TULIP DIARY

届くといいな やさしい風に乗って

アハメドくんのいのちのリレー

2011年10月22日 | 読書日記
アハメドくんのいのちのリレー 鎌田實 著 集英社
このお話の主人公はパレスチナ難民キャンプに住む12歳のアハメドくんです。アハメドくんの夢はエメラルドグリーンに輝く地中海を見ることでした。でもその夢はかなえることができませんでした。二発の銃弾が彼を死に追いやりました。イスラエル兵の銃弾によるものでした。脳死状態になった彼の臓器を移植する選択を彼のお父さんはすることにしました。彼の臓器を提供された人たちはすべてパレスチナとずっと対立しているイスラエル人の人たちでした。その行いは日本の新聞でも紹介されました。その記事を発見した著者はアハメドくんとそのお父さんのことが忘れられなくなりました。著者は臓器をあげた子の親御さんと臓器をもらった子の親御さんと人間の心についてじっくり話しあってみたいと思い立ちます。そして、アハメドくんのお父さんと一緒に臓器を提供された人のうちの一人サマハちゃんに会うことになりました。アハマドくんの臓器がいのちのバトンとしてサマハちゃんの命に受け継がれている事実、そして、命だけでなく、人間の優しい心まで受け継がれているいう事実は殺されたアハメドくんのお父さんの憎しみや悲しみを断ち切ることができそうな鍵になるのでした。半世紀以上、憎しみを積もらせてきたこのパレスチナとイスラエルの大地に、人間が本当に持っている底力や優しさであたたかさを回転させることができたらという思いと、平和な世界に戻る日が早く来るようにという願いが込められた絵本でした。
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