「罪人感が変わった」 マタイによる福音書 4章12~17節
イエスさんは、バプテスマのヨハネが捕らえられたことを知り、ガリラヤに「退かれ」ました。ヨハネが捕らえられたのは、ヘロデ王の不品行を批判したためでした。それだけエルサレムの政治は不信仰であり、腐敗していたということでしょうか。その結果、「異邦人のガリラヤ」と呼ばれている周辺の地域から、イエスさんの福音が宣べ伝えられることになりました。
ガリラヤには、「暗闇に住む民」や「死の陰の地に住む者」と呼ばれている人たちがいたようです。彼らは、エルサレム神殿を中心とする「義人」と称する人たちから、「罪人」と呼ばれていました。「罪人」とは、神さまの前に立ってはならない人という意味の言葉で、救われることがないと考えられていました。一方で、自らを「義人」と称する人たちは、他人を「罪人」と呼ぶことによって自分を正当化する、欺瞞に満ちた人たちでした。
イエスさんは、ガリラヤで声を上げ、「悔い改めよ。天の国は近づいた」と言いました。「悔い改めよ」とは、ガリラヤの「罪人」に向けられた言葉というよりも、エルサレムの「義人」に向けられた言葉であるように思います。信仰の名の下に「義人」が他の人を「罪人」と呼んで隠然と支配する、そんなユダヤ社会のスキームこそ改めなさいと教えられているように思います。