浦和河童便り

埼玉・浦和のオヤジ(浦和河童)が「吹奏楽メインで、時々、オーケストラのコンサートに行ってみた」という話

ヤマハ吹奏楽団 特別公演2017(東京公演) 《奏でる匠のオト》

2017-09-16 20:48:30 | 吹奏楽

私が初めて、「ヤマハ吹奏楽団浜松」の演奏を聴いたのは何時のことだっただろう?

今回、東京公演を聴くにあたりそんな事が気になりました…。

思い起こしてみると、多分、平成24年(2012)10月28日に宇都宮市文化会館で行われた第60回全日本吹奏楽コンクール、職場一般の部での演奏が初めてだったような…。(たぶん…、おそらく…。)

素晴らしい高昌帥先生の「エッセイ」には、とても感動しました。

ただ、全国大会という各団体の“熱気”にいささか疲労していた私は、もっとじっくりとヤマハを楽しみたいなぁと思った記憶があります。

 

これまで、日本の吹奏楽界に多大なる貢献してきたヤマハが、その活動の幅をより広げるために、2015年から、『吹奏楽コンクールへの参加と大都市圏でのコンサート開催を1年おきに計画し、2年を1つの周期とする活動を開始』(プログラムの押木団長の挨拶より抜粋)しました。

これは、私のような首都圏に居住するものにとって朗報です。

今年はコンクールでヤマハの勇姿は見られませんが、じっくりと聴ける機会が増えたことは嬉しい限りです。

 

ヤマハの団員の皆さんは、多くの方が実際、管打楽器の制作に携わっています。

「演奏」の部分では“アマチュア”ですが、「楽器」に関しては“プロフェッショナル”の集団です。

楽器を知り尽くしているんですね。

今回の東京、大阪の特別公演の“サブタイトル”が『奏でる匠のオト』。

“楽器のプロ集団”の演奏会としては、まさに“言い得て妙”ですね!

 

“特別公演2017”は、東京公演が9月2日に行われ、このあと10月1日に“ザ・シンフォニーホールで大阪公演が開催されます。

プログラムには、東京、大阪両公演の演奏曲目が掲載されています。

私は、大阪公演には参りませんが、念のため、大阪公演プログラムも記しておきます。

 

2017年9月2日、土曜日。

場所は、新宿区初台(住所上は“西新宿”)の“東京オペラシティコンサートホール:タケミツメモリアル”。

今年で“開館20周年”を迎えたこの素晴らしいホールで日本一の『匠のオト』を堪能しましょう!!

 

[演奏]ヤマハ吹奏楽団

[指揮]須川 展也(常任指揮者)

 

《 東京公演 》

 

エル・カミーノ・レアル:アルフレッド・リード

El Camino Real : Alfred Reed

日本民謡による狂詩曲:石川 亮太

Rhapsody on Japanese Folk Songs : Ryota Ishikawa

サクソフォン独奏:須川 展也 Saxophone : Nobuya Sugawa

スウィングしなけりゃ意味がない:デューク・エリントン、真島 俊夫 編曲

It Don’t Mean a Things : Duke Ellington, arr. Toshio Mashima

シング・シング・シング:ルイ・プリマ、角田 健一 編曲

Sing Sing Sing : Luis Prima, arr. Kenichi Tsunoda

 

休憩 intermission

 

フェスティバル・ヴァリエーション:クロード・トーマス・スミス

Festival Variations : Claude Thomas Smith

フランス組曲:ダリウス・ミヨー

Suite Francaise : Darius Mihaud

Ⅰ.ノルマンディー Normandie

Ⅱ.ブルターニュ Bretagne

Ⅲ.イル・ド・フランス Ile de France

Ⅳ.アルザス・ロレーヌ Alsace-Lorraine

Ⅴ.プロヴァンス Provenc

 

〈ヤマハ吹奏楽団2006年委嘱作品〉

サウンド・オブ・ミュージック:リチャード・ロジャース、長生 淳 編曲

The Sound of Music : Richard Rodgers, arr. Jun Nagao

第1部 Part 1

第2部 Part 2

第3部 Part 3

 

《 大阪公演 》

 

アルメニアンダンス パート1:アルフレッド・リード

Armenian Dances Part 1 : Alfred Reed

フランス組曲:ダリウス・ミヨー

Suite Francaise : Darius Mihaud

Ⅰ.ノルマンディー Normandie

Ⅱ.ブルターニュ Bretagne

Ⅲ.イル・ド・フランス Ile de France

Ⅳ.アルザス・ロレーヌ Alsace-Lorraine

Ⅴ.プロヴァンス Provenc

フェスティバル・ヴァリエーション:クロード・トーマス・スミス

Festival Variations : Claude Thomas Smith

 

休憩 intermission

 

宝島:和泉 宏隆、真島 俊夫 編曲

TAKARAJIMA : Hirotaka Izumi, arr. Toshio Mashima

シーガル~サクソフォン協奏曲「バーズ」より第2楽章:真島 俊夫

“Seagull” from Saxphone concert “BIRDS” 2nd mov. : Toshio Mashima

サクソフォン独奏:須川 展也 Saxophone : Nobuya Sugawa

マイ・ラブ:ポール・マッカートニー、宮川 彬良/石毛 里佳 編曲

My Love : Paul MaCartney, arr. Akira Miyagawa, Rika Ishige

サクソフォン独奏:須川 展也 Saxophone : Nobuya Sugawa

 

〈ヤマハ吹奏楽団2006年委嘱作品〉

サウンド・オブ・ミュージック:リチャード・ロジャース、長生 淳 編曲

The Sound of Music : Richard Rodgers, arr. Jun Nagao

第1部 Part 1

第2部 Part 2

第3部 Part 3

 

始まりました。

須川先生が颯爽と登場です…。

まず、最初の曲が“エル・カミーノ・レアル”。

日本でも大人気のアルフレッド・リードの名曲です。

何度も聴いている曲ですが、こんなにサウンドが洗練されている演奏は初めてでした。

“優雅”“格調”と言った言葉が似合うパフォーマンスです。

1曲目から心を奪われてしまった“浦和のオヤジ”でした…。

 

曲が終わると須川先生のMC。

“楽器の匠”である団員の皆さんの素晴らしさを滔々と語っておられました…。

続いては、“日本民謡による狂詩曲”です。

『日本の伝統音楽に西洋のハーモニーで彩りを加えた、エンターテイメント性あふれるラプソディを!』との考え方のもとに2010年に作曲された楽曲だそうです。

全編を「津軽じょんから節」が中心になって流れ、それに日本中の“有名な民謡”が絡んでくる曲です。

何よりも須川先生のサックスがキレキレで、素晴らしかった!

懐かしい日本の情緒と現代的なポップさが“同居”した聴き応えのある演奏でした。

 

そして、次は、デューク・エリントンの名曲“スウィングしなけりゃ意味がない”、そして、ベニー・グッドマン楽団の演奏で知られるルイ・プリマの“シング・シング・シング”。

少し、お堅い曲も完璧に演奏してくれるヤマハですが、こういうジャズナンバーも素晴らしい表現力で魅了してくれます…。

ある意味、「真骨頂を発揮」と申し上げても良いのでは…。

とにかく個人のテクニックが凄すぎる!

あとは、曲が構成の仕方も抜群です。

だから、何倍も楽しく観客に伝わってくるし、演奏者自身も効果的に表現出来ているのを感じます。

ただただ、スゴい演奏でした!

 

前半が終了しました…。

予想以上のパフォーマンスに私のテンションが最高潮に達しています!

後半が始まるのが待ち遠しい…。

 

後半の最初は、ご存知、スミスの“フェスティバル・ヴァリエーション”。

吹奏楽に関わったことのある人間だったら、知らない人はいない名曲でしょう。

もう、作曲されて35年経つのですね…。

ヤマハも作曲された翌年にコンクール自由曲として全国大会で演奏しているそうです。

月並みな言い方ですが、「素晴らしい演奏でした」。

ただ、“ホルン殺し”の曲を書くことで有名なスミスにヤマハのホルンパートが多少、“罠にはまって”いたのは、かえって興味深かったですが。

曲の最後の一音がまるでパイプオルガンのように“ズーン”と客席に響いてきたのが印象的でした。

いずれにせよ、この名曲の真価をあらためて認識させてくれた“名演”!!

 

次は、吹奏楽曲としては古典的名曲と知られるミヨーの“フランス組曲”です。

ノーブルで、そのくせ素朴でキラキラしている…。

そんな演奏でした。

音楽で表現できる様々な“安心感”をセットにして届けてくれているような落ち着いた時間を作り出してくれましたね。

 

そして、トリが2006年に長生淳先生に編曲を委嘱された“サウンド・オブ・ミュージック”。(『特によく知られた曲を選んで3部仕立てに編曲』したそうです。)

パイプオルガンも加わった壮大な演奏でした。

“音楽での表現”とはこういうものであったかと、あらためて考えさせてくれるようなパフォーマンスでしたね。

ブラヴォーです!

