青く澄んだ空に映える銀杏並木(時にはムッとするような銀杏の臭い)、金木犀の香り、そんな秋の空気が好きだ。
この前とてもきれいな夕焼けを見た。山肌に沿ってきらめく橙色の光、群青色の垂れ幕が空を覆い始め、そのコントラストの中、三日月と金星が浮かんでいた。涙が出るほど、吸い込まれそうにきれいな空だった。
私は辛い気持ちになるとよく空を見上げた。10代後半の頃、自分への嫌悪感や将来への不安、母親との葛藤、大人への不信感と甘え、友人や恋愛関係での葛藤などで精神的に不安定になるとよく空を見た。特に夜空の星を見上げた。「宇宙から見たら私なんてちっぽけなもの」「神さま、私はどうしたらいいの?」などと空に語りかけていた。私は特定の宗教を信じているわけではないが、自分の意志ではない何か大きな存在が(それが神さまという名でも、偉大な存在でもいいのだが)あるのではないかと思っていた。自分がなぜこの時代に、日本に、ある特定の地域に、この親の元に生まれたのかは、当然だが私の意志とは一切かかわりがない。偶然の出会い、偶然の出来事の連続で導かれているように感じることもよくあった。もちろん、そこには私の意志も行動も介在するわけだが、まったくが私の思い通りに行くわけはなく、後から考えると「そのときうまくいかないように見えても、これは必然だったのか?」とか、「この出会いがなかったら人生もっと違っていた。この出会いで私は生かされた」なんて思うこともあったのだ。といっても、これも自分の都合のいい意味づけかもしれないが。
だから私はどこにいるとも知らない、何か自分を超えた大きな存在に向かってよく語りかけた。解決の道が告げられるわけもないのだが(当たり前!)そうやってしばらく星に向かっていろいろ考え事をしていると心が落ち着いた。たまに流れ星を見ると何かいいことがある予兆ではないかと心慰められることもあったものだ。
結婚した後も、私はよく星空を見上げた。夫から罵倒され心が真っ暗になったとき、夫が寝静まった後、夫を起こさないように細心の注意を払いつつ、ベランダに行きそこの手すりにもたれて星空を見上げた。「この生活はいったい何なんだろう」「夫はどうして怒ってばっかりいるのか」「私はどうしたらいいの?」と星空に語りかけた。そんなとき、誰かから教えてもらった「神はその人が耐えられないような試練は与えない」という聖書の言葉をよく思い出した。「きっとこれは私の試練なんだ」「人生の修行なんだろう」「でも神さまは耐えられないような試練は与えないというから、きっと私は大丈夫」「明日になればこの状況も変わるかもしれない」と必死に自分に言い聞かせた。
夫のモラハラがどんどん酷くなり、ぼろくそめちゃくちゃに言われ、絶望的な気持ちになったある日、私は眠れず夜中にベランダに出た。満月が光っていた。私は思わず「おとうさーん、おかあさーん…」とつぶやいていた。その瞬間どっと涙があふれ、しばらく止まらなかった。
私はそんな自分に驚きもしていた。私は10代後半からずっと家を出たいと渇望していた。過干渉の母親に耐えられず、その葛藤で随分苦しい思いをしてきたからだ。だから働き初めてからすぐ家を出、一人暮らしを長くしてきた。ホームシックになるなんてこともまったくなかったのだ。それなのに、あのときは思わず親を呼んでいた。きっとその時の私は、夫から力を奪われ、無力な赤ん坊のような心境だったのかもしれない。自分を守ってくれるはずの夫はただ私を痛めつけるだけだった。だから私は迷子になってひとりぼっちになり、不安におののく子どものように親の庇護を求めたのだろうか。
この前、夜道を帰りながら空を眺めた。半月が浮かんでいた。
「私はこれからどうなるのかな」「こうやってずっとひとりで生活していくのかな」「ひとりで生きていくことができるかな…」そんなことを考えた。
そして、モラ夫との生活は人生最大の試練だったように思うので、「どうかお願いだから、もうこれ以上の辛い試練は与えないでくれ~…」と私は空に向かってつぶやいていた。
この前とてもきれいな夕焼けを見た。山肌に沿ってきらめく橙色の光、群青色の垂れ幕が空を覆い始め、そのコントラストの中、三日月と金星が浮かんでいた。涙が出るほど、吸い込まれそうにきれいな空だった。
私は辛い気持ちになるとよく空を見上げた。10代後半の頃、自分への嫌悪感や将来への不安、母親との葛藤、大人への不信感と甘え、友人や恋愛関係での葛藤などで精神的に不安定になるとよく空を見た。特に夜空の星を見上げた。「宇宙から見たら私なんてちっぽけなもの」「神さま、私はどうしたらいいの?」などと空に語りかけていた。私は特定の宗教を信じているわけではないが、自分の意志ではない何か大きな存在が(それが神さまという名でも、偉大な存在でもいいのだが)あるのではないかと思っていた。自分がなぜこの時代に、日本に、ある特定の地域に、この親の元に生まれたのかは、当然だが私の意志とは一切かかわりがない。偶然の出会い、偶然の出来事の連続で導かれているように感じることもよくあった。もちろん、そこには私の意志も行動も介在するわけだが、まったくが私の思い通りに行くわけはなく、後から考えると「そのときうまくいかないように見えても、これは必然だったのか?」とか、「この出会いがなかったら人生もっと違っていた。この出会いで私は生かされた」なんて思うこともあったのだ。といっても、これも自分の都合のいい意味づけかもしれないが。
