは忘れて欲しくはない。
まあ、本話が平成の個々の話よりよくできているかはともかく、偶にはこういう箸休めみたいな話があるのも悪くないだろう。

怪談!獅子太鼓

2011-10-01 10:53:25 | ウルトラマンエース
解釈大作戦にも書いたが、本話は人間の怨念が物に乗り移って超獣化する話。
そういえば、エースの企画書で上原氏が構想した「ウルトラファイター」は人間の博士が超獣を作り出すという設定であった。
人間の怨念、悪意を直接的に描く石堂氏の脚本は、ある意味この企画書に則ったものと言えなくもないだろう。
本来なら人間の悪意を媒介するはずのヤプールという存在が既に消滅しているため(厳密には消滅していないのだが)本話ではその悪意がより生々しく描かれている。

「復活!ウルトラの父」ではナマハゲというよくわからない存在が人間の怨念を代弁していたのだが、本話ではより直接的に不遇な獅子舞師にそれを語らせた。
人間生きてる限り不満はあるもの。
そういう意味では普遍的な内容を持つ話とも言えなくもないだろう。
この手のプロットは今でもよく見るので、既に王道といえなくもない。
え?ナマハゲは何を代弁してたかって?
そりゃ、クリスマスが憎い生禿の気持ちなんだから、言わずもがな(笑)。

ただ、本話はプロットこそ面白いが、話の展開が乏しいのも事実。
この時期、石堂氏はタロウの企画で忙しい田口氏に代わって実質メインライターだったのでおそらく時間がなかったのだろうが、もう少し展開に工夫が欲しかった。
カイマンダーが何ものかもよくわからなかったし。
まあ、日本の古来の文化を大切にするという点はナマハゲに共通するか。

本話の最大の問題点はやはりシンタがどうやって助かったかだろう。
エースはシンタがシシゴランに吸収されていることにより苦戦した。
それなのにシンタの父が正気に戻ったらメタリウム一閃では虫がよすぎる。
この辺りはもう少し工夫が欲しかった。
どうせなら太鼓が止んだ時点でシンタが助かるとか。
この辺りも全体の練り込み不足を感じさせる。

エースにおいて石堂氏の果たした役割は大きい。
初期の企画に参加していた3人のうち2人が去ってしまい、後期エースは完全に田口氏、石堂氏の2人態勢であった。
石堂氏の脚本は基本変化球なのだが、田口氏が基本直球勝負なのでそういう意味でもバランスは取れてる。
ある意味1期の金城、佐々木の関係のようだが、石堂は佐々木ほど狙ってやってたわけではなさそうなので、少し違うか。

世間的にはウルトラを滅茶苦茶にした戦犯扱いではあるが、金城・佐々木、上原・市川と
確実に変化してるのだから、田口・石堂でさらに変化しても仕方あるまい。
今みたいに特撮のパターンが豊富な時代とは違って当時は手探りだったことも考えると、もう少し上手く書けなかったのかという批判も酷であろう。
個人的には行き過ぎも多く看過できないところもある脚本家ではあるが、その実力はさすがと言わざるを得ない面もあり、功罪半ばする脚本家。
ウルトラ愛は感じられないが、逆にそれだからこそのプロの仕事も感じられる脚本家ではある。

パンダを返して!

2011-10-01 10:28:53 | ウルトラマンエース
パンダを返して!

まさに当時の少年少女たちの悲痛な叫びが最後の「!」に込められてます。
私はこの放送当時はまだ0歳だったのでもちろんリアルタイムではありませんが、いくらか物心ついた頃にランラン死亡がニュースになってたのを覚えているので、当時のパンダブームに関しては何となく肌で理解できます。
黒柳徹子が中心になって童童(トントン)の名前を募集したり、パンダというのは今と比べても国民の一大関心事でしたよね。

そういうパンダブームに便乗する形で作られたのがこの「パンダを返して!」。
まあ安易と言えば安易ですが、こういうので一本話を作ってしまうというのも時代を映していて面白いと言えば面白い。
まあ、正月第一弾がこれってのもある意味物凄いですが(笑)。

そういうわけで、お話自体には取り立てて可もなく不可もなく。
巷では窃盗犯を死刑にするエースは非情だなんて声もありますが、巨大化した時点で既に存在が殺人未遂なので正当業務行為で葬られるのは法的にも仕方ありません。
そもそも不法侵入の宇宙人という時点で人権などないので、スチール星人の身から出た錆でしょう。
まあエースも不法侵入の宇宙人なのですが、まあその代り地球防衛してくれてますから(笑)。

スチール星人の目的は何と、パンダを盗むということ。
しかも地球人があれだけ熱中してるからすごいものに違いないという思考停止状態であります(笑)。
この辺りはみんなが騒ぐからAKB凄いというのと同レベルで、メディアリテラシーの不足ですかね。
全スチール星人がこういう輩だとは思いたくないので、宇宙囚人303みたいなものだと解釈しておきましょう。

今回は何といってもスチール星人役の大村千吉氏が印象深い。
ウルトラシリーズではキングストロン編でのマンションの管理人役など、どうでもいい(笑)脇役が多いですが、今回では敵対する宇宙人役。
まあ、同じ宇宙人役でも成瀬昌彦氏とは大違いですが、黒マントを翻しパンダグッズを奪っていく姿は様になってました。
工場の用務員に変身した時の耳の聞こえない演技など、これもリアルでしたし。
いずれにせよ、存在感でなんとかなってしまう稀有な俳優の一人なのは間違いないでしょう。

本話は正月第一弾ということで、基本ほのぼのした作りになってます。
パンダ堂の主人など、こっちもスチール星人に負けず劣らずのパンダキチガイですし(笑)。
正月ののどかな雰囲気の中跋扈する怪しい星人。
色々な意味で時代を感じさせ、見てて懐かしい気持ちになります。
今なら子役ももっと垢抜けてるのを使うでしょうが、ダンとそのガールフレンドは当時の子どもそのまま。
そこはかとないノスタルジーを私なんかは感じてしまいます。