そして、このミュージカルの音楽をトリに持ってきた理由がわかるような気がしました…。

 

アンコールは以下の通りです。

 

予想はしていましたが、本当に楽しめました!

ヤマハのコンクールに2年毎にしか参加しないのを聞いた時は少し残念に思いましたが、こういう演奏会を首都圏でも開いて頂けるのでしたら、かえってこの方が良いかも、と思った“浦和のオヤジ”でした…。

Twitterにも書きましたが、

《ただ、ただ、感動!ヤマハは、やはり日本一のアマチュア吹奏楽団です!!》


第58回埼玉県吹奏楽コンクール 大学Aの部、職場一般Aの部(第23回西関東吹奏楽コンクール予選)

2017-08-26 22:30:05 | 吹奏楽

さあ今年も吹奏楽コンクールの季節がやってまいりました!

コンクール会場の緊張感、各団体の息吹が伝わってくるような“生の空間”は身震いするほど私にとって心地よい…。

大げさではなく、現実に疲れた、この刹那に“生きる力”を与えてくれるような気がするのです、少なくとも私にとっては…。

 

これから、全国大会までコンクールを聴き続けていけたら良いと思っています…。

まずは、地元、埼玉県大会、大学Aの部、職場一般Aの部から。

2017年7月30日、日曜日。

勝手知ったる(?)さいたま市文化センターと向かったのでした。

早速、ホール内へ。

購入したプログラムで出場団体等を確認します。

大学は…、やっぱり文教大学と埼玉大学だけですか…。

うーん、これは寂しい限りです。

吹奏楽のレベルの高い埼玉県としては、とっても残念ですね。

職場一般は19団体ですか。

曲の面から見てみましょう。

まずは、課題曲。

大学は、2団体ともⅠですね。

職場一般はⅠが6団体、Ⅱが4団体、Ⅲが2団体、Ⅳが5団体、Ⅴが2団体。

でした。

また、職場一般の課題曲別の金賞獲得率(金賞/演奏団体数)は、Ⅰが50%、Ⅱが25%、Ⅲが0%、Ⅳが0%、Ⅴが100%。

一見、Ⅴが有利なように思えますが、難解で高度な技術が必要なことに加えて、演奏しているのが、アンサンブルリベルテと川越奏和だという事実を勘案すると微妙ですね。

自由曲はどうでしょう?

全団体を通じて新規の委嘱作品は文教大学のみ。

ちなみに大学2団体は、吹奏楽オリジナル曲でした。

職場一般は、吹奏楽オリジナル曲が10団体、オーケストラなどのアレンジ曲が9団体とほぼ拮抗しています。

金賞受賞もオリジナル、アレンジとも3団体と同数ですね。

今回は、オリジナル曲では高昌帥先生の「ウインドオーケストラのためのバラッド」を3団体が自由曲として選びました。

また、アレンジ曲では、「ダフニスとクロエ」を2団体が演奏し、2団体とも金賞を獲得しました。(川越奏和、与野)

個人的な感想ですが、自由曲的には少し、面白みに欠けていたかも…。

余談は、この辺にして本題に戻りましょう!

コンクールが始まるようですよ…。

 

【2017年度全日本吹奏楽コンクール課題曲】

Ⅰ.江原 大介/スケルツアンド(第27回朝日作曲賞受賞作品)

    EHARA, Daisuke/Scherzando

Ⅱ.木内 涼/マーチ・シャイニング・ロード

    KIUCHI, Ryo/March Shining Road

Ⅲ.保科 洋/インテルメッツオ

    HOSHINA, Hiroshi/Intermezzo

Ⅳ.西山 知宏/マーチ「春風の通り道」

    NISHIYAMA, Tomohiro/March “Path of the Winds in the Spring”

Ⅴ.川合 清裕/メタモルフォーゼ~吹奏楽のために~〔※高校・大学・職場一般のみ〕

  (第9回全日本吹奏楽連盟作曲コンクール第1位作品)

    KAWAI, Kiyohiro/Metamorphosis for Wind Orchestra

 

《大学Aの部》

 

1.文教大学 (指揮)佐川 聖二

 [課]Ⅰ[自]幽遠の譜(鈴木 英史)

私にとって、今年最初のコンクールで“遭遇”した団体が文教大学なんて、何て幸せなことでしょう!

この日の基準となる演奏になりますね。

課題曲が始まりました…。

アサイチなのにこの“音圧”、よく響いています。

曲のまとめ方は、ピカイチです!

スピード感、スケール感、何をとっても文句の付け様がありませんでした…。

自由曲は、鈴木英史先生の委嘱作品ですね。(浦和学院高校との“合同委嘱”)

ダイナミクスのバランスが絶妙です。

ppがきれいですね。

サウンドが溶け合っていて、それが、曲の持つ雰囲気を醸し出しています…。

定期演奏会で聴かせて頂いた時も素晴らしいとは思いましたが、確実に“進化”していました。

迫り来る“何か”を感じられました!!

【金賞・代表】

 

2.埼玉大学 (指揮)松元 宏康

 [課]Ⅰ[自]吹奏楽のための音詩「輝きの海へ」(八木澤 教司)

先日もサマーコンサートに行かせて頂いた埼玉大学の登場です。

真摯な演奏が好印象で頑張ってほしい団体です。

まずは、課題曲Ⅰです。

各パート、個人の掛け合いが軽快で素晴らしかった。

人数が少ない分、個人の表現力でカバーしていると感じました。

ただ、少しだけ、低音部の“薄さ”が気になりましたが…。

何れにせよ、コンパクトにまとまった“好演”でした!

自由曲は美しい曲で、出だしのピッコロソロが爽やか…、いきなり心をつかまれてしまったようです。

クラリネットが5人しかいない?

でも、サウンドが適度にブレンドされていて、曲にあった響きを聴かせてくれます…。

細かいミスはありましたが、安心して聴ける演奏でした。

【銀賞】

 

《職場一般Aの部》

 

1.Amabile Band Ensemble (指揮)中林 恵子

 [課]Ⅱ[自]日本民謡による幻想曲~「砂山」の主題による(S.ヘイゾ)

プログラムには、35名って書いてありますけど、15名くらい?

課題曲は、マーチですね。

人数が少ないので仕方ない部分があるとは思うのですが、メロディパートと伴奏パートのバランスが悪いように感じました。

それと金管楽器のピッチが気になりました…。

自由曲は物悲しい日本古来のメロディを美しく歌っていました。

コンパクトなアンサンブルは好感が持てました。

ただ、もっと根本的な部分で演奏をみがく必要があるのではと思いました。

それと…、演奏には関係ないのですが、ユーフォニアムの方が悠然とピアノ演奏に向かう姿がカッコ良かった。

【銅賞】

 

2.伊奈学園OB吹奏楽団 (指揮)宇畑 知樹

 [課]Ⅱ[自]歌劇「アンドレア・シェニエ」より(U.ジョルダーノ/arr.宍倉 晃)

昨年の金沢での全国大会、「ラッキードラゴン」での金賞、素晴らしかった!

今年も期待しています。

課題曲の出だしで少しだけ金管楽器が合わなかった?

軽快と言うより重厚なマーチでした。

さすがに実力のあるバンドだけあってメロディラインの歌い方が観客を魅了しますねぇ。

聴いている方も大安心のパフォーマンスでした!

今年の自由曲はオケのアレンジ曲ですか。

伊奈学園OBは、吹奏楽オリジナル曲のイメージがあるのですが…。

ところが、そんな私の気持ちを振り払う素晴らしいパフォーマンスが待っていたのでした。

まずは、メロディの歌い方がスゴい。

美しいメロディをより美しく聴こえるように工夫されています。

そして、サウンドが柔らかい。

個人的に思うに金管楽器の音がキレイです。

迫力があって、聴き手を魅了する演奏でありました!!

【金賞・代表】

 

3.大宮シティウインドオーケストラ (指揮)高石 祐一

 [課]Ⅱ[自]ノアの方舟(B.アッペルモント)

課題曲の冒頭、トランペットの音が不明瞭だったのが気になりました…。

全体的に木管楽器の音が弱い。

だから、メロディラインが浮かび上がって来ない。

全体的なバランスのせいでサウンドが溶け合っていないような…。

軽快な雰囲気を出していたので、残念に思いました…。

自由曲は、とても丁寧に演奏されていますね。

音楽の流れが出来ています。

反面、ダイナミクスの振り幅が狭いので単調に聴こえるような…。(特に全員合奏のところ)

ソロパートもメロディをもっと歌い上げて欲しかった…。

曲の最後のppは、もっとデリケートに…。

【銅賞】

 

4.青木フィルハーモニー吹奏楽団 (指揮)酒井 敦

 [課]Ⅲ[自]「三つのジャポニズム」より Ⅲ祭り(真島 俊夫)

課題曲Ⅲですか。

青木フィルのサウンドに合った課題曲だと思いました。

出だし、唐突に始まったような感じがして、もっと繊細さがあればなぁ。

だから、少しバタバタ感がありました。

それと、多少、舞台上での“音の停滞感”を感じたのは私だけでしょうか?

しかしながら、サウンドの柔らかさは、さすが青木フィルだと思いました。

自由曲は、真島先生のジャポニズムです。

表現力が豊かで、リズムの正確さが際立っていました。

また、スローテンポな部分では独特の世界観を作り上げていましたねぇ。

そして、サウンドが溶け合っているのが、とても心地よい…。

ただ、敢えて言わせて頂けるのならば、もう少し、華やかさがあれば良かったかも。

【銀賞】

 

5.浦和吹奏楽団 (指揮)山田 昌弘

 [課]Ⅰ[自]ウインドオーケストラのためのバラッド(高 昌帥)

課題曲の冒頭、微妙な音のズレを感じました。

ステージを見ていて思ったのですが、サックスとクラリネットが同じ人数なんですね…。

音の響いているパートとそうでないパートに差があるので、多少、サウンドに“雑味”と“バランスの悪さ”を感じました…。

それでも、スマートでスケールの大きな演奏に聴こえるのは、さすが実力団体と言うべきでしょうか?

自由曲は、高先生の“バラッド”ですね。

激しい曲なので華麗な演奏を期待したいです。

冒頭のトランペットソロ、艶っぽくていいですねぇ。

金管楽器主体の曲なのでサウンドに合っていて良い選曲だと思います。

ただ、アクセントを効かせるところに、もっとパンチがあれば、この曲の特性をより活かせるんじゃないかと思った次第。

曲が進み、華やかに終わりましたが、“何となく感”も漂っていたような…。

もっとドラマチックな感じを醸し出せればと思いました。

【銀賞】

 

6.あおぞらハーモニー吹奏楽団 (指揮)阿部 和博

 [課]Ⅰ[自]バッハの名による幻想曲とフーガ(F.リスト/arr.田村 文生)

やっぱり、課題曲の冒頭の音の掛け合いがうまくいっていないのが、惜しかった。

うまい表現ではないかも知れませんが、“止まる”瞬間がある…。

メロディパート(スローテンポの部分)の歌い方がもっと感情移入していれば良かったかも。

自由曲は、全国大会でも数々のバンドが挑戦し、名演を残している曲ですね。

まずは、ソロパートの皆さんを称えたい。

美しいです。

全体的なバランスを考えると単調な感じは否めませんでした。

ただ、淡々と音符をこなしているような…。

もっと、なんというか…、たたみかけるものがあればなぁと思いました。

それでも後半に入ると徐々に盛り上がってきましたね。

もっと音が前に出ていると良かったかも。

【銅賞】

 

7.川越奏和奏友会吹奏楽団 (指揮)佐藤 正人

 [課]Ⅴ[自]バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲より 夜明け、全員の踊り(M.ラヴェル/arr.佐藤 正人)

課題曲は、リベルテと同じⅤです。

さすがに川越奏和、音の伸びが違います。

別格の安定感です。

研ぎ澄まされたリズム、がっちりとスクラムを組んでいるようなアンサンブル。

何よりも“音圧”がスゴイ!!

“本気”を感じました!

自由曲に「ダフニスとクロエ」を選ぶなんて…。

ある意味、驚きですね。

川越奏和のサウンドは、どちらかと言うと硬質なサウンドの印象があるのですが、それを“封印”したかのような艶っぽさがありました。

音楽に流れがあって、まるで“絵巻物”を見ているよう…。

いろんな意味で「迫力のある」演奏でした!

昨年の「県大会敗退」の悪夢を払拭して、王者に返り咲いて頂きたい!

【金賞・代表】

 

8.ソールリジェール吹奏楽団 (指揮)佐川 聖二

 [課]Ⅰ[自]ウインドオーケストラのためのバラッド(高 昌帥)

私が行く吹奏楽のコンサートの指揮者では、圧倒的に佐川聖二先生に“お会いする”機会が多い。

そして、この日も文教大学に続いて“2度目の佐川先生”です…。

まずは、課題曲Ⅰです。

何より、サウンドがやわらかくて美しい。

諧謔味があって、弾むようなリズムが心地よいです。

実に整理されたアンサンブルだと思いました。

ただ、個人的には、多少、迫力を感じられる部分もあって良かったかなと思いました。

自由曲は、本日2回目の「バラッド」です。

冒頭のトランペットやソプラノサックスのソロは、迫力があって素晴らしかった!

音楽に流れがあって、同時に迫力もあるので、ごく自然にサウンドが耳に入ってくる。

本当に何の違和感もなく、“ごく自然に”です。

この雰囲気を出せること自体、特筆に値します!

素晴らしいパフォーマンスですね。

ただ、あまりにも素晴らしい演奏だから、敢えて言わせてもらえば、この曲の特性から考えると「粗野」な部分も含まれるとパーフェクトだったかもしれません。

【金賞・代表】

 

9.与野吹奏楽団 (指揮)森田 新一郎

 [課]Ⅰ[自]バレエ音楽「ダフニスとクロエ」(M.ラヴェル/arr.森田 新一郎)

与野吹奏楽団の登場です。

今年は、久し振りに定期演奏会にも行かせて頂きました…。

課題曲は…、無難に始まりました。

でも、少し、“ふわっと”始まったかなぁ。

各パートのつながりを意識したアンサンブルの好演だったと思います。

それと楽器の配置なんですが、木管楽器を横に広げ過ぎていないでしょうか?

気のせいか音が無駄に“拡散”しているような気がしました。(もしかして、自由曲用の配置?)

自由曲は「ダフクロ」。

定期演奏会の演奏を聴いて、自由曲にするのは辞めた方がいいかなぁ、なんて思ったのですが…。

そこは、埼玉県の実力一般団体、与野吹奏楽団ですね。

しっかりとまとめてきましたねぇ。

まず、「ダフニスとクロエ」を自由曲にする場合、“夜明け”⇒“全員の踊り”が一般的ですが、“全員の踊り”を主軸に据えて他の曲を持ってきたのが効果的でした。

2番目に“猛練習の成果”?か、やたら、ソロ楽器がうまい。(貧相なソロでは、この曲の魅力が半減してしまいますからね。)

定期演奏会の時より格段の進歩です。

でも、やっぱり、“空間的な音の広がり”に欠けるような…。

そこが、「全国大会への“壁”」なのかも知れません…。

個人的には、コンクールへは“吹奏楽オリジナル曲”での挑戦を期待する“浦和のオヤジ”でした…。

【金賞・代表】

 

10.狭山ウインドシンフォニー (指揮)渡邊 芳徳

 [課]Ⅳ[自]「オセロ」より(A.リード)

         Ⅰ前奏曲、Ⅲオセロとデスデモナ、Ⅳ廷臣たちの入場

課題曲は、この日、初めて登場するⅣです。

華やかな出だしでした。

サウンドに雑味がないわけではないのですが、音色が揃っているので聴きやすい。

コンサートマーチなんだから、木管のメロディラインは、もっと出しゃばって高らかに歌い上げるのが良いと思います。

それとダイナミクスが希薄。

「大きな音」が曲全体を支配していました。

自由曲は、リードの「オセロ」ですか。

懐かしいですね。

リードと言うと皆さん、「アルメニアンダンス」に目が行きがちだけれど、私はこの曲の方が好きですね。(個人的意見です。)

ちょっと“柔らかめ”に曲が始まりました…。

全体的にピッチが気になるところが時折、出てきます。(特にホルンかな。)

課題曲同様、「大きな音」が基準になっているように感じました。

そのためは、曲の終わりの金管楽器がバテていたような…。

【銅賞】

 

11.所沢市民吹奏楽団 (指揮)吉田 謙治

 [課]Ⅳ[自]歌劇「タイス」より(J.マスネ/arr.宍倉 晃)

華やかにマーチの課題曲Ⅳが始まりました…。

サウンドが洗練されていて、都会的ですね。

だから、聴きやすく思いました。

ただ、一部で金管楽器と木管楽器のバランスが崩れて、メロディを伴奏が邪魔する事態が起こっていたのが残念でした。

全体的に“軽快なコンサートマーチ”と言うより、いい意味で“重厚さ”を感じる演奏でした。

自由曲は、宍倉先生版の「タイス」ですね。

先程から申し上げているように、いろんな観点から曲を聴かせてもらっていますが、“音楽の流れ”“空間的広がり”“音の迫力”などを兼ね備えた演奏だと思いました。

メロディラインの歌い方も美しかった。

欲を言わせて頂ければ、演奏全体を振り返って俯瞰して見てみると素人の私にはわからない“何か”が足りてない演奏のような気がしました。(少し、単調だったのかなぁ。)

【銀賞】

 

12.飯能ヴィヴァーチェ・ウィンドオーケストラ (指揮)三浦 広嵩

 [課]Ⅰ[自]「スペイン奇想曲」より Ⅰ、Ⅲ、Ⅳ、Ⅴ(N.リムスキー=コルサコフ/arr.高橋 徹)

課題曲が始まりました。

プログラムには出演人数が41名って書いてあるけど、実際は30名チョットですか?

