今日の「 お気に入り 」は 、伊集院静 ( 1950年〈 昭和25年 〉2月9日 - )さんの
随筆から スクラップ 。
順不同 。備忘のため 。(^^♪
「 冬には 、特有の匂いがあるそうだ 。
そのことを知ったのは 、東京で今の家人と
暮らしはじめた或る夕暮れのことだった 。
『 あっ 、" 冬の匂い " だわ 』
と彼女が唐突に言った 。
――今 、何と言ったんだ?
そう思って 、彼女を見ると 、台所の壁に 、
そこだけが覗き口のようになったちいさな
四角の窓があり 、彼女は爪先立ちをして 、
仔犬がするように鼻を動かし 、窓から入る
外気を嗅いでいた 。
『 うん 、やっぱり " 冬の匂い " だわ 』
そのうしろ姿に 、私は彼女の少女の頃の
姿を想像した 。 」
「 『 冬が来ると 、夕刻 、吹いて来る風の中に 、
他の季節にはない特別の匂いがするでしょう 。
その匂いを嗅いだ時 、ああ今年も冬が来たん
だってわかるの 』 」
「 日本人が持つ特有の 、季節に対する感受のかたち 」
「 霜の朝 まだ生ありと 目覚めけり 」