「今日の小さなお気に入り」 - My favourite little things

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再読したいものは少い。

齢は勝手にとったのだ 白髪は知恵のしるしではない 老人のバカほどバカなものはない 2005・11・17

2005-11-17 06:25:00 | Weblog
 今日の「お気に入り」は、山本夏彦さん(1915-2002)のコラム集から。

 「『女は永遠に十七である』と私は書いたことがある。シワやシラガは勝手にふえる。いくらふえても内心は

 十七だからむろん不服である。

  男もまたそうである。永遠に齢をとらない。スポーツ選手を見よ、絶頂は十七、八だ。あとは持続すればいい

 ほうで急速に下り坂になる。肉体がそうなら精神もそうで、人は五歳にしてすでにその人である。」

 「『人生教師になるなかれ』と私は言ってやまないものである。齢をとると男女を問わず自動的に人に教える資格が

 生じると思う。齢は勝手にとったのだ、シラガは知恵のしるしではない、老人のバカほどバカなものはないと私は

 金言のありたけを並べるが、その誘惑にたえかねるのだろう、老人は教えたがる。」


  (山本夏彦著「死ぬの大好き」新潮社刊 所収)

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