でも、その割には、音が前に良く出ています。

アンサンブルのまとまりもよいですね。

細かいミスはありましたが、スマートな演奏に感じます。

課題は、この人数だからこそ楽器の数のバランスを考慮して曲を組み立てて行けたら良いのでは、と思った次第。

自由曲は、これまた懐かしい「スペイン奇想曲」です。

昔は、多くの団体が競ってコンクール自由曲として演奏したものです…。

金管楽器が華やかでした。(反面、金管楽器が響き過ぎで前半のクラリネットソロとか掻き消しちゃいましたね…。)

フルートのソロも良かったですね。

全体的にきれいで個人的に好印象の演奏でした。

ただ、もう少しエキゾチックな雰囲気を出してほしかった…。

【銅賞】

 

13.大宮吹奏楽団 (指揮)永薗 喜章

 [課]Ⅳ[自]「交響曲第5番」より Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ(A.グラズノフ/arr.倉津 信喜)

課題曲Ⅳの入り方は、実にデリケートに入ったように感じました。

ですが、もっとパンチが効いていた方が効果的かも知れません。

全体的にまとまりをもった演奏だと思いました。

ただ、途中で音楽の流れが途切れそうになった“瞬間”があったように感じたのは私だけでしょうか?

それと、もう少し、“音圧”と“音の広がり”があると良かったですね。

自由曲は、グラズノフですか。

吹奏楽では、珍しい選曲ですね。

もとの曲を聴いたことがないので何とも申し上げにくいのですが、おそらく、ロシアからソビエトになる時代に活躍した作曲家ですから、重厚さは半端ないのではと…。

そういう意味では、演奏を壮大な感じには思えなかった…。

ただ、演奏は丁寧でコンパクトな感じでまとまっていました…。

もっと、華やかさがあれば良かったですね。

【銀賞】

 

14.桶川市民吹奏楽団 (指揮)花坂 義孝

 [課]Ⅱ[自]歌劇「トロヴァトーレ」より バレエ音楽(G.ヴェルディ/arr.山里 佐和子)

課題曲はⅡですね。

金管楽器、頑張っていましたねぇ。

いや、少し音を出し過ぎかも知れません。

人数が多くないのでスケール感を出そうとしているのかも知れませんが、楽器の数のバランスがあるのだから、そこを考えたら、と思いました。

自由曲は、金管楽器の演奏が功を奏し、スケールが大きな演奏に感じました。

でも、全体のバランス的には再考の余地があるのでは。

良く練習してある“好演”でした。

最後は、あっさりした終わり方でしたね。

【銀賞】

 

15.本庄ウインドシンフォニカ (指揮)三品 喜典

 [課]Ⅲ[自]天空の騎士~吹奏楽のためのファンタジー(片岡 寛晶)

課題曲の冒頭、何かバラバラに聴こえたのは気のせいだったのでしょうか?

音が響いていませんね。(舞台上で停滞しているような感じがします。)

Ⅲのような“音楽の流れ”が重要な曲には、もっと繊細な配慮が必要です。

アンサンブルの“精査”をお願いします。

サウンドやアンサンブル的にはⅡかⅣのマーチを選択した方が良かったかも。

あと、全体的にピッチが気になりました。

自由曲は、よく練習してありますね。

タテ、ヨコ揃っていて気持ちが良い。

もっと、ダイナミクスのバランスを考えて演奏すれば、すごく良い演奏になると思いました。

【銅賞】

 

16.川口市・アンサンブル・リベルテ吹奏楽団 (指揮)福本 信太郎

 [課]Ⅴ[自]秘儀Ⅳ<行進>(西村 朗/arr.福本 信太郎)

今年ほど、“リベルテのコンクール”がスゴイと思った年はありません…。

ビックリしました…。

難曲、課題曲Ⅴからです。

多くは語りません…。

ステージ上のプレーヤーがすべて、福本先生を中心にガッチリとかみ合っているというカンジ、素晴らしい!

それはもう、アンサンブル・リベルテという“ひとつの世界”です…。

自由曲は、一昨年のコンクール課題曲であった西村朗先生の「秘儀Ⅲ」の続編、「秘儀Ⅳ」です。

<行進>とサブタイトルがついていますが、実にそれを音楽として具現化した名曲。(さすが、現代日本のクラシック音楽界を引っ張って下さっている西村先生ですね。)

「スゲー」の一言です。

まずは、他の団体とはサウンドの成熟度が違います。

そして、全員が“曲の終焉”という一点に向かう方向性は見事です。

感嘆に値します!!

個人的には、素晴らしい“リベルテのコンクール”の中でも近年にない名演だと思いました!!

そして、願わくは、この至福の12分間が終わらないでくれと祈っていた“浦和のオヤジ”でした…。

【金賞・代表】

 

17.埼玉県ユースホステル協会吹奏楽団 (指揮)熊谷 一郎

 [課]Ⅳ[自]ウインドオーケストラのためのバラッド(高 昌帥)

課題曲はマーチのⅣですね。

軽やかながら重厚に始まると言う不思議な始まり方をしたように感じました…。

それは、決して嫌な感覚ではなく、新鮮な驚きでした。

音楽に“流れ”も感じました…。

ただ、時折、微妙なピッチのズレ、そして、効果的でない音量は残念に思いましたが。

自由曲は、この日3度目の「バラッド」です。

劇的に始まりました…。

前の「バラッド」を演奏した団体は、少し大人しい演奏のように思いましたが、こちらは頑張り過ぎですかな。

アクセントを大事にすべき楽曲ではありますが、失礼な言い方を許して頂けるならば、「無造作過ぎ」です。(決して良い意味ではありませんが、迫力はあります。)

そこを修正すれば素晴らしい演奏になると思いました…。

【銀賞】

 

18.越谷市音楽団 (指揮)佐々木 幹尚

 [課]Ⅰ[自]富士山 ~北斎の版画に触発されて~(真島 俊夫)

課題曲Ⅰから。

サウンドが厚く、低音から高音までのバランスが取れているので、実に心が和みます。

ですが、多少、“軽やかさ”が加味されたら、バッチリですね。

ひとつの美術作品を見ているような演奏でした。

自由曲は、真島先生の「モン・フジ」ですね。

課題曲の方でも申し上げましたが、バランスの良いサウンドはステキです。

個人技もかなり高い。

「モン・フジ」の持つ和的な世界を見事に表現しています。

そして、その魅力を最大限に引き出したパフォーマンスでした!!

蛇足になりますが、個人的意見として、この日の演奏の中でリベルテの次に心ひかれましたね…。ジーン…。

【金賞・代表】

 

19.杉の子吹奏楽団 (指揮)小川 慎

 [課]Ⅳ[自]歌劇「トゥーランドット」より(G.プッチーニ/arr.後藤 洋)

さあ、最後の団体です。

課題曲はⅣ。

軽やかで柔和な音質、好印象です。

そして、美しいマーチに仕上がっています。

なんと言ってもサウンドのバランスがよいですね。

とても、聴きやすい演奏でした。

自由曲は、「トゥーランドット」ですか。

一時期、大流行でしたが、最近、ようやく落ち着いてきたように思います。

程よいダイナミクス、ドラマチックな展開。

課題曲の時も感じましたが、サウンドのバランスがステキです。

時折、出てくる細かいミスすら、微笑ましく感じます。

個人的に好みの演奏でした。

【銀賞】

 

全団体、聴き終えました。

正直、コンクール観戦は疲れますなぁ。

でも、面白くて辞められません。

それにしても埼玉県はレベルが高いですね。

聴きごたえがあります。

個人的な意見を言わせて頂きますとレベルは高いですが、突出した団体もあり、ある意味わかりやすいコンクールだったと思います。

 

それにしても9月17日、西関東でリベルテを聴きたいですね。

今年は、所沢で行きやすいし…。

でも、“浦和のオヤジ”は、きっと毎年恒例の東関東大会・大学、職場一般の向かうことでしょう!(気が変わったらゴメンナサイ。)

 

なお、このブログに載せられている文言は、“浦和河童”の個人的感想です。

決して、悪意を持って書かれているものではありません。

ただ、もし、ご不快に思われる方がいらっしゃいましたら、オヤジの戯れ事と思い、ご容赦頂ければ幸いです。

 

それとこのコンクールが終わってから1ヵ月近く経ってしまったことを深くお詫び申し上げます。

浦和河童


埼玉栄中学・高等学校吹奏楽部 第41回定期演奏会

2017-06-25 19:33:50 | 吹奏楽

数えてみますと埼玉栄中学・高等学校吹奏楽部の演奏会を聴かせて頂いて、今回で8回目になります。

定期演奏会は、2012年の第36回からこの日を含めて6回。

その他にサントリーホールで行われた「第40回定期記念コンサート」と第9回の“秋演”の2回で合計8回です。

特に定期演奏会は、6代に渡る在校生の“息吹”を感じることが出来て幸せでした。

もう、ここまで来ると“父兄になった気分”ですね。(春日部共栄も同様の気持ちを抱いています…。)

今年も楽しませて頂きますよ!

 

2017年6月3日、土曜日。

いつもの大宮ソニックシティ大ホールが会場です。

毎年、思うのですが2500余の客席数を誇るこのホールを昼夜2回の公演とも満席にできるのは素晴らしい。

感嘆に値します。

いつもの年ですと自分でチケットの申し込みをするのですが、今年は埼玉栄吹奏楽部の在校生、ユーフォニアムパート2年の小林七美さんに手配して頂きました。(実質上は、お母様の“のりぃ”さんが“動いて”下さいました…。)

楽でよかったです(笑)

 

先程、申し上げましたとおり、昼夜2回の公演があり、今回は「夜の部」に“参加”させて頂きました。

下記に曲目を記載いたします。(一応、「昼の部」も書きます。)

プログラムの違いをご確認下さい…。

 

[演奏]埼玉栄中学・高等学校吹奏楽部

[指揮]奥 章  萩原 奏恵  金井 良弘  宍倉 晃  大滝 実

 

【 昼の部 】

《Ⅰ》

  サモン・ザ・ドラゴン/P.グレイアム

  Summon the Dragon / Peter Graham

  マーチ・シャイニング・ロード(2017年度全日本吹奏楽コンクール課題曲Ⅱ)/木内 涼

  March Shininng Road / Ryo Kiuchi

  スケルツァンド(2017年度全日本吹奏楽コンクール課題曲Ⅰ)/江原 大介

  Scherzando / Daisuke Ehara

    アルメニアンダンス パート1/A.リード

  Armenian Dances part1 / Alfred Reed

《Ⅱ》

  Can’t take my eyes off you ~たくさんの〝ありがとうって伝えたくて〟~/吹奏楽部3年 企画・構成

《Ⅲ》

  オリンピック・スピリット/J.ウィリアムズ

  THE OLYMPIC SPIRIT / John Williams

  喜歌劇「こうもり」セレクション/J.シュトラウスⅡ世:編曲 鈴木 英史

  “Die Fledermaus” / Johann StraussⅡ: arr. Eiji Suzuki

  組曲「ロミオとジュリエット」より/S.プロコフィエフ:編曲 鈴木 英史

  From Ballet Romeo and Juliet / Sergei Prokofiev : arr. Eiji Suzuki

 

【 夜の部 】

《Ⅰ》

  サモン・ザ・ドラゴン/P.グレイアム

  Summon the Dragon / Peter Graham

  マーチ「春風の通り道」(2017年度全日本吹奏楽コンクール課題曲Ⅳ)/西山 知宏

  March “Path of the Winds in the Spring / Tomohiro Nishiyama

  インテルメッツォ(2017年度全日本吹奏楽コンクール課題曲Ⅲ)/保科 洋

  Intermezzo/ Hiroshi Hoshina

    アルメニアンダンス パート1/A.リード

  Armenian Dances part1 / Alfred Reed

《Ⅱ》

  Can’t take my eyes off you ~たくさんの〝ありがとうって伝えたくて〟~/吹奏楽部3年 企画・構成

《Ⅲ》

  ロレーヌ州行進曲/L.ガンヌ:編曲 M.ウィリアムズ

  Marche Lorraine / Louis Ganne : Mark Williams

  喜歌劇「こうもり」セレクション/J.シュトラウスⅡ世:編曲 鈴木 英史

  “Die Fledermaus” / Johann StraussⅡ: arr. Eiji Suzuki

  組曲「ロミオとジュリエット」より/S.プロコフィエフ:編曲 鈴木 英史

  From Ballet Romeo and Juliet / Sergei Prokofiev : arr. Eiji Suzuki

 

開演しました。

まずは、恒例の校歌の演奏から。

指揮は、コンサートマスターでもある谷上ロイさんです。

ハーフの方なのでしょうか、背が高く目立ちますね。

校長先生の挨拶の後はいよいよ演奏開始です。

最初の曲は「サモン・ザ・ドラゴン」。(奥先生の指揮)

吹奏楽のコンサートではよく演奏されるポピュラーな曲ですね。

そして、実に華やかな曲です。

冒頭こそ、ぼやけた感じがしましたが、曲が進むにつれて音が鳴ってきたのを感じました。

華やかさを上手に表現できていると思いました。

2曲目は課題曲Ⅳです。(指揮は萩原先生。昼の部の2曲目は、課題曲Ⅱでした。)

ものすごく明るく元気な演奏。

驚くほどきれいに音が溶け合っていて、模範的なコンサートマーチでした。

欲を言えば、もっと軽快さがあったら良かったかも。

次の曲は、同じく課題曲のⅢ。(指揮は大滝先生。昼の部の3曲目は、課題曲Ⅰでした。)

美しい曲なのですが多少、単調に感じるのは私だけでしょうか?

そこをどうドラマチックに持って行けるかがカギだと思います…。

美しく奏でられた栄の演奏は、作曲者の保科先生も、きっと喜ばれることと思います。

第Ⅰ部、最後の曲は吹奏楽では“名曲中の名曲”とも言っていい「アルメニアンダンス パート1」です。(大滝先生の指揮)

私は、この曲を今まで何回聴いたことでしょう。(おそらく、吹奏楽曲の中でイチバン聴いた回数が多い曲だと思います。)

派手で情緒が豊かな曲ですので、ミスをすると目立ちます…。

ミスがなかったとは言いませんが、それを消し去って余りある“音楽の流れ”がありました…。

特にフルートパートのサウンドが素晴らしかった。

フルートの音によって、曲の“情感”が喚起され、曲に感じた“音楽の流れ”を『先導』していたような…。

良い演奏でした。

 

第Ⅱ部は、「Can’t take my eyes off you ~たくさんの〝ありがとうって伝えたくて〟~」と題された吹奏楽部3年が企画したステージです。(指揮は、宍倉先生)

毎年恒例のエンターテインメント満載の“楽しい時間”ですね。

内容が濃すぎて、このブログの中で説明しきれないですよ、ホントに。

毎年、同じことを書いているかも知れないのですが、これはもう、実際、会場に足を運んでみるしかない。

毎年素晴らしいのですが、特に今年は、完成度が高かった!!

観客の事を心より考えた最高のパフォーマンスの連続でした!

 

休憩のあと、第Ⅲ部が始まりました。

第Ⅰ部が吹奏楽オリジナル曲のステージだったのと対称的に今度は、オーケストラ曲のアレンジもののステージです。

最初の曲は、「ロレーヌ州行進曲」。(大滝先生の指揮)

歴史的にフランスとドイツでたびたび領土を争ったロレーヌ州のことを思って、フランス人作曲家ガンヌが書いたマーチだとのこと。(“浦和のオヤジ”的には「アルザス・ロレーヌ地方と言った方がしっくりきます。」

いわゆる“行進曲”らしい曲です。

だからこそ、格調高い。

栄の演奏はサウンドが融合していて、より格調高く聴こえました。

次の曲は、オペレッタの「こうもり」です。(金井先生の指揮)

これぞ、栄の“真骨頂”ですかね。

こういう曲をやらせたら、高校では栄の右に出るものなし、です。(ある意味、“浦和のオヤジ”の勝手な“先入観”かも知れませんが。)

“音楽”に心地よい“流れ”がありました…。

演奏を聴く上で、もしかしてイチバン大事なことかもしれないのですが、栄の演奏は単純に“聴いていて楽しかった”。

それが、すべて、です。

とても良かった。

 

続いて、祝電紹介(埼玉県知事etc.)のあと、埼玉栄中学・高等学校吹奏楽部第44代主将、岩本真夏さんの挨拶です。

岩本さんの挨拶は、単純に儀礼的なものではなく、やっぱり栄の吹奏楽部の皆さんの想いが詰まっているものだと感じました。

そして、その想いが主将の言葉としてほとばしっている様は、感動に値します…。

そこには、高校の部活動を超えた“愛情の世界”があります。

素晴らしすぎます!!

