goo blog サービス終了のお知らせ 

融通無碍 翼を休めてみませんか

新温泉町浜坂にある日本キリスト教団浜坂教会の
牧師日記

「神に委ねてくじ引きをした」

2015年05月20日 | 聖書のお話

「神に委ねてくじ引きをした」 使徒言行録 1章12~26節

 「ダニエル書補遺スザンナ」には、二人の長老が自らの性欲を満たそうとして女性に迫り、目的が果たせなかったとみるや女性に濡れ衣を着せ、死刑にしようとする物語が伝えられています。物語の構図は、現代にも通じるものがあるように思います。哀れ、女性が死刑にされそうになったとき、神の霊に満たされていたダニエルという若者が登場し、二人の長老を別々にして証言を聞き出しました。すると、二人の証言が食い違ったため、女性の無実が晴らされ、反対に二人の長老は偽証罪に問われて処刑されることになりました。

 使徒言行録の物語には、ユダについて記されています。ユダについては、マタイによる福音書にも記されていますが、使徒言行録とマタイによる福音書の記述では、ユダが最後に死んだというところは同じなのですが、それ以外のことについては食い違っています。「ダニエル書補遺スザンナ」の例で言えば、ユダについて二つの証言が食い違っているのですから、死に至るまでの過程については不明としか言いようがないと思われます。

 マタイによる福音書には、自らの罪を自覚して悔い改め、自殺したユダの姿が描かれています。使徒言行録には、自らの罪のままに生き、事故によって死んだユダの姿が描かれています。使徒言行録は、より罪深いユダが描かれ、それが使徒の一員であり、その欠員を補うために、新たに一人の使徒を選ぶべきであると主張し、「使徒」とはそれほどまでも重大な務めであることを伝えようとしているように思います。新たな使徒を選ぶに際しては、人間的な評価に委ねることをしませんでした。使徒であっても罪深い者であるという自覚と反省に立って、くじ引きをして新しい使徒を決めたのです。くじを引くとは、神さまの判断にすべてを委ね、その結果をすべて受け入れるということです。決断が重ければ思いほど、神さまに委ねる信仰を忘れないでいたいと思います。

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする