「胸を張って生きる」 マタイによる福音書 4章1~11節
イエスさんは、40日の断食を終え、空腹を覚えられました。すると、悪魔が「神の子なら、これらの石がパンになるように命じたらどうだ。」と言いました。石をパンに変えて、自分の欲望を満たしてみろという誘惑でした。イエスさんは、「人はパンだけで生きるものではない。神の口から出る一つひとつの言葉によって生きる。」と言い返し、悪魔の誘惑を退けました。
ユダヤ人のルーツは、モーセに導かれてエジプトを脱出した人たちでした。彼らはイスラエルの民と呼ばれ、シナイ半島の荒野で40年を過ごしたと伝えられています。その間、イスラエルの民は、最低限の食べ物には不自由しませんでしたが、神さまに対して不平や不満を言って過ごすばかりでした。神さまは、そんなイスラエルの民を忍耐強く教え導き、守られました。モーセは、そんな神さまの深い愛を思い起こし、「人はパンだけで生きるものではない。神の口から出る一つひとつの言葉によって生きる。」と言いました。
人間的な欲望を満たそうとして、利用できるものは何でも利用して権力の頂点に立とうとする生き方は、やがて自滅するしかない恥ずかしい生き方ではないかと思います。人が胸を張って生きるようになるために、イエスさんの口から出る一つひとつの「愛の教え」を大切にしたいと思います。