 

さあ、トリの曲です。

プロコフィエフの「ロミオとジュリエット」。(奥先生の指揮)

名曲です。

実に素晴らしい時間でした。

特に曲が終わりに向かって、突き進んでいく上でたたみかけるような“音の連鎖”が素晴らしかった。

演奏者の“想い”が心に響かないわけがない、そんな演奏でした…。(感動)

今回演奏した「ロミオとジュリエット」は、いつも栄がコンクール自由曲として演奏する曲とは少し“毛色の変わった”曲ですが、だからこそコンクール自由曲として聴いてみたい気もしました…。(宍倉先生のアレンジでもないし…。ちなみにアレンジャーは鈴木英史先生ですね。)

それくらい良かったです。

 

すべてのプログラムが終わりました。

鳴り止まない拍手の中、指導されている顧問の先生方に花束贈呈。

そして、アンコール。(旭川商業高校吹奏楽部OBによって作られた合唱曲「夜明け」と「オーメンズラブ」でしょうか?違っていたら、ゴメンナサイ。)

 

“浦和のオヤジ”が栄の定期演奏会のブログ記事で最後に毎年、同じことを書いています…。

飽きている方もいらっしゃると思いますが、敢えて言わせて下さい!(笑)

やっぱり、“愛にあふれた”演奏会でした!

何の関係もない“浦和のオヤジ”でさえ、幸福な気持ちにさせてくれます。

西関東吹奏楽連盟理事長であり、長年、埼玉栄吹奏楽部を育ててきた大滝実先生が「なぜ彼らは金賞をとれるのか」(ヤマハミュージックメディア編)で、『優れた吹奏楽指導者の資質』として、まず第一に挙げられているのが『生徒に対する愛情』だとおっしゃっています。

そして、それを実践し具現化したのが栄の吹奏楽部なのですね。

顧問の先生方が愛情を注ぎ、生徒たちがそれを受け止め応える。

なんて素晴らしい世界なのでしょう!!

今後も埼玉栄吹奏楽部を“勝手に”見守り続けて行くと決意した“浦和のオヤジ”でした…。

 

最後にこのような機会を与えて下さった吹奏楽部員の小林七美さん、お母様の“のりぃ”さんに感謝致します。

コンクールも期待しています。

次の定期演奏会も楽しみにしています。必ず伺いますね!

いや、まずは“秋演”か…。

(ブログの紹介が演奏会当日より3週間も経ってしまったことをお詫び申し上げます。精神的な部分が影響し遅れがちになってしまっております…。頑張ります…。)


与野吹奏楽団 第19回定期演奏会

2017-05-20 07:01:31 | 吹奏楽

以前の与野吹奏楽団の演奏会に足を運ばせて頂いたのは、いつの事だろう?

だから、調べてみました…。

第14回の定期演奏会でした…。

5年前になるのですね、そんなに長い間、伺ってないとは思いませんでした…。

毎年、吹奏楽コンクール県大会で演奏を聴かせて頂いているので…、ふとそんな気がして。

 

2017年5月14日、日曜日。

場所は、さいたま市文化センター、いわゆる“さい文”です。(このところ、ここに通う機会が多いですね。)

地元の強みで例のごとく、“チャリンコ”で向かう“浦和のオヤジ”でした…。

 

与野吹奏楽団と言えば、西関東大会常連の実力団体です。

西関東の成績を調べてみると2008年の初出場以来、安定した結果を残していますね。

全国大会の代表には選ばれたことはありませんが、“狙える”位置にいるのでは?と思います。(ただ、やはり、西関東には、アンサンブルリベルテと川越奏和という“二代巨頭”に加えて伊奈学園OBという大きな壁がありますので、なかなかに全国大会出場が難しいのは事実ですが…。)

会場に着いて頂いたプログラムを拝見させて頂くと…、今回の定期演奏会は、3部構成になっていますね。

第Ⅰ部が、オケの曲や吹奏楽オリジナル曲のアラカルトって感じですか。

第Ⅱ部が今年の課題曲4曲とおそらく、コンクール自由曲であると思われる曲のステージです。

第Ⅲ部は、「映画音楽特集」というコンセプトのもとにセレクトされた楽曲のようです。

しっかりとした、演奏をしてくれる与野吹奏楽団。

コンサートが始まる前から、期待大です!

 

[演奏]与野吹奏楽団

[指揮]森田 新一郎(常任指揮者)

 

― 第Ⅰ部 ―

 

喜歌劇「軽騎兵」序曲/F. V. スッペ:arr.森田 新一郎

天国の島/佐藤 博昭

「GR」より シンフォニックセレクション/天野 正道

 

― 第Ⅱ部 ―

 

2017年度全日本吹奏楽コンクールより

Ⅰ:スケルツァンド/江原 大介

Ⅱ:マーチ・シャイニング・ロード/木内 涼

Ⅲ:インテルメッツォ/保科 洋

Ⅳ:マーチ「春風の通り道」/西山 知宏

バレエ音楽「ダフニスとクロエ」より/M.ラヴェル:arr.森田 新一郎

 

― 第Ⅲ部 ―

 

「カリオストロの城」Highlights/大野 雄二:arr.波田野 直彦

バンドのためのゴジラファンタジー/伊福部 昭:arr.和田 薫

スター・ウォーズ コンサート・セレクション/J.ウィリアムズ:arr.真島 俊夫

 

開演前にホール内に入ってみるとステージ上では木管楽器の皆さんがアンサンブルの真っ最中です。

実に心地よく感じます。

そして、開演。

1曲目は、クラシック音楽に詳しくない方でも一度は聴いたことがあるであろうスッペの「軽騎兵序曲」です。

サウンドが明るくていいですね。

多少、ピッチやアンサンブルに乱れがある“瞬間”もありましたが、重苦しくなく、かと言って必要以上に軽くない演奏は、さすがですね。

ある種の“雰囲気”をもった演奏でした。

2曲目は、2011年度全日本吹奏楽コンクール課題曲Ⅱでもあった「天国の島」。

北海道の西に位置するわずか外周12kmという「天売島(てんうりとう)」の印象を表現した楽曲なのだそうです。(日本テレビの「鉄腕DASH」で流れている曲なので、皆さん、一度は聴いたことがあるのでは?)

しっかりとしたアンサンブルを聴かせて頂きました。

楽しめる演奏ではありましたが、個人的好みで申し上げますと、もう少し土俗的な雰囲気が出ていると良かったかも。

さて、3曲目で第Ⅰ部は終わりです。

天野正道先生の名曲「GR」ですね。

この曲は、今年の1月28日に神奈川県川崎市の“ミューザ川崎”にて天野正道先生の還暦を祝して開催された「アニバーサリーコンサート川崎公演」で浜松交響吹奏楽団の演奏を聴かせて頂いたばかりです。

「GR」は、いわゆる横山光輝原作の特撮テレビ番組「ジャイアントロボ」の略ですね。

天野先生は、この番組の音楽を担当されており、のちに交響組曲第2番「GR」として世に送り出しました。

そして、この曲の吹奏楽版を初演したのが浜松交響吹奏楽団です。

川崎での演奏は素晴らしいものでした…。

与野吹にも期待します!

曲が始まりました…。

率直に感じた事を申し上げますと天野先生の描きたかった世界を上手に表現できていたと感じました。

欲を言えば、もっともっとドラマチックな演奏でも良かったかも知れません。

それにしても、与野吹の力強い吹奏楽オリジナル曲の演奏のポテンシャルの高さには改めて感心させられます…。

この日、イチバンの演奏でした!

 

休憩です。

ステージ上とは関係なく残念であったのは、開演中に携帯の着信音が鳴ったこと。

幸い演奏中ではなく、司会の方が曲の紹介中でありましたが…。

このようなコンサートに通い慣れていない方も多かったと思いますが、最低限のマナーは守ってほしい。

そうじゃないとステージ上で真剣に観客に向き合っている演奏者の皆さんに失礼です。

 

第Ⅱ部です。

課題曲のⅠからⅣまでの演奏から。

Ⅰは…、最初、何となく“違和感”のようなものを感じた…。

それは、ほんの僅かなアンサンブルの“ズレ”であったと思います。

しかし、曲が進むにつれて“それ”は見事に“解消”されてきました…。

前にも言いましたが、明るいサウンドは好印象です。

Ⅱです。

マーチですが、バランスよくキッチリと曲が進行しているのがわかります。

但し、軽快な感じは存分に出ているのだけれど、少し大人しい感じがしたのは、私だけでしょうか?

Ⅲは保科先生の作品ですね。

上品な曲調に合わせているのか、ひとつひとつの音の処理の仕方がとても上手です。

とても雰囲気を持った良い演奏でした。

ですが、最初の方でメロディの“流れ”がスムーズに聴こえてこない事があったのが残念でした。(ミスをしたと言う意味ではありません。あくまでも、“流れ”の問題です。)

Ⅳもマーチです。

与野吹の特徴である明るいサウンドは軽快さを際立たせてくれます。

とても良い演奏でした。

欲を言えば、クラリネットのメロディラインを誇張するくらい“歌って”いたら、もっと良かったかも。

個人的にこの曲をコンクール課題曲にするのがベストだと思った次第。

 

続いては、吹奏楽界で、多くの団体が演奏してきた名曲「ダフニスとクロエ」です。

構成上からみても、この曲が今年のコンクール自由曲なのでしょう、きっと。

プログラムに「ダフクロ」の名前を“発見した”時の感想を言っていいですか?

