今日の「お気に入り」は、山本夏彦さん(1915-2002)のコラム集から。
「 一面識あれば話は五割分れば見当がつく。七割分ればまず全部分ると外国語を例に書いた
ことがある。外国語はくまなく分ろうとするからいけない。一部につまずいて首をかしげて
いるうちに、話はあらぬところへ去って追いつかなくなる。
その一語はいずれ分るとそのままにしておけばいいこと外国語も日本語も同じである。
漱石の『坊ちゃん』や『猫』の用字用語は今では分らないものばかりである。大学生でも
理解できるもの六割か、それでもこんな面白い本とは知らなかったと言っている。
くまなく分ろうとするものはない。」
(山本夏彦著「世は〆切」文春文庫 所収)
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