だから私はどこにいるとも知らない、何か自分を超えた大きな存在に向かってよく語りかけた。解決の道が告げられるわけもないのだが(当たり前!)そうやってしばらく星に向かっていろいろ考え事をしていると心が落ち着いた。たまに流れ星を見ると何かいいことがある予兆ではないかと心慰められることもあったものだ。
結婚した後も、私はよく星空を見上げた。夫から罵倒され心が真っ暗になったとき、夫が寝静まった後、夫を起こさないように細心の注意を払いつつ、ベランダに行きそこの手すりにもたれて星空を見上げた。「この生活はいったい何なんだろう」「夫はどうして怒ってばっかりいるのか」「私はどうしたらいいの?」と星空に語りかけた。そんなとき、誰かから教えてもらった「神はその人が耐えられないような試練は与えない」という聖書の言葉をよく思い出した。「きっとこれは私の試練なんだ」「人生の修行なんだろう」「でも神さまは耐えられないような試練は与えないというから、きっと私は大丈夫」「明日になればこの状況も変わるかもしれない」と必死に自分に言い聞かせた。
夫のモラハラがどんどん酷くなり、ぼろくそめちゃくちゃに言われ、絶望的な気持ちになったある日、私は眠れず夜中にベランダに出た。満月が光っていた。私は思わず「おとうさーん、おかあさーん…」とつぶやいていた。その瞬間どっと涙があふれ、しばらく止まらなかった。
私はそんな自分に驚きもしていた。私は10代後半からずっと家を出たいと渇望していた。過干渉の母親に耐えられず、その葛藤で随分苦しい思いをしてきたからだ。だから働き初めてからすぐ家を出、一人暮らしを長くしてきた。ホームシックになるなんてこともまったくなかったのだ。それなのに、あのときは思わず親を呼んでいた。きっとその時の私は、夫から力を奪われ、無力な赤ん坊のような心境だったのかもしれない。自分を守ってくれるはずの夫はただ私を痛めつけるだけだった。だから私は迷子になってひとりぼっちになり、不安におののく子どものように親の庇護を求めたのだろうか。
この前、夜道を帰りながら空を眺めた。半月が浮かんでいた。
「私はこれからどうなるのかな」「こうやってずっとひとりで生活していくのかな」「ひとりで生きていくことができるかな…」そんなことを考えた。
そして、モラ夫との生活は人生最大の試練だったように思うので、「どうかお願いだから、もうこれ以上の辛い試練は与えないでくれ~…」と私は空に向かってつぶやいていた。
とても感動しました。
いいお話をありがとうございました。
私は信じたいと思います。
ウメさんがこうして記事を書いてくださることで、慰められている人が沢山いることを。
意味のない困難はないということを。
すみれさんから、そんなこと言っていただけるなんて…
照れてしまいます。
そして、こんなちっぽけな私の存在に
心とめていてくれる人がいる…
とっても嬉しいことですね☆
>意味のない困難はない
私もそう思います。
きっとこの経験が、人生を深めていく事に貢献してくれている、
きっとこの体験は私の人生に活かされる、
そう信じています。
っていうか、そう思わないと
「あれはいったい何だったんじゃ~!!」と
叫ぶしかなくなるっていうか…(笑)
あのモラ体験が今後どう活かされるか?
あっ!ブログ作り初体験にも、十分活かされてますかね!?
ありがとうございました!
寒くなってきましたが、すみれさんも風邪を引かれないように
くれぐれもお気を付け下さいね。
ウメより
全く感じません。
それどころか柔らかい流れるようなウメさんの文章大好きです。
特にこの記事が好きでした。
(実はこのスキンも好きです)
最近モラハラ記事を読んで、何となく自分もモラ妻(母)では?と気になっているので
すごく勉強になっています。
感情的になりやすいので、その時相手がどう感じているかをここで読んで反省しています;
これからも思ったままを書き綴って下さいね。
ハナぴよさんからの温かいメッセージ、
とっても嬉しかったです☆
私もいろいろな人とのやりとりで
わからなかった自分自身の一面に気づかされることがあります。
だから、こんなふうにハナぴよさんとやりとりできることで
自分のいろんな思いを発見できるのです。
ハナぴよさん、ありがとうございます!
またハナぴよさんの想いも聴かせてくださいね。
ウメより
心では助けてよーって叫んでいたような気がします。また読ませていただきますネ。
そうなんですか。hanaさんもよく夜空を見ていたのですね。
きっと辛い想いをぐっとこらえていらっしゃったのではないでしょうか。
モラ夫といると、本当に孤独で誰の耳にも、
誰の目にも私のことなど触れないのではと思ってしまいます。
電話でも、会ったりできる人がいても
その人にすら助けてと言えない…
ひたすら心の中で自分の声がグルグルと回っていた気がします。
よかったらまた覗いてみてくださいね。
ありがとうございました!
ウメより