「何故に今頃、『ダフニスとクロエ』」?

これが正直な気持ちです。

最近は、全国大会、いや支部大会ですら、この曲を演奏する団体はメッキリ見なくなりましたよね?(“飽きずに”やっているのは、高校の淀川工科くらい。)

ラヴェルの魅力を思いっきり具現化したこの曲は、その素晴らしい内容から多くの吹奏楽団体が挑戦しました。

そして、結果、多くの“名演”が生まれました。

曲が素晴らしいが故にコンクールにおいては、最も効果的な結果を残せる楽曲と言っても過言ではなかったでしょう。

それならば、何ゆえに“浦和のオヤジ”は、コンクール自由曲としての「ダフニスとクロエ」を否定するか?

それは、近年、吹奏楽オリジナル曲のレベルが格段に上がり、管楽器というものを最も効果的に“音楽”にしていくことが可能になったからです。

特に明るく“重厚さ”と同時に“軽快さ”という相反するサウンドを表現できる与野吹は、音が硬質であるが故にラヴェルの持つ“透明感”とは対極にあるような気がしてならないのです。

与野吹には、やっぱり、“吹奏楽オリジナル曲”でコンクールを勝ち進んで頂きたい。

そう願う“浦和のオヤジ”です。

 

今回の「ダフニスとクロエ」は、指揮の森田氏の編曲でもあり、今までの「夜明け」「全員の踊り」を中心としたものとは違うようですね。(ちなみにこの日の演奏は「ダフニスの優しく軽やかな踊り」「戦いの踊り」「全員の踊り」という構成だそうです。)

演奏を聴き終わった感想。

しっかりしたアンサンブル。

サウンドの重量感。

とてもステキです。

正直、聴きごたえのある演奏でした。

ですが、やっぱり、“ラヴェル感”に欠ける?

特徴である“キラキラ感”は、あまり伝わって来なかった…。

言い過ぎたかも知れません。ゴメンナサイ。

 

第Ⅲ部は、「映画音楽特集」です。

「ルパン三世」「ゴジラ」「スター・ウォーズ」の世界が満載でしたね。

肩ひじ張らずに楽しめる演奏でした。

こういう華やかな曲には、与野吹は恐ろしいくらい合っています。

今後も観客の皆さんが楽しめる企画を続けて頂きたいと思います。

 

今回のブログでは、少し熱くなりすぎてしまったかも知れません。

それも、ひとえに与野吹に期待しているが故の“暴言”だと思ってご容赦下さい。

今後も出来るだけ、演奏会に伺わせて頂きます!(バスーンの方が入団すると良いですね。)

コンクール期待しています!!

 

蛇足ながら…。

個人的に…、コンクールで高昌帥先生の「陽が昇るとき」を与野吹の演奏で聴いてみたいです…。


春日部共栄中学高等学校吹奏楽部 第31回定期演奏会

2017-05-07 04:29:58 | 吹奏楽

2017年4月29日、土曜日です。

ゴールデンウィークの初日とあって、大宮の街にも人が溢れています。

私は雑踏の中を大宮ソニックシティへと向かいました。

春日部共栄の定期演奏会が目的です。

思うに春日部共栄中学高等学校吹奏楽部の定期演奏会に初めて行かせて頂いたのは、第26回ですね。

それから、27回、28回、29回と通い、昨年は残念ながら都合で行けませんでしたが、今回の31回を迎え感慨深いものがあります。(昨年は、定期演奏会に行けなかった代わりにオータムコンサートを聴かせて頂きました…。)

特に今回は2つの意味で興味がありました。

まずは、東海大学付属札幌高校吹奏楽部を指導されている井田重芳先生がゲストであること。(井田先生って北海道吹奏楽連盟の理事長なんですね。)

そして、人気の作曲家、酒井格先生の新作委嘱作品が発表されるのも魅力です。

この演奏会の開催を実に楽しみにしていた“浦和のオヤジ”でした。

 

会場のソニックシティに到着。

開演の30分前でしたが、既に長蛇の列です。

あれ、東海大学付属高輪台高校の畠田貴生先生がホールの入口付近で走り回っていますね。

それに高輪台の生徒の皆さんも大勢来ているみたいです。

系列の高校だから、井田先生の“勇姿”を見にきたのでしょうか?

そんな光景を横目で見ながら、“浦和のオヤジ”は、ホールの中へと入るべく入口へと向かったのですが、入場を待つ人の列がゆっくりとした動きなので、なかなか前へと進まない…?

そのせいか、開演が15分程、遅れました…。

さあ、開演の時間です。

織戸先生、期待しています!!

 

[演奏]春日部共栄中学高等学校吹奏楽部

[客演指揮]井田 重芳(全日本吹奏楽連盟常任理事、北海道吹奏楽連盟理事長、東海大学付属札幌高等学校吹奏楽部顧問)

[指揮]織戸 祥子

     甲斐 早矢花

 

前奏曲「アプローズ」/真島 俊夫

A Prelude to Applause/Toshio Mashima

148の瞳(世界初演)/酒井 格

One hundred forty eight Eyes/Itaru Sakai

2017年度全日本吹奏楽コンクール課題曲より

メタモルフォーゼ~吹奏楽のために~/川合 清裕

Metamorphosis for Wind Orchestra/Kiyohiro Kawai

アリランと赤とんぼ/朝鮮民謡・山田耕筰:高 昌帥 編曲

Ariran and Akatonbo/Korean Folk Song, Kosaku Yamada : Arr. Chang Su Koh

バレエ音楽「三角帽子」/M.ファリャ:保科 洋 編曲

El Sombrero de Tres Picos/Arr. Hiroshi Hoshina

終幕の踊り

Danza Final(Jota)

 

― 休憩 ―

 

KA-GU-RA/福田 洋介

KA-GU-RA for band/Yosuke Fukuda

飛行の幻想/R.シェルドン

Visions of Flight/Robert Sheldon

 

《井田重芳先生を迎えて》

復興への序曲「夢の明日へ」/岩井 直溥

Dreams of Tomorrow Overture for Rebuilding/Naohiro Iwai

トランペット吹きの子守歌/L.アンダーソン:岩井 直溥 編曲

A Trumpeter’s Lullaby/Leroy Anderson : Arr. Naohiro Iwai

フォー・ブラザース/J.ジュフリー:岩井 直溥 編曲

Four Brothers/Jimmy Giuffre : Arr. Naohiro Iwai

青春の輝き/R.カーペンター:星出 尚志 編曲

I Need to be in Love/Richard Carpenter : Arr. Takashi Hoshide

歌謡曲メドレー

J-POP Medley

 

五つの沖縄民謡による組曲/真島 俊夫

Five Okinawan Songs for Band/Toshio Mashima

 第2楽章 芭蕉布

  Ⅱ Bashow-Fu(Bashow Cloth)

 第3楽章 安里屋ゆんた~谷茶前

  Ⅲ Asadoya-Yunta ~Tanchame

 

[司会]弦本 縁加

 

最初の曲は、真島俊夫先生の作品。(それにしても、真島先生が昨年亡くなられたことは、私にとっていまだにショックです。)

この曲(前奏曲「アプローズ」)は、真島先生の母校である神奈川大学吹奏楽部が1984年から1988年に達成した全日本吹奏楽コンクール5年連続金賞受賞の“お祝い”に作曲されたものなのだそうです。

共栄の演奏も曲に花を添えていましたね。

まずは、各ソロの皆さんが素晴らしい。

曲のはじめの方こそ、いくらか“不明瞭感”がありましたが、徐々に修正されてきました。

真島先生特有の“華やかさ”と“重量感”を巧みに表現したステキな演奏でした。

“口開け”にふさわしい曲でしたね。

 

続いては、私も楽しみにしている酒井格先生の委嘱作品です。(当然、この日が“世界初演”ですよね!)

この曲(「148の瞳」)は、顧問の織戸祥子先生の依頼で作曲されたそうで、小説の『「二十四の瞳」をヒントに、共栄高校の生徒たちと日々奮闘する織戸先生の姿を』、「二十四の瞳」の主人公である『大石先生の姿と重ね合わせて書』いたそうです。

「148」には意味があるのだそうですが、プログラムの「曲目解説」には、明かされていませんでした…。(演奏後に酒井先生のインタビューの中でも“説明”されていなかったような…。もしかしたら、私が聞き漏らしている可能性もありますが…。)

曲は、サックスのアンサンブルから始まり、他の木管にも受け継がれていく…。

どことなく、メルヘンチックなところもあり、繊細な酒井先生らしい楽曲です。

素晴らしい曲でしたし、素晴らしい演奏でした!

この曲が共栄のコンクール自由曲になるのでしょうか?

