今日の「 お気に入り 」 。
「 上司が部下の失敗を正す場合 ・・・
部下に声を荒げてはいけません 。荒げても何の目的も達しないのです 。
自分の怒りをぶつけるだけ 、怒りをアクセンチュエイトする ( accentuate 、
強調する ) だけです 。相手に『 俺は怒っているぞ 』と強調して怒りを
伝える意味しかありません 。相手の反発を買うだけです 。
『 言いたいことを言うな 、相手の胸に残したいことを言え 』というこ
とです。
少なくとも相手はディフェンシブになって 、こちらの言うことを真摯に
受け止めることはできなくなります 。相手の胸に残したいこと 、相手が
『 反省して 、悪かったなぁ 』と自分で思うような優しい言い方で 、注意
するということです 。
たとえば 、『 怒りたい 』ことがあったとします 。しかし 、自分の欝憤
( うっぷん ) を晴らすために 、『 馬鹿野郎 !』と怒鳴るのは最低です 。
何のために怒るのかと言えば 、相手が再びその間違いを犯さないように 、
自分の怒りを相手が受け止めるようにするためです 。
では 、どういう言葉で彼の胸の中に残しておくか 。怒りをぶちまける
なんていうのは 、一瞬の快楽 、いや快楽ですらありません 。
それよりは 、どういうことを相手の胸の中に残すかです 。当然 、言い
方も優しくした方がいいでしょう 。その相手の弱いところを突くなんて
ことは 、絶対にしてはいけないことです 。
相手の立場を配慮しながら言う 。反射的に 、怒られている側の人間の
立場に身を置くということです 。
繰り返しになりますが 、国際人になる人というのは 、『 常に 、反射
的に 、相手 、特に弱い相手の立場に 、自分の身を置くこと 』です 。
自分が話している相手 、今この人はどういう思いで聞いているのか 、
ということです 。これを常に 、常に 、考えながらいかなければなら
ないと思います 。」
( 出典:岡本行夫著 「 日本にとって最大の危機とは?
〝 情熱の外交官 〟岡本行夫 最後の講演録 」 文芸春秋社刊 )
「 声を荒げてはいけない 」のは「 上司 」に限ったことじゃありません 。
「 国際人になる人 」に限ったことでもありません 。
相手の立場に 、自分の身を置く 。
相手の立ち位置で考える 、視座を変えてみる 、見える景色がかわってきます 。