こころの声に耳をすませて

あの結婚生活は何だったのだろう?不可解な夫の言動はモラル・ハラスメントだった…と知ったウメの回想エッセー。

夫との旅行

2005-10-31 21:04:25 | モラ夫の特徴
 秋、行楽シーズンだ。これから少しずつ紅葉も始まる。山々、街路樹、公園の樹木たちが色鮮やかに染まり、私達の目を楽しませてくれるだろう。私は旅行が好きだ。結婚する前は友人たちとあちこちへ出かけた。紅葉を見上げながら入る露天風呂は最高だ。友人と温泉につかりながら、長々とおしゃべりをしたものだ。

 結婚後はたまに、夫と旅行をした。初めの頃は、夫との旅行が楽しみだったが、それはどんどん苦痛になっていった。
 まず夫が「旅行に行こうか」と言いだし、あそこがいいか、ここがいいかと話しかける。私はそれについてあまり意見を挟まず「どちらもいいね」と答える。ここで私が「あそこがいい」などと意見を挟むと、夫はあれこれ難癖をつけてくるからだ。とりあえず夫の希望で行き先が決まっても、突然行き先を変更される場合がある。夫はよく「俺は約束が嫌いだ」と言っていた。なぜかを聞くと、「約束するとそれに縛られるからな。約束が果たせないときだってあるだろう?縛られるのは嫌なんだ」と言った。だから宿の予約も直前にならないとできなかった。また私が旅行先の観光コースについて調べていると夫は「そんな観光コースとか、名所には興味はないから行かないぞ」と言った。「じゃあどこを見るの?」と聞くと「とにかくその土地を歩けばいいんだ」と答える。歩けばいいって言ったって…と思いつつあまり口を出すと不機嫌になるので黙っていた。
 
 旅行の当日、夫は朝食を食べ、さっさと身支度を整えて出かける準備し、玄関先に立っている。私は、朝食の後片付けをした後、猛スピードで身支度を整え旅行鞄をひっつかむ。とにかく夫を待たせないようにしないと、夫はすぐ不機嫌になってしまうからだ。「もう行くのはやめだ!」と言い出しかねない。そして何とか出かけるわけだが、夫は電車の中でも(時には飛行機の中でも)私とは話さず、持ってきた本や雑誌を読んでいる。最初の頃、私は夫とおしゃべりしたくて話しかけるが、夫から面倒くさそうに返事をされたり、「つまらない話しをするな」と言われたりしたので、もうたいていは黙って隣に座っていた。その後私も文庫本を持参するようになった。

 そして目的地に着くと、ひたすら歩く。とにかく黙々と歩く。しかも観光スポットからは見事にはずれているのだ。夫が言うには、その土地を知るにはその街や自然の中を歩き回ることだそうだ。確かにそうだが、無目的にどこに行くともしれない中で歩き続けるのは非常に苦痛だった。夫に「どこに向かってるの?」と聞いても「さあ?」と言うだけ。「あっちに行った方がいいんじゃないの」と聞くと「こっちでいいんだ」と恐い声で答える。とりつく島もない。私はこの寒々しい行進に疲れ果てた。
 散々歩き回った後、宿に着くとまた本や雑誌を読み始める。私が退屈してテレビを付けると「うるさい」と一喝される。しーんとして過ごす時間。そんな時、温泉でもあればひとりで入りに行くのだが、ホテルの部屋だと最悪だ。夫が夕食に行こう、と言うまで黙って過ごすのだ。

 そして例えばホテルで宿泊し、夕食を外に食べに行くとする。夫はまた黙々と歩き出す。外に並んでいるレストランの看板やメニューをじっと見て吟味しては、また別のお店を探す。夫は事前に調べたりすることも嫌いなので、とにかくその時になってからお店を探す。私はひたすら夫の後ろをついて行く。1時間以上歩いて、やっと夫が言った。「とんかつでも食べようか」と。私は思わず「えっ!?」と叫んだ。なぜ旅行先で、どこでも食べられるとんかつを食べなければいけないのか?私は旅行をしたらその土地ならではの食材や郷土料理、名産を食べてみたいと思っている。しかし夫は自分が食べたいものしか食べず、食べたことのないものには手をつけなかった。なぜなら期待通りの味でないと嫌なのだそうだ。思いもかけない味だと嫌なのだそうだ。そのときは夫を説得し郷土料理もあり、普通のメニューもあるレストランに入った。が、夫はやはりむっつりと食べ、話しもしない。こんな旅行では、楽しむことなんてできなかった。私はもっと夫とその土地のことを話したり、珍しい食材に驚いたり、旅先での発見を共有したかったのに、そんな話しもほとんどできなかった。夫は何を感じ、何を考えているのだろう…そう思っても、余計なことを言うとまた夫の怒りスイッチを押してしまう、と黙っていた。

 そして夫は常に気まぐれだった。朝の機嫌によって「やっぱり出かけるのはやめる」と言ったり、最寄りの駅まで行ってから「やっぱり違うところに行こう」とまったく別の目的地を口にする。そうかと思えば「お腹の調子が悪いから帰ろう」と、途中で引き返したこともあった。私は何度がっかりさせられたことか。
 車で出かけるときもそうだった。ドライブでも行き先を言わなかったり、私にナビをさせ「道が違う」と怒りだし、車を止めて怒鳴られ続けたりすることもあった。 
 私は夫には期待しないようにした。いつ予定が変更になっても仕方がないことと思うようにした。夫との旅行は苦行だった。

 こうして私は夫との生活であきらめを覚えていく。期待しなければ傷つかないですむ。余計なことを言わなければ、何とかその日をやり過ごせる、と。

6 コメント

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うぅわ~~~! (宇砂子)
2005-10-31 23:55:09
約束するのが嫌いって・・・

全く同じでございます・・・元夫と(--;



私も旅行は大変でしたね~・・・

思い出すとムカつきますが(^^;



旅行であんなに神経をすり減らすのは

モラを伴侶に持った人間か、ツアー添乗員位のモンでしょう(--)



おかげで今でも旅行が苦手です。

克服せねばならない事の一つです(爆)
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似てますね~! (宇砂子さんへ)
2005-11-01 21:38:55
宇砂子さん、こんばんは!

モラ夫との旅行は、ほんとに大変ですよね。

約束が嫌いって…それでどうやって

仕事して友達と会って、家族できるんじゃ~っ!!と言いたい(--*)

モラはどうしてこんなに共通点があるのか?



何だか人間の思考とは違いますよね。

きっと別の星のアメーバが地球に落ちて

増殖した生物なのでしょうね…。



いつか宇砂子さんが気持ちよく旅行に行けますように!

遠くからお祈りしてますよ♪

     ウメより

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わかります・・・。 (やま)
2005-11-04 00:32:32
はじめまして。

やまと申します。

私も旅行は苦痛です。

現状、まだ結婚している状況なので、

今年の夏休みに4年ぶりに海外旅行に行ったのですが、そのときも、なかなか直前まで行くのか行かないのかはっきりせず、航空チケットも高くついてしまいました。

向こうに行っても、何かと機嫌が悪くなって、行き当たりばったりの旅で、宿は英語の話せる夫に探してもらったのですが、

イライラすると、気に入らないなら、お前が探してこいよ、と。

夫はもともと学生時代、その土地に住んでいたので、何でも知っていますが、

そんな観光地でもない外国で、まったく英語の話せない私に宿を探して来いなんて・・・。

しかも前の年に、母がなくなって、夏休みに旅行に行く気分になれなかったときに、

「何で親が死んだくらいで、海外旅行にいけないんだ!!おかしいんじゃねえの。」

って言ったから、頑張って今年は休みをとったのに・・・。去年は、急に母が亡くなったもので、父の調子もおかしかったので、10日近くも父を置いていくのが心配だったのもあったのに・・・・。



本当にモラ夫って、おかしいですよね。



旅行って本当に苦痛・・。楽しくあるべきなのに・・・。
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ありがとうございます (やまさんへ)
2005-11-04 22:56:13
やまさん、はじめまして!

本当にモラとの旅行は疲労困憊ですよね。

やまさんのおっしゃるとおり

モラは行き当たりばったりで、些細なことで不機嫌になり

観光地に行くでもなく迷走する…

モラって旅行を何と認識しているのか??

こんな苦痛な旅行はモラだけです。

しかもそれが海外だと非常にナーバスになりますよね…。

私もモラと海外旅行に行ったことがあります。

もちろんやまさんと同じくツアーでない、個人旅行。

モラは団体行動なんてできませんから。



やまさん、大変でしたね。

しかもお母様のことでのご心労、お察しします。

無事にお帰りになられてよかったです。

コメントありがとうございました。

     ウメより





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Unknown (やま)
2005-11-04 23:47:05
まだ、母のことでは、まったく心の傷は癒えません。

こんなときに母がいてくれたら、そんな風にちょっと思うだけで、自然に涙が流れてしまいます。

親孝行したいときに親はなしって、よく言ったものだと思います。

なのに、今はモラ夫の両親、おまけに義妹も戻ってきて、同居しています。



なんで、わたしがこの人たちの世話をしなきゃなんないんだ!!って時々叫びたくなります!!
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せめてここで叫んでくださいね (やまさんへ)
2005-11-05 09:51:47
やまさん、お辛いですね…。

そんなやまさんのお気持ち、モラはまったく汲み取らないのですね。

その上でモラ一家の面倒をみなければいけないなんて…!



やまさん、もっと叫んでくださ~い!



     ウメより
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