そうだとすれば、共栄の繊細さを知らしめる絶好の機会となりますね!

ちなみに酒井先生は会場に来ておられました。

 

続いては、今年の課題曲Ⅴの演奏です。

私は演奏者ではありませんので、よくわからないのですが、何でも“難曲”なのだそうです。

それにしても、今年だけの話ではないのですが、「課題曲Ⅴ」って共栄に合ってますよね。

毎年の「課題曲Ⅴ」は、作曲者は違えども現代曲なところは共通しており、より正確なアンサンブルが要求されると思います。

そこに共栄の技術力はピッタリ合っているし、何よりもサウンドが実にマッチしている。

神奈川大学に似た若干、硬質なサウンドは、吹奏楽オリジナル曲を演奏するのに最適です!

とても、好感の持てる演奏で“仕上がって”いました!(そう言えば、プログラムに書いてありましたが、神大も指導されている中村俊哉先生が音楽監督なんですね。以前のブログにも書いたと思うのですが、神奈川大学とサウンドが近く感じる理由が“ここ”にあるのですね…、きっと。)

また、作曲者の川合清裕先生が来場されていました。

 

次は、私も大好きな作曲家、高昌帥先生の「アリランと赤とんぼ」です。

共栄と高先生と言えば、まず思い出されるのが、「アッフェローチェ」ですかね。

いい曲です。(個人的に一番好きな曲は、「陽が昇るとき」ですが。)

この曲は、在日コリアンである高先生が大阪府内の朝鮮学校の吹奏楽部が大阪府吹奏楽連盟に加盟して20年を記念して書かれた作品なのだそうです。

『親善の意味も兼ねて、朝鮮半島の代表的な民謡「アリラン」と山田耕筰作曲の童謡「赤とんぼ」を使って吹奏楽曲に編曲できないかとの提案を受けて書かれた』とのこと。

吹奏楽で「アリラン」と言えば、チャンスの「朝鮮民謡の主題による変奏曲」がありますが、高先生の作品は、これとは少し趣きを異にし、「アリラン」と「赤とんぼ」が上手く組み合わされたしっとりとした情緒あふれる曲でした。

共栄の演奏は、2年生中心のパフォーマンスでした。

途中、多少、アンサンブルにズレが生じるような瞬間もありましたが、高先生の描き出す“イメージ”をうまく捉えた“好演”だと思いました。

高先生も会場にお見えになっておられました。

 

さあ、前半、最後の曲は趣きを変えて、ファリャの「三角帽子」ですね。

余談になりますが、「三角帽子」って最近、流行っているのでしょうか?

だって、去年の全国大会、高校の部では、市立習志野と伊奈学園がやってましたよね。

偶然でしょうか?

余計な事は置いといて、演奏の方に話題を移しましょう。

今回は、保科洋先生の編曲のようです。

共栄くらいの実力校になるとなかなか味のある演奏をしますね。

“華麗”な雰囲気がよく出ていて、曲の本質をついていると感じました。

吹奏楽オリジナル曲の印象が強い共栄ですが、オーケストラ曲になると“違う顔”も見せてくれたのは、実に興味深く思いました。

ただ、大好きな共栄だから敢えて言わせてもらいますが、少し、いろんな意味でメリハリが欲しかったかも。

派手で華やかな曲だからこそ、力任せに演奏すると、単調な感じが強くなるような。

そんなふうに少しだけ思いました…。

 

休憩です。

前半だけでお腹いっぱいなくらい楽しめました。

後半にも期待できますね。

何せ、井田先生の登場もありますから!

 

プログラムに載ってなかったのですが、後半、最初の曲は今年3月に尼崎市で行われた第40回アンサンブルコンテスト全国大会に出場したサックスパートの皆さんです。

曲は、アラン・ベルノーの「サクソフォン四重奏曲」より第四楽章。

かなりの難曲で高校生では初の全国大会での演奏だったとのことです。

素晴らしい演奏でした!ブラヴォー!

“浦和のオヤジ”は多少、ウルッってきちゃいましたね…。

 

続いては、春日部共栄中学の皆さんの演奏です。(指揮は甲斐早矢花先生にかわります。)

「さくらのうた」「風之舞」などで有名な福田洋介の作品(KA-GU-RA)。(福田先生と言えば、昨年12月にウェスタ川越で開催された東邦音大の演奏会で指揮、指導されていらっしゃいましたね。私も行かせて頂きました。とても、良い演奏会でした。)

『この曲は、日本の民族音楽「神楽舞」の持つ神秘的かつ土俗的な世界観に触発され、作曲され』たそうです。

演奏の人数は18名?でしょうか。

まだ、“若い”演奏ではありましたが、芯のしっかり通ったパフォーマンスを堪能させて頂きました。

また、前半の方で和太鼓を演奏していた女生徒のバチが折れて後ろに飛んで行きましたが、そこで慌てず何事もなかったかのように演奏していたのには感服。

 

そして、今年も演奏しますね、「飛行の幻想」。

毎年、定期演奏会で高校の新入生だけで演奏され、いわば“デビュー曲”となっている楽曲です。(私もこの曲を聴くのは5回目なんですね…。)

確かに細かいミスはありました。

でも、1年生にして、このサウンド。

共栄は、しばらく安泰です!

 

そして、ここから、井田重芳先生の登場となるのですが、舞台の準備に時間がかかるとのことで来場されている作曲家の先生方のインタビューです。

まずは、酒井先生から。

いろんなお話をして下さったのですが、委嘱作品について、顧問の織戸先生もサックスが専門だし、共栄のサックスは良いプレーヤーが多いので、その点にこだわって作曲されたとのことでした。

続いて、高先生と課題曲Ⅴの作曲者である川合先生が揃って登場。

何とお二人は師弟関係にあるそうです。(もちろん、高先生が“師”です。)

その“弟子入り”の時のエピソードが面白かった。

何でも弟子にして欲しくて、川合先生が演奏会の楽屋に直接、押しかけたのだとか。

まるで、「落語家の弟子入りみたいだ」と高先生。

そんな楽しいお話に会場も大いに和みました…。

また、河合先生は、“恐ろしい”変拍子の多い課題曲Ⅴについて、課題を持って演奏して欲しいから、“難曲”にした、と。

 

さあ、ステージの準備ができたようです。

いよいよ、井田先生の登場です。

井田先生がステージに上がると気のせいか空気がグッと締まる感じがしました。

曲は、上記のとおりです。(なお、「歌謡曲メドレー」は、“港町十三番地”“涙そうそう”“笑点”“全力少年”“花は咲く”でした。聴き書きですので間違っていたら、スミマセン。)

それにしても井田先生の弁の立つこと!

初めてお話をお伺いしましたが、ある意味、驚きでした。

写真とかで拝見するイメージから少し怖い感じの方(失礼!)なのかなと思っていましたら、さにあらず。

楽しいお話の連続に会場は爆笑の連続でした!

特に全体的にクソ真面目(これまた失礼!)な印象のある共栄の生徒とのある意味、チグハグ?な掛け合いが可笑しかった!

井田先生の登場でいつもの定期演奏会とは少しだけ違った雰囲気になった部分もありましたが、たまには、“これ”もありかなと思った次第。

実に楽しいステージでした!

 

名残惜しいのですが、いよいよ最後の曲です。

「五つの沖縄民謡による組曲」。

真島先生の作品です。

何よりも真島先生の作品でコンサートが始まり、真島先生の曲でコンサートが終わるなんて何てニクイ演出でしょう!

演奏もトリの曲にふさわしく素晴らしかった!

沖縄の独特の雰囲気を見事に表現して聴きやすかった。

そして、聴いているうちにこの曲をトリにもってきた意味がわかったような気がしました…。

 

花束贈呈のあとは、アンコールです。

曲は上記の通りです。(定番の“フーテナニー”を聴くと時の流れを感じます…。)

 

思った以上に楽しい演奏会でした。

そして、共栄らしさを存分に発揮した演奏会でした。

以前に何度も申し上げているとおり、私は春日部共栄の音楽に対峙する“意識”が好きです。

その“ひたむきさ”“真面目さ”“新しい楽曲に挑戦していく姿勢”が大好きです。

そして、これからも「ラッキードラゴン」のような名曲を世に送り出して下さい。

また、春日部共栄吹奏楽部の“伝統”を守り抜いて頂きたい。一ファンとして、切に願うばかりです。

 

今年もコンクール頑張って下さい!

織戸先生に変わられてから、銅、銀と成績が上がっていますから、今年の全国大会は“あれ”しかないですね!

期待しています。

最後にこのような機会を与えて下さった2年生の宮﨑麻帆さんに感謝致します。

次はオータムコンサートに行かせて頂きますね!

 

[追記]

ここ数ヶ月、心身共に疲れ果てていたため、ブログの更新が出来ませんでした。

これからは、“復活”したいと思いますので、良かったら、これからも「浦和河童便り」をお読み頂ければ幸いです。